本の出版と聞くと少々ハードルが高く感じるかもしれませんが、一般の人が本を出すことはできるのでしょうか。
実は、一般人であっても、費用をかけず本を出す方法はあります。
ただし、どの方法が適しているかは人それぞれ違います。
ここでは
- 一般人が本を出版する方法5選
- 出版前にするべきこと
- 一般人が本を出版するとどうなるのか?
を解説します。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
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本の出版方法はおもに3種類
本の出版方法には、おもに以下の3つの種類があります。
- 自費出版
- 商業出版
- 電子書籍の出版
この3つの違いをまとめると表のようになります。
自費出版 | 商業出版 | 電子書籍の出版 | |
費用 | 著者自身が負担 (100万円~1,000万円) |
出版社が負担 | 著者自身が負担 (0円~10万円) |
おもな出版目的 | 個人の作品づくりや情報発信 | 本の売上と印税 | 個人の作品づくりや情報発信 |
内容や装丁 | 著者が自由に決められる | 著者の意向が反映されるとは限らない | 著者が自由に決められる |
以下でそれぞれ詳しく解説します。
自費出版
自費出版では、著者自身が出版にかかる費用をすべて負担します。
自費出版は、おもに個人的な作品づくりや情報発信のために使われます。
内装や装丁などの本の中身や見た目を自分の意向で決めることができるため、自由度が高い出版方法です。
ちなみに、企業が自社の経営課題を解決するために本を出す「企業出版」も企業が費用を負担するため、自費出版に含まれます。
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商業出版
商業出版は、出版社と契約して本を出版する方法です。
出版社が出版にかかる費用を負担し、著者と利益を分け合います。
多くの人に向けて本を販売し売り上げを立て、印税を得ることが主な目的です。
著者側の費用負担がないというのが大きなメリットですが、出版社が内装や装丁を決めることが多く、著者側の自由度は低い出版方法です。
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電子書籍での出版
デジタル形式で本を出版する方法です。
代表的なのが、Amazonで販売されているKindle(キンドル)でしょう。
電子書籍は、印刷や流通のためのコストかからないため、自力でデータをつくることができれば0円でも出版ができます。
著者の意向によって、表紙デザインやレイアウトを決めることも可能です。
読者はパソコン、スマートフォン、タブレットなどで本を購入・閲覧できます。
プロの作家や有名な著者でない限り、自分の本を出すことは難しいイメージがありましたが、電子書籍の誕生により、誰でも自分の本を簡単に出すことが可能となりました。 しかし電子書籍にはネット上での書籍ならではのメリ[…]
一般人の本の出版方法
一般人が本を出版したいと考えた際は、以下の5つの方法を検討してみてください。
- 電子書籍で出版する
- 出版社に売り込む
- 自費出版する
- 商業出版する
- セルフ製本&個人ネットショップで販売する
個人が出版するのに向いているのは、電子書籍や自費出版です。
そして意外と多いのが、商業出版という方法です。
それぞれの特徴について詳しく解説します。
電子書籍で出版する
費用をかけず気軽に出版したいなら、電子書籍がおすすめです。
電子書籍の出版は、大手サイトへの出版が当てはまります。
出版にかかる費用は大手サイトでも0円のところがあります。
電子書籍であっても、本が売れれば売り上げの一部が収益として得られます。
サイトによっては、月額読み放題システムで本の一部分でも読まれるだけで収益化できる場合もあります。
電子書籍のメリットは、文章を書いたことがない人でも手軽に出版できる点です。
ある程度人気の書籍に成長すると、出版社側から企業出版の話をもちかけられる可能性もあります。
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出版社に売り込む
出版社に自分の本を売り込み、出版が決まれば自己負担ゼロで出版できます。
この方法は「企画出版」といい、出版社が売れると判断した本を出版しています。
出版社も利益を見込んでいるため、一般人が売り込んだとしても必ずしも企画が通るとは限りません。
企画出版は、出版社の意向が強く反映されており、出版社目線が不可欠です。
出版するかしないかは出版社が握っているため、どれだけ「売れる」と思わせるかがポイントになります。
本を持ち込む際には、「有名になりたい」という漠然な気持ちよりも、特定の何かを世に伝えたいという想いが重要です。
さらに、出版社から本を出してもらうため、出版社の意見を聞く柔軟性も必要になります。
出版社に本を売り込む方法は、郵送・訪問・FAXなどの方法があります。
できるだけ出版社とコンタクトを取って、ネットワークを広げるようにしましょう。
幅広い出版社と連絡を取り合うことで、企画が通る可能性が高まります。
FAXで企画を送るだけだと、「こんなやり方で大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、いつ出版社の目に留まるかがわからないのです。
企画を通して出版社から本を出したいなら、積極的に行動しましょう。
自費出版する
お金をかけてでも出版したい気持ちがあるなら、自費出版がおすすめです。
自分でお金を出す以上、出版社の意向に影響されず自由に本を出版できます。
「出版社から本を出したら自由にやらせてもらえなかった」というパターンを避けたい場合には、自費出版が向いているでしょう。
ただし、出版費用が自己負担なるというデメリットがあります。
費用を抑えるためには、デザインや執筆もすべて自分で対応する必要がでてきます。
自費出版の場合は流通量も限られてくるため、一部の書店にしか並べられないでしょう。
「ベストセラーを目指したい」という人よりも、自由に自分を表現したい、情報を共有したいという人に向いていると言えます。
自費出版する際は、事前になににどれくらい出費が出るのか計算しておかないと、費用の問題でつまづいてしまうことがよくあります。 しかし、出版費用には様々な要素が関わりますので、最初はどのように見積もりを取って比較するべきか分からないことが[…]
商業出版する
商業出版も出版社に売り込む方法と同じで、多くの場合、出版社に費用を負担してもらえます。
商業出版をするには、
- 自分で出版社に売り込む
- 出版社側から声をかけられる
の2パターンがあります。
出版社にとっては投資となるため、その本が売れるよう最大限の努力をしてくれます。
本の企画から、デザイン、製本、営業など使える力をすべて活用します。
売れるか売れないかは出版社の力量にかかっているため、営業力のある出版社を選ぶと良いでしょう。
商業出版のメリットは、本が売れたら印税が入ることです。
印税の割合は、出版社や著者によっても異なりますが、5~10%は期待できます。
1,000円の書籍が1万本売り上げれば、印税が100万円入る計算です。
しかし、商業出版で出版社から声がかかるのを待つのであれば、その前に圧倒的な実績をつくらなければなりません。
セルフ製本&個人ネットショップで販売する
つづいては印刷所や製本会社でフォトブックを制作し、Stores・Base・Shopifyなどの個人のネットショップで販売する方法です。
こちらは写真集に多いやり方になります。
こちらは「自費出版」や「商業出版」とは異なり、出版するというよりは“物販”に近いイメージになります。
メリットは、印刷会社で製本をするためプリントの質が高くなることです。
一方のデメリットは、注文者一人一人に自分で配送する手間がかかることです。
また、過剰に製本してしまった場合は在庫を抱えることになるので、事前にSNSなどを活用し需要を把握しておくのがよいでしょう。
また、数回に分けて予約を取りオンデマンドで印刷することで、大量の在庫を抱えずに済みます。
従来の出版社が行う本の出版では、1,000部などまとまった部数からのみ印刷が可能でしたが、今日では1部からの印刷が可能な「プリントオンデマンド出版」という手段ができました。 必要な時に必要な分だけ印刷できる[…]
本業での稼ぎが心もとないという場合、副業したいと考える人も多いのではないでしょうか。 「自費出版」は、印税という形で収入が得られる魅力的な副業です。 しかし、会社勤めを本業にする人の中には、就業規則に[…]
本の出版までの工程と期間
自費出版などで紙の本を出版するまでの工程は以下の通りです。
- 「下準備」= 本の内容についてや構成案の提示(2週間〜1ヶ月程度)
- 「原稿作成」=取材~執筆・編集作業(3ヶ月程度)
- 「制作」=ページレイアウトや校正(3週間程度)
- 「発行」=印刷会社へ入稿~見本完成・販売(2ヶ月程度)
プロジェクト開始から出版までにかかる期間としては、6ヶ月~8ヶ月になります。
出版までの工程については、こちらの記事でより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください↓
本が出版されるまでには、企画の立案から執筆、編集、ページレイアウト、印刷まで、多くの人がさまざまな作業を行わなければなりません。 今回は 本が書店に並ぶまでの経路 本[…]
出版に必要な出版企画書とは?
出版企画書は、出版物を制作・出版するための計画書や提案書のことです。
出版企画書は出版社や編集部に対して、新しい本の企画や提案を行う際に使用されます。
企画の趣旨や著者のプロフィールといった基本情報に加え、書籍の中身についてもある程度具体化しておく必要があります。
【出版企画書に含めるべき項目】
- 書籍のタイトル
- 著者自身のプロフィール
- 作品内容
- 類書との差別化ポイント
- ペルソナ・企画の主旨
- 販促方法
- 目次
- 本文サンプル
- 希望価格・印税 など
出版社に企画書を提出してすぐに契約を結べるわけではなく、出版社内でのいくつかの会議を通過することでようやく書籍制作のゴーサインが出されます。
出版企画書については、こちらの記事で詳しく解説しています↓
企業出版は自社の価値を市場にアピールするうえで最適なプロジェクトであり、今や多くの企業が書籍制作へのチャレンジを模索しています。 しかし、いざ出版社に提案するものの、全く相手にされなかったというケースは少なくありません。 企業出[…]
出版企画書を出版社に送る際に添付する「送付状」のテンプレートはこちら↓
出版にかかる費用を全額負担して出版する自費出版。 自費出版する目的は大きく分けるなら、不特定多数の人に読んでもらいたいという利益を求める場合と、自分の俳句や短歌を作品集にして身内に読んでもらいたいという自己[…]
一般人が本を出版する前にできること
どのような方法でも、一般人が本を出すならその前にするべきことがあります。
いきなり本を執筆し、上手に書ける人はほとんどいないでしょう。
まずは、練習を兼ねて書くことから初めて、出版社の目に留まる実績をつけるのがおすすめです。
ブログを書き有名になる
文章を書く練習をするなら、ブログから始めましょう。
ブログは無料で始められるサービスもあるため、書き始めるのにリスクがありません。
長く書いているうちに、読者に好かれる記事の特徴が分かってきます。
場合によっては、短時間でバズる記事が書けるかもしれません。
多くの人にブログが見られることで、出版社の編集者の目に留まる可能性が高まります。
本の賞の受賞を目指す
知名度を上げて出版社の目に留まりやすくするなら、本の賞の受賞を目指しましょう。
各出版社は、定期的に新人賞などのコンテストを開催しています。
受賞を目指すのであればなら、もちろん優秀賞やグランプリがおすすめです。
出版社が受賞者の本を出す際に、「優秀賞」と書くと箔がつくためです。
受賞を目指す場合は、自分に合ったコンテストに参加してください。
有名なコンテストで優秀賞を獲得するのは難しいため、確実に優秀賞がとれるようなコンテストを選びましょう。
出資者を募る
自費出版でお金がないときは、出資者を募るという方法があります。
出資者を探す方法は、共同出版やクラウドファンディングなどの方法があります。
名前を載せることを条件に、出資してもらうこともできます。
特定の目的を果たすために出版したいなら、SNSを活用して出資者を募るのも良いでしょう。
共感する人が多ければ、たとえ1人の出資額が少なくても、合わせると大きな額になる可能性があります。
出版にかかる費用の一部をクラウドファンディングで集めた船津明生さんの成功事例はこちらです↓
仕事で使う本を出版するとなると、著者自身で費用を負担する自費出版のケースが一般的です。 ただ、出版の費用は高額となることが多く、結局出版そのものを諦めてしまう人も少なくありません。 でも、費用の問題だけで出版を諦めるのは少し[…]
一般人が本を出版するとこうなる
一般人が本を出版する方法がわかったら、次は現実を見るようにしましょう。
本がベストセラーになるのは、多くの場合は著名人や広告費用を投資できる人になります。
売れることだけを目的とすると、本を出版できたとしても結果にガッカリしてしまうかもしれません。
本離れで思ったより売れない
近年は、若者の本離れにより、出版社全体の売り上げが減少しています。
出版不況は、かれこれ数十年程ずっと続いています。
本が売れなくなったのは、普段から活字を見るのに慣れていない人が増えたためです。
とくに若者は、動画や画像など見るだけで情報が得られるコンテンツに慣れており、活字を見るだのが苦痛だという人さえいます。
このように本が売れない現状があるため、急に一般人が本を出したとしても思ったより売れないかもしれません。
ベストセラーになる本があるのは、出版社が費用をかけて広告を出しているためです。
大手メディアに取り上げられることで知名度が上がり、ベストセラーになる可能性が高まるのです。
一般人は、宣伝にかける費用や手間が限られてしまうのが現実ではないでしょうか。
ファンを獲得できる
一般人が本を出版しても売れないのであれば、意味がないと思うかもしれません。
しかし、本を出せば少なからず誰かが読んでくれるため、ファンを獲得できる可能性はあります。
誰かから直接メッセージが送られてきたら、多くの方は嬉しいと感じるでしょう。
自分を売り込みたいと考えているは場合は、出版でファンができることで集客力が高まります。
熱烈なファンができれば、ファンの数が少なくてもビジネスに役立てやすくなります。
出版社との考えが一致しない
出版社によって得意・不得意があるため、間違った選択をすると苦労します。
丁寧に校正をしてくれる出版社もあれば、何も口出しをしない出版社もあります。デザインなどがイマイチで、出来上がった本に満足できない場合もあるかもしれません。
出版社とはコミュニケーションを密に取り、自分と相手との間に温度差がないか確認しましょう。
実際話をしてみて、信頼できる相手か、こちら側の意向が伝わりやすいかどうかなどが比較ポイントになります。
どんなにベストセラーを出せる担当者でも、相性が悪いと良い本にはなりにくいでしょう。
「自費出版」とは著者側で費用を負担し、誰でも本を出版できる方法です。 いわば本の出版について全くの素人でも出版できるということです。 自費出版の際にまず重要になってくることは、出版の知識がなくてもトラブルに巻き込まれない[…]
【まとめ】一般人の出版には電子書籍や自費出版がオススメ
一般人でも本を出版することは可能です。
自分で本を出すとなると、まずは電子書籍や自費出版がおすすめです。
また、一般人で本を出して売れなかったとしても、すぐに諦める必要はありません。
現在著名な作家さんの中でも、最初はまったく売れずじわじわと有名になった方もいます。
本を出すときは売れることだけに目を向けるのではなく、次へのステップに繋げることを目標にすると良いでしょう。
知識0から本を出版する方法7step
これから出版に取り組むかどうかを検討している方に向けて、出版までの手順を解説します!
- 『出版の力』を知ろう
- どのような目的で出版するかを決めよう
- 出版方法を決めよう etc.
投稿者プロフィール
-
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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