自社のブランディングや集客に悩んでいる場合、企業出版が目に留まるかもしれません。
企業出版で成功を収めている会社も増えているため、「自社も挑戦してみよう」と考える企業が増えています。
まずは、企業出版の概要を確認しておきましょう。同じ出版といってもいろいろと種類があるため、違いを知っておく必要があります。
自分の会社にとって、「本当に企業出版が向いているのか?」を検討してください。
企業出版とは?
企業出版とは、書籍による集客やブランディングを目的とした出版のことです。
出版により印税を得るのを目的としておらず、ゴールは自社の認知度をアップさせることにあり、競合との差別化を目指します。
WEBやSNSなどの媒体を使って、自社商品や企業をアピールするのと同じものです。企業出版は、媒体が書籍になっただけです。
では企業出版にはどのような特徴があるのでしょうか。
以下に、わかりやすいように自費出版や商業出版との違いを解説していきます。
自費出版との違い
自費出版は、著者が自ら出版費用を負担します。
出版する目的は、著者のノウハウや情報を周りに伝えるためです。
本の制作は出版社が関与する割合が低いため、著者の自由になりやすい特徴があります。
ただし自費出版は自由度が高い分、制作費が高額になりやすいでしょう。
結果的に発行部数が少なくなり、一部の書店でしか流通させることができない場合も少なくありません。
企業出版と自費出版とでは、出版目的・コスト・流通度合いすべてにおいて異なります。
自費出版は個人が自分の情報や考えを表現するために行うことが多いのに対し、企業出版は法人がお金をかけて経営の問題解決を目的として行います。
商業出版との違い
商業出版は、ほとんどの場合は制作費は出版社がもちます。
基本的には企画から制作・流通まで出版社が関与し、ベストセラーを作り出すことを目的としています。出版社が利益を得るための出版方法のため、売れない企画だと採用されません。
著者からすると、出版費用が少なくて済むというメリットがあります。
ただし、出版社主導のため、著者の伝えたい内容になるとは限りません。採用されることが多いのは、過去に大きな実績を上げた方や影響力の高い人です。
企業出版と商業出版は、出版目的・コストで異なります。
商業出版は本の売り上げが目的でコストは出版社負担なのに対し、企業出版は自社で費用を負担しても売り上げは見込んでいません。
共通事項として挙げられるのは、全国書店に本を出す流通規模です。
企業出版のメリット
出版スタイルで迷ったら、企業出版のメリットを確認してみましょう。
以下に紹介するメリットに大きな魅力を感じる場合は、企業出版がおすすめです。
読者をファンにできる
企業出版は、読者をファン化させるメリットがあります。
本を読んでいる間は読者を独占できて、読み終える頃には「その企業のことを好きになってしまった」というケースは少なくありません。
なぜなら書籍はもともと良質なコンテンツという認識が高いためです。
もしかしたら、「PRのための書籍だと思われないか?」と心配になることもあるかもしれません。
しかし実際のところ多くの消費者は、ブランディングやPRだと気づかずに書籍を手に取るものです。
人は、役に立つ情報を与えてくれるものに対し、嫌な気分を抱かない傾向があります。
書籍は情報量が多く感情に訴えかけることができるため、たとえPRのための書籍だとしても結果的にプラスに働くことが多いでしょう。
自社のブランディングに使える
企業出版は、多くの人にわかりやすい言葉で、企業理念や戦略を伝えやすいメリットがあります。
経営者の想いが伝われば、企業に興味をもつ人が増えやすいでしょう。
本を通してその企業を好きになり、採用強化に結びつく可能性もあります。
企業が積極的にアピールしなくても、同じ想いがある人材が自然と集まってくるようになるためです。
また本は、社内のコミュニケーションツールにも役立ちます。
スタッフに経営者の考えが伝われば、企業全体のブランディングになるでしょう。
会社全体で同じ方向に進み、消費者に対し想いをアピールしやすくなるというメリットがあります。
本によるブランディングは、ベンチャー企業や個人経営のお店でも使えます。
コンサルタントが自社のアピールのために活用する方法や、飲食店や専門家のブランディングにもなるでしょう。
本がヒットすれば、「あの書籍を出している人」という権威性を作り出せます。
ニッチなジャンルであっても、ジャンル上位を獲得した書籍なら信頼感が高まります。
販促ツールになる
「集客したい」と思ったら、営業をかけるのが手っ取り早いと考えるかもしれません。
しかし、広告費をいくらかけても、営業マンがいくらアピールしても、自社の魅力が伝わらない場合があります。
なぜなら、訴求範囲が広ければ広いほど、商品が欲しい人に情報を伝えられないからです。
本という形で出せば、特定のユーザーだけに絞って集客が可能です。
新聞・ラジオ・テレビ広告は不特定多数に情報を届けるのに対し、企業出版は範囲を狭めることができるのです。
さらに読者が本を買うということは、その分野の情報を求めていると言えるでしょう。
自ら行動に移す人は、好奇心旺盛です。
行動力の高い人にアピールすることができれば、商品やサービスの利用をしてもらったり、読者自ら情報発信してもらうという形も狙えるかもしれません。
ほかにも、広告と比べて長い間アピールしやすく、費用効果が高い特徴があります。
本の出版は期限が定められておらず、本を手にした人に長い間情報伝達が可能です。
企業出版にかかる費用
「企業出版に挑戦したい」と思っても、出版費用が気になりますよね。
本の出版費用は、大きく分けて「制作費」「印刷代」「出版社費用」があります。
カラーページが多くハードカバーを採用し、ライターやカメラマンの質にもこだわれば費用がかかるのは当然です。
また出版社によって、数百万円の差がつくことも珍しくありません。
企業出版は、広告宣伝の一環として出すもののため費用効果を十分比較しましょう。
お客様1人当たりの費用でシミュレーションするのがおすすめです。
出版費用だけで比較するのではなく、総合的に判断してください。
電子書籍のみなら数十万円から
企業出版の費用をできるだけ抑えたいという場合は、電子書籍のみの出版がおすすめです。
安ければ、数十万円くらいから出版することができます。
電子書籍の出版が安い理由は、印刷代が要らないためです。
大手サイトへの流通費用はかかりますが、書店に本を置く場合と比べて費用は少なくできます。
企業出版費用は100万円でも安い方だと言えます。
シンプルに出版するのを目的とするなら、電子書籍の出版も考慮してみましょう。
書店で販売するなら500万円から
書店で本を売る場合は、企業出版1,000部で500万円からが目安です。
リターンを考えると最低でも2,000部は欲しいため、かかる費用は1,000万円くらいと考えられます。
「値段が高すぎる」と感じるのであれば、費用を削る工夫が必要です。
費用を削る工夫は、ページ数を減らす・安いカバーを選ぶ・デザイン費用を安くするなどの対策があります。
出版社は、知名度の低いところを選ぶと比較的安く仕上がるでしょう。
さらに費用を抑えたいなら、社長自らが執筆することです。
いちからライターに依頼するよりも、校正だけを出版社にお願いすれば費用を抑えることができます。
撮影は、社員の中で探してみるのもおすすめです。
少しでも費用を抑える工夫をしながら、企業出版の準備をしていきましょう。
まとめ
企業出版は、本を読んでくれた人に強い印象を与えることができます。
うまくいけば、企業のファンになってくれます。
ただし、「企業出版さえすれば成功する」という甘いものではありません。
出版社のセールストークに踊らされるのではなく、きちんと提案や企画力がある出版社を選ぶこと大切です。
企業出版に興味がある方は、複数の出版社で見積もりを取りましょう。
納得いく回答が得られて、リターンが見込めると確信できる出版社に依頼するようにしてください。
投稿者プロフィール

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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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