個人で本の出版にチャレンジしたいとき、かかる費用の心配はつきものです。
「書店に並べるにはいくらくらいかかる?」
「できるだけ費用を抑えた本の出版はできる?」
などなど、知りたいことは尽きないはずです。
たとえば書店やコンビニなどで扱われる本は印刷所で印刷し、出版社が流通させて店頭に並んでいます。
一方、「お店にはたくさん並ばなくて良いので、少量だけを本の形にしたい」と希望する人もいます。
ここでは、出版形態の種類やそれぞれにかかる費用について紹介していきます。
本の出版形態で費用に差が出る
本は、出版形態によって費用が変わってきます。
以下に、それぞれの特徴と費用について解説します。
自分ですべて費用負担する「自費出版」
自費出版という言葉から、自分一人で本を出すのかと思ってしまいそうですが、印刷・製本だけで本は売れません。
出版社にもよりますが、編集作業代や表紙デザインにかかる費用なども必要です。
そのため一般的な自費出版は、100万円~1000万円ほどと言われています。
もちろん印刷部数やサポート内容などにより金額の差はありますが、自分が出せる金額の範囲内で出版を検討できるのが自費出版です。
出版社が費用を持つ「商業出版」
出版社が「売れる」と思った作品を出版するのが「商業出版」です。
出版費用を作者自身で負担しない場合が多いものの、出版に至るまでのハードルは比較的高くなっています。
編集者が利益を出せると思わなければ出版されないため、需要が低いとみなされれば出版に漕ぎつけることはできません。
印刷費がかからない「電子書籍で出版」
タブレットやスマートフォンの普及により、電子書籍で手軽に読書をする人も増えています。
紙に印刷して製本し書店などへ流通させる費用を省ける分、Kindleなどの電子書籍リーダーを持たない人は手にできない面もあります。
個人で本を出す自費出版の費用内訳
本のサイズや部数、自費出版を依頼する会社によって詳細な金額はまちまちです。
より詳しい費用を知りたいときは、興味を持った出版社に直接相談し見積りを出してもらいましょう。
ただし出版社によって扱う部数や料金に差があるため、複数の出版社から相見積をとるのがおすすめです。
以下に、自費出版の費用をおおまかな内訳を挙げていきます。
本の内容制作費用
どんな本にしたいか、表紙のデザインはどうするかなど、1冊の本を作るために必要な工程を自分1人でこなすのはとても難しいことです。
自分で執筆するのではなく、プロに頼んで自分のアイデアを文章に書き起こして欲しければライターに、表紙デザインをプロに任せたければでデザイナーに頼むため、その分の費用が発生します。
写真を使いたい場合はカメラマンを、撮影先に許可が必要ならその手続きなども必要です。
内容づくりは本の出版で最も重要な部分であり、時間をかけて自分の考えを編集担当に伝えることが成功への第一歩です。
本そのものの制作費用
書店で本を見るとあらゆる装丁や判型の書籍がありますが、それらは作者のこだわりなどを元に選ばれていることが多いものです。
自費出版の場合は予算との兼ね合いで、出したい部数やページ数、こだわりたい装丁などをどこまで実現できるかが変わってきます。
部数の目安は1000部がオンデマンド印刷(プリントオンデマンド)でとオフセット印刷の分かれ目と言われています。
部数が増えるたび費用も増すオンデマンド印刷(プリントオンデマンド)は少部数に向いており、オフセット印刷はたくさん刷るほど1冊あたりの印刷コストが下がるため、売上が見込める大部数の印刷におすすめです。
流通・販売・宣伝の費用
記念のために1冊出来ればそれで良いなどという場合を除き、一般的にはより多くの人に手に取ってもらうことを目指して本を出版します。
そのため、本の流通や販売、宣伝も行う必要があり、その分の費用もかかります。
出版社によっては、市場調査費や書店への営業活動費、雑誌などへの広告掲載、出版後の売れ行き報告なども料金に含まれていることがあります。
さらに、オプションで新聞への広告掲載が可能な出版社もあり、予算に応じて広く周知する方法を選べるのが特徴です。
本の出版費用例を比較
例えば100ページソフトカバーの本で、500部、流通あり、の自費出版を例に挙げます。
この条件では費用は49万円~95万円で、ハードカバーを選んだ場合は10万円程料金が上がります。
ここで注意する点は、料金だけで判断して、サービス内容のチェックを怠ってしまわないことです。
一見高いと感じる料金であっても、編集担当が最後まで手厚くフォローしてくれる、装丁が想像以上の仕上がり、宣伝効果が高いなどといったメリットを含む可能性があります。
そのため、相見積を取るときは条件を同じにし、サービス内容も合わせたうえで比較をしましょう。
自費出版の立案から書店に並ぶまでの流れ
本を出し、読者の手元に届くまでには数々の工程があります。
自分以外の手が加わるほど費用がかかってくるため、予算を下げたい、もしくは利益を多くしたい時には、各工程が本当に必要かどうかの見極めが大事になってきます。
完全データは費用が安く済む
完全データとは、ほぼ手直しせずそのまま印刷所へ回せる状態のデータのことをいいます。
文章であればWordや一太郎で書き上げて校正まで済んだもの、画像の場合はPhotoshopなどを使って印刷できる状態に編集してあるもののことです。
表紙は内容によって自分で制作するのが難しい場合もあります。
手頃な価格でデザイナーが作成した表紙を利用できるオプション付きのプランを検討してみましょう。
書店展開に合わせた部数を決める
何部印刷するかは、その本をどのくらいのエリアへ流通させるのかで考えます。
依頼する出版社が持つ流通手段の大きさにもよりますが、全国か限定エリアかをはっきりさせておくと部数は決めやすくなります。
当然広く流通させるほど、手数料もかさむことを覚えておきましょう。
刷り上がった本は流通させる分を除き、作者のところへ配送されます。
出版社から取次会社へ送る
出版社が直接書店に本を卸すわけではなく、間に取次会社が入ります。
ここを通すと書店に自費出版した本を並べられ、店頭以外にも、有名なネット書店で取り扱われることもあります。
また、在庫がなくなるまで置いてもらえる点もメリットと言えます。
しかし、本の売場を広く持てる分費用がかかります。
店頭に本が並び販売される
出版社との契約内容にもよりますが、本の売上から手数料を差し引いた額が印税として支払われます。
その費用も視野に入れて本の値段を決めますが、一般的には価格の3割が印刷などの原価と言われています。
言い換えれば、原価の3倍程度の価格をつけるとちょうど良いということです。
なかには売れ行きがあまり伸びず返品され、原価を割るときもあります。
本を出してから1~2年ほどは流通しているため、その間に売り切れる部数を見極めることが大切です。
まとめ
自費出版で本の出版をするには、費用を全額自己負担します。
ですがその分自由度が高く、思い通りの原稿を書き上げて本の形にできる魅力があります。
費用は、ページ数や判型、流通させるかどうか、部数などによって大きく変わってきます。
利用したいサービス内容によっても変化するため、必要なサービスの見極めと予算の擦り合わせも重要なポイントです。
「本の出版はお金がかかりそうでハードルが高い」と思っていても、自分に合うサービスと費用の出版社は見つかるはず。
まずは出したい本の内容を固めて、出版社探しから始めてみましょう。
投稿者プロフィール

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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!