いろいろな出版方法で書籍は出版することができますが、その中で企業出版を選択する会社も多いでしょう。
企業出版は従業員のモチベーションアップや人材確保などの経営課題解決のために出版社と書籍を制作していき、費用は会社側が全額負担します。
そして、会社側は書籍の収益として印税が入ってきます。
ただ、企業出版する際の印税は「どのような形で入ってくるの?」と疑問を感じる人もいるでしょう。
今回は
- そもそも印税とは何か?
- 企業出版の印税の相場やポイント
について内容を紹介します。
結論として、それぞれの出版形態でもらえる印税は以下のようになります。
- 自費出版…売り上げの5~10%ほど
- 商業出版…売り上げの数%~20%以上も。相場は10%程度
- 企業出版…売り上げの5~10%
- kindleでの電子書籍の出版…売り上げの35% or 70%
具体的な金額の例を挙げると、1,000円の本を3,000冊、印税率10%として売り上げた場合に著者がもらえる印税は
1,000円 × 3,000冊 × 10% = 30万円
となります。
※この記事では企業出版の印税についてを中心に解説します。
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「印税」とは?
そもそも出版する際の「印税とは何か?」と疑問を感じる人もいるでしょう。
印税とは著作物を発行する立場の者が著作者または著作権所有者に対して、出版契約に基づいた一定の比率で支払う経済的報酬のことを指します。
使用者側からすれば著作権使用量に当たり、印税率と発行部数などによっては算出されます。
印税はどんな出版方法でも、出版社を通しているなら契約事項に含まれるものです。
企業出版の場合は会社が出版費用を全額負担する形になりますが、同時に出版社と契約を行うため印税が入ってきます。
企業出版以外に商業出版や協同出版、企画出版なども印税は契約に含まれているでしょう。
印税の金額は出版社との交渉によって決まることが多いですが、そこまで高いものではありません。
そのため、印税収入を当てにして収益を得るのは少数の方のみです。
ただ、著名作家の場合は何百万、何千万も書籍が売れて多くの印税収入が入っている方もいます。
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本の印税は条件によって異なる
書籍を出版する場合、印税によって収入が得られます。
ただ、本の印税は一定ではなくて、条件によって大きく異なることもあります。
そのため、出版する際は印税に関してしっかり条件を確認しておくことが大事です。
本の印税の条件は主に
- 本体価格による違い
- 発行部数による違い
によって決まります。
この部分をしっかり確認しておかないと印税の部分で損をすることもあるでしょう。
本体価格と発行部数について詳しく内容を紹介しましょう。
本体価格による違い
印税は本体価格によって条件が変わってきます。
まず、本の種類によって本体価格はそれぞれ違います。
一般的な書籍の場合は1,500〜2,000円くらいであり、新書だと1,500円前後、文庫だと800~1,000円ほどが相場です。
ハードカバーが付いている書籍だと、2,000円前後の本体価格で販売されていることが多いでしょう。
本体価格は書籍の内容や種類によって異なりますが、基本的に本体価格が高いほど印税も高く設定されている傾向となっています。
そのため、書籍を出版する際は印税収入を得るために本体価格を高く設定する著者もいますが、価格が高いほど読者は購入にすることに対して慎重になります。
もし「クオリティが低い」と判断されたなら、本体価格を高くするほど売上が伸びずに印税が入ってこないこともあります。
また、新書などの場合は読者層も限られてくるため、本体価格を高くし過ぎると売上が伸びないこともあるでしょう。
本体価格と印税はバランスを取ることが重要になってくるでしょう。
発行部数による違い
印税は発行部数によって変化します。
発行部数が多いほど印税額も増えるようになっていますが、これは出版する際の契約で決まります。
発行部数は出版社が「売れる」と判断した場合は発行部数を多く設定してくれますが、著者側の知名度や実績などによって変化します。
もし、著名な方であれば多くの発行部数を期待できます。
初めて出版する方など、まだ実績がない人の場合は発行部数が抑えられることが多いです。
そのため、最初は印税を期待することができないかもしれません。
しかし、発行部数は増刷することが可能です。
増刷は書籍の売上が伸びた際に発行するため、書籍が多くの読者に認められたなら印税もたくさん入ってきます。
つまり発行部数に関しては実力によって増やすことができるので、スキルがある方は印税収入がたくさん入ってくる可能性があります。
また、自費出版の場合は費用負担を全額負担するため、自分で発行部数を決定することが可能です。
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企業出版は印税が入るの?
書籍を出版するなら印税を得ることができますが、「企業出版の印税はどうなのか?」と疑問を感じる人もいるでしょう。
企業出版を考えている方は、印税による収入というよりも経営課題解決のために出版するため、他の出版のように印税目的ではないことが多いです。
しかし、印税を得られる権利があるならしっかり確保しておきたいでしょう。
企業出版の印税について内容を紹介します。
企業出版でも印税は入る
結論から言うと企業出版でも印税は入ってきます。
上記でも紹介しましたが、印税は書籍の出版で出版社を通しているなら得ることができます。
企業出版も他の出版方法と同じで売上や発行部数によって印税率は変わってくるため、しっかり確認しておくことは重要です。
企業出版の場合は印税目的ではないにしても、経営課題を考えて本体価格や発行部数は変わってくるでしょう。
例えば、知名度アップによる企業出版なら発行部数は多く設定する必要があります。
発行部数が多くなるなら、その分印税率も上げることができるので、出版社と交渉する必要があるでしょう。
また、社史などで出版するなら本体価格も上がるため印税とも関係します。
企業出版は目的を達成するための方法を考えること大事ですが、印税も入ってくるので出版社との交渉ポイントを押さえておくのが大事です。
企業出版の印税の相場は5~10%
企業出版でも印税は入ってきますが、どのくらいの印税率が相場なのか確認しておくことが大事です。
通常出版する際の印税相場は3〜10%ほどになります。
印税率は著者のブランディングや発行部数や本体価格によって出版社側が提示します。
もし、著名な方で実績を持っている人なら印税率は10%ほどと、相場の中でも高い設定を提示してくれることがあります。
ただ、知名度も実績もない方なら印税率も低く3%という最少設定から出版することが多いです。
増刷などになれば印税率が変わることもあるため、発行部数を増やせるかがポイントになるでしょう。
そして、企業出版の場合は相場が5〜10%ほどです。
通常の出版方法の印税率とあまり変わりませんが、企業出版は会社なので、この印税率では収入源とはならないでしょう。
例えば、1,000円の書籍を10%として設定しても100円ほどの収入であり、100冊売れても1万円程度です。
企業出版の場合は、何万部も売れなければ収入源とはならないので覚えておきましょう。
実売印税の方が印税は高い
印税には実売印税という方法を取ることもできます。
実売印税は刷り部数に応じて印税の支払いをすることであり、書籍が売れた部数に応じて金額が支払われます。
発行部数に関係なく売れた数のみになるので、もし販売数が0なら印税収入はありません。
しかし、実売印税は印税率が高く設定されており、交渉次第ではより相場を超えた印税率とすることが可能です。
また、実売印税は販売数が増えるほど収入も増やすことができ、大ヒットになれば印税収入のみで生活することも可能です。
もし、印税率の低さがネックになるなら、実売印税を出版社と交渉することも考えることができます。
実売印税にもデメリットはありますが、企業出版なら発行部数などを考えた際に実売印税の方が良いこともあるでしょう。
企業出版における印税の計算の仕方
企業出版で書籍の作成を考えているなら、経営改善の目的達成の内容を考えることも大事ですが、印税も入ってくるため計算の仕方を知っておくことも大事です。
企業出版の印税の計算は主に一般的な計算方法と同じであり、
本体価格×部数×印税率×消費税
となっています。
例えば、本体価格が1,000円で部数が100ほどで印税率は10%、消費税も10%とします。
すると1,000×100×0.1×1.1となるので、11,000円が印税となります。
部数に関しては発行部数と実売部数の2つのパターンがあるので、どちらを選択するかによって条件は変わってきます。
もし、実売印税であれば印税率も変わってくるため、同じ部数でも印税収入は変わってくるでしょう。
仮に実売部数で印税率を12%として、同じ条件で計算すれば印税収入は13,200円となります。
企業出版の場合は読者層が限られており、経営課題によっては発行部数が少なくなることも考えられるでしょう。
そのため、2つの部数における印税率の計算をして、どちらが良いのか確認するのがおすすめです。
企業出版の場合は通常の出版とは違うので、印税率においても出版社との交渉によって変化する可能性が高いと言えます。
出版する前の印税の計算と、出版社との交渉も重視するようにしましょう。
企業出版は印税目的で出版すると失敗する?
企業出版で書籍作成をするときは、印税収入をあまり重視し過ぎないようにすべきです。
企業出版は他の出版方法と違って収入目的が第一ではないからです。
もし、企業出版で印税目的となってしまうと本来の目的が疎かになってしまい、失敗してしまう可能性があります。
企業出版するときは以下の3つのポイントを押さえて印税に関して計画する必要があります。
内容を確認しておきましょう。
企業出版の目的はブランディング
企業出版は他の出版方法と違って企業のブランディングを行うことが目的です。
つまり、書籍を出版して、今会社が抱えている経営課題を解決することが第一の目的です。
会社は企業出版することで優秀な人材確保や知名度アップ、サービスや商品に関しての詳しい紹介など、いろいろな経営課題を解決できることを期待できます。
しかし、企業出版する際は印税も入ってくるため、収益の方に過度に気を取られてしまうと、本来の経営課題を解決できずに企業出版の成果が現れないことも考えられます。
そのため、企業出版する際は印税が入ってくることは認識程度にしておき、ブランディングに関する提案に時間と労力をかけるようにしましょう。
企業出版なら印税の件は後回しでも問題ないでしょう。
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出版する目的や目標の設定が重要
企業出版の場合は経営課題の解決が目標なので、どんな目的で出版するのか、またどのような目標設定が行えるのかを考えることが大事です。
企業出版する目的は会社の状況や成績によって違ってきます。
例えば、社員のモチベーションを上げることが目標なら、必要スキルの取得方法やビジネス用語に関する知識などが企業出版の目的となります。
また、会社の実績や経験を収めておきたいなら社史という形で出版することも可能です。
ただ、会社の社員向けに企業出版する場合は部数も少なくなるため、印税はほとんど入ってこないでしょう。
つまり、出版する目的や目標によっては印税を考える時間は不必要になります。
企業出版の場合はいろいろな媒体で出版できることも特徴なので、その点をふまえて目的と目標設定を先に考えましょう。
目的や目標に沿った企画を行う
企業出版は目的や目標に沿った企画を行うことも大事です。
企画出版は小説や漫画などのように読者向けに魅力ある書籍を出版するのではありません。
そのため、企業出版では商業出版や協同出版と違って企画内容も違ってきます。
企画出版はブランディングや経営課題の解決のために企画するので、話し合われることは企業の問題となっている点や課題、また企業出版することで会社が得られる成果などです。
収入目的と言うよりは会社の発展を考えた企画をすることが大事なため、印税に関して時間を割くなら、本来の目的から外れてしまうことになるでしょう。
目的や目標は会社のデータを活用して論理的に分析した方が、企業出版の成果を出しやすくなります。
企業出版は費用負担も大きいので、企画内容に力を入れるようにしましょう。
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企業出版は出版社選びが大切
企業出版は出版社選びも大切です。
企業出版は出版社と契約して書籍に関して内容をすり合わせていき、最終的に印刷します。
ただ、出版社によって特徴や強みなどなどは違いがあるため、自社の目的に合ったところを選択すべきです。
例えば、知名度アップを目的とするなら発行部数が重要です。
発行部数は出版社によって価格も違えば、提携先の書店の数も違います。
一方、もし全国に流通することを目標とするなら、知名度の高い有名な出版社で契約するのが重要です。
また、出版社によっては書店に書籍を置く際に、プロモーションが充実しているところもあるため、その点を重視して選択することも可能です。
このように企業出版する際は企業の目的に沿った出版社を選択するようにしましょう。
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【まとめ】企業出版でも印税は入るがブランディングを重視しよう
- 企業出版は他の出版方法と同じで印税を得ることが可能
- 印税は出版社との交渉にもよるが、大体5〜10%ほどであり、発行部数や本体価格などによって変化する
- 印税が入るなら収入源ともできるため、出版する際に計算することもある
企業出版の目的は、「経営課題解決のためのブランディング」です。
印税による収入を目的としているわけではないので、印税に関して時間や労力をとり過ぎるなら本来のブランディング達成ができないことも考えられます。
企業出版する際は会社のブランディング方法を企画して目的を定め、その後は目的達成できる特徴を持つ出版社を選ぶことが大事です。
企業出版の目的を見失わないようにして、余裕があるなら印税について考える程度でいいでしょう。
企業出版は他の出版方法と目的が違うため、注意点を考慮して計画していきましょう。
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投稿者プロフィール
-
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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