商品やサービスの開発に力を入れるも、なかなか売り上げにつながらず悩んでいる企業は少なくないでしょう。
そして、こういった企業の多くは商品の質以前に、会社自体の認知度を十分に向上させられていません。
なぜなら、今やどの業界も新たな情報であふれかえっており、もはや広告程度のプロモーションではすぐに埋もれてしまうからです。
そこで、おすすめしたいのが、商業本を通じて自社のブランディングを図る「企業出版」です。
本記事では企業出版のメリットや大まかな費用、および具体的なプロモーションの流れを解説していくので、会社経営に関わっている方はぜひ参考にしてみてください。
企業出版におけるプロモーション施策
本自体の売り上げを追求する一般的な商業出版と異なり、企業出版は対象企業のシェアを拡大させることが主なミッションです。
そのため、どのような情報媒体を活用するにしても、「本を読むことで読者が得るもの」を明確に提示することが求められます。
また、本を通じて自社の顧客を増やすには、ターゲット層をある程度絞ったうえで、情報を狭く深く発信していくのが効果的です。
それでは、より詳細なプロモーションの流れを、情報媒体別に見ていきましょう。
書店へのアピール
多種多様な情報媒体が存在する今なお、本がもっとも注目されやすい場所は書店に他なりません。
しかし、実際本を手に取ってもらうためには、平積みや面陳列といった形で店内の目立つ場所に並べてもらうことが大切です。
そして、理想の売り方を実現するには、まずその書店の関係者に対して本の価値をアピールする必要があります。
ここで注意するべきが、書店にとっての「本を売る理由」はあくまでも店の利益のためという点です。
根強い交渉によって何とか配本を実現しても、「売れる見込みが薄い」と書店が判断すればすぐに返品されてしまいます。
本の売り上げがさほど重要でない企業出版においても、書店に向けた「売り文句」は十二分に検討しておくよう心がけてください。
Amazon広告
Amazonの広告掲載サービス「Amazon Advertising」を利用すると、自社商品のページが「スポンサープロダクト」等の形式で検索結果の上位に表示されるようになります。
またユーザーの購買・閲覧履歴に基づき、そのユーザーへのおすすめとして自社商品を自動で掲載してくれる点も魅力です。
そもそも、Amazonを訪れる時点で、そのユーザーには一定の購買意欲があるため、不特定多数に向けた広告媒体よりもはるかにターゲット層へのリーチがしやすくなっています。
ただし、ユーザーレビューに関しては「購入しなくても書き込める」「理由なしの星1評価が可能」などの理由からあまり参考にならないため、不当な評価には十分注意してください。
電子書籍での出版
電子書籍はあらゆる形式の出版に活用できるメディアであり、企業出版の場合はKindle Unlimitedをはじめとした定額読み放題サービスありの媒体がおすすめです。
本自体の生み出す利益は単品購入に及ばないものの、企業出版の目的はあくまでも本を通じた顧客増加であるため、閲覧数を稼ぎやすい読み放題サービスはまさに相性抜群といえるでしょう。
ただし、電子書籍は文字通りの電子媒体であるため、生命保険をはじめとした高齢層向けの商品・サービスではそれほど効果を実感できないおそれもあります。
もちろん、ネットと親和性の高い若者世代に対しては、高い宣伝効果を発揮するので、電子書籍の活用は自社がターゲットとする年齢層を十分考慮しながら検討してください。
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メディアの活用
書籍単体の存在を周知する分には、新聞広告や交通広告といったアナログメディアも十分効果的です。
なお、大手の新聞や首都圏の鉄道に直接依頼すると広告だけで100万円を超えてしまうため、他のメディア展開と併せて出版事業者に一括で依頼したほうがはるかに高い費用対効果を見込めます。
また、デジタルメディアを活用する場合は広告のみならず、ネット記事によって特定カテゴリー内の潜在顧客にアプローチするのもおすすめです。
まずは、アナログ側で本の存在を広く周知し、そこから自社に関心を持った層をデジタル側でうまくキャッチできれば、着実に顧客を増やしていけることでしょう。
読者特典
近年は読者特典として、巻末にダウンロードコンテンツを用意するのが流行ってきています。
ダウンロードを通じて読者のメールアドレスを獲得したのち、それを通じたメルマガ等の情報発信を行うことにより、読者を長期的に繋ぎとめるためのアプローチが可能です。
企業の顧客増加を実現するうえで、これ以上の直接的手段はそう多くないでしょう。
ただし、情報発信にあまり宣伝色を込めすぎると、逆にブランドイメージが下がってしまうことも少なくありません。
また、電子書籍と同じくデジタルコンテンツであるため、読者特典にどこまで重きを置くかは、自社がターゲットとする年齢層を十分考慮しながら検討する必要があります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは商品・サービスの情報に加え、それらを通じた課題解決の提案などを簡潔に記載した資料を指します。
ホワイトペーパーは自社サイト内のリンクなどから無料ダウンロードしてもらうのが一般的であり、読者特典よりも早い段階でメールアドレスを入手できる点が魅力です。
企業出版の場合は本の中身を一部公開するなどしておけば、書籍自体の売り上げにも一定の貢献をしてくれることでしょう。
ただし、自社サイトまで来る人は該当カテゴリーに関して比較的深い情報を求めている場合が多く、本の宣伝に終始する内容ではかえって潜在顧客の離脱を招きかねない、という点には注意してください。
GAFAを通じたSEOマーケティング
GAFAとはGoogle・Amazon・Facebook・Appleの4社を表した、大手プラットフォームの総称です。
書籍は検索エンジンからの評価が非常に高いため、本のタイトル等に含まれるキーワードが検索された際、高い確率で検索結果の上位に表示してもらえます。
また、能動的な検索を行わないユーザーに対しても、ネット上での行動履歴を参照して適宜ウェブ広告を見せることが可能です。
さらに、本が評判を呼べば「著者名」での検索も増えてくるため、必然的にその後の企業出版本も購入されやすくなります。
GAFAによるマーケティング効果は、本を世に出せば必然的に得られるので、ブランディング手法を検討している段階の方は、ぜひ企業出版を優先的に検討してみてください。
SNSの活用
若者世代をターゲットにした商品・サービスの場合は、ぜひTwitterやFacebookといったSNSを活用してみましょう。
書き込みが注目されれば閲覧者が各自で拡散してくれるため、潜在顧客を増やすうえでは非常に効果的です。
また、自社アカウントのフォロワーが増えていけば、新たな情報を発信した際にも注目や反応を得やすくなります。
さらに、SNSの活用は他のメディア展開に比べて圧倒的にコストや労力が省けるので、企業出版に十分な予算・時間を割けない場合でも手軽に実行に移せることでしょう。
ただし、拡散力の高さはときに悪い方向にも働くため、ターゲット外の人をなるべく寄せつけないよう専門性高めのプロモーションを心がけてください。
企業出版のメリットは?
企業出版のメリットは、今ある商品・サービスの売り上げ向上にとどまりません。
企業そのものの価値を社内外に発信し、顧客増加と人材育成の両面から経営規模拡大を目指せるのが、本によるブランディングの最たる強みといえるでしょう。
ブランディングの実現
単に商品やサービスをPRするだけの「マーケティング」と異なり、「ブランディング」は企業自体の存在価値を市場に周知するための活動です。
ブランドイメージの向上は新規顧客の増加や既存客の離脱防止に大きく貢献するため、企業を長期的に成長させるためにはブランディング事業が欠かせません。
その点、企業出版では経営者理念や開発秘話といった読者の感情に訴えかける要素を豊富に発信可能なため、本の販売・頒布を通じて効率的に自社のファンを増やしていくことができます。
そのファンのうち1割でも固定客として定着してもらえれば、今後新商品を展開していくうえでこの上なくスタートダッシュを切りやすくなることでしょう。
企業のブランドイメージの確立というと、多くの場合「競合他社との差別化をして、自社のサービス、商品をより多く売るための手法」と考えられていますが、 実は採用や社内教育にも効果が高いんです! […]
採用・育成への効果
企業出版によるブランディングは、顧客のみならず求職者に対しても効果があります。
本であれば経営理念や仕事内容について、一般的な求人とは比較にならないほど詳細にまとめられるため、会社説明会などで活用すれば熱心な人材を容易につなぎとめることが可能です。
また、企業出版は社内ブランディングにも活用できます。本を通じて経営者の思考を分かりやすく発信できれば、社内の雰囲気や風通しが良くなるほか、スタッフの勤労意欲も着実に向上していくことでしょう。
採用活動や社内育成による人的資源の増強は間違いなく業績アップにつながるので、経営課題を社内に抱えている場合もぜひ企業出版を活用してみてください。
人を補充したいと考えていても、なかなか理想の人材と巡り合うことができずに四苦八苦することも多いと思います。 特に中小企業にとって、良い人材を自社に呼び込むことは会社の将来を左右するとても重要なものです。 […]
見込み顧客の獲得
見込み顧客とは文字通り将来的に自社の顧客となる見込みの人を指し、主にメルマガ登録者や資料請求ユーザーなどがこれに該当します。
この層を増やすには前述のホワイトペーパー配布が効果的であるほか、SNSやブログなどを通じ積極的に情報を発信していくのもおすすめです。
また、出版した本を営業やセミナーに活用すれば、取引したい個人や業者にピンポイントでアプローチすることもできます。
ただちに商品購入やサービス契約につながらなくとも、自社情報に興味を持ってくれる見込み顧客が増えることは、間違いなく数年先の利益につながることでしょう。
いろいろな出版方法で書籍は出版することができますが、その中で企業出版を選択する会社も多いでしょう。 企業出版は従業員のモチベーションアップや人材確保などの経営課題解決のために出版社と書籍を制作していき、費用は会社側が全額負担します。 […]
企業出版の費用について
企業出版を業者に依頼する際の費用は、その業者のサポート内容や出版実績によって大きく変わります。
どこへ依頼するにしても決して安い買い物にはならないので、自社が求めるサポートを明確にしたうえで慎重に依頼先を検討するよう心がけてください。
費用相場
企業出版における依頼費用の相場は、おおむね100万円~1,000万円ほどです。
不動産をはじめとした客単価の高い商売であれば、顧客が数人増えるだけで容易に元を取れることでしょう。
逆に大衆向け商品を取り扱うような薄利多売のビジネスにおいては、企業出版の費用を回収するまでにそれなりの時間がかかってしまいます。
なお、出版事業者を大手と中小で比較したとき、同程度のサポート内容であればほぼ確実に大手の方が高額です。
ゆえに「依頼費用が高い=サポートが充実している」という図式は必ずしも成り立たず、その業者が自社に合うか否かは、見積もり請求などを通じて個別に判断するほかありません。
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費用内訳
企業出版の費用は業者によってピンキリですが、その内訳自体はおおむね共通しています。
具体的には以下の通りです。
- 本の企画作成
- 取材を含めた情報収集
- 原稿執筆のサポート
- 執筆後の校正・編集
- 表紙や図版などのデザイン
- 製本・印刷
- 書店への流通や各種プロモーション
このうち本の企画作成、および完成稿を製本・出版するまでは、大抵どの業者も同じようにサポートしてくれます。
ゆえに、原稿執筆のサポートや出版後のプロモーションにどこまで力を入れているかが、依頼費用の最たる分かれ目といえるでしょう。
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費用を安く済ませるための方法
原則として、企業出版の依頼先を費用の安さありきで選ぶのはおすすめしません。
本のクオリティやプロモーション施策が不十分では、企業出版の本分である「顧客の増加」につながらないからです。
よって、少しでも企業出版の予算を抑えたい場合は、主に以下の取り組みによってコスト削減を目指していくことになります。
- 企画書や各種情報資料をあらかじめ作っておく
- 原稿を経営者自身で執筆する
- 本の販売先を電子書籍に限定し、印刷代や輸送費を抑える
ただし、これらが上手くいくのは、本作りに関して十分な知識や執筆時間があり、なおかつ流通先を限定しても出版目的を達成できるケースに限られます。
企業出版という貴重な挑戦の成功率を高めるためにも、依頼先選びはあくまでもサポートの充実度を最優先基準とするよう心がけてください。
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まとめ
今回は、企業出版のプロモーションについてメリットや費用相場を解説しました。
企業出版では多種多様なメディアによるプロモーションが行われ、企業の認知度向上や顧客の増加を着実に実現していけることがお分かりいただけたと思います。
本記事を通じて企業出版に興味を持たれた方は、まず自社に合った出版事業者を探すところから始めてみてください。
投稿者プロフィール
- 学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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