ビジネス書の書き方|現役出版アドバイザーが流れやコツ、よくある悩みまで徹底解説

 

 

私は普段、企業出版のアドバイザーとして著者様の発掘~出版、販促活動まで一気通貫で支援していますが、著者様の中にはご自身で書かれる方、ライターさんに執筆を依頼される方がいらっしゃいます。

 

今回は、ご自身で1冊の本を書かれる方の執筆支援の経験や、プロのブックライターさんとお仕事をする中で学んだこと、そしてビジネス書の編集の立場から、ビジネス書の書き方をお伝えしていきます

 

【この記事でわかること】

  • ビジネス書を書くうえで知っておくべき出版の基礎知識
  • ビジネス書が完成するまでの流れ
  • ビジネス書を書く際のポイント
  • ビジネス書を書く際によくある悩みとその対策方法

 

かなり網羅的に解説した長い記事になりましたので、目次から気になる見出しに飛んで読んでいただくのもおすすめです!

 

「まずはビジネス書をつくる流れを知りたい!」という方は、こちらをクリックで見出しに飛べます

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

目次

 

 

ビジネス書とは何か

ビジネス書とは、名前の通り「ビジネスパーソンへ向けた、仕事に関することが書かれた書籍」のことを指します。

 

業界や職種での縛りはなく、仕事に関する本はおおむねビジネス書となります。

 

【よくあるビジネス書の内容】

  • 経営者の自叙伝や企業の仕組み
  • 仕事術
  • 起業関連

 

【ビジネス書のおもな読者ターゲット】

  • 経営者向け
  • 社員向け
  • これから仕事をし始める新社会人向け など

出版方法の種類

ビジネス書に限らず、出版方法は大きくわけて下記の2種類があります。

 

  • 商業出版
  • 自費出版

 

商業出版とは

商業出版とは、出版社側が費用を負担して本を作る方法です。

中には一部著者負担というケースもありますが、出版社側も本を作り流通する工程にかかる費用を負担している場合、商業出版となります。

 

商業出版のメリットとして、費用負担がない、もしくは少ないことが挙げられますが、それは売れる本を作るからです。

そのため、自分が書きたいテーマではなく、売れる内容で書く必要があります

自分が本の中で発信したい内容があったとしても、出版社側の意向が強い場合は断念せざるをおえません。

 

「本を出している人というブランディングがしたい!」

「自分の発信したい内容よりも、売れる本を作りたい!」

という方には、商業出版はおすすめの方法です。

 

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自費出版とは

一方、自費出版は著者が出版費用を負担して出版をする方法です。

 

出版社側も著者の意向を最重要視しますので、

「このテーマで書きたい!」

「このことを伝えたい!」

という想いが強い人にはおすすめの出版方法です。

 

自費出版の費用として、

  • 人件費(出版までのサポート費用や書店への営業費用など)
  • 本の印刷費
  • 本の管理代

がかかってきます。

 

費用やサービス内容は出版社によって違いますので、ぜひ色々と比較して相性のいい出版社を見つけてください!

 

商業出版、自費出版のメリット、デメリットにつきましてはこちら↓

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自費出版社の選び方はこちら↓

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本を流通させる方法

 

 

通常本は出版後本屋さんに並ぶイメージがあるかと思いますが、実はそれ以外にも様々な本を売る方法があります。

ここでは3例ご紹介します!

  • プリントオンデマンド出版
  • 製本し、自社ECサイトで販売
  • セミナー開場や既存顧客にのみ配布

 

プリントオンデマンド出版

プリントオンデマンド出版とは、Amazonのサービスの1つで、データ入稿を行えばお客様の注文が入ってから1冊ずつ印刷・製本されて出版されるものです。

在庫を持つ必要がなく、印刷費や倉庫代などを抑えることができます。また、データ入稿のため、絶版がないのも特徴です。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください↓

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製本し、自社ECサイトで販売

本を一般には流通させず、自社のECサイトのみで販売する方法もあります。

作成した原稿と表紙のデータを印刷会社に渡し、印刷、製本を依頼し、その後自社に出来がった本が届くので、自社ECサイトで販売をします。

こちらはすでに自社でECサイトを持って、流通のノウハウやインフラが整っている場合のみ可能です。

 

セミナー開場や顧客にのみ配布

流通には一切乗せず、自社管理のみで本を配る方法です。

主にオフラインの開場や商談の場で配ったり、DMとして本を送るなどの手段で、失注客や見込み客、顧客に本を届ける方法です。

 

よく聞くISBNとは?

出版について調べる際、必ずと言っていいほど、ISBNについて見聞きすると思います。

ここでは簡単にISBNについてご紹介します。

 

 

ISBNとは「International Standard Book Number(国際標準図書番号)」の頭文字をとったものです。

本のマイナンバーのようなもので、本にISBNが振り分けられていることで、誰が書いたどのような本なのかを特定することができます。

ISBNは世界中(約200カ国ほど)の出版社が共有する番号で、このISBNがあることで世界中に本の情報が共有されます。

 

自費出版で個人的に配るだけの場合はISBNの取得はしない場合が多いですが、本を流通させる場合はISBNの取得が望ましいです。

基本的に出版社から出版する本につけられるものでしたが、最近では個人でも取得可能な場合があります。

 

ISBNコードについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓

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ビジネス書の出版と企業出版の違い

最近はビジネス書の出版の中には、企業出版というものもあります。

ビジネス書と企業出版の違いをご存じでしょうか?

 

通常のビジネス書の出版は、ビジネスに活用できるノウハウ・経営・経済・企業についてなどビジネスに関することをテーマにした書籍のことを指します。

そのビジネス書ジャンルの中に、企業出版というものがあります

 

通常のビジネス書であれば、現在のビジネスマンたちに必要とされている情報や伝えたい、広めたい考え、ノウハウを発信しますが、企業出版は、企業が自社の利益(サービスの売り上げや人材の確保、定着、ブランディングなど)といった明確な目的のために書籍を作っていきます。

 

書籍の内容のとしてはビジネス書ですが、企業出版の場合は特定の読者に刺さる内容で作られ、利用されます

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ビジネス書が完成するまでの流れ

それでは、ここからは1冊のビジネス書が完成するまでの流れをご紹介します!

大きく3工程にわけることができます。

  1. 本の企画を考える
  2. 原稿を書く
  3. 本の形にしていく

 

 

1つずつ解説していきます。

 

① 本の企画を考える

一番大事なのが、この「①本の企画を考える」です

ここが中途半端だと、良い本にはなりません。

「本の企画を考える」の中には、さらに細分化されて6つの工程があります。

 

  1. 本を出す目的、理由をはっきりさせる
  2. 読者層はどこか
  3. 読者に何を伝えたいのか
  4. いつ出すのか
  5. 出版で目指すゴールはどこか
  6. タイトルやキャッチコピー、内容紹介をつくる

 

1つずつ解説していきます。

 

1. 本を出す目的、理由をはっきりさせる

弊社では、企画を考える際、まず何のために本を出すかを徹底的に突き詰めていきます。

自分の考えをひろめたいなら、

  • なぜ広めたいのか
  • 広めたいと思ったきっかけはなにか
  • なぜ広めるために書籍がいいのか
  • 書籍でなければ広められない考えとはどのようなことか ・・・etc

という形で何度も「なぜ」を繰り返していきます。

 

本を作る目的、理由をはっきりさせることが、この後の原稿づくりにも大事になってきます。

 

2. 読者層はどこか

本を出す理由が明確になったら、次は読者層について考えます。

主にメインターゲット、サブターゲットの2つを設定していきます。

 

本を作ったとしても、読者がいなければ読んでもらえません。

もちろん、家族や友人に、お世話になった人にという場合もあります。

しかしながら、広く流通させた本を書きたい場合は、読者がいるのかをリサーチする必要があるのです。

 

ビジネス書であれば、働いている人がターゲットになるかと思います。

その中で、業種や業態、立場、年齢、経歴などさまざまな条件をつけることができます。

本を出す目的を明確にするときに自ずと読者層は見えているかと思いますので、SNSやアンケートなど多様な手段を使って、どの程度の読者がいるのか見込みをたてます。

 

また、類書を探してベンチマークを設定したり、レビューを分析して読者の傾向を把握し、自著で反映させるといった工夫もできます。

 

3. 読者に何を伝えたいのか

本を出す目的と読者を洗い出したら、ここで再度読者に何を伝えたいのかをはっきりさせます

本を出すということは、大量に発信したい情報を持っているかと思いますが、ここではそれをふるいにかけていきます。

まずは箇条書きでもなんでもいいので、自分が本の中で伝えたい事をすべて書き出していきます。

そして、1つずつ目的にあっているか、読者が求めている情報なのかを精査していきます。

 

この工程の中で取捨選択をし、そしてあらためて本全体のイメージを作り上げていくのです。

なにもここで目次を作る必要はありません。

おおまかに5~10程度のテーマをあげて、流れが綺麗になるように並べてみてください。

本の構成は5章構成の場合、1章→導入 2章→説明 3章→本題 4章→事例 5章まとめ

という流れになります。

 

「この章ではこれを!」と決めなくても、話の流れを作って、完成イメージがわく状態になるのが望ましいです。

 

4. いつ出すのか考える

ある程度本のイメージができたら、次は出版日を決めていきましょう

通常、企画ができあがった状態から出版までは半年~1年ほどかかります。

書店に並べたいのか、個人的に配るのかといった差はありますが、まずは仮でもいいのでゴール地点を決めておきましょう!

そして、それを元に執筆スケジュールを組んでいくことをおすすめします。

 

ちなみに、弊社ではガントチャートを活用しています。

 

(執筆者は個人的に「Notion」というタスク管理ツールで、著者様ごとに専用ページを用意して管理をしています)

作業を見える化して効率よく、着実に進めるのが、納期に間に合わせるコツです!

 

5. 出版で目指すゴールはどこか

ここまで固まってきたら、出版をすることで何を得たいのかをはっきりとさせることをおすすめします。

 

「本を出してみたい!」という想いはとても素敵です。

でもせっかくならば、プラスαで達成してみませんか?

 

例えば、ブランディングを成功させたい、営業に使いたい、セミナーで教科書として使いたい、とさまざまな本によって様々なゴールがあります。

本を出したその先に得られる効果をイメージすることで、長い期間作業をし続けるモチベーションの維持にも効果があります。

 

6. タイトルやキャッチコピー、内容紹介をつくる

皆さん驚いたかもしれませんが、実はタイトルやキャッチコピーは最後に考えます

もちろん、この時点では仮ですが、内容や読者にとって興味の湧くタイトルを考えていきいきます。

そして、キャッチコピー(サブタイトルや帯に入れたい文章など)や内容紹介(本の内容を150~300字程度にまとめた文章)を作っていきます。

 

意外とタイトルを考えるのは大変ですが、おおまかな内容や読者が設定されていれば、アイデアが出やすい状況になっているはずです!

もし浮かび上がらなかったら、書店の棚やAmazonnで様々な本のタイトルを見てみてください!

 

② 原稿を書く

 

企画が決まったら原稿を書いていきます。

 

「① 本の企画を考える」で作成した、大まかな流れにそって執筆をしていきます。

詳しい書き方はこのあとまとめていきますが、ここでは書く前の骨子についてお伝えさせてください。

 

本を書く前に骨子をつくることが何よりも重要です。

ちなみに、企画書と骨子は似ていますが別物です。

 

骨子にはもちろん目的や読者層等の企画書で作った内容を盛り込みますが、骨子の場合は第一章の仮タイトル、おおまかな見出し、小見出しに、その部分で「何を伝えるか」「どんなことを読者に意識させたいか」「1見出しあたりの想定文字数」を書いていきます。

 

そして、この骨子の作成時に本質とずれている場合は、内容を見直す必要があります。

また、はじめに~おわりにまでの流れを作ることで、執筆時にズレが生じないようにする効果もあります。

構成を見える化することで、本全体の統一感を作り出すことが可能です。

 

骨子ができあがったら、書きやすいところからでもいいですし、最初から順に書いていっても大丈夫です。

書いているうちに色々とアイデアが出てくるかと思いますが、それはメモに残しておいて、まずは骨子にある項目全てを書ききってしまいましょう。

そして、書いているうちに出たアイデアを盛り込んでいって1冊分の原稿を作っていきます。

 

③ 本の形にしていく

原稿ができあがったら、後は本の形にしてきます。

本を作るときに必要なのはこの3つです。

  • 奥付(前付)の情報
  • レイアウトが整っている入稿仕様の原稿データ
  • 表紙の入稿データ

奥付(前付)の情報

奥付(前付)とは、タイトル、著者名、発行日、出版社、ISBNなどの情報が載っている部分です。

参考:BtoB企業、高額商材販売のためのマーケティング出版ガイド

 

ちなみに、日本語の書籍の多くは本の最後にこの情報が載るので「奥付」外国語の本では、本の最初にこれらの情報が載るので「前付」といいます。

出版形態、出版者、印刷所の指定等があるので、確認されることをおすすめします。

 

レイアウトが整っている入稿仕様の原稿データ

原稿は、ただ書いたものでは本として出すことはできません。

校正がされ、改行や段落などが作られ、目次や見出し、章扉が設置されて、余白やヘッダー、フッターなどを入れる必要があります。

本のサイズにあったデータで作ることも忘れないよう注意してください!

 

入稿先によって仕様は異なりますが、多くはPDFファイルで入稿します。

WordやInDesign(書籍レイアウト専用ソフト)で作成した原稿を入稿データとして書きだします。

 

表紙の入稿データ

忘れてはいけないのが表紙です。

イラストが書けなくても、Canva等のツールを利用して作成することができます。

表紙もただデザインを作るだけではなく、入稿仕様の本のサイズにあったデータを作成し、裏表紙にはバーコードや価格を設置して、背表紙は本文の背幅に合わせて作成します。

 

Illustratorでの作成が多いですが、その他のツールを利用して作成することもできます。

表紙をつくる際は、ぬりたしや背幅のサイズの計算を間違わないよう、くれぐれもご注意ください!

 

入稿時はPDFデータを求められることが多いです。

 

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ビジネス書を書く際のポイント

ビジネス書を書く際のポイントにはいくつかあります。

 

  • 目的を明確にする
  • 誰にでもわかりやすい表現で書く
  • 読者がイメージしやすい具体的な事例を挙げる
  • 要約やまとめを作る

 

まず書く目的を明確にし、それに合わせた内容や文体を選ぶことが大切です。

読者に伝えたいことやアクションを促すことを考えながら、文章を書きましょう。

ビジネス書は、専門用語や難解な表現を避け、誰にでも理解しやすい言葉で書くことが望ましいと言えます。

読者が内容を理解できなければ、著者の意図が伝わらない本になってしまいます。

読みやすい文章を書くためには、簡潔で明快な表現を心がけることが重要です。
適切な構成や章立て、段落の使い分けなども、読みやすさに影響するでしょう。

 

また、ビジネス書では具体的な事例を挙げることで、理解を深めてもらいやすくなります

身近な例やたとえ、自分自身の経験や、事実に基づいたデータを交えることで、信頼性や説得力を高めることができます。

 

長いビジネス書では読者が内容を把握しやすいよう、章ごとに要約やまとめを作るというのもおすすめです。

繰り返しを避け、まとめの部分で重要なポイントをまとめることで、読者に伝えたいことをより強く印象づけることができます。

ビジネス書を書く際によくある悩み4選

 

それでは、ここから本格的にビジネス書を書いていく際のポイントをお伝えしていきます。

これまで数多くのブックライティングをサポートしてきた経験から、執筆時に陥りやすい悩みをできるだけ解決できるようまとめました

 

【執筆時によくある悩み】

  • 書いている途中で挫折してしまう
  • 書いている中で自分が何を書いているのかわからなくなる
  • 全体を通して読むと文章がごちゃごちゃになっている
  • 淡々と説明的になってしまい、上手く文章の強弱がつくれない

 

書いている途中で挫折してしまう

物書きであれば、誰もが一度は経験する挫折です。

書いている途中で筆が折れてしまうのは、ある意味仕方のないことのようにも思います。

ですが、それを受け入れていてはいつまで経っても本は出来上がらないので、2つの改善法をお伝えしていきます。

  • 書きやすいところを優先して書く!
  • 音声入力に頼る!

 

まず1つ目が、「書きやすいところを優先して書く!」ということです。

前から順番に書かなければと思い込んでいませんか?

ですが、そんなことはありません!

1項目2,000~,3000字が40~50個集まって本になります

本の流れを作るのは後にして、まずは書くという作業を進めて達成感を味わっていきましょう!

 

原稿を書く方法は人それぞれです。

  • 書きたい事を全て書いてしまってから推敲する方
  • 1つずつ前から書いていく方
  • 好きなところから書いていって、最後に流れを作る方

 

多くのプロのブックライターさんとお仕事をしてきましたが、皆さん書き方はご自身のやりやすいようにされています

ですので、「こうやって書いていかなきゃ!」をまずは取っ払って、ご自身にとって書く作業が嫌いにならない方法を見つけてみて下さい。

 

そして2つ目が、「音声入力に頼る!」というものです。

人は考えていることをそのまま話すことができるかと思いますが、文章にするとなるとなかなか変換が難しいという方が中にはいらっしゃいます。

そういう場合は、まず書きたい事やエピソードを話して、それを音声入力するのをおすすめします。

もしくは録音したデータを文字起こしソフトを使って文章化して、そこから文章を整えていく方法もあります。

 

原稿を書くとなると原稿用紙と向き合ったり、パソコンの前でうんうんと唸るイメージが強いですが、書く作業は自由です!

既成概念に捕らわれずに、自由に執筆を勧めましょう

 

書いている中で自分が何を書いているのかわからなくなる

しっかりと骨子を作ったのにもかかわらず、書いている中で「本当にこれでいいのだろうか」「これを書いて意味があるのだろうか」と色々と迷走状態に陥ってしまうことがありますよね。

そういう時は、一度原稿から離れてみてください。

お仕事で依頼を受けている場合はあまり長期間離れることはできませんが、そうでない場合はまず原稿を見て考えるのを一旦辞めて、眺めの良い場所でのんびりと頭を休めてください。

 

この時点で焦ってもなにもいいものは生まれません。

 

そして、少し休んだら、骨子を見つつ、再度何を書きたいのかを明確にしてみてください。

最初から文章にしようとせず、ふせんなどを使って単語だけでもいいですし短い文章でもいいので、まずは書きたい事や伝えたいことを出していきましょう。

そして、取捨選択をしてから文章を作っていきます。

 

ブックライターの上坂徹氏の著書を個人的に読みまくっていますが、とにかくメモが大事です。

そして、いきなり文章を書こうとしないこと

迷うということは何かが違うサインなので、まずは心を落ち着けてリフレッシュしてから再度チャレンジしてみてください!

 

全体を通して読むと文章がごちゃごちゃになっている

文章を書き上げた後に出てくる悩みとして、全体を通してなんだか伝えたいことがごちゃごちゃになっているというものがあります。

まずは、ごちゃごちゃしていると思う部分にマーカーをひいていきましょう。
そうすると、傾向が見えてきます。

【文章がごちゃごちゃになっている原因】

  • 考えがまとまっていない
  • 説明部分に根拠がなくてごちゃごちゃしている
  • 上記の両方

 

考えがまとまっていない場合、骨子では上手く作れていたのに書いているうちにぶれてしまったのだと思います。
その際は、いらない部分の単語なり形容詞をカットしていきましょう。

もしくは、マーカー部分だけをとりだして、どこがブレてしまっているのかを見つけて、修正していく方法もあります。

まずは原因の究明が第一なので、「なんとなくをここが原因」というところまで持って行きましょう。

 

一方、説明部分の根拠がない場合は、データを探してみましょう

著作権が絡んでくる部分なので慎重に行う必要がありますが、根拠となるデータを探して当てはめていきましょう。

その際注意したいのが、新聞記事の利用です。
新聞記事は基本的に利用料が発生(新聞社の規定によって違う)します。

どのような書籍でどの部分を使うか、そして発行部数によって支払う金額が変わってきます。

通常新聞社から使用許可をもらうまでに2週間~1か月ほどかかりますので、余裕を持って問い合わせをしてください

 

淡々と説明的になってしまい、上手く文章の強弱がつくれない

普段論文を書かれている方や説明が上手な方に多いのが、どうしても文章が固くなってしまうというお悩みです。

「やわらかくわかりやすく書いて下さい」と言われたとしても、どうすればいいかわかりませんよね?

 

ここでは、固い文章を読みやすくするコツをお伝えしていきます!

 

コツは以下の3つです。

  • 説明部分と自身の考えの部分がどこか把握する
  • 自身の考えの部分には接続詞を多めにいれる。
  • かぎかっこや太字での協調を行う

 

 

① 説明部分と、自身の考えの部分がどこか把握する

説明的な文章で多いのは、ご自身の考えまでも第三者的にたんたんと書いてしまっている場合があります。

ご自身の考えはどこかをはっきりとさせていきましょう。

 

② 自身の考えの部分には接続詞を多めにいれる。

ご自身の考えを書いている部分の洗い出しが終わったら、次はその部分を中心に変化をつけていきます。

わかりやすいのは、接続詞の追加です。

接続詞を追加することで、箇条書き感を薄める効果が出ます。

もちろんいれすぎてしまっては元も子もありませんが、適度に自分の考えの部分に接続詞をいれることで、説明部分との差が明確化されます。

 

③  かぎかっこや太字での強調を行う

レイアウト面でのコツにもなりますが、強調したい部分があったら、思い切って改行してその部分だけ「」かぎかっこを加えたり、太字にすることで読者の目線が一度泊まるので自然と流れができます。

 

改行をあまりしなければ、淡々とした雰囲気を作れ、改行が多ければ親しみやすい雰囲気を読者に与えることができます。

ちょっとしたテクニックですが、できるところから実践してみてください!

 

補足:ChatGPTを利用した執筆について

現在、AIの活用が盛んになり、ChatGPTを利用した出版事例も海外では出始めました

当WEBメディアを運営する出版社ラーニングスにも、
「ChatGPTを活用して出版をしたい」
「骨子をChatGPTに作ってもらった」
というご相談を受けることも増えてまいりました。

社内でもChatGPTを書籍制作に活用できないか、日々チャレンジをしています。

その中で感じたことをまとめていきます。

ChatGPTとは

アメリカのOpenAI社が開発した大規模言語モデルです。自然な文章を作成するチャットサービスで、AIに作ってほしい文章や調べてほしいことを伝えるだけで回答をつくってくれます。

以下はChatGPTに「ビジネス書について簡単に教えてください」とお願いした際の、AIの回答です。

参考:https://openai.com/blog/chatgpt

ChatGPTで本は作れるのか?

結論から言うと、本の原稿を作ることは可能です

ただ1つ気を付けなければいけないのは、ChatGPTが作ったものをそのまま出すには、使う側の技術もある程度必要になってくる点です。

ChatGPTを利用していく中で感じたことは、「人間側が細かく的確に指示を出すことで、高精度の納得のいく回答を得ることは可能である」ということです。

つまり、こちらが明確なビジョンを持って指示を出さなければChatGPTから望む回答を得ることはできません

また、AIは学習したことをベースにしているため、自身の個人的な考えなどは、追記する必要があると感じています。

 

小説などは設定を作り、それをChatGPTに伝えて文章を作ってもらうという方法が可能です。

ビジネス書であれば、事前に○○についてこういうことを盛り込んだうえでまとめてほしいと指示を出せば可能です。

しかしながら、人間側の能力によって成果物の出来栄えは左右していくので、全てをChatGPTが書くと考えるよりも、自身の考えや思いや著者の中にしかない部分に関しては、自身で追記する必要があります。

 

執筆後の校正の方法

原稿の書き方をまとめてきましたが、校正の方法についてもまとめていきます。

校正とは、文字や文章を比べて誤りがない状態にしていく作業です。

 

例えば、本の導入では「私は」と書いてあったのに、その後「わたしは」と書いてあったら統一感が出ません。

そういった小さな違いから、文章の意味など、原稿全体の中で間違い探しをしてく作業です。

【校正の方法】

  • 校正ツールを活用する
  • 時間をおいて自分で細かく読み直す
  • 第三者に読んでもらう

 

誤字脱字であれば「文賢(ブンケン」などのツールを活用することで効率的に校正をすることができます。

自分で書いた文章を校正する場合、書き上げた直後だとなかなか見つけることが難しいので、1週間ほど原稿から離れて、改めて1人の読者として細かく読んでいく必要があります。

 

また、第三者に読んでもらうことも大事です。

特に、理想読者やプロの編集者の目で厳しく原稿をチェックしてもらうことで精度の高い原稿が出来あがります。

また、理想読者には「わかりにくい部分」「理解に苦しむ部分」はないかを確認してください。

その理想読者がわからない部分は、その他大勢の読者もわからない部分です。

何がどうわからないのかを丁寧にヒアリングして、原稿に反映させる必要があります。

 

また、個人を特定する情報や誹謗中傷、誇張表現にも注意が必要です。

特定の商品を許可なく宣伝したり、商品名を出すこともしないようにしてください。

 

表現の自由が叫ばれますが、信頼度の高い媒体として本はこれまで存在し続けてきました。

そこをないがしろにしてしまうと、著者自身のイメージ悪化にも繋がってしまうのでお気を付けください。

レイアウトの工夫

 

 

ここでは、ご自身でレイアウトをされる方に向けて工夫の仕方をいくつかお伝えしていきます

 

原稿ができたら、改行や文字の縦中宇横(縦書きの場合英数字、横書きの場合漢数字)を揃えていきましょう。

そして、章扉や目次、奥付を設置していきます。

全体を通して問題なければページ数を決定し、目次に設置していきます。

 

文字の大きさや改行の頻度は、読者にそって調整することが可能です。

例えば、女性向けであれば文字のフォントは大きく、ゴシック体はあまり使わずに、改行は多めに設定します。

男性向けであれば、フォントは小さく、見出しなどはゴシック体を使い、改行はあまりしません。

 

読者が普段好んで読んでいる本のレイアウトを参考にして作成するのも、1つの手です。

 

出版社や印刷会社への持ち込みについて

原稿ができあがったら、通常印刷会社へ製本を依頼するかと思います。

 

ただ、流通が必要な場合は出版社への問い合わせが必要です。

Amazonであれば手軽に個人でも出版が可能ですが、書店への流通は取次(日販やトーハン)を通さなければできません。

※本の流通経路は特殊なので、事前に把握しておくとよいでしょう。

こちらの記事で本の流通の仕組みについて解説していますので、ぜひ参考にしてください↓

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また、ISBNの取得やプロによる校正、レイアウトを組む作業を求める場合は出版社への依頼を検討することをおすすめします。

 

原稿ができあがっていたとしても、プロの目からみて読みにくかったり、修正が必要だと感じた場合はプロのブックライターによるリライトを提案されるケースがあります。

出版社側もより良い本を作りたい一心での提案なので、気を悪くされないでください…。

電子書籍を作成したい場合

電子書籍は手軽で費用もほとんどかけずに作ることが可能なので、個人で出す方が多くいらっしゃいます。

その際、ぜひリンクや専用のお問い合わせページを設置してブランディングに役立ててください!

 

また、電子書籍は読者が読む媒体によって文章の表示が変わってくるので、1文の長さに注意が必要です。

A4サイズ、10.5ポイントのWordで書いていたら、長くても3行以内に1文を納めてください。

それ以上になってしまうと、電子書籍では読みにくい印象を与えてしまいます。

 

読者層や読み手の環境に合わせて文章を工夫することはなかなか難しい部分もありますが、ぜひトライしてみてください!

 

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まとめ

  • ビジネス書が完成するまでのおもな工程は、本の企画を考える→原稿を書く→本の形にしていく の3ステップ
  • ビジネス書を書く際は「誰にでもわかりやすい表現で書く」「具体的な事例を挙げる」「要約やまとめを作る」といったポイントを押さえることで、読者に伝えたいことをしっかりと伝えることができる
  • ビジネス書の執筆時によくある悩みとしては、「書いている途中で挫折してしまう」「自分が何を書いているのかわからなくなる」「文章がごちゃごちゃになる」「説明的になってしまうという」という問題があるが適切な対処法を実践することで乗り越えられる!

 

今回は、実際にビジネス書の出版に携わるアドバイザーの立場だからこそ知っている情報も、ふんだんにご紹介しました!

実際の執筆時の困りごとに対する対処法もご紹介しましたので、ビジネス書を書こうと思った際に立ち止まってしまったときにも、この記事を参考にしていただければと思います。

 

弊社ラーニングスでは、出版プロジェクトに取り組むかどうかを検討している方を対象として、出版までの手順を7stepにまとめた無料資料をご用意しています。

ビジネス書の出版を検討している方は、ぜひ以下の資料請求ボタンから資料をダウンロードして、出版に対するイメージをより明確なものにしてください↓↓

 

 

 

投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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