読書や執筆が好きな方なら、「自分も1度は本を出版してみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
小説やエッセイを書いている方ならなお、その思いは強いでしょう。
少し前までなら本を出版することは難しいことでしたが、現在では「自費出版」によって誰でも気軽に出版できるようになってきています。
自費出版とは? 主な方法について
自費出版とは、文字通り筆者が全額負担して自分の好きなように制作して出版する方法です。
出版社は利益を得るためのビジネスとして出版するのではありません。たとえ本が全く売れなかったとしても、損することがないためです。
自費出版の方法には「個人」、「カスタム」、「オンデマンド」という3つのタイプがあります。
ここからは、その3つの方法について詳しく説明します。
1. 個人出版
私家本出版とも呼ばれている出版方法で、ISBN (International Standard Book Number)はありません。
筆者の知人や身内などの狭い範囲内での配布を目的とした出版です。
ISBNとは、書籍を特定する13桁の数字から成るコードのことで、本の戸籍や本のマイナンバーなどと呼ばれている「国際標準図書番号」のことです。
どの本も、裏表紙に印刷されているバーコードの下に印字されています。
最近では、自費出版部門を設けている出版会社や専門としている出版会社もあります。
そういった出版社に出版を頼む場合でも基本的には原稿やデザインなどの工程、編集なども全て筆者が行う必要がありますが、出版社によっては別途費用を支払えばオプションとしてデザインや編集などするところもあります。
個人出版の本は流通しないので著者がすべて買い取り、自ら販売したり贈呈したりすることになります。
2. カスタム出版
出版社が販促活動や編集で協力するという出版方法で、契約の内容によって筆者の負担額が50%だったり全額負担だったりと様々です。
ビジネスを目的とした収益が見込まれる本を出版社が手がけることから、「企業出版」とよばれることもあります。
個人出版との違いは、国際標準図書番号(ISBN)がついており、正規のルートを経由して書店など流通にのせて販売するため個人出版よりも多くの人々の目に留まり読んでもらうことが可能である点です。
契約の内容によっては、担当者によるアドバイスやリライトがされることもあります。
カスタム出版での注意点
- 流通させると謳っておきながら、実際の流通はネットのみである可能性があること
- 初版に関して、平積みにして宣伝効果を得るという理由から多くの部数を求められるケース
- 出版社が販促活動を協力する契約であるにもかかわらず、広告宣伝を目的とした追加費用を請求されるケース
- 印税に関しての契約していたのに支払いが無く、出版社が倒産してしまうケース
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、経験者の話しを聞いたり調査したりし、実績もあって信頼もできる出版社を選びましょう。
3. オンデマンド出版
データさえあれば手頃な価格で本を出版できる方法です。
オンデマンド出版では、1冊からでも紙の本を出版して販売できる点が特徴となり、国際標準図書番号(ISBN)があります。
しかし、個人出版と同様に本を作るにあたっての全工程は基本的に著者が行うことになります。
なかには、表紙をデザイナーに作成してもらえるというサービスや、編集上アドバイスしてくれるなどさまざまなオプションが会社によって用意されているようです。
自費出版費用の内訳について
自費出版において、主に発生する費用は以下の通りです。
● 印刷代
● 校正校閲 ● 編集 ● レイアウト ● 表紙デザイン |
他にも費用がかかる場合があります。
また、身内に表紙デザインやレイアウトが得意な人がいたり、別の会社に委託したりするなどによって細かい費用形態は変わります。
上記5つのそれぞれの内容について、以下に詳しく解説していきます。
・印刷代
ページ数、製本方法、原稿の種類(手書き、データ)、本の判型、写真やイラストの有無などから価格が決まります。
・校正・校閲
誤字や脱字、間違った言い回しがないかなど何度も読み返して原稿にミスがないかチェックします。
ミスがあった場合には赤字を書いて印刷所へ戻し、修正を繰り返して校了となります。
・編集
誤字や脱字、誤記がないかのチェック、文体や英数字表記の統一、難解な漢字にルビ(ふりがな)を振るのかなどを決めます。
わかりやすく読みやすい原稿にするため、編集者が著者の意向や表現を尊重しつつ、読者視点でチェックします。
・レイアウト
コンテ(写真の位置やタイトルの入れ方、文字数などを記したラフのこと)をもとに、より良くなるようにアレンジを加えながら文字や写真をページに配置します。
修正を繰り返し、最終チェックして問題がなければ完了です。
・表紙デザイン
本の表紙は本のイメージにあたったものを筆者が作ったり、写真を取り入れたりしてもよく、デザイナーに依頼することもできます。
ただし、デザイナーに依頼する場合はオプション料金になる場合がほとんどです。
自費出版時の発行冊数は、目的により変わる
出版部数は、用途によって異なっていきます。
例えば「自分用や身内などの個人的な記念用」、「団体の紹介やセミナーでの配布物」、「印税収入を求める場合」、「web媒体のみで販売する場合」などです。
ここからは、用途に合わせた発行部数を解説します。
自分や身内用など、個人的な記念用は「1冊~」で問題ない
「自分史」など、販売を目的とせずに記念として出版する場合は、1冊で出版するケースもあります。
家族や親戚向けであっても、5〜10冊程度での出版で事足ります。
団体の紹介やセミナーでの配布物は「200冊~」など人数に応じて
団体を紹介することを目的とした出版の場合には、配布する目的のために必要となる数を出版することになります。
セミナーなどで配布する書籍も同様に、参加人数分の部数を出版します。
印税収入を求めるなら最低「500冊~2000冊」は出版すると良い
印税収入を求める場合は、少なくても500冊~2000冊が一般的に発行されているようです。
主に小説やエッセイ、ビジネス書、自己啓発書などが当てはまり、発売部数が少ないと有名書店への販売ルートには乗りません。
そのため、ある程度大きな部数である方がメリットになります。
web媒体のみで販売するなら「100冊~」でも問題はないが不安な点も
販売方法としてネット書店などWeb媒体経由だけの場合は、出版冊数が100冊など少なくても問題がない場合が多いです。
しかし、発売部数が少ないと有名書店への販売ルートには乗りませんので、収入を得たい場合にはより多く発行する方が良いでしょう。
1,000部は、紀伊國屋書店新宿本店や三省堂書店神保町本店、ジュンク堂書店池袋本店をはじめとする首都圏の大型書店で面出し平積みが狙える部数です。
3,000部で東京・名古屋・大阪の大型書店、5,000部で全国の大型書店で、初版から面出し平積みを狙えます。
流通する部数が多ければ多いほど、書店で面出し平積みされ、有名作家の書籍の横に陳列される可能性も高まります。
書店へ配本しても全て売り切れるわけではありませんが、部数が少なければ書店に行き渡りません。
部数が増えるとその分制作コストが上がってしまうので、出版部数は特に悩むところでしょう。
本で収入を得たい場合や、書店で多くの人の目に留めたい場合には1000部を目安にすると良さそうです。
まとめ
本の発行する際、自費出版の方法や委託する会社などにより最低発行部数が異なります。
10冊から可能なところもあれば、1000冊からしか受け付けていないところもあるため、出版したい方法によって出版会社を選ぶ必要があります。
また、web媒体となると変わってくる面もあります。
例えば、個人的な記念用での出版で1冊だけ欲しい時に1000冊から受け付けている出版会社は適していませんが、1冊から受け付けているオンデマンド印刷では最適です。
投稿者プロフィール

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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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