マーケティングで重要な購買行動モデル/AIDMA・AISAS・SIPSの法則を学ぼう!

 

消費者が商品の存在を知って購買にいたるまでには、一連のプロセスがあります 。

このプロセスを「購買行動モデル」と呼び、マーケティングに活用されています。

 

今回は、10以上もある購買行動モデルの中から

  • 特に重要な「AIDMA(アイドマ)」「AISAS(アイサス)」「SIPS(シップス)」の3つ
  • その他、知っておきたい購買行動モデル

について解説します。

 

購買行動モデルを知ることで、よりマーケティング活動を戦略的・効果的に行えるようになりますので、ぜひ参考にしてください!

 

 

 

マーケティングにおける購買行動モデルの重要性

マーケティングに購買行動モデルを取り入れることで、消費者の心理に合わせた販売戦略が可能です。

たとえば、消費者が一つの商品を認識し、購買を決めるまでにはある程度の時間がかかります。

そのため、事前に消費者の心理的プロセスを体系化して理解することが重要です。

なお、消費者が商品購入に至るまでの心理的プロセスを「購買意思決定プロセス」と呼びます。

購買意思決定プロセスには複数のパターンがあり、時代や状況によっても変化します。

そこで生まれたのが、購買行動モデルです。

 

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AIDMA(アイドマ)の法則とは?

AIDMAの法則は、アメリカで販売や広告に関する著作を書いていたサミュエル・ローランド・ホール氏が1920年代に提唱した購買行動モデルです。

AIDMAは購買行動モデルの元祖と呼べる存在で、最も汎用的なモデルと言えます。

 

AIDMAの法則とはどんな購買行動モデル?

AIDMAとは消費者の心理的プロセスを表した言葉の頭文字を組み合わせた言葉ですので、各頭文字の意味から解説していきます。

 

AIDMAの法則 アイドマ

 

  • A…認知・注意(Attention)
  • I…興味・関心(Interest)
  • D…欲求(Desire)
  • M…記憶(Memory)
  • A…行動(Action)

 

消費者は一つの商品を購入するだけでも5つの段階を踏むことになります。

さらに5つの段階のうち、「認知」を認知段階、「興味」「欲求」「記憶」を感情段階、最後の「行動」を行動段階と区分します。

5つの段階では消費者の心理状況もそれぞれ異なるため、段階ごとにそれぞれ異なるマーケティング戦略が必要です。

 

AIDMAの法則の活用例

AIDMAの法則は実際にはどのように活用されていたか、新しいお菓子を宣伝するケースを例に見てみましょう。

A…認知・注意(Attention)

最初に、新聞広告やCMで商品の存在を周知します。有名人を起用する、インパクトの強い内容にするなどして、目にする機会を増やします。認知度を高めて消費者と接点を持つことが目的です。

 

I…興味・関心(Interest)

次に、認知された商品に興味を持たせます。斬新なデザインのパッケージや珍しい食感など、有益かつ関心を持ちやすい情報をアピールすることで、他社商品との差別化をはかることも可能です。

 

D…欲求(Desire)

商品に興味を持ち始めた消費者により強く興味を持ってもらえるように働きかける段階です。サンプルを配る、試食を通じて口コミを募るなどして、消費者にメリットを提示していきます。

 

M…記憶(Memory)

商品・サービスの体験やイメージ、疑問や不安の解消がある程度できている段階です。購入したいという気持ちを持ち出している状態ですので、購入のきっかけが生まれるまで記憶の維持を目指します。

 

A…行動(Action)

消費者が商品・サービスを購入する段階です。重要なのは、消費者の背中を押すことです。行く先々で取り扱っている、おまけがついている、初回割引があるなど、購入のハードルを下げます。

 

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AISAS(アイサス)の法則とは?

AIDMAの法則は長らくマーケティングの雛形とされてきましたが、インターネット社会の到来により新しい購買行動モデルが提唱されます。

それが日本の大手広告会社・電通が2005年に提唱した「AISASの法則」です。

インターネット時代のマーケティング手法として代表的な存在になっており、文字通り3段階目からのプロセスがAIDMAとは異なります。

AISASの法則はインターネット時代に対応した購買行動モデル

インターネットが普及した結果、消費者は欲しいものを宣伝によってのみ知る時代を終えました。

インターネットで検索することで、自ら商品についての情報を調べ、発信できる時代になったのです。

AISASの法則 アイサス

 

  • A…認知・注意(Attention)
  • I…興味・関心(Interest)
  • S…検索(Search)
  • A…行動(Action)
  • S…共有(Share)

 

上記のように、商品を「認知」し、「興味」を持つ流れまでは同じですが、その後、「欲求」ではなく「検索」が入ります。

そして、「行動」は4番目に移動し、5番目は「共有」に変わっています。つまり、消費者は情報の受信者だけの役割から、発信者の役割も担うようになったのです。

 

AISASの法則の活用例

現代では「共有」は非常に重要な要素です。

インターネットの普及前は遠く離れた人の感想を知る機会は多くありませんでした。

しかし、今や知らない人たちの口コミや評価を見かけることは当たり前になってきました。

では、インターネットを活用した購買行動モデルとは、どのように活用するべきでしょうか。

ここでも新商品のお菓子を例にした活用例を見てみます。

A…認知・注意(Attention)

最初に、新商品のお菓子をCMや新聞で宣伝します。まず商品・サービスは認知される必要性があるため、この流れは変わりません。

 

I…興味・関心(Interest)

新商品の食感や素材、露出度などから消費者が興味を持ち始めます。こちらも変わりません。

 

S…検索(Search)

新商品が気になった消費者は、インターネットで商品情報を検索します。そこでCMや雑誌より細かい商品情報、販売価格、近くの販売店舗などの情報を調べます。

 

A…行動(Action)

近くの店舗で新商品を販売していると知った消費者はさっそく購入します。近くにない場合も、近年はインターネットによってパソコンやスマートフォンから購入が可能です。

 

S…共有(Share)

新商品を購入した消費者が、感想をTwitterやInstagramなどのSNSでシェアします。消費者はお互いに商品・サービスの感想を投稿し、参考にし合っているのです。感想をシェアすることで、広告宣伝費をかけていない商品が口コミで人気になる現象も起きています。

 

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AIDMAとAISASの違い

前述したように、AIDMAとAISASは以下の要素で構成されています。

AIDMAAISAS
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
D…欲求(Desire)
M…記憶(Memory)
A…行動(Action)
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
S…検索(Search)
A…行動(Action)
S…共有(Share)

新しい概念であるAISASでは、インターネットが普及したことにより「検索」や「共有」という要素が加えられました

 

例として、新商品の化粧品の購買プロセスを考えてみましょう。

AIDMAモデルでは、テレビ広告で化粧品の魅力が伝えられ、興味を持った顧客が店舗で化粧品を実際に見て、その魅力に惹かれて購入行動をします。

一方のAISASモデルでは、SNS広告やインフルエンサーマーケティングなどで化粧品が認知され、興味を持った顧客がオンラインで効果や口コミを検索し、その後オンラインストアで購入を行います。

そして、良い体験や評価をSNSで共有することで他の人にも影響を与えます。

AIDMAとAISASは購買行動の異なる側面や、時代により変化したフェーズを捉えているのです。

 

AISASを時代に合わせて展開させた「AISCEAS(アイシーズ)」とは?

「AISCEAS」は「AISAS」の購買行動をさらに細分化したモデルです。

 

 

AISCEASの法則 アイシーズ

 

 

具体的には、AISASの5つのフェーズに比較(Comparison)と検討(Examination)が追加されています。

 

  • A…認知・注意(Attention)
  • I…興味・関心(Interest)
  • S…検索(Search)
  • C…比較(Comparison)
  • E…検討(Examination)
  • A…行動(Action)
  • S…共有(Share)

 

比較(Comparison):顧客が複数の選択肢を比較検討し、最適な商品やサービスを選ぶ際に重要な要素です。

検討(Examination):顧客が商品やサービスについて詳しく検討し、選択を行う段階です。

 

このモデルは特に、インターネットでの購入や高額商材の購入時のモデルとして活用できます。

まずインターネットでの購入の場合は商品・サービスに関する情報を簡単に多く手に入れることができるため、購入する前に比較・検討をしようという顧客の心理が働きます。

また、BtoBを目的とした高額商材なども、検索(Search)の後に即決されることは難しく、比較・検討の段階を踏んで慎重に購入されることが多いです。

よって、インターネット上での事業や高額商材を取り扱う事業の場合は、「AISAS」ではなく「AISCEAS」を参考に戦略を組むことをおすすめします。

 

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SIPS(シップス)の法則とは?

SIPSは2011年に電通コミュニケーションデザインセンターによって提唱されました。

AISASとの大きな違いは、SIPSはSNSを念頭に置いた購買行動モデルである点です。

そのため、AIDMAやAISASでは共通していた「認知」が「共感」に変わっています。

 

SIPSの法則はSNS時代に対応した新しい購買行動モデル

SIPSの法則 シップス

 

AISASは検索に加え、Amazonや楽天、価格.comや食べログなどのレビュー・口コミ機能を反映したモデルでした。

しかし、SNSの普及により発信者の影響力や発信内容への「共感」が主流になったのです。

  • S…共感する(Sympathize)
  • I…確認する(Identify)
  • P…参加する(Participate)
  • S…共有&拡散する(Share & Spread)

AISASと違う点は「行動」が「参加する」に変わっている点です。

それまではインターネットを活用するとはいえ、商品・サービスの購入は個人的な行動でした。

しかし、現在では商品を購入した誰かのSNSの投稿に「いいね!」を付けたり拡散したりできます。

共感に「参加する」形に変わったのです。

 

SIPSの法則の活用例

SIPSはSNSを活用した購買行動モデルですので、活用例もSNSでの動きが中心になります。

今回も、新しいお菓子を例にして見てみましょう。

S…共感する(Sympathize)

ある消費者は、友人が近所のコンビニで新しいお菓子を買ってきたことをSNSの投稿で知りました。「誰が」「何を言うか」の部分が信頼性につながるため、普通の一般人よりは友人や有名人、中でも自分がフォローしている人のほうが影響力は高くなります。

I…確認する(Identify)

共感しても購入するとは限りません。なぜなら、現代では商品の数が多いだけでなく、商品の安全性やイメージに消費者が敏感になっているからです。そのため、現代の消費者は情報を慎重に見極める傾向にあり、公式サイトやSNS上の他の投稿を見て検討を重ねて判断する方も多いのです。

P…参加する(Participate)

消費者が商品に対して信頼性を得た場合は購入、得ていない場合も、投稿に対して「いいね!」やリツイートをします。購入に至らなくても、「いいね!」やリツイート、コメントを残すなどのアクションがあれば参加したとみなします。

S…共有&拡散する(Share&Spread)

投稿への共感の波はSNS上に拡散されていきます。共有と拡散はSNS上はもちろん、家庭や会社などの日常生活でも起こります。相乗効果で共感に参加する人数が増えるほど、商品・サービスの購入人数も増えていきます。

 

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企業のSNS運用については、外部サイトのこちらの記事が参考になります。ぜひご覧ください↓

 

ニュートラルワークス

現代のビジネスにおいて、SNSは欠かせない存在となりつつあり、SNSを活用したマーケティングやコミュニケーションの手段を…

参考:ニュートラルワークス様

 

 

その他の購買行動モデル

 

ここまでに代表的な購買行動モデルとして、「AIDMA(アイドマ)」「AISAS(アイサス)」「SIPS(シップス)」の3つをご紹介しましたが、ここから他の購買行動モデルを5つご紹介します。

自社の商材や販売形態に合ったものを、見つけてみてください!

 

Dual AISAS(デュアル アイサス)

dual AISASの法則 デュアルアイサス

 

「Dual AISAS」は、AISASをSNSが主流となった時代に合わせて発展させた購買行動モデルです。

Dual AISASでは、SNSなどを通じた消費者同士のコミュニケーション(共有・口コミなど)が重視されています。

Dual AISASではこれまでAISASを「”買いたい”のAISAS」と定義し、以下の「”広めたい”のA+ISAS」を加えた2つの購買行動モデルが組み合わさったモデルになっています。

 

●”広めたい”のA+ISASとは?

「”広めたい”のA+ISAS」とは、従来のAISASの内部で、I…興味・関心(Interest)→S…共有・発信(Share)→A…受容・共鳴(Accept)→S…拡散(Spread)が循環していると考えるモデルです。

SNSが普及した現代では、興味を持たれた情報についてはすぐに共有・発信され、共鳴・拡散という影響へと続いていきます。

拡散された情報に触れた人がまた興味を抱いたら、共感・発信…と続きますので、ISASの部分は循環することになります。

 

”買いたい”のAISAS”広めたい”のA+ISAS
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
S…検索(Search)
A…行動(Action)
S…共有(Share)
A…活性化(Activate)
I…興味・関心(Interest)
S…共有・発信(Share)
A…受容・共鳴(Accept)
S…拡散(Spread)

 

共有により活性化(Activate)し、商品・サービスを認知して強い興味を持った消費者は、その後通常のAISASの検索・行動へとフェーズを進んでいきます。

「Dual AISAS」では多くの人が商品・サービスに興味関心を持ち、購入まで進んでいけるように促す施策(SNS運営や顧客型マーケティング)を実施することが重要です。

 

AIDA(アイダ)

 

AIDAの法則 アイダ

 

AIDMAはAIDMAよりも古くから活用されている購買行動モデルです。

  • A…認知(Attention)
  • I…興味・関心(Interest)
  • D…欲求(Desire)
  • A…行動(Action)

AIDMAからM…記憶(Memory)を抜いた概念になります。

インターネットが普及する以前の社会における購買行動に適したモデルですので、複雑になった現代には合っていません。

 

AIDCAS(アイドカス)

 

AIDCASの法則 アイドカス

 

AIDCASは、セールスライティングでよく活用されるモデルです。

  • A…認知(Attention)
  • I…興味・関心(Interest)
  • D…欲求(Desire)
  • C…確信(Conviction)
  • A…行動(Action)
  • S…満足(Satisfaction)

消費者の興味を引き、欲求を刺激して購買行動を起こさせます。

最終的に消費者が満足すれば、セールスは成功と言えます!

 

ULSSAS(ウルサス)

 

ULSSASの法則 ウルサス

 

ULSSASは消費者が自発的に作るコンテンツ「UGC(User Generated Content)」を購買行動の起点とするモデルです。

UGCの例には、SNS、レビューサイト、ブログやYouTubeなどがあります。

 

  • U…UGCによる認知(UGC)
  • L…SNS上での「いいね」や「共有」(Like)
  • S…SNS検索(Search1)
  • S…検索エンジンでの検索(Search2)
  • A…行動(Action)
  • S…拡散(Spread)

 

ULSSASもAISAS同様、インターネットやSNSを重視しますので、現代の購買行動に適したモデルと言えます。

 

DECAX(デキャックス)

 

DECAXの法則 デキャックス

DECAX(デキャックス)、コンテンツマーケティングにおいてよく用いられる購買モデルです

  • D…発見(Discovery)
  • E…関係構築(Engagement)
  • C…確認(Check)
  • A…行動(Action)
  • X…体験・共有(eXperience)

DECAXでは企業により提供されているコンテンツをD…発見(Discovery)することが購買行動の起点です。

コンテンツマーケティングでリードを獲得を狙う戦略を取っている企業に合っているモデルと言えます。

 

AIDMAはもう古い?!

ここまででご紹介した通り、購買行動モデルはインターネットやSNSの普及により変化しています。

よってインターネット普及前に誕生した「AIDMA」が現代の消費者の行動には合わず使いにくくなったと感じている人も多いようです。

 

とはいえ、AIDMAは他のモデルのベースとなっているモデルであり、人の購買行動は今も変わっていません

結論として、AIDMAを押さえたうえで自社サービスや時代に合った使いやすいモデルを活用していくのがおすすめです。

まとめ

購買行動モデルの主流は長らくAIDMAでしたが、インターネット・SNSの普及によりAISAS・SIPSが台頭するようになりました。

では、AIDMAの法則はもう不要なのでしょうか。

実はそうではなく、購買行動モデルは目的によって使い分けていくことが重要です。

AIDMA・AISASは消費者の購買行動の促進が目的ですが、SIPSは共感、つまり話題として共有されることも目的になるからです。

つまり、自由に組み合わせることでより商品・サービスに適したマーケティングを行えるわけです。

ご自分の商品はどの購買行動モデルが適切か、照らし合わせて分析してみてください。

 

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