地域ブランディングの成功事例|地域活性化を成功させるための5つのポイント

地域 ブランディング 成功事例

 

 

地域活性化プロジェクトの一環として地域を盛り上げるために行われる「地域ブランディング」。

仙台市の牛タンや、熊本県のくまモンも地域ブランディングの成功事例として有名です。

また、地域ブランディング成功事例には、地域の人々の協力に加えて、各企業と共存することのより地域のブランド力をより一層高める効果を持つことがわかっています。

 

本記事では

  • 地域と企業が一体化した地域ブランディングの成功事例
  • 地域ブランディングの進め方
  • 地域ブランディングを成功させる5つのポイント

についてご紹介しています。

 

 

出版 資料

 

地域ブランディングって何?

行政や企業、その他の民間団体などにより、その地域が持っている魅力の最大化を目指す運動を「地域ブランディング」といいます。

人口減少や少子高齢化、開発による伝統的町並みの破壊や伝統文化の担い手不足といった各地域が頭を悩ませている問題の解決を目指して、全国で地域ブランディングは活発に行われています。

 

企業が行う地域ブランディングの目的

近年の日本では、都市型の生活スタイルが広く一般に浸透しています。

そのことは、東京への一極集中を招き、地方の過疎化や少子高齢化が進行する原因となりました。

地域ブランディングは、そういった状況を打ち破るために生み出されました。

地域ブランディングにより地域の経済を元気にすることができれば、各地域が抱える様々な問題を解決する糸口になる可能性があります。

 

例えば、島根県にある海士町は、人口減少や財政難など多くの問題を抱える自治体でした。

この海士町が行った豊かな自然と特産品を活用した地域ブランディングは、400人以上のIターン者の定住を生み出し大きな成果を上げています。

 

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地域ブランディングの成功事例集

海士町の例のように、それぞれの地域が持つ魅力を再発掘し、それを活用した地域ブランディングに注目が集まっています。

地域ブランディングの成功には、コンセプト設定や展開戦略がしっかりと練り上げられていることが大前提です。

そのうえで、抱える課題を的確に捉え、その解決までの道筋を具体的に描けていることが必要です。

以下に、地域ブランディングの成功事例について紹介していきます。

 

沖縄県石垣市

石垣市が行った地域ブランディングは、長さ107.6mの世界一長い肉の串焼きという一見荒唐無稽とも思えるものでした。

石垣市の狙いは、リゾート地として別格の環境を有する同市に、2025年に開港する予定の新空港と石垣市の特産品石垣牛を世界中にPRする事でした。

そのPRのために採用された手法は、ギネス世界記録への挑戦。

 

建設中の空港で行われた長さ107.6mにも及ぶ石垣牛の世界一長い串焼きのバーベキュー会場には、1万人以上の観客が訪れ、市最大規模のイベントとなり大成功を収めました。

当然、ギネス世界記録へ認定され、当該イベントの実施は石垣市の狙いどおりの結果となりました。

 

この成功を受けイベント発案者の中山義隆石垣市長は、「石垣牛の知名度が全国で高くなり、新空港完成後の出荷数増加が期待できる」と述べています。

また、開港後を見据えて「イベントを定着させ観光客誘致の目玉としていく」と、意気込みを表明しました。

参考:沖縄県石垣市

茨城県小美玉市

小美玉市の強みは、鶏卵の生産量日本一の茨城県の中にあり、品質を追求している生産者を数多く有していることです。

その強みを活かして行われた地域ブランディングが、日本で一番美味しいプリン「おみたまプリン」の開発です。

 

おみたまプリンは、東京麻布十番の一流フランス料理店「ユリス麻布十番」のオーナーシェフ多田鐸介の発案で開発が始まりました。

幻の卵と言われる初生卵を使用し、多田氏の店舗のパティシエ星野秀介氏が絶妙な温度管理により焼き上げました。

プリンの容器にもこだわり、容器のトータルデザインはつくば万博のサインデザインを担当した藤代範雄氏が担当しました。

そして、隣接する北茨城市の天心焼の陶芸家である會田恵美氏が、作成されたデザインに沿って湯のみ状の器を焼き上げました。

 

こうして完成されたおみたまプリンは、2個1万円という破格の価格で販売が開始され、各メディアから取材が殺到しました。

小美玉市はここで終わらず、おみたまプリンの知名度を利用して次々と関連商品を開発し、市、鶏卵、天心焼のPRに成功しました。

 

一つの成功で終わらず、そこからの展開を組み合わせた中長期的な戦略の見本となる事例です。

参考:茨城県小美玉市

北海道函館市

観光地として栄えた函館市は、近年の観光客減少に頭を悩ませていました。

そこで、市が考えた地域ブランディングが、同市のイカを使った動画をyoutubeへ投稿することにより観光客誘致を目指すというものでした。

 

早速、市は映像製作会社へ依頼を行い、その結果生み出されたのがイカール星人でした。

イカール星人が函館の町で暴れまわり市への観光を促すといった、通常の観光動画とは一線を画する内容に当初はクレームが発生しないかと戸惑いの声もあったようです。

しかし、市役所の担当者が言った「クレームが来たら、その時はPRが成功ってことですね」という一言が、このプロジェクトの背中を後押ししました。

 

結局、イカール星人はユーチューブで120万回以上の再生回数を記録し、マスコミへは200回を超える露出を行い、ついにはイギリスのBBC放送で特集されるに至りました。

市は抜け目なく関連商品の開発なども行い、2009年には地域ブランド調査で最も魅力のある市に選ばれるという快挙も成し遂げました。

参考:北海道函館市

 

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地域ブランディングを進める際の工程

地域ブランディングを進める際は、以下のような流れになります

  1. 実行するプロジェクトチームをつくり、地域ブランディングの目的を明確にする
  2. シミュレーションを実施する
  3. 方向性を定めるキャッチコピーを作る
  4. ターゲットを定め、ニーズを調査する
  5. ターゲットが抱える解決すべき問題を明確にする
  6. 地域の魅力や特徴を洗い出しまとめる
  7. 地域が持つ資産を活かし、ターゲットの問題を解決する

 

それぞれの工程について解説していきます。

 

実行するプロジェクトチームをつくり、地域ブランディングの目的を明確にする

まずは連携の取れるプロジェクトチームを作り、地域ブランディングの目的を明確にしましょう。

目的には人口減少や財政難の解決、観光客の誘致、特産品のPRなど様々なものが考えられます。

 

シミュレーションを実施する

目的が明確になったら、プロジェクトチーム内でシミュレーションを実施し、実行するにあたっての課題を把握します。

【シミュレーションの流れ】

① 方向性を定めるキャッチコピーを作る

② ターゲットを定め、ニーズを調査する

③ ターゲットが抱える解決すべき問題を明確にする

④ 地域の魅力や特徴を洗い出しまとめる

⑤ 地域が持つ資産を活かして、ターゲットが抱える解決すべき問題を解決する

方向性を定めるキャッチコピーを作る

シミュレーションができたら、地域ブランディングのキャッチコピーを決めます。
キャッチコピーを決めることで地域ブランディングに関わるすべての人が、プロジェクトの目標を把握、共有することができます。

【キャッチコピーの例】

鳥取県米子市のキャッチコピー
「水 まち 自然 エンジョイ!よなご」

ターゲットが抱える解決すべき問題を明確にする

つづいてはターゲットを定め、ニーズを調査する工程です。
ここで、最初に定めた地域ブランディングの目的を思い出しましょう。
  • 人口減少の解決
  • 財政難の解決
  • 観光客の誘致
  • 特産品のPR  など
上記のような目的に合わせて「行動してほしい人」は誰なのかを考えます。
年齢や職業、家族構成やライフスタイル、趣味趣向などターゲットの人物像を細かく設定し、そのターゲットに刺さるプロモーション施策などを検討しましょう。

インターネットやSNSを用いて、実際に存在する消費者の声を調べるのがオススメです。

ターゲットを具体的にすることで、その人達が抱えている問題を洗い出すことができます。

 

地域独自の特徴を洗い出す

地域ならではの特徴や魅力を洗い出します。

地域ついての記録や有識者から話を聞いたり、プロジェクトチームのメンバーで地域の特徴について話し合いましょう。

このとき、新しくその地域にやってきた人の意見を聞くことで今まで気づけなかった特徴を知ることができるため、プロジェクトチームには地域の新しい住民を含めておくのがおすすめです。

 

地域が持つ資産を活かして、ターゲットの問題を解決する

最後に洗い出した地域独自の魅力や特徴を生かし、ターゲットが抱える問題を解決する方法を考えます。
効果的な戦略を作り上げるために、町おこしに詳しいコンサルタントの力を借りるというのも一つの手です。
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地域ブランディングを成功させる6つのポイント

ここまで成功事例を紹介してきましたが、地域ブランディングの中には残念ながら失敗に終わってしまったものも数多くあります。

地域ブランディングを成功させることは、決して簡単なことではありません。

ここからは、地域ブランディングを成功させる5つのポイントについて解説します。

 

ポイント1 地域の強みを活かす

各地域の強みを発信していくことが、地域ブランディングにおいて最も重要です。

単純に幅広い内容を発信したところで、受け手側がその内容に魅力を感じなければブランド化は成されません。

これは、一般的なブランディングと共通することです。

その商品に他にない強みがない場合、どれだけ広報を行ったところでブランド化することは不可能でしょう。

同じく地域ブランディングにおいても、その地域の強みを活かすことができなければ失敗に終わってしまいます。

 

強みとは、一般的な観光資源に限りません。

幅広い視点で地域を見直してみれば、必ずその地域の特色を見つけることができます。

特色を見つけた後は、それを深掘りし、発信方法を工夫すればどの地域でも地域ブランディングは可能になります。

固定観念にとらわれず、地域の特色を掘り出していきましょう。

 

ポイント2 需要・ニーズに合わせる

消費者や市場のニーズを的確に把握することも大切です。

自分たちがこれを発信したいという気持ちを前提に地域ブランディングを進めてしまうと、そのニーズから外れてしまう可能性が高くなります。

流行に流されどこかにあるような名産品やキャラクターのブランド化を試みた結果、誰にも見向きもされないということがあり得ます。

そうならないためには、前項で説明した特色の洗い出しが完了した後に必ず市場調査を実施することが必要です。

 

洗い出された特色に対するニーズを把握し、その情報を参考に適切なターゲットに届く発信を行うべきです。

自分たちの願いや思いだけに流されず、きちんとした戦略を練った上で地域ブランディングの方向性を定めていきましょう。

 

ポイント3 地域と企業が一体となる

3Rとは

  • Relevance(地域社会との繋がり)
  • Relationship(支援者との関係構築)
  • Reputation(消費者からの評判形成)

の3つの要素から成る言葉です。

地域のブランドを形成するためには、この3つのRが重要だと言われています。

しかし、地域ブランディングを実施する関係者間で、意思統一がとれていないことがブランディングの障害となることがあります。

民間企業のみでブランディングを行う場合は、利益の追求という共通目的があるので意思統一は難しくありません。

また、行政主体の場合も地域活性化等が目的とされるため比較的容易に意思統一は可能です。

 

しかしながら、多くの地域ブランディングは民間企業と地域団体や行政などが連携して一緒に取り組むため、意思統一が簡単ではありません。

地域ブランディングには様々な立場の人々が関わることが欠かせないため、この問題は避けて通ることができないものです。

地域ブランディング成功のためには、地域内の意思統一を図ることに尽力することが大切です。

 

ポイント4 地域ブランディングの理念を決める

地域ブランディングのプロジェクトチーム内で定めた目的やターゲットから、地域ブランディングの理念を決定し、それを地域の人々に発信していくことが重要です。

そのために、ロゴマークやイメージカラー、キャッチコピーなどをつくり、パンフレットやWEBサイトに載せるのも効果的でしょう。

理念を浸透させることで地域全体が方向性を認識し、地域ブランディングが成功しやすくなります

 

ポイント5 体験型の企画をつくる

近年は、「体験型」のコンテンツが消費者に刺さる傾向にあります。

例えば、地域の特産物を店頭に並べただけでは消費者の購買意欲にはつながらないですが、試食や試飲を提供することにより、消費者はその「体験」を通して特産物の魅力を感じやすくなるのです。

地域ブランディングを考える時も、トレンドである「体験型」の企画を取り入れるようにしましょう。

 

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地域ブランディングの方法の例

地域ブランディングには様々な方法がありますので、あなたの地域ブランディングの目的・ターゲット・理念に合った手法を選択しましょう。

ここでは4つ例をあげます。

  • テレビや新聞、ネットなどを活用し宣伝する
  • イベントを開催しプロモーションする
  • メディアを招待する
  • 記者発表会を行う

適切な形の広報活動により、認知度の向上を目指しましょう。

まとめ

皆様の中には、これまでに何度も地域ブランディングに挑戦し、思うような結果を残せずに幕引きを迎えることになった方もいるかと思います。

失敗事例の多くは、その地域に強みとなる特色が無かったわけではありません。

固定概念にとらわれたり、各主体の利害調整に気をとられたりして議論の空転を招き、結果として安易な特産品開発やゆるキャラ製作に至ってしまうということが多くの失敗事例の原因です。

 

また、長期的な視点から計画を策定することができず、一過性のイベント施策に成り下がってしまっているものも見受けられます。

継続的な地域の魅力発信を目指すのであれば、そのことについても注意を怠らないことが必要です。

 

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