出版と発行の違い

出版と発行の違い

本や雑誌などを制作して世の中に出す際、さまざまな言葉が使用されます。よく耳にする言葉でいうと、「出版」や「発行」があります。

何気なくこれらの言葉を使っている人は多いですが、意味の違いについて考えたことのある方は少ないのではないでしょうか。使い分けがよく分からないと感じる方も多いでしょう。

 

ここでは、「出版」と「発行」の意味や、これらの違いについて詳しく解説していきます。

 

 

 

「出版」とは?

「出版」という言葉そのものの意味は、「文章などを印刷して世の中に広く行き渡らせること」です。

本の出版と聞くと、文章を印刷している書籍というイメージが大きいですが、出版されるのは文章のみの書籍だけではありません。図面や写真などを組み合わせて印刷したものが、書籍や雑誌などの紙媒体として販売されるのです。

また出版という言葉には、印刷物を企画する段階から制作、マーケティングの段階までの工程が含まれることもあります。

 

出版の歴史は古く、古代ギリシアやローマ、中国まで遡ることができます。製紙技術の発展は、出版業に大きな影響を与えました。

その後印刷技術がヨーロッパ全土に広まり、20世紀にはコンピューターの技術向上とともに、さらに出版業が盛んになっていきました。現代では、さまざまな内容の書籍や雑誌などが、あらゆる媒体で出版されています。

ただし、ネットワークを通して書籍や雑誌などが配信される場合は、出版とは呼びません。

 

そんな出版は、大きく分けて3種類に分かれています。「商業出版」、「自費出版」、そして「企業出版」です。

 

 

出版社主導で制作される「商業出版」

商業出版というのは、出版社が企画し制作するものです。

出版社はまず本の内容や著者を決めて、「売れる本」を世に送り出すことを目指します。そのためには、取り上げるテーマにこだわったり、ベストセラーが書けるような著者を選定したりすることが重要です。

 

そんな商業出版のメリットは、主に以下の3つです。

 

  • 出版社が制作費を負担する

商業出版の場合、制作費は出版社が負担します。そのため、著者は費用のことを心配せずに本を書けます。

 

  • 印税収入が入ってくる

執筆した本が売れると著者には印税収入が入ります。大ヒットし発行部数が多くなると、非常に大きな収入を得るチャンスになるでしょう。

 

  • 発行部数が多い

商業出版による書籍の出版では、ヒットさせることが重要です。それゆえ、発行部数は3000部以上であり、数多くの書店で販売されます。

多くの人が目にするきっかけとなるため、著者の知名度アップに繋がります。

 

一方、以下のようなデメリットも考えられるでしょう。

 

  • 著者の意図とずれる可能性がある

出版社はベストセラーを作ることを目的としているため、多くの人にとって分かりやすく受け入れられやすい本が求められる傾向にあります。したがって、著者が本当に伝えたい情報を書けない可能性があるのです。

 

著者主導で制作される「自費出版」

自費出版というのは、著者が制作費を負担して書籍を出版する方法です。著者自身が企画や執筆、印刷や販売などを行います。

自費出版によって制作される本の種類は、多岐にわたります。たとえば、小説や自伝、コラムなどです。

「自分のことを知ってもらいたい」、「自分の情報を人々と共有したい」などの思いから、本が制作されることが多いでしょう。

 

そんな自費出版のメリットは、以下のような点です。

 

  • 著者のメッセージを伝えられる

商業出版では、分かりやすさや売れるかどうかが重視されます。しかし自費出版では、著者が自分の思いやメッセージをしっかりと伝えられます。

本を読んでほしいターゲットを絞って、専門的な内容の本を書くこともできるでしょう。

 

  • 著者が主体になれる

自費出版では出版社が制作に関わらないため、著者に多くの決定権があります。

本のテーマや内容はもちろん、ページ数や表紙デザイン、タイトルデザインなどを、ある程度自由に決められるのです。

 

ただし、以下のようなデメリットもあります。

 

  • 費用が自己負担である

自費出版の費用は著者が負担します。表紙デザインや用紙、色などさまざまな要素によって、制作費がとても大きくなることが考えられるでしょう。安く抑えようとすると、クオリティの低い本になる可能性もあります。

そのため、まずは予算をしっかり考えなければいけません。

 

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企業主導の目的に合わせた「企業出版」

企業出版というのは、企業が集客やブランディングなどを目的に書籍を出版する方法です。

具体的には、自社の商品やサービスを知ってもらうため、企業理念をより社員に理解してもらうためなどの目的があります。商業出版と自費出版の中間のような方法だといえるでしょう。

「カスタム出版」や「ブランディング出版」といわれることもあります。

なお、出版にかかる費用を負担するのは、出版社ではなく企業です。

 

企業出版には以下のようなメリットが挙げられます。

 

  • さまざまな課題を解決できる

企業が書籍を出版することで、商品の認知度が低い、企業理念が浸透していないなどの課題を解決できます。企業の魅力を伝えることで、採用活動に活かすこともできるでしょう。

 

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  • プロのライターに依頼できる

企業出版の本を執筆するのは、経営者や広報担当者であるケースが多いです。しかし、プロのライターに執筆を依頼することも可能です。

 

一方、デメリットもあります。

 

  • 制作費を負担しなければいけない

制作費は企業が負担するため、もちろん大きな費用がかかります。全国の書店に流通させようとすると、費用が膨れあがる可能性もあるでしょう。

流通させる規模や本のクオリティ、予算について、事前によく検討する必要があります。

 

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「発行」とは

「発行」とは、著作物の複製物を世に出すことを言います。

著作物の複製は、著作権者またはその了承を得た人が行います。また、ここでいう「著作物」は本だけでなく、CDやDVDなども含まれるのです。

また著作物以外には、「紙幣を発行する」などの使い方もあります。紙幣や旅券、証明書などを作って世に出す際にも、「発行」という漢字が使われます。

 

なお、海賊版(違法にコピーされたCDやDVDなど)について言及する時には、注意が必要です。正規品が流通しておらず、海賊版だけが世の中に出回っていたとしても、それは「未発行」という扱いになります。

海賊版が流通している数や知名度などは関係ありません。何万部、何百万部出回っていたとしても、正規品が流通していない限りは、未発行の状態なのです。

「発行」は、あくまでも適法に行われていることが条件なので、使い分けには注意しましょう。

 

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よく間違われる「発刊」との違い

出版と発行以外にも、よく間違われる言葉があります。それが、「発刊」です。聞いたことがあっても、正確な意味を知らない方が多いのではないでしょうか。

 

「発刊」とは、継続して出版されるものを世に出すことです。たとえば、毎週出版される週刊誌や、毎月出版される月刊コミック雑誌などが挙げられます。なお、これらの本は「定期刊行物」と呼ばれます。

ただし、定期刊行物全てに「発刊」を使用するわけではありません。初めて定期刊行物を出版する時に使うのは、「創刊」という言葉です。

つまり、雑誌Aが初めて世に出た時には「2000年4月に雑誌Aが創刊された」と言います。2回目以降は、「2000年5月に雑誌Aが発刊された」という使い方になります。

 

まとめ

「出版」と「発行」の違いについて、理解が深まったでしょうか。

出版は主に書籍に対して使われる言葉で、商業出版・自費出版・企業出版という3種類に分かれています。

発行は、書籍だけでなくCDやDVDにも使われる言葉で、適法に行われることが条件です。

また、「発刊」は継続して出版されるものに使います。

これらの違いはややこしいですが、意味を理解しながら正しく使い分けましょう。

 

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マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。

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