本の作り方で重要な構成はどう作れば良い?ポイントも紹介

知識の発信や思想の共有を試みるうえで、本の出版はもっとも実効性が高い手段の1つです。

またベストセラー化によって多額の印税を得られるなど夢の大きいビジネスでもあるため、インターネットが発展した今でも多くの人が本作りに挑戦しています。

しかし本作りに着手してから、実際に出版までたどり着ける人はそう多くありません。

書きたいことを断片的にイメージしているだけでは、まず序盤で行き詰まるからです。

仮に勢いだけでそれなりの文章量を稼いだとしても、その後の修正に膨大な時間と気力を費やすことになります。

よって本を一冊スムーズに書き上げるためには、事前に本の「構成」を作ることが何より大切です。

この記事では本の構成を作る具体的な手順、および本文をより書き進めやすくするためのポイントについて解説していきます!

 

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なぜ本の作り方の中で構成が重要なのか

これから本の構成に関する情報を一通り紹介していきますが、「すぐに実践しよう」という心構えでなければせっかくの知識も活かせません。

そこでまずは本作りの中でなぜ構成が重要なのか、および構成作業を怠るとどのような事態に陥るのかを解説します。

 

理由1. 本の中身や方向性に大きく影響を及ぼすため

本の構成とは分かりやすくいえば、「何を書きたいのか」および「それをどういう順序で伝えるのか」を明確にする作業です。

この2点がぼやけたままでは、執筆を進めるほどに中身も方向性もチグハグになっていき、最終的には「どういう層に読んでほしいのかよく分からない本」に仕上がってしまいます。

スタートからゴールまでの道筋を事前に敷いておかなければ、数百ページにおよぶ作業の中で内容の一貫性を保つことはできません。

これから本を書き始める方はもちろん、執筆に行き詰まっている方もぜひ一旦手を止めていただき、まずは本の構成に十分な時間を割くよう心がけてください。

 

理由2. スムーズに執筆できなくなるため

本の構成不足によって中身や方向性がブレていくと、「何を書きたいのか」が自分でも分からなくなってしまいます。

そうして筆の止まる機会が増えていけば、やがて本を書くモチベーション自体を喪失する結果にもなりかねません。

何十日にもおよぶ執筆活動をスムーズに進めていくためには、書く内容に悩む時間を可能な限り削減することが重要です。

この記事を参考に本の構成を整えておけば、勢い任せに書き進めるよりもはるかに早く出版へたどり着けることでしょう。

 

構成を作る前にしておくべきこと

具体的な構成のコツを解説する前に、まずは本を出版するうえで必須となる「企画書」の作り方を紹介します。

内容のブレを防ぐうえでも構成と同じくらい重要なので、本を書こうと思ったらまずは企画書から取り組んでみてください。

 

本の企画書を作る

企画書とは本の制作に対し、出版社がゴーサインを出すか否かの基準となる書類です。

 

<企画書の基本情報>

  • タイトルおよびサブタイトル
  • キャッチコピー
  • 本の概要(数百字程度)
  • 著者情報

 

タイトルでは本の内容を、キャッチコピーでは「その本を読むメリット」をそれぞれ簡潔に提示していきます。

いずれも本の売れ行きを左右する大事な要素の一つなので、短い文章と言えども決して手は抜かないよう注意してください。

 

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本の企画書で必要な情報

本の企画書では上記の基本情報に加え、企画意図やマーケティング上の勝算を出版社に対して明確に提示する必要があります。

まず企画意図に関しては社会的背景と著者情報を照らし合わせ、「世間のこういうニーズは私の本でこそ満たせる」という形で記載していきましょう。

また出版社側に「この本は売れる」と思わせるためには、同一ジャンルの既存商品と比べて何が優れているのかを分かりやすくアピールすることが大切です。

その本の強みを事前に言葉にしておくと執筆中も方向性を保ちやすくなるので、特に提出を求められていない場合もぜひ企画書を作成してみてください。

 

自費出版の場合は印刷方法も考えておく

出版に関わる費用を自己負担する「自費出版」の場合、出版社へのアピールが必要ないぶん企画書作りの難易度は多少下がります。

しかし自費出版では印刷・製本も自費で賄うことになるため、印刷方法や発行部数に関しては慎重に検討しなければいけません。

具体的な料金例は以下の通りですが、各社とも用紙のサイズや材質が異なっており、額面だけでの比較が難しいという点は覚えておきましょう。

またどうしても費用の節約を最優先にしたい場合は、印刷会社を介しての自費出版も適宜検討してみてください。

 

<自費出版の依頼料金一例>

風詠社:128ページ×500部で約62万円

東京図書出版:200ページ×100部で約70万円

 

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本の構成を作る上での流れ

本項では、本の構成作りに関する具体的な手順を紹介します。

本文を執筆するときの自分になるべく楽をさせるためにも、「あとは文章をあてはめるだけ」と言えるくらいの丁寧な構成を目指してみてください。

 

本に書きたいことを書き出す

まずは広めたい知識や紹介したいエピソード、あるいは共有したい思想など、本に盛り込みたい内容をもれなく書き出していきましょう。

それらを大元のテーマに照らし合わせ、各情報の必要性に優先順位をつけていくのが構成の第一歩です。

書きたい内容がおおよそ固まったら、次は「書かなければいけない内容」を適宜追加していきます。

具体的には思想の根拠や知識のエビデンスといった情報であり、これらの書き込み具合は本の信頼性に大きく関わるため、少しでもあいまいな部分が残るような情報は載せない方が無難です。

「書きたいこと」から「書くべきこと」を選別する際は、以下の3項目を明確に説明できるかどうかを一番の基準とするよう心がけてください。

 

  1. 書きたい知識・思想
  2. 1の裏付け・根拠
  3. 1の情報が実生活(実社会)にどう活きるのか

 

書き出した内容をもとに章や見出しを組み立てる

続いては書き出した内容を数通りにジャンル分けし、それらを作業手順や時系列、あるいは専門性の低い順に章立てしていく作業が必要です。

さらに各章を論点ごとに見出し分けしたのち、各見出しの概要を「結論→根拠→実例→再結論」の順でまとめていくと、ようやく実用的な構成ができあがります。

また本の購入可否を試し読みで決める人も多いため、大元となる主張や結論はなるべく冒頭に配置し、その本のメリットを読者がすぐに実感できるような構成を心がけてください。

 

最後に構成全体を見直す

章や見出しの配置が一通り完了したら、しばらく時間をおいたのちに構成全体を見直してみましょう。

全体的に論点が散らかっていないか、各章の見出しに過不足がないかなど、本の読みづらさにつながるエラーはくまなく修正していく必要があります。

とはいえ実際の商業出版においては本の企画・構成を出版社が徹底サポートしてくれるため、セルフチェックにそこまで多くの手間を費やす必要はありません。

 

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本の構成を作る上でのポイント

最後に、本の構成作業をよりスムーズに進めるためのポイントを10点紹介します。

構成に時間がかかりすぎると本文を書く前に創作意欲が冷めかねないので、ぜひ以下の各ポイントを参考に効率的な構成作りをしていきましょう。

 

時間に余裕を持って作る

本を企画してから実際に制作・出版するまでの期間は、一般的に半年前後といわれています。

そのため世間の流行や社会情勢に沿って本を企画したものの、いざ出版する頃にはそれらの事情がまるっきり変わってしまっているケースも少なくありません。

また本作りに慣れていない、日々執筆に充てられる時間が少ないなど、出版が遅れる原因は多々あります。

よって本を特定の時期に出版したい場合は、その半年~1年ほど前から余裕をもって書き始めるよう心がけてください。

 

企画書に沿った構成を作る

本の構成とは読者へのメッセージを効果的に伝えるための論理立てであり、単に書きたいことを順番に並べるだけの作業ではありません。

読者にとって「どんな情報がどれだけ必要か」をつねに考慮しながら、各章・各見出しのボリュームを調整する必要があります。

この作業において大いに役立つのが、本作りの第一歩として紹介した「企画書」です。

企画書には出版の動機となる社会的背景や他の書籍との差別化点など、「その本でしか満たせないニーズ」を顕在化するための情報が簡潔にまとめられています。

構成を作る中で章や見出しの優先順位に困った際は、ぜひ一旦手を止め企画書のチェックに立ち返ってみてください。

 

最も注目されたいポイントを重視して構成を組み立てる

本の構成では読者のニーズを満たすことと同じくらい、自分が注目してほしい部分を熱く語ることも大切です。

そうして本の内容から著者自身へと読者の興味を移すことができれば、次の本を出版する際に多少なりとも売り上げのアドバンテージを得られることでしょう。

 

またニーズと無関係に特定の見出しをボリュームアップする場合、その点にこだわる理由を著者のプロフィールに絡めて紹介できると本の説得力が格段に増します。

著者情報がまとめられた企画書はここでも活用できるので、本の構成作業はぜひとも企画書を隣に置きながら進めてみてください。

 

本の構成における基本的な流れを知っておく

本というのはほぼ例外なく、以下の要素によって構成されます。

 

  1. はじめに(本の内容やターゲットを簡潔に説明)
  2. 目次(各章・各節のタイトルを箇条書き)
  3. 本編
  4. おわりに(読者への感謝・メッセージ)

 

執筆に行き詰まる原因の多くは、1や2の作り込みをおろそかにしたまま本編を書き進めてしまうことです。

本編より前の工程に十分な時間を費やした方が、最終的にはより早く出版までたどり着けるので、構成作業はぜひ上記の順に沿う形で進めてみてください。

 

「はじめに」を用意する意味

「はじめに」では本の内容やターゲットに加え、その本を読むメリットを分かりやすく提示する必要があります。

目次よりも前に記載される関係上、オンライン書店の試し読みなどで目に入りやすいため、「はじめに」の書き込みが本の売り上げを左右するといっても過言ではありません。

 

具体的には企画書で定めた「この本でこそ満たせるニーズ」、および構成作業の中で選別した「個人的に一番注目してほしいポイント」を一通り記載していきます。

ただし冒頭から膨大な文章を並べてもそれはそれで読者の意欲を削いでしまうため、あくまでも「簡潔に」記載していくことを忘れないでください。

 

「おわりに」を用意する意味

「おわりに」は本編の後に記載される締めの文章であり、主に読者へのメッセージや主要テーマに関する今後の展望などを書くのが一般的です。

書籍自体の役割は本編を読ませた時点で終わっているため、「おわりに」を最低限の謝辞だけで済ませる人は商業作家の間でも少なくありません。

 

しかし「おわりに」の文章を作り込み、読者に心地よい読後感を与えることは、次の本を買ってもらううえで非常に重要な役割を果たします。

一冊の本としてまとまりを良くするためにも、本を作る際はぜひ最後の一文まで気合を入れてみてください。

 

章と節、見出しの違いを知っておく

目次の構成は章・節・見出しの3段階から成り立っており、各章の情報量のバランスを保つうえで節や見出しの配置はとても重要です。

なお節とはテーマ別に設けた章を論点や段階によって細分化する要素であり、さらにその節を特定のキーワードで区切ったものが見出しになります。

章のテーマに無関係な節を作らないこと、節の議題から逸脱した見出しを作らないことをそれぞれ意識していれば、本文を書く際も主張や情報がチグハグになる心配はありません。

 

章は5〜8章が一般的

目次の構成では章や節の順番だけでなく、各セクションの文章量についても気を遣う必要があります。

長すぎる章は分割し、短すぎる章は他の章に統合するといった形で、各章のボリュームをなるべく均一に近づけていきましょう。

 

また章自体の数に関しても多すぎると難解なイメージを、少なすぎると情報不足なイメージをそれぞれ与えてしまうので、なるべく5~8章ほどのちょうどいいボリュームを目指すよう心がけてください。

 

いきなり完璧な構成を目指さない

初心者が本の制作を諦めてしまう理由は、大きく分けて2つあります。

1つは勢い任せに書き進めた結果、どこから直せばいいかも分からず収拾がつかなくなること。

そしてもう1つは綿密な構成を作り上げたものの、その時点で本作りへの情熱を使い果たしてしまうことです。

 

本作りのメインはあくまでも原稿執筆であり、構成は本文を進めやすくするための補助作業にすぎません。

構成が一度固まったらその時点で試しに本文を書き進め、行き詰まるようなら適宜修正する、くらいのスタンスがちょうどいいでしょう。

 

執筆時に章のボリュームが適切かどうかチェックする

構成段階で章の数が適切な水準(5~8個)に収まっている場合、本文執筆後に章の足し引きが必要になる事態はなるべく避けたいものです。

構成を作る際は各セクションにあらかじめ字数目安を設けたうえ、本文執筆中もその章のボリュームが適切かどうかを常に考えながら書き進めていってください。

 

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本の作り方で重要な構成だからこそ時間をかけて取り組もう

本作りで大切なのは「各情報をどういう順番で、それぞれどこまで深堀りするか」という点であり、これを明確化するうえで本の構成作業は決して欠かせません。

本の出版を計画している方は、ぜひこの記事を参考に一歩ずつ制作を進めていってください。

 

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投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。

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