7年間の集大成を22名の共著出版で実現! 共著だからこそ出来た事と苦労した事とは? 

今回は、脳神経外科の先生でいらっしゃる太田貴裕さんにお話をお伺いしました。日々の仕事の傍ら、ニッチ脳神経脈管カンファレンス(NNAC)の運営もされていらっしゃる太田氏。

今回出版された本は、NNACの活動の直近約7年分の中から特に優秀な論文が抜粋された第2集にあたる大作です。

「1人ではとても無理だった」と語る太田さんに、共著出版のあれこれを隈無くお伺いしました。共著出版に興味がある方、必見です!

 

太田貴裕(オオタ タカヒロ)
東京都立多摩総合医療センター脳神経外科 部長

〈略歴〉
1973年 東京練馬区生まれ
1998年 東京大学医学部卒業
虎の門病院、東京厚生年金病院(現:JCHO東京新宿メディカルセンター)、会津中央病院、東京大学医学部付属病院を経て
2010年 東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科医長
2021年 同、脳神経外科部長
―――――――――――――――
2019年 Interventional Neuroradiology, Assistant editor
2020年 Niche Neuro-angiology Conference 運営世話人

 

聞き手:本日はお忙しい中、お時間を作って頂きありがとうございます。

今回、太田先生は共著という形で本を出版されましたが、共著出版のメリットや大変だった事を中心にお伺いできたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

太田さん:よろしくお願いします。

 

 

聞き手:まず、ニッチ脳神経脈管カンファレンスとは、具体的にどういう団体なのでしょうか。

太田さん:ニッチ脳神経脈管カンファレンス(NNAC)は、略して「ニッチの会」と呼んでいますが、脳・脊髄の血管解剖、稀な脳血管病変などをテーマに、年1回、一堂に会してディスカッションをする会として、今から15年前の2006年に始まりました。

ニッチというのは「隙間」という意味があります。いわゆる、よく一般的に知られている病気ではなく症例が少ないもの、でも患者さんにとっては大事な病気です。

症例が少ないという事は、医者ひとりが経験する例も少ないという事になります。そういった珍しい症例を全国から持ち寄って、症状や治療経過などを知識・経験として共有すれば全体のレベルアップに繋がりますよね。ニッチの会は、珍しい病気の元にある脳の血管の解剖など基本的なものから一緒に勉強していく事を目的として始まった会です。

 

 

聞き手:以前にも本を一冊出版されていますよね?

太田さん:はい。ニッチの会は、今回の本の監修者でもある小宮山雅樹先生が立ち上げられた会で、私が直接関わり始めたのはつい最近の事なんです。

ニッチの会は毎年1回の研究会が講義形式で行われます。一人当たり30分くらいの時間があり、大体10〜15人ぐらいの先生たちの講義をみんなで聞きます。

その講義の内容の要約がHPに掲載されているのですが、この会が発足されてプロシーディング(※)が6〜7年分溜まってきたので、そこから優秀なものを集めたものが第1集として出版されました。

第1集を出してからまた7年ほど経ち、プロシーディングも溜まってきたので、ちょうど良い時期だろうという事で今回の第2集目の出版が決まったという経緯です。

(※)プロシーディングとは、学会が出版する学術雑誌ではなく、あくまでもその会議で発表する予定原稿をまとめたもの。 そのため、掲載への査読がない、またはあってもそれほど(査読付き学術ジャーナルほど)厳しくないことが多いので、査読付き論文とは別の出版物として扱われる。

 

聞き手:なるほど。本はもう色んな方に手に取ってもらっていますか?

太田さん:はい。ただコロナのことがあって直接お話出来ていないので、感想はまだ聞けていないんです。学会では普段会えない先生と会える時なので、本来その時にお渡ししたり、学会で販売したりするのですが・・。

 

 

聞き手:コロナの影響で出版前には想定していなかった事もあったんですね。でもアマゾンで購入ができるので多くの方に手に取ってもらいたいですね。

太田さん:そうですね。出版直後、アマゾンのランキング順位も高かったですよね?

 

 

聞き手:はい、そうですね。僕たちも今までに経験がない分野の本だったので、どのくらい手に取ってもらえるのか未知数だったのですが、正直予想以上でした!

今回は共著で22名の方が執筆されていますが、段取りはどのようにされたのですか?

太田さん:新しく執筆してもらったのではなく、過去7年くらいのプロシーディングから面白そうなものを私の方でピックアップして、章立てを考えました。目次の大枠を考えてから、選んだものを書いた先生に直接依頼をしていきました。

 

 

聞き手:なるほど。太田先生が選んだという事ですが、監修者の小宮山先生にも相談して決めていかれたのですか?

太田さん:はい、小宮山先生には都度相談しながら決めていきました。プロシーディングの内容で選んでいるので、人によっては題が1つだったり4つだったりと様々です。

 

 

聞き手:先生によって文量にも差が出てくると思いますが、症例をわかりやすく説明するためにも、そこはあまり気にせずに進められたのでしょうか。

太田さん:そうですね。今回プリントオンデマンド出版で良かったことが、ページ数に制限がないという事でした。通常の出版だと何ページまでと決められていると思うのですが、その制限がなかったので「書きたいように書いてください」と依頼する事ができました。

あと今回の本の特徴として画像をたくさん入れる事が出来た、というのがあります。脳のCTやMRIの血管写真ってかなり細かい画像になるので、結構大きめの画像を載せないといけないんです。ページ数に制限がない事で、大きな写真もたくさん入れることができたのは大変助かりました。

 

聞き手:なるほど。確かに今回写真や図解がたくさん載っていますよね。他に良かった点はありましたか?

太田さん:あとはオールカラーで仕上がったのがすごく良かったという意見を頂きました。印刷前にPDFでチェックしていた色味と若干の差はありましたがそれでも充分きれいだと思います。利益が目的の本ではないので、値段が安く設定できたのも良かったですね。

 

 

聞き手:出版全体で何か苦労した事はありましたか?

太田さん:出版に関わるのは初めてだったので、どのくらいのペースで進めていけるのか分からない部分がありました。何度もやり取りはしましたが、担当のNさんが細かく教えてくださいましたし、特に不安はありませんでしたね。

 

 

聞き手:では出版スケジュールも比較的思った通りだったのでしょうか?

太田さん:実は、今回の出版を考え始めたのが一昨年で、色々な出版社にあたりましたが、販売数が何千部も売れる本ではないので商業的に難しい、とことごとく受け入れてもらえませんでした。

半ば出版を諦めかけていたところ、ラーニングスさんからのメールが届いて、プリントオンデマンドという方法があるんだと知ったのが、昨年の2020年初め頃でした。そこから具体的に動き出し、お話を頂いてからはスムーズに進んだと思います。

 

 

聞き手:出版計画は以前からあったのですね。

共著で出版して良かったこと、大変だったこと、印象に残ったこと等はありますか?

太田さん:1人で全部書くのは無理な文量ですし、それぞれ得意な分野を各先生に書いてもらってこそ出来た事なので、共著出版をして何より良かった事だと思います。

大変だった事は原稿の締め切り管理でした。やはり提示した締め切りに遅れる方もいらっしゃって。先生がたも忙しい身なので、あまり催促するのも申し訳ないし、でも締め切りは守って頂きたいし・・という思いの狭間にいました。ただ遅れても1ヶ月遅れくらいで済んだので良かったです。

 

 

聞き手:出版後の本の使い方は具体的にどのような想定をされていましたか?

太田さん:元々ニッチの会で販売する事を前提にしていたのですが、コロナの影響もあり研究会が開けていないんです。当初の予定から狂ってしまいましたが、知っている先生にメールしたりツイッターに載せたりと、地道な宣伝をしています。

 

 

聞き手:でもこれは流行り廃りのある本じゃなく、ずっと使える本ですもんね。

太田さん:そうなんです。内容は5年10年経っても古くはならないので、そういう意味では、今後読んでくれる人が増えていけばいいなと思っています。

 

 

聞き手:将来的に第3集は考えていらっしゃいますか?

太田さん:そうですね、この会が続いていればまた何年後かにあると思います。

まだ解明されていないことが多い分野ですし、最近の基礎研究で分かってきた事もあるので、ニッチの会は今後も続いていくと思いますよ。

 

 

聞き手:最後にこれから本を出版考えている人や、共著を考えている方にメッセージがあればお願いできますか?

太田さん:今回の場合、研究会の日にちに合わせて出版計画を立てていた事もありますが、「出版はいつかそのうちに」と考えているより、決まったゴール設定があると良いと思います。

 

 

聞き手:確かに共著をお願いする時も、出版日に合わせて逆算したスケジュールを伝えることが出来ればお願いしやすいし、説得力がありますよね(笑)。

太田さん:そうですね、そう思います。実際スケジュールも、原稿が集まってから編集作業まで事前にお聞きした通りに進みました。今回英語も混じっていましたし、医学領域は初めてと聞いていましたが、どんどん原稿が返ってきて、修正作業が非常にスムーズだったので感謝しています。

 

 

聞き手:ありがとうございます。また何か出版する事があればぜひお声がけください!今回は貴重なお話をありがとうございました。

 

聞き手プロフィール:梶田洋平
出版ベンチャー企業「ラーニングス株式会社」の代表取締役。大学卒業後は証券会社に入社し、2つの支店で法人、リテールの営業活動に尽力。5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。これまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書は3000冊以上。『出版を変える、出版で変える』を合言葉に、はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象とした事業を展開。出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。好きな本の分野は経営者の自叙伝やマーケティング、経営に関する実用書。愛知県名古屋市出身。趣味は読書とスポーツ観戦。

投稿者プロフィール

佐々木 かずみ
佐々木 かずみ
新卒で大手旅行会社に入社し企画部に4年従事。
地方にはまだ知られていない観光資源がある現状を知り、地域活性化に興味を持つ。退職後、長野の乗鞍高原の宿にて宿泊業、東京に戻りインバウンド業界に転職し経験を積む。
現在、兼業ライターとして日々勉強中。
将来の夢は、日本全国を飛び回り、地方の魅力を発信するライターになる事:)
趣味は旅行と読書、犬の画像集め。

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