自費出版時の校正のやり方とコツ

自費出版する際には、一般的な校正の手順を知っておかなければなりません。

校正することで文章の精度をあげられ、作者に対しての読者の印象もアップします。

どうやって校正するのか、そしてそのコツにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

 

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間違えやすい「校閲」と「校正」

校正と校閲は似ていますが、校正は文字や文章の正誤をチェックしていく作業なのに対し、校閲は文章の情報に間違いがないかをチェックすることを指します。

それぞれ仕事内容が異なりますよね。

校閲は実体験などではあまり必要がありませんが、どこかから情報を引っ張り込む時には重要になってきます。

対して校正は、情報を入れようが入れまいが必要なことです。

「校正」とは

「校正」は、文字や文章の正誤を1つずつチェックしていく作業のことです。

具体的には、ひらがな、漢字、熟語、ことわざ、言葉の表現などが正しいかどうかを確認します。

今はネットを使って変換できるのでアナログ的なミスは減りましたが、逆にタイプミスなどは増えたためしっかりとチェックしなければいけません。

校正には、「突き合わせ」「赤字照合」の2つの作業があります。

突き合わせとは、元原稿と出版社の制作物を見比べて、1字ずつ誤りを慎重に探していくことを言います。

一方赤字照合とは、「各段階での修正点」が正しくなっているかを確認することを指します。

修正点を中心にチェックするという徹底ぶりです。

「校閲」とは

校閲とは、文章の情報そのものに偽りがないかチェックすることです。

そして校閲は主に「素読み」と「事実確認」の2つの作業があります。

素読みとは、全体的な内容や表現が一貫していること、矛盾がないこと、誤字脱字が無いかを、第三者の目線で客観的にチェックしていくことです。

事実確認はその名の通り事実かどうかを確認していくものです。

小説であればその中に出てくる人名や地名だけでなく、固有名詞、歴史、事件、法律、科学、数字のデータ類など、あらゆる情報が正しいかどうかをチェックしていきます。

情報源は書籍も使えますが、インターネットや新聞等の資料を元にすることがあります。

 

一般的な校正の手順

校正するには手順があり、初校、再校、著者校正、校了の4つから成り立っています。

それぞれどのようなことをするのか見ていきましょう。

初校

初校とは、入稿した原稿をもとに組まれる最初の校正刷りのことという意味がありますが、それ以外にもその校正刷りに対して、初めて校正作業することという意味もあります。

校正刷りはゲラとも呼ばれ、校正するため仮に刷られた印刷物のことを言います。

校正するためだけに刷られるものもあることを覚えておきましょう。

本を出版するということは、このようにして何十もの工程があるのです。

再校(二校)

再校は、初校で修正した文字などを反映した2回目の校正刷りや、初校の修正が間違いなく反映されているか、修正漏れがないかなどをチェックすることです。

ちなみに、再校で確認をした後、さらに出した校正刷りを「三校」と呼ぶびます。

それ以降は「四校」「五校」となっていきます。

人間ですからミスはしますが、チェックは何回やっても損にはなりません。

実際、世界的ベストセラーでも販売後に間違った固有名詞が使われたという事例があるため、間違いは珍しいことではないと言えます。

著者校正

著者正は、著者自身が文章を確認し、校正が自分が思ったような表現になっているかどうかを確認することです。

校正して文章を正したはずが、実はその結果著者が思いったような伝え方になっていなかったとなればそれは問題です。

校正が正しいかどうかの最終確認を、著者本人に行ってもらうということですね。

校正する人と著者が別人なら、意味を正しく取れないことだってあるでしょう。

そこの擦り合わせを行うのは大切です。

校了

校了とは、校正完了という意味です。別の言い方に「責了」という言葉もあり、どちらも使われます。

ただ、「校了」はあくまで自分自身の終わりの合図であるのに対し、「責了」は、発注者本人ではなく、印刷会社、または制作会社が自らの責任において校了することを指します。

細かい違いがあるので使い分ける時には注意しましょう。

 

文章校正の精度を上げるためのコツ

文章校正の精度を上げるためのコツは、実際に印刷して文章を確認することです。

他にも、確認は数回に分けること、誤字脱字がある前提でチェックすること、時間を空けてチェックし直すことなど、たくさんあります。

以下で詳しく見ていきます。

印刷して文章を確認する

文章校正するコツの1つに、実際に印刷して文章を確認する方法があります。

これは、モニターで校正すると視認率が25%も下がるというデータがあるためです。

人間の目は不思議なもので、アナログの方が向いているらしいのです。

また、モノクロでプリントアウトすることも重要です。なぜなら、色が使われる場合そのコントラストの視認性も確認できるからです。

そのコントラストが低い場合、視覚障がい者や高齢者には読みにくいことを表しているので、改善した方が良いと判断できます。

確認するときは数回分けて

校正のもう1つのコツは、確認する時には数回に分けることです。

同じ要素に絞って数回に分けてチェックしていきます。

同じ要素とは、例えばカタカナ、数字などです。最初は数字に絞ってチェックしていき、次はカタカナだけを確認するという方法です。

この場合、文章の内容は確認できないためそこは無視します。

意味を理解しつつ間違いを見つけていくとなると脳の使用容量が多くなり、ミスを逃しやすくなるからです。

あくまで文字は記号だと捉えるのがコツで、それが間違っていないかを入念にチェックします。

誤字脱字がある前提で文章を確認する

また、誤字脱字は最初からあるものだと思い、常に疑いの目でチェックすることもコツです。

意識的にミスを見つけようとしながら文章と向き合います。

時間の感覚を空けて確認する

時間の感覚を空けてから校正を行うと良い理由は、そうしないと間違いを見つけにくくなるからです。

1日以上空けた方が客観的になれ、間違いに気付きやすくなります。

同じ文章を何度も短時間に見ると、見つけられるミスも見つけられなくなります。

表記の統一を意識する

表記の統一を意識することも校閲のコツです。

例えば、「わたしは」「私は」「わたくしは」など、表現が混在すると読者は違和感を覚えますよね。

これを表記ゆれと言います。

表記ゆれの一例

  • ウェブ / WEB / Web / web
  • オススメ/ お勧め/ お薦め
  • 東京オリンピック / 東京五輪
  • 打ち合わせ / 打ち合せ/ 打合せ
  • 税込み / 税込
  • 行なう / 行う

慣用句の言い回しも同様です。

よく間違われている慣用句の一例

  • ×押しも押されぬ → 〇押しも押されもせぬ
  • ×情報漏えいを守る → 〇情報漏えいを防ぐ
  • ×思いもつかない → 〇思いもよらない
  • ×脚光を集める → 〇脚光を浴びる
  • ×采配を振るう → 〇采配を振る
  • ×頭をかしげる → 〇首をかしげる

同音異義語や熟語は間違いやすい

同音異義語や熟語も間違いやすいポイントなので要チェックです。

同音異義語の一例

  • イガイ(以外、意外)
  • カテイ(過程、課程)
  • イドウ(移動、異動、異同)
  • フシン(不振、不審、不信)
  • サイカイ(再開、再会)
  • カンシン(関心、感心、歓心)
  • ホショウ(補償、保証、保障)

適切な句読点の使用ができているか

日本語で文章を書く際に注意したいのが、適切に句読点が使われているかです。

一応のルールはあり、読みやすい文章は、句点までが50文字程度、1つの文中の読点は平均1.5個になるので、1~2個くらいが適切です。

数字や固有名詞などのミスには要注意

地名や社名、個人名などが間違っていると読者は別のものなのかなと混乱します。

他にも、施設名だったり電話番号、住所などを書く際には念入りにチェックが必要です。

固有名詞を間違えると信頼が落ちますし、著者に対する読者の不信感を拭えない場合もあります。

 

より良い文章で、自費出版の質を上げよう

より良い文章にするには校正が必要不可欠であることがわかりました。

自費出版するなら、その質を上げるのに一役買ってくれるでしょう。

読者は1文字のミスであっても目ざとく見つけることが多々あります。

信用される本になるよう心がけましょう。

 

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投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

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