商業出版や自費出版は耳慣れた言葉だと思いますが、「企業出版」という言葉はご存じでしょうか。
企業出版とは、企業や経営者が自社の成長を目的として出版するものです。
制作費が著者負担となるのは自費出版と同様ですが、企業出版には自社の売上や認知向上など、より明確な目的があります。
本記事では、企業出版ならではのメリットについて、自費出版との相違点もふまえながら解説していきます。
企業出版とは?
企業出版は、書籍を活用して集客やブランディングといった経営課題を解決します。
「カスタム出版」や「ブランディング出版」と呼ばれることもあります。
テレビや新聞、WebサイトやSNSなど、企業の商品やサービスをPRする媒体はさまざまです。
書籍もそのような広告ツールのひとつですが、他の媒体と比べて信頼性・信憑性が高いのが特徴で、他媒体への展開力、長期的な広告効果といった強みもあります。
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自費出版とは?
自費出版とは著者が費用を負担して、書籍制作を行う出版形式のことをいいます。
企画から執筆、編集まで、各制作工程で出版社からの指示がないため、タイトルや内容などを自由に決められるのが主なメリットです。
一方デメリットには、制作費がかかるうえに、発行部数も少ないことなどがあります。
企業出版のように、出版社による制作や営業活動に対するサポートがないため、書店で流通されることが少ない点も挙げられるでしょう。
自身の考えや活動内容を伝えたいという目的で出版に至るケースが多いため、自費出版は企業ではなく個人の利用者が多いのが現状です。
企業出版のメリット
自費出版と同様に、出版費用を自己負担して企業や経営者が「企業出版」することには、明確な理由や目的があります。
ここでは下記に、3つのメリットを紹介します。
集客を伸ばせる
企業が集客を伸ばすための手法として、まず「広告」が挙げられます。世間的な認知度としては高くはありませんが、書籍もそのひとつです。
他の広告媒体よりも、見込み顧客へのPRに効果的だといえます。
書籍の場合、お客様自身が書店に出向いて手に入れるのが一般的です。自分の時間とお金を割くということは、その分情報収集に対する熱量が高いと考えられます。
また、書籍の出版をしているという事実が、顧客へ安心感を与えるのも書籍ならでは。信頼を得やすくなるため、商談でのコミュニケーションツールとしての活用方法もあります。
ブランディングの実現
情報に厚みがあるのも、書籍ならではの良さです。
新聞やWebサイト、SNSなど他の媒体と比べて、十分な企業情報が伝えることができて信頼性が高くなります。
単に商品やサービスを紹介するだけでなく、経営理念や創業ストーリーも交えてメッセージを届けることも可能です。
メッセージ性も含むことにより、企業のブランディング効果も期待できます。
顧客に向けたアピールだけでなく、インナーブランディングにも役立つでしょう。
企業のブランド力を高める方法として、「インナーブランディング」があります。 似た言葉に「エクスターナルブランディング」があるため、違いが分からない方もいるでしょう。 ここでは、 […]
人材育成を高める効果
他の媒体と比べて、書籍では凝縮できる情報量が圧倒的に多いのも特徴です。
そのため、企業出版することにより、商品・サービスのことだけでなく企業自体についても詳しく紹介することができます。
商品・サービスの魅力や開発秘話、創業者の想いなど、ストーリー性のある内容にすることで社員からも理解されやすく共感を生むことに繋がります。
企業理念や経営戦略等が社内で浸透することはつまり、人材育成効果も期待できるということです。
いろいろな出版方法で書籍は出版することができますが、その中で企業出版を選択する会社も多いでしょう。 企業出版は従業員のモチベーションアップや人材確保などの経営課題解決のために出版社と書籍を制作していき、費用は会社側が全額負担します。 […]
企業出版に潜む落とし穴
企業にとってさまざまなメリットをもつ企業出版ですが、「集客に繋がるから」という理由だけで安易に決断してしまうのは考えものです。
うまくいかないケースもあることを知ったうえで、どのような形で出版するのかきちんと計画を立てることが大切です。
パートナー選びが大事
「出版すれば絶対に売れる!」「書籍の効果で必ず集客に繋がる!」などのセールストークにのせられて、だまされてしまうケースもあります。
魅力的な謳い文句にのって出版に踏み切ったものの、一切効果が感じられずに大損してしまうことにもなりかねません。
出版に関わるパートナー選びは非常に重要。まずは、信頼できる出版社に依頼することです。
効果を出すためにかかる費用や、必要な出版・販売部数はどれくらいになるのかなど、きちんと分析しておくことも大事でしょう。
販売部数の伸びしろが難しい
書籍は、うまく活用すれば企業にとって高い効果が期待できるものの、書籍自体に「積極的に書籍を読む人は少数派」といった懸念事項があります。
企業出版であれば、「ビジネス書」分野での売り出しになりますが、販売部数が1万部でベストセラー、3万部で大ベストセラーといわれるのが現状です。
しかも、出版した書籍が届くのは、活字慣れしていてその書籍のテーマに興味がある層の人たちが主です。多くの人に広く読まれるのは少しハードルが高いといえます。
ただしその分、手に取ってくれた人たちに、強く印象付けることが可能です。
パートナーとして信頼できる出版社とは
企業出版にかかる費用は、企業にとって広告費でもあります。
その投資額は決して安いものではなく、出版のパートナー選びに失敗すると、大きな損失になり得ます。
どのような特徴があれば「良いパートナー」だといえるのか、3つのポイントを紹介します。
読者のニーズに合わせたアドバイスをくれる
出版にかかる利益だけでなく、読者のニーズに合わせたアドバイスをくれる出版社が理想です。
書籍を出版する企業にとっての本当の利益をきちんと理解したうえで、企画や戦略を提案してくれるパートナーであれば信頼できます。
企業の成長のために、長期的に出版していくこと可能性も考慮する必要があります。
企業出版の目的が集客や企業ブランディング、人材育成だとすると、出版によって一時的な利益を得るのではなく、継続して効果が期待できるようなものでなくてはなりません。
マーケティングなどの戦略を提案してくれる
企業出版においては、ただ「書籍を出版した」という実績ではなく、採用人数が増えたり売上が伸びたりといった「成果」が目に見えるかどうかも重要です。
そのため、企業出版することの目的をふまえて、マーケティングなどの戦略を提案してくれるパートナーが望ましいと考えられます。
個人的な考えや想いをまとめる自費出版とは違って、企業出版には企業が成長するという、より大きく具体的な目標があるものです。
それを実現するためには、企業マーケティングや広告戦略などを共に考え、親身になってアドバイスをしてくれるようなパートナーの存在が欠かせません。
質のいい文章がかけるライターや編集者がいる
読みやすく良い文章を執筆できるかどうかで、書籍の売れ行きや効果に大きな差が生じます。
そのため、執筆・編集をパートナー企業に委託する場合、その「質」を確認するべきです。
たしかに質のいいコンテンツに仕上がったからといって、効果につながる保証があるわけではありません。
しかしながら、出版業界が厳しい状況だと言われる昨今、質が悪いものだとそもそもその書籍が手に取られることはまず期待できないと考えるべきです。
また、専門的な知識があり、企業に対する理解度高いライターや編集者がいると、出版までの工程がスムーズになるといったメリットもあります。
まとめ
企業出版は、書籍を通して企業理念などを伝えることで、集客アップや企業ブランディングの構築、優秀な人材育成を行うものです。
書籍の出版そのものを目的とするのではなく、企業の成長という目的を見据えて出版する必要があります。
企業にとっての本当の利益や効果とは何か、きちんと理解してくれているパートナーと共に実現させていきましょう。
投稿者プロフィール
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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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