自分の本を出版することを夢見ている人にとっては、本を出すための費用が気になるはず。
実際、1冊の本が生み出されるまでにどのくらいのお金がかかっているのか、あまり公には知られていません。
個人が自費出版をする際には、編集や校正をはじめ、デザイン代、印刷代などさまざまな費用がかさむものです。
ここでは、
- 書籍をつくる際の人件費
- 書籍のデザイン費
- 書籍のDTP(印刷物のデータを制作する)にかかる費用
- 書籍の校正費
- 用紙代や印刷代
といった、出版にかかる費用の内訳を具体的に見ていきましょう。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
本を1冊出版する際にかかる費用について
出版社に製作を依頼した場合、1冊の本を出版するためにかかる費用は、およそ100万円~1,000万円程度とされています。
「1冊の本を出すためにそんなにかかるもの!?」と驚く人もいるかもしれません。
しかし、本のデザインやイラスト、表紙や紙質にこだわってオリジナル感を出したり、企画〜製作〜販売までの間に関わる人たちの人件費や製作費などをトータルすると、100~1,000万円程度かかってしまうもの。
価格に大きな差が開いている理由は、本によって発行部数が違ったり、出版社が本が完成するまでの工程でどこまで関わるか違いがあるためです。
予算があまりかけられない場合は、もちろん費用を抑えることも可能です。
表紙や紙質など、本の出来栄えにこだわりがなければ、製作自体にかかる費用を削減できます。
また、本の発行部数を少なめに設定することで費用を抑えることもできます。
出版社に、制作〜販促までお願いするとなれば、最低でも200〜300万円かかることが多いです。
しかし「販促だけお願いする」、「製作だけお願いする」など、全て出版社のお世話にならず、自分で進められる工程があれば自分で対応するようにするだけでも費用はかなり抑えられるでしょう。
書籍制作の詳しい内訳について解説
出版にかかる費用の具体的な内訳をみていきましょう。
自費出版か商業出版かの違いや、出版会社や業者によって微妙な違いはありますが、1冊の本が完成するまでの基本的な出版費用は以下の5つに分類されます。
- 編集、執筆の人件費
- デザイン費
- 校正費
- 印刷代
- DTP費
しかし、これはあくまでも出版に限ったもの。
本を売るとなれば、営業にかかる人件費や、宣伝にかかる広告費、書店や問屋に支払うための手数料、出来上がった本を保管するための倉庫代などなど、その他諸々の費用がかかることを忘れてはいけません。
それでは、ここからは出版にかかる費用の内訳を詳しく確認していきましょう。
編集・執筆者の人件費
人件費とは、本の執筆者をはじめ、出版に関わる編集者や校正者にかかる費用になります。
本を完成させるための執筆者にかかる費用は、およそ数十万円。また、1冊の本を完成させるためには、編集者が1人つくことが多いです。
編集者が1人つく場合の費用は、およそ30〜50万円程度になります。
本の内容のクオリティを上げたい場合は、打ち合わせ回数を増やすこともありますが、打ち合わせ回数や校正回数によって費用も変動していく場合があります。
本に関わるデザイン費
本に関わるデザイン費用は、大きく分けて本のカバーデザイン(ハード)と本の中身(ソフト)に分類されます。
本の表紙にかかるカバーデザインは、およそ10万円程度が相場となります。本の中身である本文デザインにかかる費用はおよそ4~8万円程度が相場になります。
本の内容に途中でイラストや写真などの画像を入れる場合は、プロのデザイナーやイラストレーター、カメラマンに依頼する費用も別途かかります。
専用アプリへのデータ変換 DTP費
DTPとは、DeskTop Publishing(デスクトップパブリッシング)の頭文字をとって略した略称です。日本語では「机上出版」や「卓上出版」と言われています。
DTPをわかりやすく説明すると、コンピュータを使って印刷物を実際に作成することを言います。
かつてパソコンやソフトがなかった時代は、製版など印刷までの全ての工程は専門職が分担して作業を行っていましたが、パソコンが誕生したことにより、全て1人でパソコンを使って行えるようになったのです。
一般的にDTPは、「DTPデザイナー」と「DTPオペレーター」の2つに分類されています。
DTPデザイナーは、準備されたテキストやイラストをデザインしてデータを作成します。
DTPオペレーターは、DTPデザイナーが作成した原案をデータに変換します。
出版社によってさまざまですが、昨今は特に、以上のような印刷物のデザインからデータ変換までを担当してくれる「DTPデザイナー」や「DTPオペレーター」に支払うDTP費用も必要になってくるケースが増えています。
文章の誤字・脱字がないかをチェックする校正費
本を出すためには、文章に誤字脱字がないか、間違った表現がないか、矛盾している箇所はないか、誤った情報を明記していないかなどをチェックする校正作業が必要不可欠です。
この校正を担当する校正者の方にかかる費用は、1冊につきおよそ5~10万円が相場となります。
校正担当に、どこまで細かくチェックしてもらうかによっても費用は変わってくることもあります。
例えば、簡単な文法チェック「てにをは」、「ら抜き言葉」や、文体の確認程度の場合は1冊数万円程度で抑えることができます。
用紙代も含む、印刷代
本の用紙など印刷にかかる費用は、用紙の種類によって費用が違ってきます。
例えば、本にオリジナリティを出すために、特殊な用紙やカバーを指定した場合は、通常よりも費用は高くなります。
小説やビジネス書など、本の内容や特徴によってそれぞれに合う用紙やカバーが存在するため、作品のジャンルによって印刷代は大きく変わります。
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書籍の流通にかかる費用の内訳
続いて、本を出版してから書店に並ぶまでの流通にかかる費用の内訳を確認していきましょう。
● 営業担当者の人件費
ただ単に本を作っただけでは売れません。
本の販売場所を考えたり、売り上げを伸ばすために書籍の魅力を販売店の方に伝えたりなど、販売促進を行う役割を担うのが出版者の営業担当です。
● 部戻し
出版社と書店の間に入る問屋のことを「取次」といいます。
この取次を介して書籍を流通させる場合、流通のための手数料が必要となります。
流通手数料は企業によってさまざまですが、一般的にはおよそ【本体定価 × 流通部数 × 5%】となることが多いです。
● 棚代
取次を間に入れず書店に直接契約する場合、自社の本を置くためのスペースを買って本を並べることを棚代といいます。
書店によって棚代にかかる費用は異なりますが、一ヶ月およそ10万円ほどかかるケースもあります。
● 倉庫代
出版社で作成した本は、部数が多いため倉庫に保管するケースがほとんどです。
その保管するための費用として倉庫代がかかります。
出版の方法によって金額が違う
出版と一言で言っても、出版には「商業出版」と「自費出版」の2種類に分けられます。
どちらを選ぶのかでかかる費用にも差があるため、それぞれの違いを押さえておきましょう。
■「商業出版」の場合
商業出版では、出版にかかる費用や工程をすべて出版社が負担して本を出します。
私たちが書店の店頭で目にしているほとんどの本が、この商業出版によって出された本です。商業出版は、出版界の中でもメインの出版方法となります。
基本的に原稿を書く作業以外の、編集・校正・装丁・販促・倉庫にかかる費用なども全て出版社が負担します。
■「自費出版」の場合
自費出版とは、著者が自分自身で費用を捻出し本を出版することです。費用を支払えば誰でも本を出すことができるのが自費出版の特徴です。
自分の本を作るだけなら、およそ100万円ほどあれば可能です。
しかし、100万円の費用内で果たして書店に本を置いてもらうことができるのか?販促ができるのか?という疑問が沸くかと思います。端的な回答としては、難しいと言えます。
本を売ることが目的なら、営業や販促のために自分自身が尽力を費やすか、販促を請け負ってくれる出版社に依頼することが必要になります。
自費出版で出した本を売りたい場合には、本を出した後のプロモーションにかける費用のことも考えなくてはいけません。
まとめ
本1冊を作り上げるためにかかる費用は、大まかに今回ご紹介した内容となります。
編集や校正、DTP、印刷代、倉庫代など、本を読む側としてはあまり意識していないことにも費用がかかります。
また自費出版か商業出版かによって、出版にかかる費用は前後してきます。
ご自身の予算を設定したうえで、どのような形で出版するのかを検討しましょう。
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投稿者プロフィール
- 学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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