自費出版時には契約書をチェックしてトラブルを回避

自費出版するときにトラブルの原因になるのが契約書の内容です。

どんな契約にも当てはることだとは思いますが、口約束だけでは言った・言わないの水掛け論になりかねません。

しっかりと契約書で契約を結んで、両者お互い納得の上で自費出版を進めていくべきです。

この記事では自費出版する際に知っておきたい契約書の基本的なチェックポイントと、ありがちなトラブルの事例を詳しく紹介していきます。

 

 

出版 資料

 

契約するときのチェックポイント

出版時にチェックしたい契約のポイントは大まかに7つあります。

出版物を制作する前にぜひ把握しておきましょう。

出版権を理解しておく

自費出版する上で最初にチェックしたいのが出版権です。

出版権とは、著作物を出版する権利のこと。通常は、著作者がその著作物を出版する権利を出版社に対して付与しまうケースが多いです。

紙の書籍だけでなく、Webなどの電子出版も出版の範囲に含まれます。

ただし、テレビやラジオの放送は出版には含まれません。

自費出版するときは、出版社と出版契約を交わします。

契約することで全国の書店に書籍を流通できるようになります。

出版社を通さずに個人販売する場合、書店によっては出版物を置いてくれません。

自費出版の場合であっても、出版社と契約を結ぶのがベストといえるでしょう。

出版契約をすると、その期間中は他の出版社での出版が原則禁止とされる場合が多いです。

契約の有効期限が切れるまで出版社を変更できないということです。

こういった背景があることからも、契約の期間については慎重にチェックしましょう。

契約期間が問題となるのは、作品が大ブームになった場合です。人気になったことで、より大手の出版社から条件のいいオファーがくるかもしれません。

しかし、契約期間内だと新たなオファーを受けられなくなります。

一般的に、出版契約は1~3年のスパンで結ばれます。

事前に、著作者が申し出たときは期間を短くできるという契約内容にしておけば、途中で期間を短縮することも可能です。

書籍の所有権と著作権を理解しておく

つづいて、所有権と著作権の違いについてもチェックしておきましょう。

所有権と著作権は似ていますが法律的には異なります。所有権とは、現物に対する権利です。

自費出版の場合であれば、出版済みの書籍がそれに該当します。

一方で著作権は、形がない著作についての権利です。

所有権を出版社に渡したとしても、著作権は著作者に残ります。

所有権を出版社に渡すと、売れ残った本は出版社の所有物となります。

また、基本的には断裁する権利も出版社が持つのです。

所有権を渡さず自分で持つためには、本来であれば本の保管を自分でしなければなりません。

しかし、それは現実的ではありません。著者が出版社に委託するのが業界的にも一般的です。

いわゆる代理販売のイメージというと分かりやすいでしょう。

そのため、収入の扱いは印税ではなく売上金になります。

 

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自費出版 著作権

 

出版費用がいくらかかるか

自費出版では、出版にかかる費用をすべて自分で出します。

自費出版の場合の費用の合計がいくらかかるのかをここではチェックしていきましょう。

見積もり書に内訳が書かれていないときは、詳細を質問します。

何に対して、いくらの費用が発生するかをハッキリさせておきましょう。

制作のどの範囲が費用に含まれるか

自費出版の見積もり額を大きく変える要素が本の構成です。

本の構成とは、カバーや表紙デザイン、ページ数、発行部数などです。

ソフトカバーとハードカバーでは、ハードカバーのほうが高い値段となります。

表紙デザインも、立体的なデザインのように凝ったものを制作すると値段が高くなる傾向です。

本の構成以外では、編集費用、校正費用、宣伝費用、保管費用、装丁費用がかかります。

編集や校正はその度合いによって料金が変化。宣伝費用はWeb広告や新聞広告を利用したときの費用です。

保管費用は書籍を倉庫で保管するときの料金です。装丁費用は本の外形が複雑なほど高くなります。

また、書籍の途中に挿絵やイラスト、図表を入れる場合も別料金が発生します。

書籍の保管費用がいくらになるか

次にチェックしたいのは書籍の保管費用です。

著者は基本的に、書籍の保管を出版社に委託します。

そして、契約終了時には売れ残った本を引き取ります。

保管を委託する形式上、出版費用と保管費用は別で計算されることがあります。

トータルの費用の中に保管費用が含まれているかをチェックしましょう。

また、契約が終わったあと、保管の延長が可能であるかも明確にしておきます。

出版のキャンセル料

出版契約しようと思ったが、途中で条件が合わないことに気づいたり、出版のための費用を捻出できなくなったときの確認事項です。

多くの出版社では、キャンセル料を支払うことによって契約をキャンセル可能です。

キャンセルのタイミングによって料金が変わります。タイミングが早いほど料金は安くなります。

本を制作するまでには様々な工程がありますが、工程の進み具合によってキャンセル料が決まります。

契約書にキャンセルについての記載があるかチェックしましょう。

売上を分配するときの内訳

最後のチェック事項は、売上分配の内訳です。簡単に言ってしまえば、本が一冊売れたときに、どれくらいの収入が自分に入ってくるか、です。

出版社に依頼して本を流通させる場合、書店や取次にもマージンを取られます。

書店はわかりやすいですが、取次は馴染みがないかもしれません。

取次は、正確には出版取次といい、出版社と書店を繋ぐ流通業者のことを指します。

基本的に、取次に書籍を卸したときの掛け率は65%程度です。

たとえば、定価1,280円で販売される書籍が1冊売れたとき、出版社は取次から832円の売上金を受け取ります。

ここから配送や梱包の費用を差し引いて、残りを著者に支払います。

売上の分配率は出版社によって異なります。定価×販売した数×50%で計算すると、簡単な式で著者が受け取れる金額の目安を算出できます。

 

自費出版で気をつけたいトラブル

最近は、Webメディアを通じて自分の作品を簡単に公開できるようになりました。

公開した作品に対して、自費出版を持ちかけられることもあるでしょう。しかし、中には悪質な業者が勧誘してくることもあります。

ここでは自費出版する際に注意したいポイントを紹介します。

必ず本が売れるとは限らない

勧誘の文言で注意したいのは全国流通という言葉です。

全国流通の書籍が200万円の費用で作れると言われ、200万円を支払った例です。

本が1冊売れるたびに収入を貰える契約でしたが、本が売れずに200万円の損失になってしまいました。

全国流通だからといって本が売れるとは限りません。

初版で発行する部数や、初期費用はしっかりと吟味して調整しましょう。

ポジティブな言葉だけで勧誘したり、著者にプラスになる条件ばかりを出す出版社には要注意です。

製本された書籍の品質が低い

本が出来上がったときのトラブルとして、書籍の品質が思ったより悪かったという例です。

自分で大金を支払って本を作ったのに、品質が悪いとがっかりするでしょう。

自分や身内だけが読むメモリアル的な本として出版した場合はもちろん、全国流通させてビジネス展開するにあたっても品質は重要です。

本が出来上がったときは、落丁や印刷のかすれがないかを念入りにチェックしましょう。

出版社側に落ち度がある場合は、そのことを申し出ます。契約書の段階で、出版社側に落ち度があった場合の対応について触れておくと安心できます。

想定以上の費用を請求された

悪質な出版社の場合は、料金体系をわざとわかりにくく表記することがあります。

そうでなくても、出版には複雑な料金計算が必要です。

契約の前に、トータルの費用をチェックしておきましょう。

また、編集や校正をした結果、ページ数が変更になることがあります。

ページ数が変わると料金も変わります。制作している途中に変更が発生した場合、見積もりを再発行して貰うことが大切です。

 

契約チェックでトラブルを回避しよう

今回は、自費出版時に気をつけたい契約書のチェックポイントをご紹介しました。

契約の前に出版権、所有権、著作権の違いを理解しておくのが失敗しないコツです。

また、出版を持ちかけられたときは全体の費用を問い合わせ、本が売れなかったときの損失についても考えておきましょう。

見積もり書には詳細を記載して貰い、常に最新の費用を把握しておくことでトラブルを回避できます。

 

 

出版 資料

投稿者プロフィール

久保木 彩子
久保木 彩子
新卒で羽田空港で働いた後、卒業旅行で興味を持ったバンコクへ移住しホテル勤務。
2年半のバンコク生活を終えて帰国した後、Webライターとして活動中。

【一言あいさつ】
将来は自分の書いた文章で、たくさんの人をHAPPYにできる人になりたいです!!
好きなことは絵を描くこと、代々木公園をお散歩すること、散歩している犬を触ることです♡
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