出版企画書の書き方 出版社の目に留まるには

本を出版するためには、出版企画書を書いて出版社に提出する必要があります。

出版企画書は、本の内容や出版の目的などを提示するためのもので、非常に重要な書類です。

出版企画書の内容によって、実際に本を出せるかどうかが判断されるといっても過言ではないでしょう。しかし、実際に書くべき内容やポイントなどが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、出版企画書の概要や項目リスト、本の売り上げアップに必要なことなどを解説します。

 

 

 

出版企画書とは

出版企画書というのは、出版社の編集者に対して、本と筆者をアピールするための書類です。

企画書という名称ですが、出版企画書の提出によって本の出版が決定するわけではありません。出版企画書をもとに、編集者たちがその本を出版するかどうかを審議します。いわゆる提案書のような位置づけです。

また、担当者1人が気に入るだけでは出版できません。企画会議や営業会議を経て、本の出版が決まるのです。

では、会議を通過して本が出版されるためには、どのような企画書を作成すればいいのでしょうか。

1つ目のポイントは、読者ターゲットを絞ることです。

年齢や性別だけでなく、趣味嗜好や職業などの細かい設定まで考えることで、読者ターゲットは明確になります。

2つ目のポイントは、販促方法を考えておくことです。

宣伝にSNSやインターネットを使う、店頭ポップを作成するなどの方法を明確に示すことで出版につながりやすいと言えます。

 

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出版企画書の基本的な項目リスト

出版企画書には、さまざまな項目があります。

しかし、どの程度の情報を記載すべきか、どこに力を入れるべきなのか分からない方もいるでしょう。

ここからは、出版企画書に記載すべき基本的な項目を解説します。

 

基本情報

まず、最低限必要な基本情報について、以下に記載します。

  • 本のタイトル・サブタイトル
  • 目次
  • 本の内容
  • 筆者の名前
  • 筆者の基本プロフィール
  • キャッチコピー

 

タイトルやサブタイトル、目次は仮のもので構いません。

筆者のプロフィールとしては、出身地や卒業校などのほか、出版する本に関する情報を記載します。影響力のあるSNSアカウントなどを運営している場合は、それらの情報も追加してください。

 

出版の目的・背景

「なぜ今本を出版したいのか」、「なぜ自分が書いた本を世に出す必要があるのか」という点を、出版社に伝える必要があります。

「今ある本ではどのような情報が不足しているのか?」、「すでに世に出ている本の何が間違っているのか?」といった質問にも答えられるようにしなければいけません。

 

たとえば、すでに世にあるダイエット方法よりも効率的に痩せられる方法を見つけたのであれば、「私はどの本よりも効率的なダイエット方法を届けられるため、本を出版する」という答えになるでしょう。

 

読者ターゲット

本を出版する際に重要なのが、どの程度の売り上げが期待できるのかということです。読者ターゲットの数や範囲を把握することで、最大の売り上げが予測できます。

 

たとえば、ダイエットに関する本は「ダイエットに興味がある人の数」以上の売り上げは見込めません。

料理に関する本は、「料理をする人の数」以上は売れないでしょう。

このように、読者ターゲットを絞り込んで、ある程度の売り上げを予測することが求められます。ターゲットが広いほど、部数も多くなることが期待できるでしょう。

 

一方、あまりにもターゲットが限られているニッチな本の場合、商業出版での出版は難しくなってしまいます。商業出版を希望するのであれば、ある程度のターゲットがいる分野を狙いましょう。

 

読者のメリット

その本を読むことで、読者にどのようなメリットがあるのか、何を得られるのかを説明する必要があります。

「あなたの本には、お金を払って本を購入し、時間をかけて読むまでの価値があるのか?」という質問に答えられるようにしてください。

無料であらゆる情報を得られる現代において、その本を読むことの価値を明確に示すことは重要なのです。

 

実績や研究などの裏付け

ハウツー本などを出版したいと考えている場合は、本の内容を裏付ける情報を記載しましょう。

たとえば、ダイエット関連の本を書いたとしても、実際の例や研究がなければ信憑性がありません。デマを流してしまった場合、出版社の信用に傷が付く可能性があるため、裏付けを取ることは忘れないようにしましょう。

 

原稿

出版企画書を書いている時点の原稿を、少し載せておきましょう。

10ページ程度であっても、出版社は筆者の文章力などを把握できます。出版社に最も読んでほしい部分の原稿を提出するのがおすすめです。

 

その他の情報

その他に、原稿の完成予定日やページ数、構成案などを載せておいてもいいでしょう。文章で伝えにくい部分に関しては、イラストや図を活用してみてください。

また、似たような内容の有名な本があれば、その本の情報も載せましょう。そうすることで、コンセプトなどが伝わりやすくなります。

ただし、類書がある場合はどのようにして差別化を図るのかを考えておくことが大切です。

 

 

本の売り上げアップに必要なこと

出版社が食いつくような出版企画書を作成し、実際に出版が決まったとしても、売れなければ意味がありません。

したがって、本の売り上げアップに必要なことについて事前に理解しておきましょう。

 

自分で宣伝する

商業出版の場合は、出版社が宣伝まで行ってくれることが多いでしょう。しかし、インターネットが普及している現代では、筆者が自ら宣伝することも可能です。

たとえば、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用して宣伝できます。無料で利用できるため、活用して損はないでしょう。注目されるような発信をすることで、拡散機能によって一気に情報が広がることも期待できます。

他にも、自分のホームページやブログ、動画サイトなどで宣伝する方法があります。

利用者の多いインターネットを活用して、より多くの人に自分の本のことを知ってもらいましょう。

 

口コミを増やす

本に限らず、さまざまな商品を購入する前に多くの人が参考にするのが口コミです。

口コミの数が多く、評価が良ければ、興味を持って購入に進む人が増えるでしょう。インターネット上でも商品を販売するのであれば、口コミは非常に重要なのです。

そこで、口コミの数を増やす努力をしましょう。

まずは、身内や友人などの身の回りの人に読んでもらうことで、口コミの記入を依頼できます。身内や友人から、さらに知人などに本を勧めてもらうことで、口コミの獲得につながるでしょう。

 

書店にPOPを置く

書店には、数多くの本にあらゆる内容のPOPが置いてあります。書店で何気なく目にしている方も多いでしょう。

実は、POPもマーケティング戦略に含まれるのです。

POPに書いてある内容やキャッチフレーズが印象的であれば、読者の目に留まることが期待できます。特に目当ての本がなく書店を訪れている人に向けて、効果的にアピールできるでしょう。

なお、POP作成は書店に依頼できることもありますが、自分で用意することをおすすめします。イラストなども入れながら注目されるPOPを作れば、よりアピールできて効果的です。

 

魅力的な帯を付ける

書店に並んでいる本には、さまざまな帯が付けられています。

著名人からのメッセージや「○万部突破」などの情報が書かれており、読者の注目を集める工夫が凝らされています。

帯の内容によってベストセラーになった本もあり、帯は本の売り上げにとって非常に重要な要素なのです。

本の内容や強みを伝えられる、魅力的な帯を付けましょう。

 

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まとめ

出版企画書は、単に自分が書いた本を説明するものではありません。

出版の目的や本の価値なども説明するもので、実際に本を出すかどうかの判断材料となる資料です。読者に本を読んでもらう前に、編集者に企画書を認めてもらわなければいけません。

会議を通過するために、分かりやすくて具体的な出版企画書を作成しましょう。

特に、出版の目的や読者ターゲットについては詳しく記載することを忘れないことが重要です。

 

投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。

これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!