出版業界の売り上げは年々減少傾向です。売り上げが減少しているため、自分の本を売ることは難しいのでしょうか。
たしかに、さまざまな原因により出版の市場規模は縮小していますが、今までとは異なる方法で工夫することで本の売り上げをアップすることもできます。
今回は、自分の本を売る方法と、「なぜ自分の本が売れないのか」という本当の理由について解説します。
実際の出版に関して売れ行きはどうなっているの?
「本が売れない時代」と言われていますが、実際の出版業界の売り上げはどうなっているのでしょうか。
出版業界全体を見ると1996年頃をピークに長期的な低下傾向が続いており、市場規模も2019年時点では約1兆5,400億円となっています。
約1兆5,400億円の金額から、まだまだ大きな市場規模ではあるものの、ピークから比較すると減少しています。
特に紙媒体の書籍や雑誌離れが増えており、その一方で電子書籍の需要は大きくなっています。
現在は、電子書籍での出版にすることで比較的手の届きやすい金額で本を出せるようになりました。 スマホやタブレットが普及し、電子書籍の利用者が多くなったおかげです。 電子書籍は登録して一度オンライン上に掲[…]
2020年は出版業界の売り上げは増加した
1996年頃をピークに売り上げが減少していた出版業界ですが、2020年だけの売り上げをみると、約1兆6,000億円と前年度に比べると増加傾向となりました。
この理由として大きいのは「新型コロナウイルス感染症」です。
「新型コロナウイルス感染症」の影響により、外出の自粛・在宅時間の増加などから「巣ごもり生活」となった結果、出版業界の売り上げが増加したとみられています。
2020年の出版大手5社の売り上げ傾向
2020年は出版業界の売り上げが増加したこともあり、出版大手5社も増加傾向になりました。
実際に売上高は、講談社が前年比12.8%増、集英社は14.5%増、KADOKAWAは1.5%増、小学館は0.7%増、ゼンリンが6.3%減と5社中4社が前年比と比べると増加しています。
2020年の売り上げの傾向は、コミックス・ビジネス書・学習ドリル・参考書などの売り上げが好調となりました。
その中でも、集英社が発行していた「鬼滅の刃」が大ヒットとなり売り上げが大きく増加しています。
出版業界の市場規模が縮小している理由
2020年を除くと出版業界の売り上げは減少傾向です。しかし、なぜ出版業界の市場規模が縮小しているのでしょうか。
下記のような理由が考えられます。
- 活字離れが増えている
- 娯楽や情報を得る手段の多様化
- 団塊の世代が退職した
- フリマアプリの市場が成長した
1.活字離れが増えている
以前までは識字率が増加するとともに、紙媒体の利用率も増加傾向でした。
しかし、近年ではインターネットが大きく普及しました。特にスマホの普及したため多くの人が手軽にインターネットを使用できるようになったのです。
インターネットの普及につれて特に若者の活字離れが増加し、実際に大学生の読書時間を調査した結果によると「読書時間が0分」と答えた人が約50%という結果でした。
2.娯楽や情報を得る手段の多様化
以前までは、何か調べたい時や、知識を取り入れるための手段としては本を買うしかありませんでした。
しかし、現在では調べものや知識を取り入れる手段の多くは、インターネットやSNSを使用します。これらは簡単に調べることができるとともに、そのほとんどが無料もしくは安い値段で利用できます。
また、現在では娯楽の手段も増えています。
以前までは家にいる時は本を読む、もしくはテレビを見ることがほとんどでした。
しかし、近年では娯楽の手段として新たにYouTube・Netflix・Amazonプライムなど映像コンテンツが急成長したため、本を読む機会も大きく減少したのです。
3.団塊の世代が退職した
団塊の世代とは、第二次世界大戦直後の1947年~1949年にかけて「第一次ベビーブーム」と呼ばれた世代に生まれた人たちのことです。
この世代の人たちは現在70歳前後の年齢になりほとんどの人が退職しています。
この「団塊の世代」の人口は圧倒的に多く、それらの人は仕事帰りに本屋に立ち寄ってから帰宅することが度々でした。そのため、出版業界も「団塊の世代」をターゲットにした本を多く出版していたのです。
しかし「団塊の世代」のほとんどが定年退職する2005〜2006年以降では、本屋に立ち寄ってから帰宅する人も少なくなり売り上げの落ち込みが大きくなっています。
4.フリマアプリの市場が成長した
日本の出版物は「再販売価格維持制度」という制度で守られています。
この制度により書籍・雑誌などは、売られている地域や書店などによって値段に差が生じることは許されておらず、新品の本は出版社が決めた価格のみで販売することが必要です。
しかし、近年ではフリマアプリの市場が成長しました。フリマアプリなどは二次流通の市場であり、たとえ新品であっても中古本という扱いになるため、「再販売価格維持制度」が適応されません。
フリマアプリの成長により、1回読み終えた本を古本屋よりも高く売ることが可能になりました。
買い手側からしても、書店に行くよりも手軽かつ新品に近い状態の本を書店より安く買うことができるということでメリットが多く、これはフリマアプリが幅広く普及した原因の一つとなっています。
この傾向は今後も継続すると予測されており、「書店で気に入った本をフリマアプリで買う」、「本を読み終わったフリマアプリで売る」ということが多くみられることでしょう。
自分の本を売るために行うべき行動
ここまで出版業界全体の現状について解説しました。自分の本はどうやっても売れないのではないか、と思われるかもしれませんが、その答えは「ノー」です。
たしかに、従来と同じやり方を継続しても自分の本を売ることはできません。しかし、方法を工夫するだけで自分の本を多く売ることは可能です。
ここでは、自分の本を多く売るための行うべき行動について解説します。
ソーシャルネットワークを上手く使用する
2020年のスマホ普及率は約80%とほとんどの人はスマホを持っています。それに伴ってソーシャルネットワークも多くの人が利用しており、その人数は7,000万人以上となっているのです。
つまり、ソーシャルネットワークを上手く使用することにより、出版社ではなく自分自身で多くの人に本を宣伝することができます。
本の売り上げを上げるためには、Facebook・Twitter・Instagramなどのソーシャルネットワークを効果的に使用する必要があります。
ブログに載せる
以前まで、本の内容というのは購入するまでは一切公開されることはありませんでした。しかし、これだけ簡単に情報を得ることができるようになったため、多くの人が購入したい本の内容を事前に調べるようになっています。
自分の購入したい本を事前に調べて内容が気に入ったり、購入者のレビューが良かったりすると購入するケースは多いです。
レビューの場合、実際に購入した人しか載せることができません。しかし、自分のブログを運営して、そこに自分の本の内容を載せることにより情報を開示することができます。
さらにそのブログの下に購入場所へ移動するURLを入れると、より効果的に本を売ることが可能です。
書店まわりを行う
書店まわりするのは効果的なのかと疑問に思うかもしれません。しかし、実際は非常に効果的な方法です。
自分の本を売るためには、毎日200~300冊くらいの新刊が出版されている中で、何か特化したものがないと売り上げを増加させることは難しくなります。
その中で効果的な方法は書店まわりです。書店の人も販売員なため、実際に書店に足を運んで挨拶すると、その人の書いた本を売ろうと協力してくれるでしょう。
その他にも、書店に足を運んだ時に自作でPOPを持って行ったり配列の場所をお願いしたりすると、大きく売り上げも変わる可能性があります。
まとめ
今回は、自分の本を売るための方法について解説しました。出版業界全体では2020年は例外ですが、それ以外の売り上げは減少しています。
売り上げが減少している原因として活字離れなどの理由はあるものの、スマホの普及などから考えると誰でも手軽に本を読むことができる環境になっているのです。
そこで、今までと異なる方法で、自分の本を売るための工夫をすれば本の売れ行きは減少どころか増加する可能性もあるでしょう。
自分の本を売るための方法で悩んでいる場合は、ぜひ今回ご紹介した方法を実践してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
- 学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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