『寺院経営の法律・会計・税務 実務 宗教法人の法律と税務』 (田村実貴雄・著)

 

今回は『寺院経営の法律・会計・税務 実務 宗教法人の法律と税務』を出版されました、田村行政書士事務所の特定行政書士の田村実貴雄氏にインタビューさせていただきました。

本書では、行政書士のなかでもメインで扱う人は少ない「寺院経営」についてご解説されています。

宗教法人のご依頼に悩む士業の方、寺院を経営されている方はぜひご覧ください。

田村 実貴雄(たむら みきお)

田村行政書士事務所 特定行政書士。
1978年6月生まれ 大阪府出身
関西学院大学大学院司法研究科法務専攻修了
法務博士(専門職)
〈保有資格〉
特定行政書士(兵庫県行政書士会)
宅地建物取引士(登録地:大阪)
出入国在留管理局申請取次資格者
〈所属団体〉
兵庫県行政書士会
寺院実務法学会
家族信託・事業承継研究会
相続遺言実務家研究会

 

聞き手:経歴と現在の仕事について教えていただけますでしょうか

田村さん:近畿大学法学部を卒業後、関西学院大学大学院司法研究科を卒業しています。司法試験を目指していましたが、大学院を卒業した後に不動産会社に勤めました。会社勤めをしながら宅地建物取引士や行政書士の資格を取得していきました。

あるとき、勤務先の社長に「別会社を作るので、そこの社長をやらないか」というふうに誘われたんです。たいへん光栄なお声がけでしたが、当時勤めていた会社の社長をみていると、24時間365日ずっと不動産のことを考えているような方で、自分が不動産の社長をやるとしたらそこまで考えられるかなあと思うと、自信はありませんでした。どうせ頑張るなら、もともと勉強していた法律系の仕事について頑張っていく方が24時間365日仕事について考えられると思いました。それから社長就任をお断りして独立し、行政書士事務所を開業して現在に至っています。

 

聞き手:行政書士としてメインで扱っているのはどのような分野でしょうか?

田村さん:一番多いのは宗教法人関係、その次に多いのが相続・遺言といった終活関係です。メインといえばこの2つになりますかね。あとは起業支援、財務支援も取り扱うことが多く、最近は入管関係の方にも力いれています。

 

聞き手:宗教法人の業務をはじめたのはどのようなきっかけからだったんでしょうか?

田村さん:わたしは誘われると色んなところに出ていくタイプなのですが、たまたまお誘いいただいた飲み会に、とあるお坊さんが参加されていまして。そのお坊さんが宗教法人の世界をもっとよくしたいという志を持っていて、「よろしければお手伝いしていただけませんか?」とお声がけいただきました。それでちょっとやってみようと、やり始めたのがきっかけです。

ちょっとした出会いってすごく大事だなあと思いますね。

 

聞き手:なるほど、それではこの本を出版しようと思ったきっかけを教えてください。

田村さん:宗教法人は株式会社と同じような感覚で処理をするとうまくいかないところがあるので、同じ行政書士の方や司法書士の方からもご相談を受けることがよくあります。それだったら本という形でノウハウを提供して、宗教法人をサポートできる士業が増えたらいいなあと思いました。

また、住職の方は宗教家としてずっと活躍してきていますが、最近は宗教法人にもコンプライアンスが厳しく求められるようになり、法人の代表者としての責任も重要視されています。住職が安心して布教活動に専念できるように、宗教法人は何かするとき、こういう手続きが必要なんですよってことも知って頂きお役に立てればと思って本を書くことにしました。

 

聞き手:本の読みどころをおしえてください。

田村さん:この本は、お寺の住職やこれから住職になろうとしている若手の方、宗教法人をサポートしている弁護士・司法書士・行政書士・税理士といった士業の方に向けて書いた本です。

宗教の専門用語はなるべく使わず宗教法人の運営に関する実務基礎を基本的なところからきちんとお伝えしています。また、イメージを持ってもらいやすいように、著者が体験したことをコラムとしてお伝えしているところも読みどころです。

タイトルが固いので「難しそうですね」と言われることがありますが、入門書の位置付けですので、読んでいただくと「わかりやすい」と感じていただけるかと思います。

 

聞き手:今後、力をいれていきたい業務について教えてください。

田村さん:今回の本では、宗教法人の本としては珍しくマーケティングの分野にも触れさせていただきました。檀家離れが進み厳しい経営状況の宗教法人も多くおられます。また、今は大丈夫だけど将来に不安を感じている宗教法人も多いと実感しています。
そこで、お寺に人が集まるような仕組みづくりや、建設的な運営面でのサポート等を行い、地域コミュニティの場としての宗教法人、人々の心のよりどころとなる宗教法人を取り戻し、さらに盛り上げていけるような活動をしていきたいという風に考えています。

また、現在、宗教法人の手続に関する専用サイト(「お寺の手続き.com」https://oterasien.com/)の運営もしています。本に書けなかったこと等も掲載しておりますので、参考にしていただければと思います。寺院の方に向けたセミナーも開催していますので、そちらも今後より力を入れていきたいですね。

 

聞き手:次回作は、どのようなテーマを考えていますか?

田村さん:運営に役立つような情報を二冊目では書いていこうかなあと思っています。普通の会社でも、うまくいっている会社とうまくいっていない会社があると思いますが、宗教法人の場合も同じで、どんどん檀家さんが増えているお寺さんもあれば、檀家さんが増えなくて悩んでいるお寺さんもあります。そういった点について色々書かせていただけたらなあと。

こういったジャンルの本は少ないので、機会があればどんどん書いていきたいと思っています。

 

聞き手:本を読む方に向けてメッセージをお願いします。

田村さん:読んでいただきたい方がお寺さんと士業に分かれるので、それぞれのメッセージが分かれしまうのですが…。

まずお寺さんに関しては、世論の宗教法人に対する風当たりがどんどん厳しくなっている状況なので、そういった中でお寺の運営をどうしていったらいいのか?というところは、今後社会の中で生き残っていくためには非常に重要です。この本を読んで運営の基礎や組織としての形を見直すきっかけにしていただきたいと思います。
お寺の檀家さんや信者さんとの関係維持や、住職や寺族を守るためにもしっかりとコンプライアンスを強化していく必要がありますので、そこを守るためにこの本を役立てていただきたいです。

次に士業の方に向けてですが、一般的な会社と異なり宗教法人の場合は特殊な手続きが必要になる場合もあります。
「一般企業だったらこうだからこうしたらいいと思いますよ」というサポートをしてしまうと、お寺の場合それはできなかったり、予期せぬ難しい手続きが発生することがあります。

また、初動の間違えが発端で後々のトラブルに発展したりすることもあります。宗教法人は言葉が難しいところもあるので、単語帳ではないですけど、そういった言葉の意味もわかりやすく書いています。「宗教法人ってこういうことが必要なんだ」「こういうリスクを感じながら接する必要があるんだ」ということも、本を読んで学んでいただけたらと思っています。

 

 

『寺院経営の法律・会計・税務 実務 宗教法人の法律と税務』 西口 竜司 (著/編集)、 田村 実貴雄 (著)、高橋 浩介 (著)

本書は今経営危機に直面している宗教法人に対し、仏教系の総門を例に、第一線で活躍している弁護士、行政書士、税理士が具体的な改善策・対処方法をアドバイスしたものである。

Amazon URL:
https://www.amazon.co.jp/dp/450238531X/

 

投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

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