『ふるくてあたらしいものづくりの未来 ポストコロナ時代を切り拓くブランディング ✕ デジタル戦略』(吉田貞信・著)

今回は書籍『ふるくてあたらしいものづくりの未来 ポストコロナ時代を切り拓くブランディング ✕ デジタル戦略』を出版されました、アーツアンドクラフツ株式会社取締役ブランド事業部長の吉田貞信氏にお話をお聞きしました。

「ふるくてあたらしいものづくり」ということで、人間の温かみを感じるものづくりとITを組み合わせるという斬新な取り組みをされています。

「世界をもっと豊かに」をビジョンに、精力的に活動されている吉田さんのインタビューをぜひご覧ください!

吉田貞信(よしだ ていしん)

アーツアンドクラフツ株式会社
取締役・ブランド事業部長

株式会社NTTデータ、株式会社フロンティアインターナショナルにて、IT・広告・マーケティング領域を中心に、B2B/B2Cを問わず新市場の開拓、新規事業の立ち上げなど、多数のプロジェクトに従事。
2010年にアーツアンドクラフツ株式会社の設立に参画し、ジュエリーブランド「ith(イズ)」の事業開発を担当。自社での実践を通じた独自のブランド開発メソッドをもとに、本書を執筆。

聞き手:こんにちは。まずは吉田さんの経歴と現在のお仕事について教えていただけますか?

 

吉田さん:2000年に大学を卒業して、新卒で株式会社NTTデータに入社しました。そこではITの新規事業にひたすら携わる部門におりまして、そのあたりからベンチャー的な思考ができて、いつか起業したいという思いを抱くようになりました。

その頃、別の会社で働いていた幼馴染の宮崎と「ベンチャーやりたいね」という話になったんです。一緒に仕事してうまくいくのか試してみようということで、宮崎が勤めているフロンティアインターナショナルに入社することになりました。

フロンティアインターナショナルは、広告やイベント周りの仕事を請け負うような制作会社で、そこで5年ほど仕事をしました。そろそろ起業しようかという話になって、宮崎やプログラミングやコンサルティングをしている仲間達と共につくったのが、アーツアンドクラフツ株式会社という会社です。

2010年に友人から事業を買い取る形でジュエリー関連の事業をスタートし、今はオーダーメイドの結婚指輪の事業を中心にやっています。ぬくもりのあるものづくりを広げるためにITを活用して、「人×最新のテクノロジー」を組み合わせた事業をメインにしています。

 

聞き手:ITという最新のものと伝統的なものづくりを組み合わせることに注目したのはなぜですか?

 

吉田さん:広告業界もそうですけど、IT化が進んでいくのは避けられないことですし、それによっていろんなイノベーションが起きているというのも事実です。また、GAFAのようなビックプレーヤーが勝ち残っていきやすい世界でもあるので、その中で(大きな資本やプラットフォームを持たない小規模事業者として)自分たちなりにどういうことができるのかと考えました。

テクノロジーが進展しても、結局は人間の世界なので、人がどう良くなるか、幸せになるか、そのような観点は大切です。また、人が実際に手を動かしてつくる職人の世界というのは価値がなくならないと思いますし、ITが進んだ世界であるからこそ、人の手がかかったものやローカルなものが輝く時代が来るとも思いました。

それで、小さなプレーヤーが持っているパワーを存分に活かすために考えたのが、人のぬくもりを感じさせる職人とテクノロジーを組み合わせることでした。

日本には日本人ならではのものづくりの器用さや特性があるので、これが武器になるのではないかと考えています。職人というのをどう伝えていくか、魅力をアップさせていくかというところに事業の中心軸を置いています。

 

聞き手:書籍を出版されたきっかけを教えてください。

 

吉田さん:もともとジェリーを中心にBtoCの事業をやろうと思って、最初はスクールをやっていました。そうすると、つくる人間を育てるという仕事なので、つくる人間がたくさん集まってきます。ただ、スクールだけではなかなか事業がうまく成長しませんでした。

苦しい経営状況を乗り切るために、創業メンバー各自で前職の支援や業務委託の仕事で食いつないでいくうち、経営コンサルティング関連の需要が強くなり、2018年から本格的にコンサルティング事業部を立ち上げました。

会社の中にBtoCのジュエリーを中心とした事業と、企業を支援していくコンサルティング事業という、二方向の事業が走る形になりました。そうすると、アーツアンドクラフツ株式会社としてのアイデンティティが何なのか分かりにくくなってしまったんです。

「結局、どっちの会社なんですか?」とか「何を軸にしているんですか?」と質問を受けることがあって、それを社内外の皆さんにしっかり説明する必要を感じました。

自分たちがどういう思いや経緯でここに来て、これからどこに行こうとしているのか、それをまとめて理解していただきたいということで、今回の出版に至りました。

 

聞き手:『ふるくてあたらしいものづくりの未来』、こちらの本の内容を教えていただけますか?

 

吉田さん:これからの世の中は効率性・利便性だけでは物が売れないし、既にありとあらゆる物が溢れてしまっています。今パーパス(存在意義)という言い方もありますけども、そこが求められるようになってきます。

物質的な部分ではみんな心が動かされないので、気持ちの部分で揺さぶられるものが必要になっています。そういう中で、日本のものづくりや中小企業というのは、真摯にものづくりに向き合ってきているので、実は非常に良いものを持っているんです。

職人もそうですし、機械でものづくりしているメーカーさんであっても、すごいノウハウと繊細な感性もつぎ込んでものづくりをしていて、素晴らしいものがたくさんあるんです。

ただこのデジタル化が進んだ時代の中で、それをどう表現するか、どう伝えるか、どうブランディングするかというところが苦手なので、そこでキーワードになるのがテクノロジー・ブランディングだと思うんです。

自分たちが持っているものを見直して、価値があることを再認識してもらった上で、今の社会環境のなかで、自分たちの価値をどう活かすかという、僕たちが実践してきたやり方の部分をこの書籍ではお伝えしています。

 

聞き手:執筆するにあたって注意したことはありますか?

 

吉田さん:内容的に言うと、できるだけ易しくというのを心がけました。専門分野が理解できて知識がつながることによって初めて価値が出ると思うので、なるべく難しくなく、全体としてのつながり感が理解してもらえるように努力しました。

あとは、ノウハウ本っぽくなっている章もあれば、読み物っぽくなっている章もあって、いろんな角度から読める本にしました。人それぞれ立場や好みがあって見方や読み方も違うので、いろんな立場や層の人にヒットするように工夫しました。

 

聞き手: 何か反省点などはありますか?

 

吉田さん:反省点は二つあります。

一つ目は、さっきのいろんな層の方に読んでほしいと工夫した点ですけれども、逆に言うと、そこも分かりづらさにつながる部分になってしまいました。ターゲッティングをもう少し鮮明に意識することも大事なのかなと思います。

二つ目は、タイトルです。実際に書店のどこに置いてほしいかを意識してタイトル付けをする必要があるなと感じました。伝えたいことの中心はブランディングやマーケティングになりますが「ものづくり」というタイトルだと、製造業の棚に入ってしまうんです。

だから、そこら辺は本屋さんの目線というのが大事でした。本屋では何千冊の本を仕分けしていくので、タイトルでカテゴリー分けをしていくわけです。タイトルの付け方によって、そういうずれが生じることもあるというのは一つの学びでした。

 

聞き手:新たな書籍に対する展望はありますか?

 

吉田さん:会社としてはやっとスタートに立ったぐらいの感じなので、これからもっと実践をして成果を出していければいいなと思っています。それが、前作で言ったことを実践してここまで来ましたという流れで第二弾の書籍につながっていけばと思います。

あとは、コンサルティングのクライアント企業さんの事例も出てくると思うので、他社の実践を通じてより僕らが考えている概念が広がっていけばいいなと思っています。

 

聞き手:読者さんに向けて書籍のPRをお願いします。

 

吉田さん:日本のものづくり・中小企業というのは、潜在力をすごく持っている会社が本当に多いと思っています。ただ、表現や伝え方の部分、それからDXの部分で人材も情報も足りていない会社が実際には多いと感じます。

アーツアンドクラフツ株式会社では、これまで実践を通じてITの分野に取り組んできました。さらに、ものづくりの現場にも手を突っ込んでいるからこそ、その分野の悩みも理解しています。

ITとものづくりの双方をつないでいくことによって、初めて本当の価値が生まれると思っています。この本では、その足がかり、ステップを踏み出すところが書かれているので、ぜひ手に取って読んでいただければなと思います。

 

聞き手:ありがとうございました。

 

『ふるくてあたらしいものづくりの未来 ーー ポストコロナ時代を切り拓くブランディング ✕ デジタル戦略』 吉田貞信(著)

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投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。

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