出版までの費用を著者自身で全額負担して出版する「自費出版」。
出版社が関わる出版方法と比べて自由に書籍を制作したり、実績がない初心者でも気軽に出版できるのが魅力です。
しかし出版するための費用は、ふり幅があるもののかなり高額なもの。そこで今回は自費出版の見積もり例と注意点について解説します。
そもそも「自費出版」とは
本を出版する方法は、自費出版以外にも企画出版や共同出版など、様々なものがあります。その中でも「自費出版」は、出版にかかる費用を著者自身で全額負担して出版する方法のことを指します。
企画出版などとは違い不特定多数の読者に向けたものではなく、身内など一定数の人に向けた著書であることが多いです。
具体例としては、企業や自治体が独自に作成する出版物、趣味で作った絵本や詩吟会の作品集・自分史などがあります。
自費出版が他の出版方法と大きくことなるのは、出版費用を全額負担するという点だけではなく、印刷と製本以外の作業を全て自分で行うという点です。
本の内容はもちろん、デザインやページ数も自由に決められます。そのため、自分の理想に近い著書を作りやすいのです。
例外として、デザインをプロに依頼したり、ライターに依頼して文章を作ってもらう場合もあります。しかしこれらの費用も全て自己負担となるため、企業などではなく個人で出版する場合には、ほとんどの人が全て自分で行なっています。
自費出版の見積り例
自費出版は前述の通り、印刷と製本以外を自分で行います。しかし、印刷と製本にかかる費用も全額自己負担です。
そのため他の出版方法に比べて出版にかかる費用は高くなります。ここからは、自費出版の見積り例をご紹介します。ページ数や発行部数などにより費用が変わってくるため、あくまでも一例として参考にしてください。
見積りに影響する項目
自費出版の費用は、主に下記の5つの項目の組み合わせにより変わってきます。
①原稿の状態
②本の仕様
③発行部数
④用紙代や印刷会社の選択
⑤流通の有無
原稿の状態とは、執筆済み・執筆中・文字データのいずれかです。本の仕様とは具体的に、ページ数・本のサイズ・カラーか白黒かなどがあります。用紙代は印刷会社や発行部数により変わってきます。
流通の有無に関しては、書店に置くのか、身内に配るだけなのか、インターネットで販売するのかにより異なります。
これらの項目により、出版費用が変わってきます。
発行部数を増やしたり、本の仕様を良いものにしたいとなると当然費用が高くなっていきます。
見積り例
上記の5つの項目から、複数の印刷会社の見積り例を出せますが、実際にはさらに細かく項目を書き出して、見積もりを出します。
下記が見積もりの一例になります。
ジャンル:小説
サイズ :四六判
書籍体裁:ハードカバー
カラー:カバーカラー印刷・本文1色印刷
デザイン:プロによる装丁デザイン希望
ページ数:300ページ
印刷部数:1,000冊制作
このように「本の仕様」の中でも、本のサイズや表紙の書籍体制、カラー、デザイン、ページ数を詳しく書き出すことで、見積りを出すことができます。
複数の会社から見積もりを出す際には、上記のように具体的に本の仕様を書き出し、さらに条件を揃えるようにしましょう。
自費出版の最低費用
前述の通り、出版にかかる費用はさまざまな項目により変わってきます。
自費出版にかかる最低費用は下記の通りです。
書店流通なし:想定部数 100部 → 10〜30万円
書店流通あり:想定部数 1,000部 → 100〜200万円
書店流通しないということは、身内など一定数の人に配るための出版であることがほとんどです。
そのため発行部数は100部前後と、少ないことが想定されます。一方で書店に並べて販売する場合は、不特定多数の人に対して出版することが想定され、最低でも1,000部は発行します。
書店へ流通はせず、発行部数を少なくすればその分出版にかかる費用は抑えられますが、逆に売り上げも減るため利益が出る確率も低くなります。
見積りする上で注意すべき点
出版にかかる費用をある程度把握するために、見積もりをすることは大切です。
しかし見積もりをする際には注意すべき点が複数あります。その中でも、特に注意すべき点は下記の3つです。
①事前に自ら条件を決め、見積りを行い比較する
②契約前に出版社の評判は調べておく
③費用に上限を設け、それに合わせて調整していく
本を出版するにあたり最も大切となるのは出版社選びです。
上記の見積り例のように、事前に条件を決め、必ず複数の出版社で見積りを行い比較するようにしましょう。
また、見積りを比較した際に、格安だからと出版社をすぐに決めるのも危険です。
思わぬトラブルを避けるためにも、出版社の評判を確認するなど、契約は慎重に行う必要があります。
自費出版の魅力
さまざまな形で出版ができる今日。それぞれに魅力がありますが、自費出版にしかない魅力も多くあります。そこで自費出版の魅力を3つご紹介します。
誰でも作家デビューできる
自費出版の最大の魅力は、素人でも出版ができる点です。出版社と共に出版するとなると、出版社側は売れる見込みのある作家でなければなかなか出版を認めてくれません。
特に初心者の人が出版するのは、かなりハードルが高いです。し
かし自費出版であれば、全額を自分で負担するため、誰でも出版できます。
自由に執筆できる
自費出版は出版社の利益など、外部の思惑の影響を受けることはない為、自分で好きなように執筆できるのも魅力です。出版社と共に出版する場合、プロのデザイナーがデザインしたり、文字数などが指定されるケースがほとんどです。
そのため、思い通りに執筆ができず、本来作りたいものとは全く違う作品になるという場合もあります。
しかし自費出版であれば、執筆もデザインも自由にできるため、理想通りの本を作れます。
自信に繋がる
自身で執筆して、出版したという実績が残せるため自信にもつながります。「本を出版した」というのは、大きなステータスになります。
周囲へ好印象を与えることができ、コミュニケーションの幅も広がります。また出版までの経験も自信に繋がり、新たな特技が見つかるという可能性もあります。
自費出版のデメリット
さまざまな魅力のある自費出版ですが、当然デメリットもあります。「思っていたのと違った」とギャップを感じないためにも、デメリットも把握しておきましょう。
出版費用が高い
自費出版の最も大きなデメリットともいえるのが、出版費用の高さです。出版費用は決して安くありません。全額を支払わなければならない為、かなりの負担になることが想定できます。
宣伝は自身でおこなう
身内に配るのではなく、世に出すものとして出版する場合は、自ら積極的に宣伝活動する必要があります。例として、SNSを活用したり書店に出向いてPRしたりしなければなりません。
出版社とともに制作する場合、これらのプロモーションは出版社で行ってくれます。
しかし自費出版の場合は、宣伝も自分で行わなければならないということを覚えておきましょう。
利益を得づらい
上記の2つのデメリットをふまえると、相当な努力しないと利益を得ることは難しいということがわかります。出版社が関わっていない分、本が売れると売上金は多く入ります。
しかしプロモーションを自身で行わなければならず、書店に置いてもらえても目立たない所に置かれることがほとんどのため、売れる確率が低いです。
特に利益を求めて出版しようとする場合は、自費出版だと利益が得づらいということを、念頭に置いておく必要があります。
まとめ
誰でも作家デビューできる自費出版。自由に執筆してデザインができ、初心者でも出版できます。
しかし出版費用は高く利益が得づらいというデメリットもあります。
費用に上限を設けるなど、自費出版の見積もりは慎重に行い、最適な形で本を出版しましょう。
投稿者プロフィール
- 学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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