ブランディングによる差別化の秘策

マーケティング用語のひとつとしてよく耳にする「ブランディング」というワード。

ブランディングとは、EC事業の成熟が進んだ現在において、ブランド戦略における市場でのポジションや、競合他社と差別化を図るためには欠かせないものです。

今回は、ブランディングについての概要や差別化、ブランディングを行わなければどんなデメリットが待ち受けているのか?について解説していきます。

 

 

 

ブランディングとは

ブランディングとは、しっかりブランド認知を拡大させることで、顧客ロイヤリティや共感を高め、顧客の中のブランドまたは企業のイメージを具体化・識別させていくマーケティング戦略のひとつです。

もう少しわかりやすい表現にすると、例えば「スニーカーならナイキ」「牛丼なら吉野家」など、「〇〇といえば△△のブランド」と顧客の中で想起されやすくすること。

ブランドとは本来実態や形のないものですが、そのブランドに共通の価値や評価、イメージが認識されることによってブランドが構築されます。

ブランドロゴや企業ロゴ・商標・キャッチフレーズなど、さまざまな要素を組み合わせて形作り、市場や顧客の中に徐々に浸透させていきます。

 

近年ではECの他にもD2Cが増加するなど、EC業界にも変化の波が押し寄せています。EC業界への参入障壁も年々低くなってきているため、その分ライバルも増えることに……。

そのため、EC業界において付加価値が高い独自性のある製品を扱う場合は、市場でのポジションニングの確立なども含め、ブランディング活動は外せない考え方になるでしょう。

 

 

差別化とは

ブランディングなどのマーケティング分野では、「差別化」というワードをたびたび耳にすることがあります。「差別化」とは、ブランドや企業が、競合他社と比較した時に、競合他社との違いをアピールすることを意味しています。

 

さらにこの「差別化」には、次の3つの方法に分類されます。

 

①「物理的差別化」

デザインや機能性など、製品そのものに明確な違いを持たせること

②「ブランドによる差別化」

ブランドロゴや企業ロゴ・情緒的イメージ・ベネフィットなどに違いを持たせること

③「リレーションシップによる差別化」

顧客との良好な取引や関係性を長期にわたり継続していき、顧客のLTV(顧客生涯価値)をあげることで、他社との違いを持たせること

 

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ブランディングによる秘策とは

ブランディングがうまくいきブランド力が高まると、以下のような効果が期待できます。

・安心や信頼を与えられる

・高い利益設定

・認知される

それぞれの具体的な内容を確認していきましょう。

 

安心や信頼を与えられる

ブランディングによってブランド力が高まると、顧客ロイヤリティを獲得できます。

顧客ロイヤリティとは、ブランドや企業に対して顧客が信頼感や安心感を抱いていることを意味しています。もっとわかりやすくいうと、「ブランドや企業に対して高い好感度を持つ」ということ。

顧客ロイヤリティは、競合他社の製品と比べたときに選ばれやすくなったり、リピート率にも影響してきます。

また、イメージの良いブランドは、SNSやネット上での口コミなどの拡散や、友人や知人などオフラインでの小規模ネットワークでの拡散も期待できます。

売り上げや利益にも直結してくるため、顧客ロイヤリティは高いに越したことはありません。

高い利益設定

ブランド力の高いブランドでは、付加価値の利益率を高く設定することが可能になります。そのため価格競争に巻き込まれにくいといったメリットが生まれます。

例えば、スマートフォンやパソコンなどで有名なApple社を例にあげてみましょう。

Apple社のブランド戦略は、「ユーザーの感性に訴えるデザイン」「シンプルでスマートなこだわりのデザイン」。最新の優れたテクノロジーとこだわりのデザインを持たせることで、高いブランド力を構築しました。

その結果、競合他社から価格が安く機能が優れたスマートフォンやパソコンがたくさん発売されている現在でも、Apple社の製品を求めて長蛇の列を作り、高い価格を出しても手に入れたいと考える顧客層がたくさんいます。

このように、ブランディングに成功すると「高いお金を出してでも特定ブランドの製品が欲しい!」というようにブランド価値を認識してもらえるため、高い利益を設定でき、市場全体や競合他社との価格競争からも免れるでしょう。

認知される

ブランディングに成功してブランド力が高まると、自社ブランドの製品名や、製品に対していいイメージを持つ顧客が増えてきます。

多くの人には「誰も最初の一人にはなりたくないし、最後の一人にもなりたくない」という心理が働きます。

何か物を買うときやサービスを利用する時は、自分も周りの人も全く知らないブランドを選択するケースは少ないはず。

人は、自分が少しでも目にしたり耳にしたり、有名人や周りの誰かが使っているブランドを選ぶ傾向があります。

また、ブランドや企業が認知されることで、就職希望者が増えたり優秀な人材の確保が可能になったりなど、経営戦略にも良い影響が起こります。

ブランド名や商品名の指名検索などが増えていると、ブランディングが成功していると言ってもいいでしょう。

 

ブランディングを行わないとどうなるのか

モノが溢れて需要過多になった現代において、似たような製品が次々に生み出され市場に出回ると瞬く間にコモディティ化が進んでしまいます。

コモディティ化とは、類似製品が市場に多く出回ることで、競合他社との製品の間に特別な違いがなくなり、市場価値が下がってしまうことを意味しています。

コモディティ化が加速すると消費者心理としては「同じような製品なら安い方がいいな」と、価格の安さを優先するようになります。

ブランド力が低いブランドの製品やサービスは、価格の安さや販売経路で戦うしかなくなり、市場の中でもあっという間に価格競争が進み、利益が確保しづらくなる悪循環に陥ります。

ブランディングを行わないことによって起きる価格競争は、とくに中小企業にとって大きな影響を与えることになるでしょう。

 

間違ったブランディング方法とは

ブランディング戦略を行う上で常に注意を払っておきたいことは、「自社の強みを装飾するだけの自己満足にならないこと」です。

戦略を行うときは競合・市場・顧客・自社の分析は欠かせません。競合他社と自社を比較した時に、他社にはない自社の強みに優位性を持たせることで、付加価値を高められます。

しかし、忘れてはいけないのは「常にユーザーファーストで考えること」です。自社にとっては強み・良い所だったとしても、顧客にとって何の魅力も感じないものでは意味がありません。

自社の悪いところを隠して良いところだけを掻い摘んで、顧客にとって魅力ゼロのものを「自社の魅力です!」と装飾したとしても、顧客の心には響かずブランディングは失敗に終わるでしょう。

また、間違ったブランディングは働く社員たちのモチベーションを下げる危険性をはらんでいます。「自社の悪いところを隠しいい所ばかりに焦点をあてる=顧客に嘘をついている」と感じる社員もいるためです。

ブランディングは、良いところも悪いところも包み隠さずしっかり認め、自社にとって無理のない自分たちらしさを出すことが大切。

「ブランドらしさ」、「自分たちらしさ」をしっかり見出すことがブランディングへの成功の道の第一歩となります。

 

まとめ

ブランド側と顧客側の認識を一致させ、ブランドの存在価値を上げるためにも、ブランディングは欠かせない戦略です。

ブランディングが成功すると、顧客のLTVを高めたり、価格競争に巻き込まれずに済むなどのメリットがあります。

ブランディング戦略の効果はすぐにあらわれるものではありませんが、ブランドや企業にとっては長期的な利益を生み出す「資産価値」となります。

長期的な視点で見たブランディング戦略にもしっかり取り組んでいきましょう。

 

投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

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