近年、様々な企業が行っているブランディング出版。
よく耳にする言葉ですが、その目的について正しくご存知でしょうか。
ブランディング出版は企業出版の一形式で、単なる自費出版とは大きく異なる特徴を持っています。
企業のブランドイメージを浸透させ、新たな顧客を生み出すブランディング出版のメリットとデメリットを認識するとともに、その効果を正しく把握しておきましょう。
ブランディング出版とは?
ブランディング出版とは、文字通り企業のブランディングを目的として行われる出版形式を指しています。
ブランディング出版は、書籍の出版を通じてマーケティングなどの経営課題を解決する企業出版の中でもとりわけ企業のブランディングに特化した形式であると言えます。
あくまでブランドイメージを顧客に広く宣伝するための施策であるため、流通の際にはプロモーションが必要となりますが、書籍を制作する流れや出版に必要となるコストは一般的な企業出版の場合と変わりません。
ブランディング出版最大の特徴は「企業ブランディングに特化していること」
ブランディング出版の最も大きな特徴は、企業や人物のブランディングを主目的としていること。
ブランディングとは、企業に対する信頼を強め理念への共感を得ることで、単にサービスを利用するのではなく企業そのものに価値を見出してくれる顧客を増やそうとする施策のことです。
そのため著者と出版社の間で綿密に協議を行い、人物や企業、その企業で取り扱っている商品などのブランドイメージ向上のためシナリオを設計した上で書籍を製作することになります。
出版を通じてブランドイメージを広く浸透させることがブランディング出版のメリットですが、以下では合わせてデメリットについても解説します。
ブランディング出版のメリット
ブランディング出版のメリットは、読者である顧客に企業そのものをPRできる点にあります。単に個別のサービスについて宣伝するのではなく、企業のポリシーや想いをターゲットとなる読者にきちんと伝えることができれば、ブランドイメージの向上や新たなユーザーの獲得にもつながります。
SNSや動画広告など、ブランディングに用いられる手段は多岐にわたっていますが、書籍には独自の強みもあります。
書籍というメディアを活用したブランディング出版は、含まれる情報量の多さや情報の信頼性という点においてインターネットを利用したブランディングよりも優れていると言えます。
短い動画や一枚の画像では伝えきれない情報量をすべて盛り込んだメディアである書籍は、読者に熱い思いを伝えることにも適しています。本という形でボリュームのある情報を発信し、企業の理念に共感してくれる顧客を増やすことで、マーケティングを行うことなく新規顧客を獲得することが可能になります。また、企業に好感を抱いてくれる顧客の増加はリピーターの獲得にもつながります。
提供されるサービスや商品だけではなく、企業自体に価値を見出すファンを獲得できるのがブランディング出版の大きな利点です。
ブランディング出版のデメリット
ブランディング出版のメリットについて解説しましたが、その一方で出版を行うことによって企業が受けるデメリットはほとんどありません。
したがって、ここで紹介するデメリットとは単に「書籍を出版するまでの過程における困難な点」になります。
第一に、出版のために企画を通すのは簡単なことではありません。
ブランディング出版は制作した書籍を広く流通させることを前提としているため、内容には当然コンテンツとしての面白さも求められます。そのため、必ずしも著者の思い通りの内容にはならないケースもあるようです。
また、質の低い本を刊行した場合はむしろブランドイメージに傷が付く可能性もあります。内容には一定のクオリティが求められるため、作業に膨大な時間と労力がかかるのも一つのデメリットと言えるでしょう。
自費出版とは?
自費出版とは、著者自身が制作にかかるすべての費用を負担したうえで書籍を出版することです。
書籍に関する企画から原稿の執筆までを著者が自ら行うケースが一般的で、制作に関しても著者が主導する形で書籍を出版することができます。
自費出版というと小説などの作品のイメージが強いかもしれませんが、経営者の自伝や創業時からの社史をまとめた本など、ビジネス書の中にも自費で出版されているものは数多く存在します。
自費出版の特徴は「誰でも思い通りに出版できること」
自費出版の一番の特徴は、誰もが自分の思った通りに出版を行えるという点にあります。
自費出版では著者がすべての費用を負担するため、出版を行うこと自体は誰でも可能になります。企画から執筆までを自ら担当することができるため内容面での自由度は高く、著者の思い通りに書籍を製作することができるのが大きな特徴です。
一方で販売力は弱く、発行部数が限られていることから大々的な流通が見込めないというデメリットも存在します。
続いて、自費出版ならではのメリットとデメリットについてより詳しく解説します。
自費出版のメリット
自費出版の大きなメリットは、誰でも自由に書籍を出版することができる点です。出版社が費用を負担する企画出版とは異なり、著者自身がすべての費用を負担する自費出版であればより自由度の高い本を作ることができます。自費出版を取り扱う出版社に流通に関する作業を代行してもらうことで、自分が企画し執筆した内容をそのまま本にすることが可能になります。内容だけでなく装丁や発行部数も自由に設定することができるほか、基本的には著者の執筆した原稿がほとんど修正されることなく出版される場合が多いと言えます。
著者の希望通りの本を製作することができるという点も自費出版ならではの醍醐味と言えます。
最近はクラウドファンディングなどを利用して共同出資という形で自費出版が行われるケースも多く、個人で出資することなく共著本を出版する方法もあります。
また、売上の還元率が高いのも自費出版の特徴です。本が売れた場合、企画出版に比べて印税の割合が高くなっているのも大きなメリットとなっています。
「自分の本を出したい」 「書籍を出版して自社の事業やサービスについて広めたい」 このような考えを持っている場合、手軽に利用できる方法が自費出版です。 自費出版を利用すれば実績がなかったり、有名で[…]
自費出版のデメリット
自費出版の一番のデメリットは、書籍の流通規模が小さくなるところです。
大手の出版社と比較して版元の認知度がそれほど高くないため、完成した本が書店に並ぶ可能性は自然と低くなります。また、品質の高い書籍を作ろうと思えばそれに見合う分だけのコストが掛かります。経済的な面で見れば、身銭を切って出版するという行為自体が大きなデメリットになる場合もあります。
また、自費出版は企画から執筆までを一人で行うケースが一般的な出版形態です。最低限の手直しは入るものの、著者の意向がそのまま反映された内容となることが多いと言えます。そのため、内容が独りよがりになり読者の共感を得られにくい可能性があるという短所も考えられます。
ブランディング出版と自費出版の違いとは?
ブランディング出版と自費出版で最も大きく異なっている点は、出版の目的です。
ブランディング出版はあくまで企業のブランドイメージを広めるために行われる施策ですが、自費出版は著者の活動やノウハウを世間にわかりやすく伝えること、あるいは自伝などのストーリーを書籍という形にまとめることに主眼が置かれています。
自費出版の場合は著者の表現したいものを書籍として出版することそれ自体が大きな意味を持つため、書店などで広く展開されることはあまりありません。
一方ブランディング出版は大々的なプロモーションを必要とするため、製作された書籍は全国的に流通するケースが一般的です。
まとめ
ブランディング出版は、サービスだけでなく企業そのものを顧客に広く認知してもらうことでブランドイメージの向上を狙う施策の一環です。
書籍を出版し読者に企業の想いを伝えることは、新規顧客やリピーターの獲得にもつながります。
近年はインターネット上での広告をよく見かけるようになりましたが、客観性が高く情報量の多いメディアである書籍を出版することは、今の時代も効果的な方法と言えるでしょう。
投稿者プロフィール
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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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