今回は2020年10月に「ビジョン経営革命を起こした2代目お坊ちゃん社長の77の逆襲レター」を出版した、京南オートサービス株式会社の田澤孝雄社長に話を聞きました。
田澤社長は板金修理の自動車工場を運営する京南オートサービス株式会社をはじめ、介護事業の会社やガソリンスタンドなど4つの会社を経営されています。
多忙な業務の中にありながらYOUTUBEで動画を配信するなど、精力的に活動されている田澤社長ですが、今回はなぜ本の出版に取り組んだのか、今後本をどう活かしていくのかについて話をお伺いしました。
経営者の方のセルフブランディングの参考にしていただければ幸いです。
田澤孝雄(たざわ たかお)
親への反発というあり得ない理由で、大学時代に弁理士を目指す。2000年に弁理士登録。早稲田大学政治経済学部卒業後、アルプス電気(株)知的財産部へ就職を果たす。就職活動では、わがままを突き通し、希望職種採用の道を拓く。30歳目前にして、家業に入る決心をする。京南グループ傘下のガソリンスタンドに配属後、洗車場開設、介護事業参入、板金工場M&Aと事業を拡大する。業績拡大の一方で、事業撤退、子会社倒産など失敗も多く経験する。もがく中で、「2代目」としてのマインドセットの重要性を心底思い知らされる。現在は、YouTubeチャンネル、グループビジョンサイトの作成、本の執筆など、持ち前の「反発力」を生かして、新たなチャレンジを続々と行っている。
聞き手:こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。
田澤社長:こんにちは、よろしくお願いいたします。
聞き手:早速ですが、まずは田澤社長の現在の仕事と会社について教えてください。
田澤社長:現在私は板金修理の京南オートサービス株式会社の他に介護事業の会社やガソリンスタンドの会社など合計4つの会社を経営しております。
社員数ですが、板金修理の会社は20名、介護事業が8名、ガソリンスタンド関連の会社で40名ぐらいの合計70名ぐらいの社員がいます。
よく4つの会社を別々に経営するよりも事業部で分けて一つの会社で経営したほうがよいのではと言われますが、分かれていた方が私は経営しやすいと感じています。
業種によって、働く人のタイプが全然違いますし、求めているものが違います。
会社が別であれば急にあっちの事業に行くことになったらどうしようという不安もなくなりますし、別会社にしていた方が何かと都合がいいんですよ。
聞き手:そうなんですね。最近はYOUTUBEも始められるなど精力的に活動されていますが、その狙いは何でしょうか?
田澤社長:今回の本の出版でもそうですが、経営者はパーソナルブランディングをすることでビジネス上で有利に働くことが多いのでその意味でやっています。
最近は取り組む人も増えてきましたが、YOUTUBEで動画を配信しているだけで「すごい!」と興味を持ってくれるのでメリットは多いですよ。
それこそ、昔はこだわったホームページを持っているだけで「すごい!」って言われたのですが、今だとホームページを持っているぐらい当たり前ですよね?
でも、人よりも早くはじめると人に興味を持ってもらいやすいですし先行者利益みたいなものもあると感じています。
対談動画などを通して色々な人と会えるようになったのも良かったと思いますし、そのうち「まだYOUTUBEやっていないの?」なんていう時代が来るかもしれません。
聞き手:今回、本の出版にチャレンジした理由はなんでしょうか?
田澤社長:はい。
私は俗に言う2代目社長です。
先代の社長である父の会社を引き継ぐ形で社長になったのですが、安定して経営できているなと感じられるようになるまでには様々な苦労がありました。
もがきながら、それでもチャレンジし続ける中で少しずつ軌道修正を図って今に至っていますが、私自身のそうした経験が他の2代目社長の人にきっと役に立つと思ったのが本を出版しようと決めたきっかけです。
昔は本の出版というと高額の費用がかかりましたし、出版することそれ自体がとても大変なことだったと思います。
ただ、現在はアマゾンのプリントオンデマンド出版という方法などを利用することで気軽に出版ができるようになっています。
費用を含めて取り組みやすいと感じたので、私も「これなら!」と出版を決意しました。
参考記事:1冊から印刷・製本・配送可能な出版方法、プリントオンデマンドとは?
聞き手:なるほど。2代目社長にとって役立つ本に仕上がっていると思います。本を出版するということに対しての不安はありませんでしたか?
田澤社長:多少はありました。(笑)
でも、多少ですね。
確かに本の出版のハードルは下がっているとはいえ、
「今は出版するにはまだ早い」
「人様に読んでもらうほど素晴らしい経験があるわけではない」
「××というところまで行ったら出版しよう」
という人はまだまだ沢山います。
もちろん、この考え方を否定するつもりはありませんが、そんなことを言っていたら出版できるのは死ぬ間際になってしまいます。
私は、誰にだって人に役立つノウハウや経験はあるものと考えています。
間違いなく価値をもっているものだと、これはもう誰でもそうだと考えているのです。
だからこそ、私にもあるはずだし、それをまとめて伝えられる手段として本は適していると考えたのです。
聞き手:本で一番伝えたかったことについて、具体的に教えてもらえますか?
田澤社長:最も伝えたかったのはビジョン経営についてです。
私もそうですが、2代目社長はずっと世間でいう『正解』と言われる道を歩んできていると思うんです。
高学歴の人も多く、就職もそれなりの大企業で、そこで経験積んだ後に20年とか30年、場合によっては40年とか続いている親の会社に転職する・・・ここまでは、親が用意してくれたある意味「正解」の道だと思います。
ただ、正解とされる道を歩み続けているからこそ、いつの間にか道から外れたことを考えなくなってしまうんです。
古くから続いている取引先や自分より前から会社で働いている従業員がいる中で自分のやりたいことにトライすることができなくなってしまうというと分かりやすいでしょうか。
聞き手:でも、それはそれで幸せな面もあるのではないでしょうか?
田澤社長:もちろん、良い面もたくさんあることは否定しません。
でも、世の中は変化が激しく、予期できないことが起こるものです。
実際、今回の感染症拡大も予期できていない人がほとんどのはずです。
聞き手:そうですね。
田澤社長:「正解」と言われていることしかやってこなければ、想定外のことが起きた時に右往左往してしまうのが普通です。
どうすればいいのかがわからない状態のような。
そこで、大切になるのがビジョン経営だと思っています。
聞き手:ビジョン経営ですか。
田澤社長:はい。
まずは、「正解」なんてないと考えて、正解がない以上、何があってもそれに対応していける力を身に着ける必要があるということです。
ビジョンがあれば仮にチャレンジしたことが失敗したとしても、またビジョンに向けてやり直せばいいんです。
もちろん、反省して次に活かさなければいけませんが、ビジョンがあれば正解を探すのではなく、ビジョンに向かっていると確信が持てることをやっていけばよいわけで、これは従業員が自己判断できることにもつながります。
聞き手:なるほど、会社全体で一つの方向に向かうということですね。
田澤社長:はい。
2代目である以上、親とも比べられますし、親の七光りと言われることも多くあります。
これは、しょうがないことです。
でも、それで終わってしまうのではなく、ビジョンを掲げて経営に取り組むことで、会社はもっと良くなると思いますし、変化にも対応できる力をつけていくことができると信じています。
聞き手:今回の本ではそのことがしっかりと伝わっていると思います。
田澤社長:はい。
本の中にも書きましたが、自分の経験は他の2代目社長にきっと役立つと考えていて、本の出版をきっかけに『2代目お坊ちゃん社長の会』という一般社団法人も立ち上げました。
2代目社長は2代目社長ならではの悩みがあるので、それらをメンバーで共有しつつ、それぞれの社長が経営する会社でビジョンを掲げ、もっともっと良い会社にしていってもらえたら嬉しいですね。
聞き手:ありがとうございます。最後に出版後の感想や今後について教えてもらえますか?
田澤社長:今回、2代目の社長に向けて書いたつもりでしたが、本を書いて一番勉強になったのは自分自身だなと感じています。
現状考えていることなどを全部棚卸しして本にまとめていきましたが、本はウェブ情報とは違ってずっと残り続けるものです。
だからこそ、有言実行とならなければいけないという、いい意味でのプレッシャーも感じることができています。
「本に書いていたことと違う」と言われないようにしなければいけないですからね。
出版した後は、これまでお世話になった人や経営者仲間にも読んでもらえています。
YOUTUBEは無料ですが、本はお金を出して買ってもらうもので、逆に言えばお金を出して自分の本を買って読んでくれるというのはここまで嬉しいものなんだと感じました。
これから、本が独り歩きしてどんどんと広がっていってくれたらと思うとワクワクしています。
また、社員が読んでくれることも本だからこそのメリットだと感じています。
社長である私の考え方等について、社員に押しつけがましくなく伝えることができた気がします。
実際、自分が社員だったら社長の書いた本、読んでみたいですよね。
私も先代が本を書いたら間違いなく読むと思います。
ちなみに先代にもこれから手紙でも添えて本をプレゼントしようと考えています。
聞き手:ちなみに2冊目ってどうですか?
田澤社長:出版していきたいとは考えています。
1冊出版してそれで終わりっていうのではなく、まだまだ分からないこともあるし次に向けた努力は常にしていきたいなと考えています。
これは本に限った話ではありませんが、アウトプットは本当に大切だと考えています。
アウトプットすることをルーティーン化しているからこそ、本を読んだり他の経営者にあったりと色々インプットするようになります。
私もまだまだ成長し続けていきたいと考えていて、そのためにインプットとアウトプットは欠かせません。
聞き手:これからもますますの活躍、期待しています。今日はありがとうございました。
田澤社長:こちらこそ、ありがとうございました。
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- 『出版の力』を知ろう
- どのような目的で出版するかを決めよう
- 出版方法を決めよう etc.
投稿者プロフィール
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出版ベンチャー企業「ラーニングス株式会社」の代表取締役。
大学卒業後は証券会社に入社し、2つの支店で法人、リテールの営業活動に尽力。
5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
これまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書は3000冊以上。
『出版を変える、出版で変える』を合言葉に、はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象とした事業を展開。
出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
好きな本の分野は経営者の自叙伝やマーケティング、経営に関する実用書。
愛知県名古屋市出身。趣味は読書とスポーツ観戦。
近著:
「7日でマスター 株チャートがおもしろいくらいわかる本」(2017年ソーテック社)
「7日でマスター 投資信託がおもしろいくらいわかる本」(2018年ソーテック社)
「いちばんわかりやすい 60歳で2000万もらうiDeCo年金のはじめ方」(2019年ソーテック社)
「世界一やさしい 株・FX・投資信託の教科書」(2020年ソーテック社)
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