出版不況の本当の構造~今の時代こそ出版で会社を宣伝すべき理由~

「若者の○○離れ」という言葉をよく耳にするようになりました。車やタバコなどと同じようによく聞くのは、若者の活字離れ、または本離れです。

そうなると出版業界はその影響を大きく受けることになります。現に、今出版業界はかなり厳しい状態です。

しかし、本当の原因は若者の活字・本離れだけではありません。今の時代だからこそ会社を宣伝するために出版というものを利用すべきだと言えるでしょう。

今回は、出版不況の構造と、この時代だからこそ行うべき宣伝について解説します。

 

出版不況の本当の構造

ここ10年ほどでよく聞くようになった“出版不況”という言葉ですが、この言葉の正しい意味や、なぜ“出版不況”という言葉が最近多くなってきたのかを知っている人は少ないでしょう。

今問題となっている出版不況の原因は若者の活字離れ、本離れだけが理由ではありません。

本当の理由や、出版不良に陥った構造はどこにあるのでしょうか。

以下で、詳しく見ていきましょう。

 

出版不況が及ぼす影響

そもそも出版不況というのは、1990年代からの出版業界全体の不況を指します。市場のピークは1996年の2兆6563億円として、2017年の売り上げは1兆3701億円で21年間の間に約1兆3億円も減少しているのです。

出版業界が衰退してしまうと、印刷業など書籍の出版に関する業界も共に衰退していきます。

また、編集者などによってしっかりとチェックされた出版物の供給量や質が減少し、インターネットなどで間違った情報が真実であるかのように出回ってしまうことや、情報弱者が正確な知識を得る手段が奪われることに繋がりかねません。

守られるべき国民の知る権利が損なわれてしまうという懸念もあります。

 

現在起こっている出版不況の構造

出版業界は出版不況と言われていますが、今はまだ本当の出版不況ではないという考えの人もいます。

出版業界の売り上げ規模が減少していることは事実ですが、売り上げ規模が減少しているだけで出版不況と言えるわけではありません。

書籍の販売部数のピークは20年前でそこから減少し続けてはいますが、2003年以降は横ばいを辿っており、200万部数以上売れているシリーズの本などもあります。

つまり、書籍の需要という面では大きく落ち込んだとは言えません。

 

出版社も本を販売する努力は常に行っています。

古典名作を現代に合うように翻訳し直し再出版したり、太宰治の代表作である「人間失格」や有名な文豪の代表作の表紙を人気アニメのキャラクターに変更して再出版したりするなど、若い人たちに購入してもらいやすくする工夫をし、その結果一定数の販売実績を得ています。

 

また、インターネットの普及により、無料で読める携帯小説などを書籍化して販売するといったことも行っているため、出版不況の主な原因が若者の活字離れが原因とは言えません。

深刻なのは書籍よりも雑誌です。週刊少年ジャンプなどの漫画雑誌を含めても、雑誌の販売部数は30%以上も減少しています。

急激な需要の減退は、若者の活字離れや財布のひもが堅くなったという理由だけでは説明がつきません。

理由としては、情報を得る媒体を人々が雑誌以外のものに求めていることが挙げられるでしょう。

 

この時代こそ出版で会社を宣伝すべき理由3つ

出版不況といわれる今の時代ですが、今だからこそ会社を宣伝するときには出版を利用すべきと言われています。

最近は、企業がプロモーションのために行う出版や、芸能人が自分の意見を発信したり成功者が成功のノウハウを共有したりするような、いわゆるノウハウ本が多いと言えます。

その理由は、大きく3つあります。

 

理由1 読者を独占することができる

企業出版は、主に企業のプロモーションの1つとして行う出版のことです。

最近の企業のほとんどは独自のサイトやブログなどのSNSを持っています。そこでももちろん企業の宣伝などは行えますが、書籍にできてサイトやブログにはできないことがあるのです。

それは、読者を長時間独占できるという点です。

企業は広告などで自社が何をしているか、自社のことについて知ってもらうことを目的とし、様々な企画・運営を行っています。企業と消費者との出会いは基本的に偶然であり、わずかな時間の間に起こるものです。

サイトやブログ、CMで企業の紹介などが目に入ったり、何となく眺めることがあったりしても数十秒~長くても数分しか消費者を独占することはできません。

しかし、書籍となると読み切るまでに少なくとも1~2時間程度はかかり、何万文字もの文章を読み込んでいる間は基本的にはその企業の事のみを考えていることになるでしょう。その間は企業が消費者を独占している状態になると言えます。

本を買いに出向き、お金を払って購入したという自分の行動を無駄にしないために、読者は一生懸命その本の内容を理解しようとします。その結果、サイトやブログ、CMなどよりも絶大な広告効果が期待できるのです。

 

理由2 ターゲットを絞り込んでアプローチができる

本には今までの人の知識が存分につまっています。

本来は習得するために数年かかるようなものであっても、1冊の本を読めばそれまで著者によって培われてきた知識を得る事ができます。

企業出版される本は、手に取って購入してもらい始めて消費者にアピールすることが可能です。消費者は、自分の求めている解決策や、知りたいこと情報を得られるという確信があってこそ本を手に取り購入します。

そのため、ターゲットを解決策を求めている人たちに絞り込んで、企業の持つ情報や提供するサービスをアピールできます。そうすることで、よりサービスやノウハウの購入をしてもらいやすくなります。

 

理由3 伝えたいことを正確に、大量に伝えられる

サイトやブログCMで伝えられる情報は限られています。一目でその企業が行っているサービスや情報を伝える必要がありますが、数秒や数分で伝えられる情報には限りがあります。

厳選された情報は時に解釈の違いなどを引き起こし、誤ったイメージや情報が世間に流れてしまう可能性もあるでしょう。

 

書籍の場合であれば、より深い情報を大量に伝えることができます。

 

また、ネットやブログ、CMは変更点や間違いがあった場合でも迅速な対応ができますが、書籍は急に変更というものができません。

そのため、出版販売される前に間違いがないように複数人の手によって入念な確認作業が行われます。そういった背景から正確な情報が大量につまっているのが書籍と言えるのです。

ただし、書籍のデメリットとしては、新しい情報の更新ができないということが挙げられます。

 

まとめ

今回は、出版不況と、今だからこそ本を出版する会社が増えている理由を解説しました。

サイトにはサイトの、CMにはCMの、書籍には書籍の良いところがあり、同時にデメリットもあります。

消費者は自身どんな情報を求めているのか、どんな状況で解決策を求めているのかによって、どの媒体で情報を得るかを取捨選択しなければなりません。

情報があふれている今だからこそ、その情報が正しいかどうかだけでなく、どのように自分の中に取り入れるかということも意識する必要があります。

もしあなたが、明確で正しい情報を求めているのであれば、本から知識を蓄えていくことも良いかもしれません。

そんな人たちのためにこそ、今、本を出版する会社が増えているのです。

投稿者プロフィール

マーケティング出版プラス編集部
学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。

これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!