今回はマーケティングのKPIについて、またKPIの設定でお悩みの方に向けて、具体例を挙げながら解説しました!
実際にマーケティングを行おうと思うと、目標設定だけでなく、その目標に対してどのように達成をしていくのか、という部分も重要視されます。
マーケティングでは一つひとつの仕事が全て売上に直結するといっても過言ではなく、効率的で効果的な仕組みづくりを行い、実行、達成する必要があるのです。
この記事は
- KPIとは何か
- KGI、KSFとの関係性
- マーケティングのKPIを設定する際の手順
について知りたい方必見です!
ぜひ最後までご覧ください!
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
KPIとは何か
そもそもKPIとは何かというと、Key Performance Indicatorの略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。ゴール達成のために必要なプロセスごとの評価を行うのがKPIです。
そしてKPIを考える際は同時にKGIについても考えなくてはいけません。
KGIというのはKey Goal Indicatorの略称であり、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれています。
KGIはマーケティングやビジネスの最終目標を数値で表したもので、それを達成するためのプロセスをもとに設定した中間目標がKPIです。
また、KSFというものもあります。
KSFとはKey Success Factorの略称であり、日本語では「重要成功要因」と呼ばれています。これは、行う施策において重要なキーとなるものを明確にするものです。
中にはKFSといってKey Factor for Successと表記される場合もありますが、KSFと同じ意味を指します。
マーケティングの業務は数か月~数年と長期戦であるため、最終的な目標達成のために、より小さな目標や評価指数をいくつも設置し、工程管理を行います。
マーケティングそのものについてもっと知りたい方は、こちらの記事もご参照ください!
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KGI、KSF、KPIの関係性
最初にKGI、KSF、KPIの意味について説明をしました。
ここからは、それぞれがどのような関係性があるかについて説明していきます。
KGIが目標、KSFが目標を達成するための重要な要因、KPIは目標を達成するためのプロセスです。
図をもとに説明すると、KGIは売上や利益率など最終目標が設定され、KSFでは営業機会の創出、流入数増加といったKGIを達成するために必ずしなければいけないことを設定します。
そして、KPIでは、実際に目標を達成するために、KSFを踏まえて何をするか、というものが設定されます。
KPIには具体的であることが求められ、新規獲得数やアポ件数など、数字で判断できるものが設定されることが多いです。
また、KSFとKPIはよく混同されますが、例えば人員拡大のために半年後に20名採用したい場合、人員拡大という目標(KGI)のために必要なのが採用(KSF)であり、20名というのが目標達成をするために必要な指標(KPI)です。
マーケティングにおける業務の指標や内容を決める場合、必ず「KGIに繋がっているか」を確認して判断する癖をつけると、必要な業務だけを抽出でき、成果も出やすくなります。
なぜKPIの設定が重要なのか
目標設定であるKGIが重要で、そのためにやることのKSFも大事であることはすぐに分かるかと思いますが、ではなぜKPIの設定が重要なのでしょうか?
実はKPIの設定を行うことで
- 何をすべきか
- どれだけの成果を求められているのか
- いつまでに行わなければならないか
を明確にすることができ、日々の業務をより効率的に進めることができるのです。
特にマーケティングの場合、一人きりで仕事をすることはほぼなく、基本的にはチームないし協力者とともに進める必要があります。
目標も短期目標ではなく長期目標が設定されますし、マーケティング業務の特徴として一朝一夕で効果は出ることがなく、とにかくしぶとくやり続けること、効率的に動き続けることができなければ効果を発揮することができません。
長期目標で動いていると、どうしても途中だれてしまったり、忘れ去られてしまったり、そして社内や部門内でも優先度が低くなりがちです。
それを防ぐためにも、長期目標に対して短期目標を設定し、一つずつクリアしていくことが大事なのです。
また、短期目標を一つずつクリアすることでモチベーションも保たれることや、定期的に業務の振り返りを行うことでPDCAのサイクルを負担なくまわすことが可能です。
マーケティングにおいて目標を設定する手順
では、マーケティングを実際に行う際、どのような目標を設定すればいいのでしょうか?
長期目標は設定しやすいかと思いますが、それを達成するための短期目標、プロセス、実現可能な数値の設定手順について、ここでは解説しようと思います。
大まかな手順としては、下記の図の通りです。
最終的に実現したい目標を設定し、その達成をするために必要な業務や数値、リソースなどをリストアップし、それぞれに目標を設定していきます。
そして絶対に忘れてはいけないことは、なぜマーケティングをやりたいのか、マーケティングを行って実現したいことは何か、ということです。
例えば、1年後の売上を5,000万円にしたいと考え、現状が2,500万円だった場合は倍の成約をとる必要があります。
そのとき、ただ売上を2倍にしたいだけであれば、とにかく認知度を増やしてアポ数や問い合わせなどの母数を上げることに注力をしてしまうでしょう。
しかし、なぜ売上を倍にしたいか、というときに、例えば今後の事業拡大を見据えて取引先に大企業を増やしたい、1件あたりの契約金額をアップさせたい、という考えがあった場合、マーケティングで行うこととしては何よりもまず大企業へアピールできるモノを増やすことに集中します。
信頼度を高めるために情報発信を積極的に行い、大企業向けの商材に対する認知度アップ、競合他社との差別化などを行うべきでしょう。
このように、目的をしっかりと意識することで、目標を達成するために何をするか、しないかの判断を行うことができます。
また、事前に目標達成のために動かせる予算、人数、期間を把握することも忘れずに行ってください。
KPIを設定するときのポイント
上記例を引き続き使って、ここからはKPIを設定するときのポイントについて解説していきたいと思います。
現状2,500万円の売上を1年後に5,000万円にしたい。
なぜやりたいかというと、今後の事業拡大を見据えて、取引先に大企業を増やしたいから。
予算:500万円
人数:10人
期間:1年
KPIを設定するために、よく「SMART」というフレームワークが活用されています。
これは、5単語が持つそれぞれの意味がKPIにしっかりと落とし込まれているかを確認するために使うものです。
※Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-boundの頭文字から「SMART」と称されています。
Specific:具体的にする
Measurable:測定が可能なもので表す
Achievable:達成可能な目標か確認する
Related:目標に関連しているかを確認する
Time-bound:期限について設定する
例を「SMART」にあてはめると、
- 大企業との契約を取るために、現状では信頼度が足りない。プレスリリースやメディアへの積極的な情報発信だけでなく、信頼度の高い媒体の書籍や新聞でのアピールを実施。
- また、それらを使って自社のターゲットとなる大企業とのコンタクトを作り、キーマンとの接触を目指す。
- まずは6か月以内にコンテンツを製作、また代表のメディア露出を増やす
- 6か月の間にターゲットとなる大企業のリストを作成
- 7か月目からリード獲得のために展示会に出展する。また、事前に作ったリストへアタック開始
- 8か月目に1件アポを取ることを絶対目標にし、12ヶ月目までに1件の成約を取る
- アポ数は12月までに月5件を最低ラインとする
1か月目のKPIとして、どのようなコンテンツを作る必要があるか現状の把握→信頼度が高いコンテンツ制作を行うための施策を検討。また、代表のメディア露出を増やすためにPRシートの作成や各種メディアへの売り込みを行う。
1か月目の評価として、自社の意向とコンテンツ展開の材料が固まっていること、媒体の選定が行われ問い合わせ、または1件でも商談が実施されていることが判断基準に。
メディアへの売り込みは優先順位の高いところから最低でも10社に売り込みを行う。
このように、大きいものから細分化し、具体的な内容、判断基準、実現可能な数値を設定してKPIを決めてみてください!
また、下記図は一例ですが、実際に細分化するものを可視化することで、チーム内での把握ができ、齟齬なく施策をすすめることが可能になります。
マーケティングにおけるよくあるKPIとは(事例)
ここからは、実際のマーケティング施策ごとに、設定したほうがいいKPIの内容をご紹介していきます。
- 製品・サービス紹介サイト運営
- オウンドメディア運営(認知度をアップしたい場合)
- ウェビナー(ロイヤリティ向上が目的の場合)
1.製品・サービス紹介サイト運営
KGI→お問い合わせ、資料請求からの購入数(コンバージョン獲得数)
KPI→PV数
KPI→滞在時間
KPI→回遊数
KPI→重要頁到達率(お問い合わせなどのフォームに移る人の数)
2.オウンドメディア運営(認知度をアップしたい場合)
KGI→ユニークユーザー数(一定期間の中でサイトに訪れた人の数)
KPI→コンテンツ数
KPI→主要検索サイトでの順位
KPI→離脱率
KPI→直帰率
KPI→SNSで発信した際の反応数
3.ウェビナー(ロイヤリティ向上が目的の場合)
KGI→参加者に実施するアンケートの記述式内回答の充実
KPI→参加申し込み数
KPI→広告経由の参加者数
KPI→当日参加者数
KPI→参加者のアンケート回答数
マーケティング以外のKPIの事例
上記ではマーケティングの施策ごとのKPIの例を上げましたが、企業活動の中には様々なKPIの設定が可能です。
- 営業
- 人事
- 財務
1.営業
KGI→年間売上金額
KPI→月ごとの売上高
KPI→営業マン1人あたりの月の売上
KPI→リピート数
KPI→新規顧客獲得数
2.人事
KGI→社員の定着度
KPI→離職率
KPI→従業員満足度
KPI→新卒、中途採用数
3.財務
KGI→年間の利益額
KPI→自己資本率
KPI→固定費
KPI→損益分岐点
KPI→株価
KPI→キャッシュフロー
KPIを達成するために大事なこと
最後に、設定したKPIを達成するために大事なことをお話ししたいと思います。
まず、動く前に設定したKPIをしっかりと認識し、優先度が高いものとしてこなすことです。
どうしても長期目標があるものは「今できなくても、来週、来月で挽回できる!」と思ってしまい、目の前にきた突発的な仕事を先にこなしてしまう場合があります。
一度だけなら、と思ってやってしまうと癖になり、結果としてマーケティングに関する業務が全て後回しになってしまい、KGI達成が不可能な状況となります。
マーケティングが失敗する理由の多くに、「継続して業務が行えない」というものがあります。
会社として、マーケティング担当を決めたなら他の業務が増えすぎないような配慮が必要ですし、担当者も業務の調整、把握、遂行できる環境づくりをすることが必要です。
また、チェックをする際に単純に数値が達成できているか、できていないか、だけでなく、そのために行った業務内容はどうだったか、という点も重視する必要があります。
数値が達成できない場合はその理由を探して改善することが大切で、そもそも実現が難しい数値なのか、業務に無駄な部分や遅れているところはないか、自社と合っていないコンテンツの発信に偏っていないか、といった内容を振り返ってみてください。
そして数値が達成できたとしても、どのようなことをしたから数値が達成できたのか、逆にもっと数値を上げられる余力があるのではないか、といった成功要因や目標設定の見直しをすることが大事です。
もちろん、上手くいったからといって、同じようにまたやったとしても効果が出ないこともあります。
マーケティングでは、細かく把握し振り返りを行い、改善を繰り返すことが目標達成への近道となります。
マーケティングというと華やかな印象を持つかもしれませんが、とにかくコツコツ地道な努力をし続ける忍耐力、体力が必要なので、無理をするよりも、無理なく続けられる範囲で効率的な運用をすることをおすすめします。
さいごに
今回は
- KPIとはなにか
- KGI、KSFとの関連性
- KGI設定の際の手順とポイント
について解説しました。
マーケティング活動はKGI達成までなかなか成功体験をしづらく、モチベーションの低下や優先順位がいつの間にか下がって頓挫してしまうことが失敗の要因として多くなっています。
KPIの設定を行うことで、これらのことを防ぐことができるので、ぜひ参考にしてみてください!
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投稿者プロフィール
- ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者
大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。
200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。
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