経営上の人間関係の問題に終止符を!経営者の負担を軽減するための方法

 

会社を経営していくにあたっては、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つが大事だと言われています。

創業社長の多くは、元々営業マンとして優秀だった方や、大手企業で成果を上げて独立をした方などが多く、「モノ・カネ・情報」の扱いにはすでに長けていらっしゃる方々ばかりです。

逆に、大手企業や長年続いている企業の2代目や先代から引き継いで経営者として就任する方々は「ヒト・カネ・情報」の扱いに長けていらっしゃいます。

 

今回は、創業社長の方々のお悩みで一番多い「ヒト」の問題について

  • そもそも何が問題になっているのか
  • なぜそうなってしまったのか
  • それを解決するための手段

を解説していきます。

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

 

 

よくある「ヒト」に関する問題

日々刻々と変化する経済環境の中で、経営者として社員の生活を守るために邁進していたからこそ、現在社内の人間関係や従業員の問題が気になってきているのだと思います。

パーパス経営やビジョンの発信、大きい企業よりも強い企業を創ろう!といったことが叫ばれているなか、あらためて自社の状況を見たときにいくつかの課題が見えたのかもしれません。

よくあるヒトに関する問題として下記のようなことがあげられます。

 

  • 入社した頃に比べて、社員のモチベーションが下がっている
  • なんだか社員同士のコミュニケーションが少ない、社内にいて違和感を覚えた
  • 指示に反発をする社員ではなく、何も文句をいわずに淡々と働く社員が気になる
  • 以前は業務量や業務のことについての相談があったのに、今は何も相談されない。指示したことはやってくれるが、その社員がどう思っているのかわからない
  • 信頼もして仕事を任せていた優秀な社員の様子が最近おかしい

 

これらの問題を解決していくための策を練るとき、ごくまれに社員や職場に対する経営者の声掛けや態度から従業員側との意思疎通がうまくいっていなくて上記であげたような問題が起こっている場合があります。

 

社内全体ではなく、もし特定の社員に対しての違和感だったり問題であれば、以下のことがなかったか思い出してみてください。

 

経営者と従業員の間でおこりがちな意志疎通のトラブル5選

 

先にお伝えしておきますが、今から書くことは決して経営者の方だけが悪いことではなく上手くコミュニケーションがとれなかったというだけですので、気負わずに読み進めてください

もし、ここに書いている5選の中で心当たりがあって「あーしまった」と思ったとしても、単純にそのことを謝るのではなく、時間をかけて対話を重ねて従業員側の心が開かれるのを待つことが大事です。

いきなり「あの時はあんなこと言っちゃって(してしまって)すみませんでした」と言っても、社員側からしたら「いきなり何を言っているんだろう、何か裏があるんじゃないか」と余計怪しんでしまいます。

 

ヒトの心は一筋縄ではいかないので、そのことを胸に留めて下記を確認してください。

 

① 社員の成長のためを思って伝えた言葉が、ネガティブに受け取られる

業務内容や業務量について相談をされた時、理由やなぜそう感じているのかを聞かずに、本人の成長の為だと思って「がんばれ」「期待している」「とにかくやってみて」「いいからやれる方法を見つけて」「他の企業だったらもっとキツイぞ」という返答を何度もしてしまったことがある。

 

② 経営者の立場を理解されないことで、思わず強い言葉を言ってしまう

経営者としてこんなにも頑張っているのに従業員に理解されず、従業員側からの相談がわがままに聞こえてしまって、つい「イヤなら辞めてもらっていい」「高い給料払っているんだからつべこべ言わずに働け」といったこと、また準じることを従業員に対して伝えたことがある。

 

③ 評価していることを伝えようとしたのに、意図しない受け取られ方をする

仕事が速く、人当たりの良い社員に対して、感謝や評価していることを伝えたくて「○○さんはいつも穏やかで仕事が頼みやすいから、つい色々頼んじゃうんだよね」と言ったが、本人の実力や実績の評価からではなく、人柄だけで判断して仕事を任せていると受け取られてしまうような伝え方をしたことがある。

 

④ 社員同士を比較して、人前で責めてしまう

従業員に対して「なぜこんなこともわからないんだ」「自分ができるのになぜこの人はできないのか」優秀な社員と比較して「あいつができることをなぜできないんだ」と人の目があるところで伝えたことがある。

 

⑤ 社員が作った明るい雰囲気を、意図せず壊してしまう

職場環境を良好にしようと社員や従業員達が意識して明るい雰囲気をつくったり、声掛け・フォローをしていたのに気づかずに、余裕がなくてつい自分の感情をむき出しにして接して場の雰囲気を変えたり、その努力を否定して従業員のやる気をそいでしまったことが何度かある。

 

これらは全てパワハラなどではなく、ちょっとしたコミュニケーションエラーで起こった問題です。

謝って解決するものでもないですし、社員側もいちいち謝罪などは求めていません。

 

ではここからは、上記であげた5選からそれをうけた従業員がどのような行動をとるか、傾向を解説していきます。

意志疎通のトラブルに対する社員の反応

ここからは上記であげた5選を例に、それによって従業員がどのような変化を起こすか、傾向をまとめていきます。

 

① 業務内容や業務量について相談をされた時、理由やなぜそう感じているのかを聞かずに、本人の成長の為だと思って、ただ「がんばれ」「期待している」「とにかくやってみて」「いいからやれる方法を見つけて」「他の企業だったらもっとキツイぞ」という返答を何度もしてしまったことがある。

①の場合、従業員側は相談することを諦めると同時に、

  • どうすれば業務を改善するのかを自発的に考えて効率化を図るパターン
  • やりきれないもの、手を抜けるもの、上司のチェックがつかないものは後回しにしたり、適当な仕事をするパターン

の2種類が挙げられます。

特に後者であれば、本人が辞めた後に多くのトラブルが判明して、残った社員がとても苦労をします。

 

もし、思い当たる社員が前者のパターンであれば、このことはそこまで気にしていない場合が多いでしょう。

業務をこなしていく中で常に「次いつどんな指示が飛んでくるのか」と不安を感じつつもスケジュール管理やタスク管理のPDCAを回して効率的に仕事ができているので、その社員一人に業務量の負担が行き過ぎないようにだけ注意をしてください。

また、定期的に業務に関して成果を認めることで困ったトラブルにはつながりづらいと言えます。

 

② 経営者としてこんなにも頑張っているのに従業員に理解されず、従業員側からの相談がわがままに聞こえてしまって、つい「イヤなら辞めてもらっていい」「高い給料払っているんだからつべこべ言わずに働け」といったこと、また準じることを従業員に対して伝えたことがある。

 

もしこれを伝えてしまった相手が昔から仕事をしている社員や右腕、幹部などであれば、経営者の性格に対しても理解があるので、「あー、なんか追い込まれてんのかな」「また感情だけで話しちゃっているな」と受けて止めてくれる場合も多いですが、そうでない場合は注意が必要です。

一見するとパワハラとして受け取られかねないですし、こういったことが何度も繰り返されると次第にモチベーションが下がっていきます

反発をせず、ただもくもくと働くようになったら要注意です。

 

心を閉ざしてしまっている可能性が高いので、経営者本人が直接動くのではなく外部のコンサルタントやその社員の先輩や上司に心境を探ってもらい、まずは本心を引き出すことに注力してください。

くれぐれも急がず焦らず、本人が心を開いて本心を伝えるまでじっと構えていてください。

 

また、経営者をよく理解してくれている相手であったとしても、フォローは大切です。

 

③ 仕事が速く、人当たりの良い社員に対して、感謝や評価していることを伝えたくて「○○さんはいつも穏やかで仕事が頼みやすいから、つい色々頼んじゃうんだよね」と言ったが、本人の実力や実績の評価からではなく、人柄だけで判断して仕事を任せていると受け取られてしまうような伝え方をしたことがある。

せっかく褒めたつもりでいても、言葉が足りないと受け取る側は自身に対する評価に対して悩んでしまう場合があります。

人柄が良く、場の雰囲気を良くしてくれる社員が1人いることは社内の人間関係や社内の雰囲気を保つことにとても貢献してくれていると感じていると思います。

ただ、もしそこを褒めたいのであれば、仕事を振ることと人柄は分けて話さなければ「私は良いように使われているんだ。これまで自分の実力を評価してくれて信頼してくれているからたくさん仕事を振ってもらえているんだと思っていたけど、勘違いだったのか」と考えてしまいます。

 

褒めたんだから素直に受け取ればいいのにと感じるかもしれませんが、仕事に対して真面目であるほど、経営者の言葉は正面から受け止めてしまうものです。

もし、その社員のモチベ―ションが下がっていたり仕事の効率が悪くなっていたら思い悩んでいるかもしれないので、対話が必要です。

 

その際、評価していることや「あなたにしか頼めない」と伝えると逆にプレッシャーに感じてしまって逆効果になるので、出来れば

「仕事でもっと効率化したいと思っているところはある?」
「負担が大きい業務を振っているけど、それぞれどのように管理して進めている?」

といった問いかけをして、そこで本人が工夫している点や出てきたアイデアを評価すると効果的です。

 

一方、その社員にモチベーションの低下や効率化できていないといった変化が感じられなければ、本人は特に気にしていないか、悩んだとしてもケリをつけて「次は実力で認めてもらおう」と前向きに仕事をしていることと思うので、大きな問題には発展しないかと思われます。

 

④ 従業員に対して「なぜこんなこともわからないんだ」「自分ができるのになぜこの人はできないのか」優秀な社員と比較して「あいつができることをなぜできないんだ」と人の目があるところで伝えたことがある。

どうしても経営者自身との実力差や優秀な社員との差を見つけてしまうと、もどかしい気持ちになりますよね。

特に創業社長の場合はゼロから一人で築き上げてきたことや、常に人の数十倍働いていることもあり、どうしても社員との差が出てしまうものです。

経営者のあなたとしても言いたくはないことだったかもしれませんが、それでも我慢できないくらいの状況だったのでしょう。

 

もし、その社員が心を閉ざしていたり、周りと話さなくなっていたら注意が必要です。

特に、それまで同期で仲が良かったのに急に距離を置き始めていたり、仕事を振ったのに「○○さんのほうが適任ではありませんか?」と言ってきたら、あきらかに自信を喪失してしまっています

この場合は、本人が得意な仕事を振り、その成果や結果を的確に評価して自信を取り戻すことと、その本人の心理的安全性を確保することが大事です。

人は自信を失うとより仕事への集中力がなくなったり、ミスが増えてしまいます。この仕事をしてもうまくいかないんだと先入観を持ってしまって、イップスがかかってしまうのです。

 

一方、本人の職場の人間関係に目に見えた変化がない場合は、次に仕事振りに以前と変化がないかを確認してください。

目に見える変化がなければ、現状問題ありません。

逆により仕事に精を出していたら、それを激励だと受け取った、もしくは「見返してやる!あいつより成果を出してやる!」と対抗心を燃やしていることでしょう。

その場合は少し難しい仕事を振ってみると、本人の成長に繋がるかと思います。

 

 

⑤ 職場環境を良好にしようと社員や従業員達が意識して明るい雰囲気、声掛け、フォローをしていたのに気づかずに、余裕がなくてつい自分の感情をむき出しにして接して場の雰囲気を変えたり、その努力を否定して従業員のやる気をそいでしまったことが何度かある。

経営者が孤独であり、会社や従業員の生活を背負っていることは、働いている側も重々承知しています。

だからこそ、せめて人の問題が出ないよう、お互いがお互いをフォローしたり、明るい職場の雰囲気を作って心理的安全性や働きやすい空気感を作っていることがあります。

しかし、経営者が不愛想にイラついて出社したりすると、それだけで場の雰囲気は一変します。

あまりご自身の影響力について自覚されている方も少ないですが、コミュニティの中で大きな発言権や決断力を持っている人の機嫌や振る舞いは周りに大きく影響を与えます。

 

最初のうちや、従業員側にも余裕があれば「社長も大変なんだな」と気遣ってくれますが、あまりにもそれが続いたりマネジメントする立場の人に

「部下を気にしすぎ。求める成果だけ伝えてあとは好き勝手やらせておけばいい。だまってもくもくと仕事しているくらいがちょうどいいんだ。それが成長に繋がる。」
「うちのやり方はできないやつはふるい落とすだけだ。丁寧に接しすぎるな」

といったようなことを伝えた場合、一気に本人のやる気や職場の雰囲気は悪くなります。

 

もちろん経営者として、人の成長のためには崖から突き落として這い上がってくるくらいがちょうどいいと感じているかもしれませんが、マネジメント側の意見を聞かずに一方的に伝えただけ、理由を伝えても真向から全て否定したりしたら、そこで「社長は人と人が働くことに対して何も思わない人なんだ」と感じてしまうかもしれません。

 

職場の雰囲気や人と人との信頼関係は、日々の積み重ねがとても大事です。

ある特定の時間だけ寄り添えばいいというものではなく、日々の小さな変化に気づいて問題が起こる前からのフォローが大事です。

それでも問題が起きてしまうこともありますが、思っている以上に気を遣わなければ職場の人間関係は上手くいくことがありません。

 

ただ、いちいちそんなことに気を使っている暇があるなら、1円でも多く利益を追求したいかと思います。

その場合は方針を伝えたり理想を伝えて、現場のことは従業員間に任せるのも1つの手です。

これまであまり寄り添ってこなかったり大々的に人づきあいが苦手と宣言している経営者が、無理をしてあらためて1人ひとりを気遣うと、とても疲れてしまいますしストレスにもなってしまいます。

人付き合いが上手な右腕や幹部、リーダー的な社員に任せるのも1つの手です。

逆に従業員に気を使いすぎるのもよくない

 

ここまで経営者と社員・従業員の意志疎通トラブルや従業員の変化について解説をしてきましたが、ここで勘違いをしてほしくないのは、こういった問題がおこったからといって従業員に気を使いすぎるのは元も子もないということです。

あなたは経営者で社会貢献と自己実現のためにここまで血反吐を吐くような思いで必死に働いてきました。

それを、社員や従業員への関わり方に頭を悩ませてしまっていてはせっかくのあなたの良い部分が埋もれてしまいます。

 

もし、ご自身でヒトに対する問題解決が苦手だと実感しているのであれば

  • 外部のキャリアコンサルタントにマネジメントを委託する
  • 右腕や幹部層に一任する
  • ビジョンブックを使って、方針や理念を明確化して伝えていく

という方法を検討してみてください。

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経営者におすすめする職場の人間関係を改善する方法3選

ここでは、ヒトの問題に時間も手間も割きたくない、自分がやっても失敗しそうだと感じている経営者に向けて、効果的な改善法を3つお伝えしていきます!

外部のキャリアコンサルタントにマネジメントを委託する

キャリコンサルタントといっても、その専門性は多岐に渡ります。

キャリア支援の中でも、例えばベンチャーを専門にしている人や大企業を専門にしている人、製造業専門、IT専門、外国人専門と専門性を持ったキャリコンサルタントは大勢います。

キャリアコンサルタントを探す際は下記『きゃりぽ』など、専門のサイトから自社に必要なキャリアコンサルタントを探してみてください!

 

右腕や幹部層に一任する

もしそれなりに組織もできていたり信頼できる右腕や幹部がいるならば、理想や実現したいビジョンを伝えて、それを任せてしまうことも1つの手です。

その際は一言、

「自分はあまりマネジメントが得意ではなくこれまで余裕がなくてあまり良い接し方ができていなかったから、今の状況で自分が先陣をきっても上手くいくとは思えない。申し訳ないが力を貸して欲しい。」

といった言葉を添えることも忘れずにお願いします。

頼み方を誤って右腕や幹部が離れてしまっては、元も子もありません・。

 

ビジョンブックを使って、方針や理念を明確化して伝えていく

 

最後に、ビジョンブックを使った方法をご紹介します!

「ビジョンブック」とは、企業の経営理念やミッション、ビジョン、バリューが書いてある本のことです。

 

どうしても言葉で伝えると受け取り手によっては違う風に捉えてしまったり、言葉足らずで新たな問題を生み出してしまう可能性もあります。

そこで、出版社やプロのライターに入ってもらって、自身の伝えたいことや実現したい環境を伝えて、それを的確に伝えるための戦略を任せてみてください。

餅は餅屋です。
人の思いを伝えることに長けているプロに任せることが、効率よくストレスなく理想の職場づくり、人間関係づくりへと繋がります

また、ビジョンブックがあれば採用活動などにも使えるので、これからの企業の発展にも効果的です。

 

ビジョンブックについては、下記に詳しくまとめておりますので、ぜひご覧ください!

 

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まとめ

  • 社長が抱える人間関係の悩みに多いものとしては、社員のモチベーション低下や社員との意思疎通の不足、社員の様子の変化などが挙げられる
  • 経営における人間関係の悩みの原因は、上手くコミュニケーションがとれなかったというだけという場合が多い
  • 問題を解決するための手段として、「外部のキャリアコンサルタントにマネジメントを委託」「右腕や幹部層に一任」「ビジョンブックを使って方針や理念を明確化して伝える」という方法がある

ご自身が苦手とすることにこれから向き合おうとされている経営者の方々にとって、この記事が少しでも解決の糸口が見つかることを願っております!

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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