今回は、企業の売上に繋がるノウハウ本の書き方を解説します。
企業が出版を検討するのは下記タイミングが多いのではないでしょうか?
- 展示会に出展する(来場者に配り覚えてもらう、営業のきっかけにする)
- IPOの準備(社会的信頼の高い媒体を活用したブランディング)
- 主力事業のマーケティング(自社ならではの技術やノウハウをまとめ、本をフックに営業活動をする)
- 経営者自身のブランディング強化
- 代替わりの際に自社の歴史を残す
今回は、企業出版専門の出版社の中でもBtoBの売上アップに強いラーニングス株式会社が普段どのように本づくりをしているのか、そのノウハウをお伝えします。
ぜひ最後までご覧ください!
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
そもそもノウハウ本とはどんな本?
ノウハウ本は、専門的な知識や情報、技術が読者に対してわかりやすく書かれている、実用的な本のことです。
「この本を読めば、○○に対する知識や対処法などを知ることができる」というものがノウハウ本に該当します。
自社の持っている技術やノウハウを広く伝えることで、自社の業界内での立ち位置を明確にするだけでなく、自社サービスの導入、商品の購入へと繋げるフロントエンドとしての役割を果たします。
展示会での配布や営業活動で活用したい企業は、このノウハウ本を作ることが多いです。
書く前にやること
では、「ノウハウ本を作りたい!」と思ったら何から始めればいいのでしょうか?
まずは、出版社を探しましょう。
今は誰でも手軽に本を出版できる時代ですが、書店に並べたり、広告を出したり、クオリティの高い本を作る場合は出版社の力を借りるほうが賢明です。
その際はビジネス書を専門としている出版社、または企業出版を専門にしている出版社を選びましょう。
出版社の選び方についてはこちらの記事をご参照ください。
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そして、出版社に相談をする際、下記2点を明確にしていると、より良い提案をもらえます。
- 出版したい理由
- 読者に伝えたい内容
本を作ってどんなことがしたいのか、どんな情報を発信したいのかはとても重要です。
この情報が明確であればあるほど、出版社側も企画を立てやすくなります。
企業側である程度の方向性を決めるのももちろん良いですが、せっかく出版社に依頼をするのであれば、出版社側の提案を聞きつつ最適な企画を目指すほうがおすすめです。
※もし商業出版を狙うのであれば、企画書は著者側で用意する必要がありますのでご注意ください。
そして、どんな本をつくるのか×つくった本をどう使うかがポイントになってきます。
このあたりは出版社側が案を出して、それをもとに著者となる企業側からフィードバックをもらい、戦略を考えていく部分なので、焦らずに納得がいくまで話し合いましょう。
また、自社でECサイトや販路を持っている場合は、自社で企画・制作し、印刷会社に印刷製本を依頼して、作った本は自社管理することもあります。
ノウハウ本の構成のポイント
ノウハウ本の構成をつくるとき、大切なのはゴールから逆算して考えることです。
出版をしてどんな効果を得たいのかを決めた後に、そのためにはどのように本を活用すればいいのかを考え、最後に本の内容を考えていきます。
また、読んでくれる読者がどのような存在かもイメージしなければなりません。
ラーニングスが基本にしているのは、下記の図です。
横軸の認知度は、その人があなたの会社や提供するサービスのことを知っているかどうかを指しています。
縦軸は、その人がどれくらいあなたの会社や提供するサービスに興味があるかについての見込みの度合いを指しています。
出版をしてどんな効果を得たいのかを考えるとき、そこには解決したい経営課題が関わってきます。
経営課題の根本的な原因を見つけることが、良い本を作る第一歩です。
- 出版をして得たい効果
- 本の活用方法
- 読者ターゲット
が決まったら、いよいよ本の内容を考えていきます。
ノウハウ本の場合、あれもこれもと情報を細かく入れたくなると思いますが、本を活用する際、営業シーンで相手に渡す場面が多いと分厚すぎる本は重たいため、営業マンにも顧客にもあまり良く思われません。
一方でLPを作ってプレゼントしたり、ブックDMをする場合は、薄すぎる本よりもそれなりに厚みがある本のほうが、印象が良くなります。
どんな相手にどのように本が届くのかをイメージして、まずは本の形から決めていきましょう。
営業シーンで活用する際のおすすめは、B6縦書き 200ページ前後
図表が多い場合はA5横書き 180ページ前後です。
文字数としては6万字程度を目指してみてください。
大事なのは、読者を本の中でどのような状態にするのか、です。
「こういうの悩んでいたんだよ。自社だけじゃ賄いきれないから、相談してみようかな」と思ってもらうことです。
企業として本を出すのであれば、出版後に利益を出さなければなりません。
読者が「良い本だったな」というだけで終わるのではなく、資料をDLしたり、メルマガに登録したり、問い合わせをしたりといった行動を起こしてもらう必要があります。
6万字程度の本であれば、最初は5章構成でざっくりと下記を参考に情報を振り分けてみてください。
2章:この本を読むうえで必要な情報
3章:本題
4章:事例
5章:まとめ
そして、読者を惹きつけるために、各章下記を工夫してみてください。
2章:課題を解決するために、どんな知識やノウハウが必要なのかを知ってもらう
3章:著者企業はどんなことができるのか、何に強みを持っているのかを知ってもらう
4章:事例を通して「ここにならお願いしてみたい」と思ってもらう
5章:最後の一押しをして、熱の冷めないうちに読者の行動喚起をする
文章はいきなり書くのではなく、どんなことを書くかが決まってから書いていきます。
必要な情報や資料はこのタイミングですべて用意しておきましょう。
ノウハウ本の執筆のコツ
それでは、ここからはノウハウ本を執筆するときのコツをお伝えします。
すでに骨子や資料は揃っているかと思いますので、書きやすいところから書いていきましょう。
すべての執筆作業に共通する内容ですが、筆が止まってしまうことが一番危険です。
本は原稿ができないとどうすることもできませんし、原稿作成段階で作業に遅れが出てしまうと、その後の校正や編集作業に十分な時間が確保できなくなり、結果的にクオリティが下がってしまいます。
順に書いていくのもいいですが、書きやすいところからまずは粗々に書ききってしまい、小さな達成感を積み重ねてください。
最初から細かく1文1文を推敲しないことも、原稿を書くときのコツです。
また、会社として出すのか、経営者の名前で出すのかも書くときに気をつけたいポイントです。
会社として出すならば、会社のカラーがしっかりと出る言葉のチョイスが必要ですし、経営者の名前で出す場合、その人の口癖やその人らしさを文章で表現する必要があります。
執筆の際は、まずは必要な文章を書ききり、その後に細かい修正や調整をしてくださいね。
マーケティング出版プラスでは、本の書き方に関するコンテンツを豊富にご用意しております。
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ノウハウ本を書くときに大切な3つのこと
最後に、ノウハウ本を書くときに大切な3つのことをお伝えします。
- 読者目線を忘れない
- 1冊の本で伝えたいことは1つに絞る
- 書くときはスピーディーに、確認は慎重に
1.読者目線を忘れない
あるあるなのですが、書いているうちに自分が伝えたいことばかりが前に出てしまい、読者が知りたい情報とはかけ離れた内容ばかりになってしまうことがあります。
本は自分の書きたいことではなく、読者が知りたい情報を伝えるものです。
ぐっとこらえて、読者目線を忘れずに書き進めてください。
2.1冊の本で伝えたいことは1つに絞る
本はSNSと違い、詰め込める情報が多いため「あれもこれも伝えたい!」と思ってしまい、いつのまにか「一体これは何を伝える本なのか?」という状況になることがあります。
本づくりの鉄則は、「1冊の本で伝えたいことは1つに絞る」です。
書く前にしっかりと企画を立てて、道筋を綺麗に整えてください。
3.書くときはスピーディーに、確認は慎重に
出版は10か月程度かけて行うので、ついつい「まだ時間はあるから大丈夫」と作業が遅れがちになることがあります。
しかし、執筆段階で送れてしまうと、その後の確認作業が十分にできず、結果として後悔の残る出版になりやすいです。
まずは原稿を書きあげることを目標にして、確認期間にたっぷり時間を使えるようにしましょう。
企業がノウハウ本を出版した事例
マーケティング出版プラスでは、さまざまな企業様の出版事例をご紹介しています。
ラーニングス株式会社の事例は事例集よりご覧ください。
マーケテイング出版+plus(プラス)は企業出版専門の出版社、ラーニングス株式会社が運営する情報提供サイトです。本づくり…
その他の出版事例は「経営者におすすめの本」からご覧いただけます。
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また、企業出版の資料やその他レポートもご用意していますので、あわせてご覧ください。
最後に
今回は、出版をご検討されている企業様に向けて、ノウハウ本の書き方をご紹介しました。
まずは
- 出版したい理由
- 読者に伝えたい内容
を見つけることが出版への第一歩です。
出版の企画や戦略でお困りの際は、ラーニングス株式会社にお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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- ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者
大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。
200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。
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