あなたは答えられますか?「自己啓発書・ビジネス書の違い」

 

突然ですが、「自己啓発書とビジネス書の違いをあなたは答えることができますか?

 

最近はどちらともとれる書籍が増えているので、難しい質問だと思います。

普段から本をよく読む方であっても、明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか?

 

 

「Cコード見ればわかるじゃん」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はCコードの分類には「ビジネス書」というものはありません

ビジネス書というジャンルは、本をよりわかりやすく読者に伝えるために使われているものなのです。

 

 

今回は本好きの人でも意外と答えられない、自己啓発書とビジネス書の違いについて、出版社であるラーニングス株式会社が解説をしていきます!

 

ぜひ最後までご覧ください!

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

そもそも、本の分類はどうやって決まっているの?

 

それでは、まずは簡単に本の分類について解説していきます。

 

本屋さんや図書館に行くと、本はそれぞれジャンルごとに並んでいますよね。

絵本の棚には絵本が置いてありますし、小説の棚には小説が置いてあります。

 

 

書籍の分類は日本図書コードの分類コード(Cコード)が用いられており、それに沿って本は並べられています。

Cコードは販売対象、発行形態、内容の順番で4桁の番号で表します。

 

 

 

例えば、ベストセラーの絵本『はらぺこあおむし』エリック=カール(著),もりひさし(翻訳)のCコードは8797です。

これは、販売対象→(児童)、発行形態→(絵本)、内容→97(外国文学小説)という意味になります。

 

 

Cコードについて詳しく知りたい方は、ぜひ日本図書コード管理センターが公表している「ISBNコード/日本図書コード/書籍JANコード利用の手引き」2010年版、「分類記号(Cコード)一覧表」をご覧ください。

 

 

Cコードに「ビジネス」の項目はない!?

 

Cコードについて説明しましたが、上記リンクをご覧になった方は「あれ? 分類記号下2桁(内容コード)の明細にビジネスの項目がない…」と気になったはずです。

 

販売対象の1→教養、2→実用、3→専門はあるものの、内容となると33→経済、34→経営、36→社会となっています。

 


補足

  • 教養……教養面を主体とした内容のもので、知識階層を対象としたもの。
  • 実用……主として実務に役立つ実用的な内容のもので、実務家が対象。
  • 専門……主として学桁・専門的なもので、専門家学究者層が対象。

 

 

実はビジネス書や自己啓発書といったジャンルは、本屋さんをはじめ、売る側がお客さんにもっとわかりやすく本の内容を伝え、陳列をするために作られたジャンルなのです。

 

ちなみに出版社が本のCコードを決める際は類書を参考にしたり、いくつかテーマがあるものは主テーマをもとに決めていきます。

 

よかったら、お好きな本のCコードの内容を調べてみてくださいね!

 

 

コラム:ビジネスマンに人気な本のCコードをご紹介!

 

完訳 7つの習慣 人格主義の回復』スティーブン・R.コヴィー(著),フランクリン・コヴィー・ジャパン(翻訳)

Cコードは0034です。

販売対象→0(一般)、発行形態→0(単行本)、内容→34(経営)

 

 

生き方』稲盛和夫(著)

Cコードは0030です。

販売対象→0(一般)、発行形態→0(単行本)、内容→30(社会科学総記)

 

 

Cコードは0034です。

販売対象→0(一般)、発行形態→0(単行本)、内容→34(経営)

 

 

道をひらく』松下幸之助(著)

Cコードは0012です。

販売対象→0(一般)、発行形態→0(単行本)、内容→12(倫理(学))

 

 

ビジョナリー・カンパニー―時代を超える生存の原則』ジム・コリンズ,ジェリー・ポラス(著),山岡洋一(翻訳)

Cコードは2034です。

販売対象→2(実用)、発行形態→0(単行本)、内容→34(経営)

 

 

ビジネス書・自己啓発書は何が違うの?

 

それではここからはビジネス書、自己啓発書の違いについて解説していきます。

 

ビジネス書とは

 

ビジネス書とは読者ターゲットがビジネスパーソンの本で、内容は仕事に関する知識や考え方が書かれた書籍のことを指します。

 

例えば、仕事のマナーや企画書の書き方、営業のテクニック、PRの方法など、ビジネスをするうえで必要な情報が詰まった本です。

 

イメージとしては、仕事で何か困ったことがあったときに本屋さんに行って課題解決のヒントとなるような本がビジネス書にあたります。

 

つまり、書いてある内容がビジネスシーンでいかに役立つか、どれだけ短期的に結果が出るかが読者に求められています。

 

自己啓発書とは

 

一方、自己啓発書とは読者ターゲットはあらゆる人間で、内容は人間力といわれる人としての生き方、行動、思考や成功方法などが書かれた書籍のことを指します。

 

仕事で辛いというよりは、生きている意味に悩んだり、人生に悩んだ人が助言が欲しくて手に取る本です。

 

誰かの成功までの道のりや生きるうえでの信念、考えを学び、勇気をもらいたい人が手に取る書籍と言えるでしょう。

 

書いてある内容を実践してすぐに効果があるか、ではなく、長い目で見たときに、人生の辛い場面などでいかに心の支えとなる内容かが読者には求められています。

 

何かを成し遂げた人が書くことが多いことから、著者の多くが起業家や投資家、著名人となりビジネスパーソン向けと思われることもありますが、すべての人が読者対象となるのが自己啓発書です。

 

 

なぜ最近はビジネス書と自己啓発書の違いがあまりないのか

 

それでは今回の本題へと入っていきましょう。

なぜ世の中に出ている本には「この本はビジネス書/自己啓発書だ」と断言できるものがそう多くないのでしょうか?

 

試しに2024年に出ているビジネス書や自己啓発書を何冊か手に取って読んでもらえるとわかると思いますが、ビジネス書の中にも自己啓発の要素があるものもあるし、自己啓発書の中にもビジネスの要素があるものがあります。

 

というのも、ITの進化やテレワーク、フリーランス、副業など働く選択肢が増えたことで、スマホが普及する前のような仕事とプライベートを明確に分けることがなくなり、仕事と人生を関連づけて考える人が増えたことが理由の一つだと考えられます。

 

仕事を通して人生をどう実現させていくか、ライフワークバランスが働くうえで重要な基準となっていることから、著者も読者のことを思ってどちらかのことだけでなく、関連づけたエピソードを本の中に入れているのでしょう。

 

例えば、企画書の書き方ひとつをとっても、7つの構成要素や6W2H分析だったりとノウハウは詰まっていますが、その説明をする際に著者の実体験が含まれます。

 

 

●入社したばかりの頃は仕事ができなくて、終電まで残業していた

●作った企画書が没ばかりで落ち込み、モチベーションが下がって成果が出せなかった

 

といったエピソードの後に、

 

◎もっと良い仕事をお客様に提供したいと思って必死に勉強した

◎自分の人生をより楽しむためにも、生産性を高めて仕事で成果を出せるように寝る間も惜しんで勉強した

 

という、苦労からどのように考えて行動して成功したかをまとめたストーリーをよく見かけませんか?

 

 

著者はより読者に自身の持つノウハウを理解し実践してもらえるよう、近年ストーリーテリングを駆使するようになりました。

 

そして、これを書くことで、この著者が自分と同じような状況を経験しているんだ、自分もできるかも、と読者を勇気づけ、この本に書いてあることよりももっと詳しいことを知りたいと思わせることができるのです。

 

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裏側の話になりますが、ビジネス書は著者もビジネスマンなので、本もただ自身の考えを世に広めるツールではなく、自身のビジネスに誘導するための一つの発信源と考えています。

 

そのため、本の中で徐々に読者に親近感を抱かせて巻末で自身のセミナーやサロン、企業に誘導し、利益へとつなげていきます。

 

また、本を出して終わりにするのではなく、コンテンツマーケティングの戦略と連動させたり、営業シーンで活用し事業を発展させているのです。

 

 

一方、自己啓発書の中にも、著者がビジネスマンの場合は、ビジネスノウハウが入ることが多々あります

 

例えば、タスク管理や生産性を上げる方法などのノウハウが入り、それを行って人生にどのような変化が起きたか、自分の思い描く人生を歩むために仕事への関わり方をどのようにしたか、といった内容です。

 

人生を生きるうえで多くの人が労働を経験するので、人生を語るには仕事は切っても切り離せませんし、著者が成し遂げたビジネスノウハウを本の中に入れるのは説得力を上げて読者を納得させるためには必要不可欠な要素です。

 

 

また、少子高齢化が進み働き手が少なくなっていることから、人材育成に関する本が近年多数出版されています。

 

組織づくり、1on1、ウェルビーイング、働き方改革など、従業員を歯車として考えるのではなく、1人の人として認識し大切に教育し働きやすい環境を整える必要性を訴える、そしてそのノウハウを伝える本が人気を集めており、それらの本には必ず人生や生き方についてのトピックもあるものです。

 

 

【まとめ】

ITの進化により仕事とプライベートの分け目が不明確になったことから、人々は人生と仕事を関連づけて考えるようになった。
自分らしく仕事と人生を選択する自由が増えたことで、著者もただノウハウを伝えることをあまりしなくなったことから、ビジネス書、自己啓発書どちらの要素も持っている本が増えているのだと考えられる。

 

経営者におすすめの本はこちらからご覧ください!

 

 

最後に

 

今回はビジネス書と自己啓発書の違いについて解説をしました。

 

 

【この記事のまとめ】

  • ビジネスに直結するノウハウが書かれているのがビジネス書
  • 人生や生き方について書かれているのが自己啓発書
  • 人生、仕事の選択肢が増えたこと、境目が不明瞭になったことで、最近はどちらの要素も入っている本が増えてきている

 

 

ぜひ本を読む際/書く際は、Cコードやこの本はどんなジャンルになるのか…を考えることも楽しんでもらえると嬉しいです。

 

今回説明しなかったISBNについてはこちらの記事をご覧ください。

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そして、ラーニングス株式会社では企業出版を専門に本を作っています。

ビジネス書を作りたい、人生と仕事を関連づけた本を出したいという方はぜひ下記よりご連絡ください。

 

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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