今回は書籍『誤出荷ゼロ! 自社倉庫管理術』を出版されました、株式会社三協代表取締役の山田孝治(やまだ・たかはる)さんのご子息である山田 健太郎(やまだ・けんたろう)さんにお話を聞いてきました。
自社倉庫の管理方法についてのノウハウ盛り沢山の書籍ですが、インタビューでは書籍には書かれていない気になるお話もたくさんお話しいただきました!
著者:山田 孝治(やまだ たかはる)
株式会社三協代表取締役社長 1958年生まれ。神戸大学工学部卒業後、三井ホームに入社。 株式会社三協HP:https://www.kk-sankyo.com/ |
聞き手:こんにちは。まず最初に、会社のお仕事内容についてお伺いしてもよろしいですか?
山田さん:株式会社三協では、お客様の荷物(化粧品・雑貨・アパレル・薬)の商品管理や倉庫管理を行っています。
主な業務は在庫管理や商品の検品、数が合っているかの確認ですが、仕事は大きく分けてアウトソージング・倉庫運営代行・物流改善代行の3つです。
アウトソージングは、荷物を私たちの倉庫で預かって、百貨店やショップに必要なときに必要な量を送るサービス。倉庫運営代行は、倉庫は客先のものを使用し、管理の仕組みや人員を派遣するサービスです。
物流改善代行は、倉庫も人も客先のものですが、管理の仕組みやノウハウ、システムは三協のものを入れるサービスです。
今は物流改善代行がかなり人気で、東京から九州まで多くの引き合いを頂いています。
聞き手:物流改善代行が人気とのことですが、コンサルタント的なイメージでしょうか?
山田さん:そうですね。弊社のコーポレートサイトがあるのですが、物流改善代行のサイトだけは別に作っています。
物流改善代行とWEB検索してもらえると、すぐに出てきますよ。
物流改善の全てを弊社に任せてくだされば、ノウハウやシステムを導入するというものですが、結果が出なかったら費用はいただいておりません。
それくらい、本気で取り組んでいるものになります。
聞き手:なるほど、かなりの力の入れようですね。今回書籍を出版のきっかけはどのようなものでしょうか?
山田さん:そうですね。弊社では月に一回のペースで倉庫見学会を開催しているのですが、年間200社ほどのお申し込みをいただきます。このことから、物流管理で困っている会社は思っている以上に多いということを感じていました。
ただ、どうしても倉庫見学会に来られない方もいらっしゃるので、そのような方向けに倉庫管理の本があれば喜ばれると思い、出版に至りました。
出荷ミスや在庫差異のなくし方、アルバイトの指導方法など、実務ベースのことを書いている本はあまり無いため、自分たちで作ろう!となりましたね。
聞き手:今回の書籍は現場のこともかなり書かれていますが、現場と経営者、主にどの層を意識されましたか?
山田さん:実はそこまでターゲッティングはしてなくて、「これまでこういう本が無かったから出しました!」という思いが強いです。
ただ、本でも言っているのですが、倉庫を見るとその会社の悪い部分が如実にわかるので、経営が上手くいかないときは倉庫を見るべきだと思っています。
そのため、「倉庫に興味を持っていますか?」「会社が上手くいかないのは倉庫を見れば分かるのでは?」といった、経営者に向けたメッセージはあると思っています。
聞き手:「倉庫に如実に出る」とは、具体的にどのように出るのでしょうか?
山田さん:そうですね、例えば、家具屋さんでカーテンを買う際に特定のサイズだけ売り切れているとします。
それで、その家具屋さんのネットショッピングサイトを見ても売り切れで、でも別の店舗にいったら在庫があった経験ってありませんか?
聞き手:あります。割と多くの方が経験しているんじゃないかなと思います。
山田さん:そんなとき、別店舗に在庫があるのであれば、ネットショッピングサイトで注文できないのは機会損失だと思いませんか?だって、ネットショッピングで注文できないのに、店舗に行ったらあるっておかしいじゃないですか。
でも、今の世の中って、割とそういうことが多いんです。
その理由は倉庫管理ができていないからだと思っています。要は、店舗に何がどれだけあるか、倉庫に物がどれだけあるかのデータが、リアルタイムで正確に把握されていないんです。
その結果、店舗でお客様に「この商品いつ入荷するの?」と聞かれても「店舗に無ければ無いです」としか答えられないんです。これが【物流が止まっている】状態ですね。本来は物流センターで何がどういうスケジュールで来るか分かるべきなんです。
倉庫管理ができてないとお客様が他店に行ったり、購入をやめたりと機会損失の問題が発生します。そうなると、売れると思って作った商品が買いたい人がいるのに倉庫に溜まっていく状態になります。
なので、経営が上手くいかない時は倉庫を見れば全てが分かると思っています。
聞き手:なるほど。カーテンの在庫の例え、とてもわかりやすかったです。それでは、本の中ではヒューマンエラーの改善についても書かれていましたが、ヒューマンエラーの中で大事だと思っていることはありますか?
山田さん:ヒューマンエラーで一番大切なことは「注意してね」と言うことに、全く意味はないということです。
マニュアルで決められたルール通りの仕組みを作るのが大事なんです。
「注意してやってね」じゃなくて、どうやっても間違えないような仕組みをどう作るかが大事なんですね。
例えば、コンビニで公共料金の引き落としをするときって、電気やガスとか色々種類がありますよね?そのときに店員さんって、バーコードをスキャンするだけじゃないですか。店員からしたら何の手続きかは関係ないわけです。
三協でも同じで、商品発送の際にはバーコードスキャンしてOKならそのまま出して、エラーなら止めるという、ただの処理にしています。
考えるとか確認するとかしないんですよ。やることはただの処理にしています。
聞き手:システムをしっかり構築した上で指示を出すのが大事ということでしょうか?
山田さん:そうです。
人が考えるとか判断するとかやろうとすると、そこに意識が取られてしまうのでそこに意識を向けさせず、完全な処理にします。
意識を向けるのは、商品を丁寧に扱うとか、綺麗に梱包するとかだけですね。
聞き手:なるほど。そういったシステムをしっかり構築することはなかなか難しいと思いますが、たとえば三協さんに派遣や物流改善代行を頼む場合、コストや時間はどれだけかかるのでしょうか?
山田さん:会社の規模やご要望によってカスタマイズという形になります。
というのも、弊社のメリットは、お客様に最適なシステムを作ることなんですよ。お客様専用の倉庫管理システムを作っているという部分が、他社との違いです。
しかも、弊社はシステムエンジニアの会社に委託するのではなく、自社のエンジニアがシステムを作成しているため価格が非常に良心的です。
聞き手:会社の規模ごとに最適なシステムを提案いただけるのは心強いですね。では、会社として今後を力を入れていきたいことなどはありますでしょうか?
山田さん:色々と考えていますが、力を入れたいことは2つあります
1つ目は弊社の倉庫管理システム(WMS)である「SANTA(サンタ)」の販売です。
物流改善代行は人の管理などのアナログ部分まで含めて対応し、ソリューションも提案しますが、SANTAの販売は本当にシステムを売るだけの事業です。ある程度教育ができていて、業務がアナログだからデジタル化したい!という方にニーズがあると考えています。
ただ、どのサービスを利用するのが良いか分からないというお客様もいらっしゃるため、丁寧にヒアリングをした上で、最適な提案をするようにしています。
2つ目は「物流診断」により力を入れていきたいと思っています。人間ドックの物流版みたいなものと思ってもらうと分かりやすいです。
倉庫管理に興味がない経営者の方も多く、そもそも倉庫管理が上手くいっているかどうかが分からない状況って多いんです。
そこで、倉庫を弊社が診断し、問題点や方向性を示すサービスになります。
いきなり「弊社と契約してくれ」と言っても難しい場合も多いでしょうから、まずは診断くらいであれば気軽に依頼して貰えるかなと思っています(笑)
聞き手:ありがとうございます。最後に、本を読まれる方へのメッセージなどはありますか?
山田さん:我々も道半ばですが、倉庫管理は終わりがないと思っています。
常により良いやり方を求めているので、「こういうのはどう?」とか「うちはこんなのやってる」などの情報をいただけると嬉しいですね。
あとは、経営者の方はぜひ一度自社の倉庫を見に行って欲しいです。
今日からできるアクションとしては、実際に倉庫に行って、何を思ったのかをまとめることだと思います。
聞き手:なるほど、実際見に行くことなら今日からでもすぐに実行できますね!本日はありがとうございました。
山田さん:ありがとうございました。
『誤出荷ゼロ! 自社倉庫管理術』の詳細はこちら
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投稿者プロフィール
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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。
出版をもっと身近に感じてもらうために、自分の家族や友達にも読んでもらえるような、分かりやすく丁寧な記事づくりを心掛けています。
これからも有益な記事を日々発信できるよう、尽力していきます!
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