今回はキャズムを乗り越えるために、どのようなマーケティング施策が有効かをまとめました。
新商品や新サービス、新しいことを始めてもなかなか広まらない、買ってくれる人がゼロではないが、その先がなかなか開拓できない、とお悩みの方はいらっしゃいませんか?
それを解決するためには、まずユーザー層を理解し、適したマーケティング施策を実施する必要があります。
- 商品やサービスの信頼性が足りていないと実感している
- 認知度不足が理由で老舗や大手に負けて失注することがある
- スタート直後は良かったが、時間が経つにつれて下降気味になっている
ユーザーの「買わない理由」「買う理由」をしっかりと知り、どのような対処をするべきかがこの記事のテーマです。
キャズム理論やイノベーター理論の基本的な解説もしっかりとしていますので、ぜひ最後までご覧ください!
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
キャズム理論とは
それでは、まずキャズム理論について解説をしていきます。
キャズム理論は、消費者を5つの層に分けたイノベーター理論というものを用いた理論で、新しい商品やサービスが市場に出たとき、真っ先に購入する層と、人の反応を見てから買う層の間には大きな溝がある、そしてこの溝を超えることが市場開拓において重要である、というものです。
この理論は米国の経営コンサルタント、ジェフリー・ムーア氏が提唱しました。
市場におけるユーザーは5つのタイプに分けることができ、初期市場の購買層は「イノベーター」と「アーリーアダプター」。
その後、メインストリームと呼ばれる商品やサービスが主流になってきたときに購買をする層が「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」と呼ばれる人たちです。
ユーザー層についてはイノベーター理論の解説をしてから1層ずつご紹介します。
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、新商品やサービス、ライフスタイルや考え方の世の中への浸透、普及の流れを5つのグループに分類したマーケティング理論です。
1962年にアメリカ、スタンフォード大学の教授エベレット・M・ロジャーズが著書『イノベーションの普及学』のなかで提唱しました。
このイノベーター理論は様々なマーケティング分析にも応用されており、これを理解することがより良いマーケティング戦略の立案へと繋がります。
ユーザーは上図のように5つに分類されます。
1つずつどのような存在かを解説していきましょう。
イノベーター
イノベーターとは「革新者」とも言われることがあり、真っ先に新商品やサービスを購入、導入する層です。
好奇心が高く、最新の情報にも敏感です。
イノベーターは「新しいもの」という部分に何よりも価値を感じるため、普及率が低くても、値段が高くても気にしない傾向が強いです。
アーリーアダプター
アーリーアダプターは「初期採用者」とも呼ばれ、イノベーターほどではありませんが、これから普及すると考えられる商品やサービスを察知し、購入、導入をします。
後に続く層に対しての影響力が強く、情報発信力も強いので、アーリーアダプターの攻略は市場開拓において最も重視されています。
アーリーマジョリティ
アーリーマジョリティは「前期追随者」と呼ばれることもあり、アーリーアダプターの影響を受けて商品やサービスを購入します。
最新情報への興味関心度合は高いですが、購入、導入をすることに対して慎重です。
そのため、アーリーマジョリティに対してはしっかりと「なぜこの商品、サービスを導入するべきか」合理的な説明を行う必要があります。
レイトマジョリティ
レイトマジョリティは新商品、サービスの導入に対して腰が重く、周りも持っている、周りも使っている、という状態にならなければなかなか購入、導入を検討しません。
商品やサービスの普及率を高めることが、レイトマジョリティ攻略のために何よりも大切です。
ラガード
ラガードは「遅滞者」と呼ばれ、市場の中でも新商品、サービスの購入、導入に対して最も腰が重いです。
保守的であり、ただ周りが持っている、というだけでは検討すらしません。
伝統的、文化的と世間が認識し、安心できる状態でなければ購入、導入をしないため、ラガードの攻略は時間がかかります。
なぜキャズムが生まれるのか
ここまで、キャズム理論、イノベーター理論、ユーザー層の特徴について説明してきました。
それでは、なぜキャズムが発生するのか、考えていきましょう。
キャズムはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に発生します。
発生理由としては、消費者の価値観の違いが大きいことが挙げられます。
その価値観とは、新しいものに価値を感じるか、安心できるものに価値を感じるか、という違いです。
新商品、サービスの最初の売れ行きは、例えば大々的に宣伝を行った場合、イノベーターとアーリーアダプターが真っ先に購入をし、それも販売開始から早い段階で購入するため、幸先が良いと感じます。
しかしながらイノベーターとアーリーアダプターの合計は16%と市場全体の2割にもなりません。
市場のメインはアーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの84%であるため、商品のスタートダッシュを決めることはもちろん大切ですが、それ以上にメインストリーム攻略を考えた宣伝、マーケティングを行わなければいけないのです。
つまり、最初は「新しい商品です」という打ち出しで良いスタートダッシュは切れますが、早い段階で陰りを見せるので、その間にどれだけ「安心できる商品か」を伝え、メインストリームにいる層に買ってもらえるかが重要なのです。
キャズムを超えられなければその後の売上アップは見込めないため、キャズムの発生理由を理解し、商品、サービスごとに対策を練る必要があります。
キャズムを攻略するマーケティング施策
キャズムを乗り越えるためには、メインストリームにいる層に対して、新商品、サービスの「安心感」を届けることが大事です。
では、安心感を届けるために、どのようなことをすればいいかというと、それはとてもシンプルで、ユーザー層の特性を理解し、そこに刺さる施策を実行すればいいだけです。
メインストリームにおいて重要なのがアーリーマジョリティの攻略です。
この層を攻略できるかが、新商品、サービスの今後に繋がっていきます。
アーリーマジョリティが気にするのは、アーリーアダプターの意見であり、自身がその商品の使用に対して不安を抱えていたとしても、アーリーアダプターが絶賛していたら、不安を忘れて購入を決定します。
アーリーマジョリティの攻略を行うなら、世間的に信頼度の高い人物、企業から使用感などのコメントを貰ったり、信頼に値するインフルエンサーへPRを依頼するという手が有効です。
シンプルに商品、サービスの購入に際して、相手が何に不安を感じ、どんな情報を得たいと感じているかを理解し、クオリティの高い状態のものを提供すればいいのです。
ですが、ユーザー層ごとに細かく施策を考えると負担が大きいので、アーリーマジョリティへの施策のときにその後に続くレイトマジョリティとラガードへのアピールも行えるとより良いと思いませんか?
メインストリーム全体への安心感の提供を行う場合、情報として下記7つが必要不可欠です。
- 商品、サービスの情報
- 商品、サービスについて、類似品や競合商品などの情報
- 商品、サービスを使った人の感想(口コミ)
- 商品、サービスの開発ストーリー
- 商品、サービスを購入・導入した際のメリット、デメリット
- 商品、サービスの値段に関する納得できる理由
- 商品、サービスに対する企業側の想い
メインストリーム全体への安心感の提供、ということで少し難易度は高く見えますが、商品やサービスが良く、これらの情報がしっかりとユーザーに届いていれば、キャズムを超えることは難しくありません。
メインストリームの攻略のためには、これらの情報をクオリティの高い状態で世の中に出し、認知してもらう必要があります。
そして、情報を拡散する媒体も、信用性の高いものがベストです。
信用度が高く、これら7つの情報をまとめて発信するのに適している媒体は、書籍、企業のコーポレートサイト、動画でしょう。
中でも、ユーザーが能動的に情報を把握してくれる媒体は書籍です。
また、書籍は社会的信頼度が高く、「本に書いてあることなら安心」という印象を持ってもらえる他、伝統もあり文化的な媒体であるので、ラガードへの高印象も期待できます。
書籍を軸に、その他メルマガや動画配信などのコンテンツ展開を行うことで、常に一貫したクオリティの高い情報拡散を行うこともできるため、「新しいもの」というアピールではSNSや広告が一番ですが、「安心感」というアピールでは、書籍を使ったマーケティングがベストです。
キャズム攻略におすすめの企業出版
では、キャズム攻略のために出版を行うとして、どのような本を作り、そしてどんな出版社へ依頼すればいいか迷いますよね。
本の中身から言うと、先ほど挙げた7つの項目の情報を揃えたうえで、貴社なりのユニークポイントをプッシュする形がベストです。
また、下記の図に沿って内容を考えるとより良いでしょう。
本の内容をつくる際に気を付けたいのは、1冊につき1テーマが原則である、ということです。
案出しをしていくとあれもこれもとなってしまうので、軸をしっかりと決めてから内容を精査するほうが効率的です。
また、ただ内容を挙げればいいというものでもなく、本は読み手の感情や理解度に沿ってコンテンツを並べていかなくてはなりません。
本づくりが初めての場合は、企画の立案からサポートしてくれる出版社を選ぶと良いでしょう。
また、このようなマーケティングに使う本を出す場合は「企業出版」を専門的に行っている出版社へ依頼するのがベストです。
企業出版とは法人が出版社に対して書籍の流通を依頼し、出版費用を法人側が負担するスタイルです。 書籍を通じて商品・サービスのPRやブランドイメージの発信を行えば、ほかの媒体を使うよりもはるかに長期的な集客効果[…]
ただ本を出すのではなく、どの層に対してどのように本を届けるか、本を届けた後にどのように購入まで繋げるか、戦略を立案し実行してくれる出版社だと安心です。
そして、キャズムを超えるためには、本を売るのではなく、配るほうに注力するといいでしょう。
ターゲットへ本を届けることに特化した「ブックDM」というサービスもあるので、気になる方はぜひこちらの資料をご覧ください。
さいごに
今回は、キャズムの基礎知識やキャズムを攻略するための具体的な方法についてまとめました。
メインストリーム攻略の際は、下記7つの質の情報を発信してみてください!
- 商品、サービスの情報
- 商品、サービスについて、類似品や競合商品などの情報
- 商品、サービスを使った人の感想(口コミ)
- 商品、サービスの開発ストーリー
- 商品、サービスを購入・導入した際のメリット、デメリット
- 商品、サービスの値段に関する納得できる理由
- 商品、サービスに対する企業側の想い
そしてキャズムを乗り越えるために必要な情報の整理、本の企画、マーケティング戦略はぜひ企業出版を行っている出版社へお問い合わせください!
また、ラーニングスではこれまで300タイトル以上の出版を手がけてきており、そのすべてが企業出版です。
業種業態でお客様を絞ることはせず、あらゆるビジネスをされている皆様のお役立ちができるよう、結果を重視して本づくりをしてきました。
特に売上アップへの貢献には自信を持っており、成功事例も多数ございます。
ラーニングスが行っている企業出版について知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。
投稿者プロフィール
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ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者
大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。
200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。
プロフィール詳細はこちら
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