CACとは?CPAとの違いや費用対効果を実感できる施策をご紹介!

 

今回は、新規顧客獲得のためにかかるコストについて解説をしていきます。

 

ビジネスを行ううえで、既存顧客へのアプローチももちろん大事ですが、事業拡大を狙うためにも新規顧客の開拓はとても重要です。

 

この記事では

  • 新規顧客獲得にかかるコストについて
  • 新規顧客獲得コストの計算方法
  • 新規顧客獲得にかかるコストの下げ方
  • 新規顧客獲得で成果の出る施策

をご紹介します。

 

ぜひ最後までご覧ください!

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

新規顧客獲得コスト(CAC)とは

 

まず、新規顧客獲得コストとはどのようなものかについて説明していきます。

 

新規顧客獲得コストはCAC(Customer Acquisition Cost)とも呼ばれ、新しく1人(1社)獲得するためにかかったコストを指します。

 

獲得するためにかかった費用をどこからどこまで設定するかは企業によって異なります。

例えば、人件費や手数料、営業リストの購入やテレアポなどの外注費を含める場合もあれば、広告費用だけを指す場合もあります。

 

1件の成約を獲得するのにいくらかかるかを把握することで、より効率的で成果の出やすい施策に絞ることができます。

年間の予算も組みやすいので、CACの把握はビジネスを行ううえでおさえておきたい指標です。

 

 

1:5の法則|新規顧客獲得には既存顧客の5倍のコストがかかる⁉

 

余談ですが、マーケティング用語には「1:5の法則」というものがあります。

 

これは、新規顧客獲得には既存顧客にかかる5倍のコストが必要である、という法則です。

 

新規顧客獲得はビジネスにおいて重要ではありますが、獲得するためにかかるコストが高いわりに最初から高額商品・サービスを買うケースは少ないため、コストに対する利益が低いという特徴があります。

そのため、既存顧客の維持も重要である、という考えです。

 

 

新規顧客、既存顧客どちらか一方だけを注視するのではなく、既存顧客数を維持しながら負担がかかりすぎないバランスで新規開拓も行うことが理想です。

 

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新規顧客獲得コスト(CAC)の計算方法

 

それではここから、実際にCACの計算方法を解説していきます。

 

何か月の間にいくら費やして、何件新規顧客を獲得できたかを算出しましょう。

 

まず、期間ですが、任意の期間で問題ありません。

1か月、四半期(3か月)、1年など自社の計測スタイルに合う数字で計算しましょう。

 

CACの計算方法は、

新規顧客獲得のために費やした金額 ÷ 獲得した顧客数

です。

 

【例】四半期間に新規顧客獲得にかかったコストが300万円、その間に10人の新規顧客を獲得した場合

3,000,000 ÷ 10 = 300,000

よって四半期間中のCACは30万円となる。

 

 

新規顧客獲得コスト(CAC)の種類について

 

先ほど、CACの計算方法をご紹介しましたが、実はCACには3つの種類があります!

 

  1. Organic CAC
  2. Paid CAC
  3. Blended CAC

 

1つずつ解説していきます。

 

1.Organic CAC

 

まずはOrganic CACについて解説していきます。

Organic CACは特別に費用をかけて行った施策ではなく、問い合わせや紹介、自然検索など、元々ある状態の中から自然発生的に獲得できた顧客に対してかかった費用を算出するものです。

元々持っている自社のコーポレートサイトやオウンドメディア、SNS投稿などから獲得した顧客が該当します。

 

Organic CACの計算式は、

自然発生的に獲得した顧客にかかったコスト ÷ 自然発生的に獲得した新規顧客数

です。

 

この場合、頭を悩ませるのは、自然発生的に獲得した顧客にかかったコストをどう出すか、という部分になります。

例えばオウンドメディアからの数値を出すのであれば、運用保守にかかった費用や人件費を算出して獲得数で割るといいでしょう。

多くの自社メディアを持っている場合は、それぞれにかかったコストを算出して合計した値を顧客獲得にかかったコストとして考えてください。

 

【例】

  • コーポレートサイトを1年間運用するためにかかった費用(保守運用、更新にかかる人件費、サーバー代)20万円
  • オウンドメディアを1年間運用するためにかかった費用(記事制作や運用にかかる人件費、SEOツール、サーバー代)100万円
  • SNS投稿を1年間行うためにかかった費用(投稿制作、投稿作業にかかった人件費)10万円

※いずれも広告はかけていない想定。

1年間でコーポレートサイトとオウンドメディアとSNS投稿にかかった費用…130万円

上記含め自然発生的に獲得した顧客数…5人

Organic CACは26万円

 

2.Paid CAC

 

Paid CACは、広告掲載やキャンペーンを行い、それ経由で獲得した顧客1人あたりにかかった費用を算出するものです。

アマゾン広告やGoogle広告、期間限定の割引キャンペーンにかかった費用がコストになります。

 

Paid CACの計算式は、

広告やキャンペーン(お金をかけた施策)にかかったコスト ÷ その施策から獲得した新規顧客数

です。

 

【例】1か月Google広告に100万円かけて、そこから新規顧客が3人獲得できた場合

1,000,000 ÷ 3 = 33.3333…

よって33万3,333円がPaid CACとなる。

 

3.Blended CAC

 

最後にBlended CACですが、これはOrganic CACとPaid CACを合わせた顧客獲得コストを算出するものです。

基本的にCACというと、Blended CACを指します。

 

またBlended CACを出す際は、Organic CACとPaid CACを計算するときに設定する期間を合わせる必要があるので注意してください。

 

3か月間のBlended CACを出すならば、3か月と1年でコストを算出したものを合わせるのではなく、両方3か月で算出した数値を足しましょう。

 

Blended CACの計算式は、

新規顧客獲得にかかったすべての費用 ÷ 新規顧客獲得数

です。

※新規顧客獲得にかかったすべての費用…会社で行ったOrganic + paid施策

 

なぜOrganicとpaidそれぞれ把握する必要があるのか

 

ここまで読んでくださった方の中には、そもそもCACがすべての費用と新規顧客の総数で割るんだから、わざわざOrganicとpaidに分けなくてもいいのではないかと思われる方もいるかと思います。

 

しかし、かかるコストが低いOrganicとそれなりにコストをかけるpaidを分けることは、事業をすすめるうえでとても大切なのです。

 

 

なぜかというと、新規顧客の獲得件数は順調に伸びているにもかかわらず、赤字になるケースがあります。

このような場合、お金をかける施策が多く、新規顧客獲得件数が高くても費用対効果を見ると低いことがあるのです。

 

例えば、1か月のうちに1件10万円の商品が新規顧客20人に売れた場合、純粋に200万円の売上となります。

これが自然発生的な新規顧客だけであれば、原価と人件費を差し引いても120~130万円は会社の利益となるでしょう。

 

しかし、200万円の売上のために1か月250万円かけていた場合、利益は出ず、50万円以上の赤字となります。

 

 

このように、もし全体の売上が赤字の時にOrganicとpaidのCACを把握していれば、費用のかかる施策のコストを抑える方法を模索し、加えて自然発生的に獲得できる顧客数を増やすことに注力する判断を早い段階で下すことが可能になるのです。

 

 

CACとCPAの違い

 

では、ここからはCACを考える際によく出てくる「CPA」について解説していきます。

CACは新規顧客獲得コストですが、CPA(Cost per Acquisition)はコンバージョン単価のことです。

 

コンバージョンとはサイトに訪れた人数のうち、何名を目的の行動へ誘導できたかを指す言葉で、このコンバージョン単価はWeb広告をかけた際、1件のコンバージョンを達成するためにかかった費用を算出します。

 

CACが新規顧客獲得にかかった費用のすべて(場合によってはオフィスの維持費などが入ることも)を計算に含めるのに対し、CPAは純粋にWeb広告でかかった費用のみを計算します。

 

 

CACの数値を見るうえで意識したいこと

 

CACで算出される数値は、上述したように、新規顧客数が多いのにもかかわらず思うように利益が得られていない場合、その原因を探ることが可能ですが、事業全体を考えた際、CAC単体ではなく、他の数値もあわせて確認することをおすすめします。

 

その1つがLTVです。

 

LTV(Life Time Value)とは顧客生涯価値のことで、1人(1社)の顧客が生涯のうちに企業に対してもたらす利益を表します。

LTVは1人のお客様が1回購入した金額だけではなく、その後2回、3回、4回…と継続して購入する利益を算出したものなのです。

 

LTVはどのように計算するかというと、

平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間

で算出します。

 

【例】平均購買単価が10万円で、顧客は2年に1回(1年間で0.5回)の頻度で購入し、10年間は自社で購入し続けた場合

100,000 × 0.5 × 10 =500,000

よってLTVは500,000となる。

 

また、LTVの数値に対してCACを加味して計算をすることができます。

 

計算式は

(平均購買単価-CAC) × 平均購買頻度 × 平均継続期間

です。

 

CACは「新規顧客獲得のために費やした金額÷獲得した顧客数」なので、例えば年間800万円かけて400人の顧客を獲得した場合、8,000,000÷400で20,000です。

この、CACを加味したLTVは下記のようになります。

 

(100,000-20,000) × 0.5 × 10 = 400,000

 

CACがLTVを上回っていると、利益に対してコストがかかりすぎていて経営の状態が悪いことが証明できます。

 

他にも、LTV÷CACで「ユニットエコノミクス」という、新規顧客1人あたりの収益性も知ることが可能です。

 

LTVが500,000、CATが20,000で計算をすると、ユニットエコノミクスは25になります。

 

これが、例えばCATが200,000の場合、ユニットエコノミクスは2.5となり、CATが膨れ上がって600,000になってしまうと、ユニットエコノミクスは0.83になります。

 

 

ユニットエコノミクスの数値が1よりも大きい場合は利益が出せている状態で、1より下だと赤字となります。

 

一般的にユニットエコノミクスの数値は3以上(3~5)が最適な数値だといわれています。

理由としては数値が1の場合、利益が出せている状態ではあるものの、将来的な利益を考えるとキャッシュフローに問題が起こる可能性があるからです。

 

CACを算出する際は、ぜひLTVとユニットエコノミクスの数値も一緒に算出して、事業全体の収益のバランスを確認してみてください!

 

 

CACを下げる方法

 

CACが低いほうが事業を行ううえでメリットとなることは理解していただけたと思いますが、では実際にCACを下げる方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

CACを下げる方法として一般的な対策は2つあります。

 

  1. コストを下げること
  2. 新規顧客の獲得数を増やすこと

 

それぞれ解説していきます。

 

1.コストを下げること

 

まずはコストを下げる、つまり営業にかかる費用を少なくしていくことが大切です。

 

例えば、成約までの期間を短くしたり、営業マンの商談にかかる時間を短縮したり、自社の知名度や認知度を上げ、自然流入での成約を増やす動きをする必要があります。

その他、CRM・SFAツールを導入することもコスト削減に繋がるでしょう。

 

顧客に対して自社の強みや商品・サービスの特徴を正確に短時間の商談で伝えることが難しい場合は、オウンドメディアを育てたり、書籍を活用することもおすすめです。

 

営業フロー全体で何にコストがかかっているのか、どこに改善の余地があるかをしっかりと見つけていきましょう。

 

2.新規顧客の獲得数を増やすこと

 

次に新規顧客の獲得数を増やすためには、例えば、これまで100万円かけて1人獲得していたのなら、今後は100万円かけたら3人獲得できるように戦略を練ってみましょう。

 

もちろん、商材やサービスの特性によってかかる費用に対してどれだけの新規顧客の獲得件数を上げることができるか、難易度や現実性も変わってきますが、一度は「どうしたらできるか」を考えてみてください。

 

商談件数の中に見込み度の低い顧客ばかりいる状態が原因であれば、見込み度の高い顧客を獲得するために質のいいリストづくりやインサイドマーケティングの時点で顧客を振り分けて、営業マンが質の高い顧客にだけ注力できるような体制づくりをするといいかもしれません。

 

ここでお伝えしたことはあくまでも一例ですが、ぜひトライしてみてください。

 

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ただ自社の理念やノウハウをまとめて本にするのではなく、自社顧客を読者ターゲットに定めて狙い撃ちした企画をつくり、営業シーンで本をフックに顧客との関係性を深めて成約を掴むのが企業出版です。

 

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通常の出版だとAmazonでの販売や書店に並ぶところまでで終わってしまいますが、企業出版ではつくった本をビジネスシーンで活用し、利益を生み出すことを一番の目的としています。

 

また、企業出版でつくる企画はコンテンツマーケティングの軸となるものなので、オウンドメディアでの活用やセミナー内容としても使うことが可能です。

 

企業出版を専門に行うラーニングス株式会社では、実際に自社の新規顧客開拓の施策に本を活用し、成果を出してきました。

もちろん、著者の皆様からも多くの成功事例が生まれています。

 

また、書籍は社会的にも信頼度の高い媒体なので、「本を出した」「本が書店にならんでいる」というのは、顧客に対しての良いアピールになりますし、様々なメディア展開を行うことも可能です。

 

特に、広告掲載と違ってメディアからの取材を受ける際は費用がかからないケースが多いので、コストをかけずに露出される場面が増え、自然流入を増やすことができます。

 

企業出版に関する説明や新規顧客獲得に関する事例紹介など、弊社サービスの詳細は下記資料をご覧ください。

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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