シーズとニーズの違いとは?2つの違いや事例をご紹介!基礎から商品開発、販促戦略の立案まで総合的にまとめました

 

何か新しい商品、サービスを生み出そうとするとき、まずはどのような商材が世の中にあるか、競合他社はどのような展開を行っているかを調べますよね?

 

同じような商材を出したら価格競争になりますし、かといって自社の独自性を出しすぎたらユーザーに価値を理解してもらえず、なかなか利益が上がらない状態になってしまうでしょう。

 

そこで今回は、商品開発やマーケティング戦略を練る際に使われる「シーズ」「ニーズ」という考え方から、それぞれの違いについてだけでなく、商品開発を行う際にどのような販売戦略が有効か、という部分までまとめました。

 

 

この記事では

  • シーズ、ニーズの意味の違いについて
  • 実際の商品開発ではどのような違いが出るのか
  • シーズとニーズ、どちらに重きをおくべきか
  • それぞれの販売戦略について

解説しています。

 

ぜひ最後までご覧ください!

 

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

 

 

シーズとは

 

シーズ(seeds)そのものの意味は「種」ですが、ビジネスシーンでは商品やサービスを作り出す際の軸となるノウハウや技術、アイデアのことを指します。

 

商品やサービスを作る側の価値や強みがシーズとなります。

 

 

ニーズとは

 

ニーズ(needs)そのものの意味は「必要」ですが、ビジネスシーンでは「なくてはならないもの」を指します。

 

顧客が求めているもの、本当に欲しいと感じているものがニーズとなります。

 

 

ニーズとウォンツは何が違う?

 

ニーズと似た言葉に「ウォンツ」というものがあります。

 

ウォンツ(wants)そのものの意味は「欲求」ですが、ビジネスシーンにおいては「ニーズを満たすための具体的な手段」を指します。

 

ニーズとウォンツは簡単に言えば手段と目的のことです。

 

例えば、「暇だから何かしたい」は目的(ニーズ)となり、「遊園地へ行きたい」は手段(ウォンツ)となります。

 

「遊園地へ行きたい」がなぜニーズではないかというと、顧客はただただ「遊園地へ行きたい」と思っているのではなく、自身が感じている「暇だ」という感覚を解消するために何か楽しめること、有意義なことをしたいと考えているからです。

 

また、暇を解消するなら、読書をしたり体を動かしたり買い物をしたりと様々なアイデアが出てくるかもしれませんが、遊園地であれば、場所やコンセプトなど、非日常の特別な体験を求めているのだと推測することができます。

 

 

実はウォンツを軸に疑問を出していくことで、ニーズの掘り下げをすることができます

 

上記例を使ってニーズを掘り下げてみましょう。

 

 


Aさん
遊園地へ行きたいです。

Bさん
遊園地へ行くと、どのような良いことがありますか?

Aさん
楽しい時間を過ごすことができます。

Bさん
どんなことをすると楽しいと感じますか?

Aさん
非日常な空間でアトラクションに乗ったり、ショーを見ると楽しいです。

Bさん
なぜ非日常な空間へ行きたいのですか?

Aさん
日常に代わり映えがなく、普段が暇だからです。

Bさん
普段が暇なのは、休日のみですか?

Aさん
休日だけでなく平日も同じことの繰り返しで暇だと感じています。

 

 

このように、日常を暇だと感じていて、何か非日常の体験がしたいということが、本質的なニーズであることが分かりました。

 

 

 

商品開発でのシーズとニーズ

 

ここまで、「シーズ」「ニーズ」「ウォンツ」の言葉の意味について説明してきました。

 

ここからは商品開発でシーズを重視している開発、ニーズを重視している開発についてそれぞれメリット、デメリットも含めて解説していきます。

 

 

シーズ志向とは

 

シーズ志向とは、商品やサービスを作る側の視点で商材の開発を行うことです。

 

独自性の高い商品や面白い商品がシーズ志向の商材には多いといえるでしょう。

 

シーズ志向のメリットは、何よりも自社の持っているノウハウや技術などを詰め込むので、他社との競合がなく、独自性の高い商品やサービスを生み出せるところにあります。

 

一方デメリットとして、消費者が求めているものを作っているわけではないので、価値を理解されなかったり、認知度が低かったりすると、なかなか売上にはつながりにくい点が挙げられます。

 

シーズ志向の開発は「プロダクトアウト」とも呼ばれます。

 

 

ニーズ志向とは

 

ニーズ志向とは、消費者が求めている商品を作ることで、市場調査や分析を行い、需要があることが分かっているものを作ります

 

商材を求めている消費者がどの程度いるか、あらかじめ分かった上で作るので、売れやすく、そしてマーケティング戦略も立てやすいのが特徴です。

 

ニーズ志向のメリットは、需要があって商品を作るので売れる可能性が高いところですが、一方、デメリットとして、競合他社も似た商材を売っていた場合、価格競争に陥ってしまったり、市場を独占しづらい、といった点が挙げられます。

 

ニーズ志向の開発は「マーケットイン」とも呼ばれます。

 

 

シーズ志向、二ーズ志向で作られた商品事例

 

それではここで、シーズ志向、ニーズ志向で作られた商品の事例をいくつかご紹介します。

 

 

シーズ志向の商品

 

まずはシーズ志向の商品の事例です。

 

1.Apple社の商品

有名な話ではありますが、Appleの創設者スティーブ・ジョブズ氏は「消費者はニーズを理解していない。こちらから消費者にニーズを教えるのだ」と考え、消費者に「これが欲しかった!」と思わせる商品を作ってきました。

スティーブ・ジョブズ氏自身が持つ発想力や開発力がシーズとなっています。

 

ニーズの後追いではなく、今までになかった画期的な商品を作ってきましたが、見て分かるように、シーズ志向の商品は潜在的なニーズがなければヒット作は生まれません。

 

2.ポケモンGo

日本でも大ヒットした「ポケモンGo」ですが、どのように開発をされたかご存知ですか?

 

ポケモンGoはナイアンティック社と株式会社ポケモンが共同開発したアプリで、実は前進となったゲーム「Ingress」で実装していたAR技術や位置情報を活用したものになっています。

 

自社技術をふんだんに使った「位置ゲーム」であり、ユーザーは実際に街を歩きながらポケモンを集めていきます。

 

これまでのポケモンのゲームは独自の世界観が作られ、その世界にポケモンがいるということが前提でしたが、このゲームでは現実世界とのリンクが行われたためにヒットしたといえます。

 

株式会社ポケモンがこれまで積み重ねてきたコンテンツ力、ノウハウやナイアンティック社が持つ技術力が融合したアプリですが、そもそもの「ポケモン」のファンが多いことや、潜在ニーズに「この世界にもポケモンがいたらいいのに」という子ども時代に多くのファンが夢見る内容が現実化したことが、ヒットした要因だといえるでしょう。

 

 

ニーズ志向の商品

 

次に、ニーズ志向の商品の事例をご紹介します。

 

1.ワンダ・モーニングショット

「ワンダ・モーニングショット」はサラリーマンから根強い人気を誇る、缶コーヒーです。

 

製造をしているアサヒ飲料が、当時市場調査を行ったところ、サラリーマンの多くが朝に缶コーヒーを飲みたいと思っていることを把握しました。

 

そこで、「朝」「サラリーマン」に特化した缶コーヒー「ワンダ・モーニングショット」を開発しました。

 

発売当時は競合他社はいなかったため、ブランドイメージの定着も実現し、1997年の発売以降、多くのサラリーマンに愛されている商品です。

 

2.QBHOUSE

「QBHOUSE」は1996年に国内初の「ヘアカット専門店」としてオープンをした美容室です。

 

特徴的なサービスとして、時間のクオリティを重視しており、1人あたりの所要時間は10分程度と他の美容院と比べても圧倒的に短時間でサービスを受けることができます。

 

QBHOUSEは駅前や駅ナカに多く出店しており、いつでも低価格(1,350円税込 ※令和5年時点)ですぐに利用できるというメリットから、忙しいビジネスパーソンやこまめなお手入れが必要なショートカットの女性にも人気が高いです。

 

「美容院に行く時間が負担だ」

「時間がかかると子どもがじっとしていることが難しい」

「定期的なメンテナンスにあまりコストをかけたくない」

といったニーズに対してサービスの提供を行っており、日本をはじめ、香港やアメリカ、シンガポール、台湾でも成功を収めています。

 

 

シーズとニーズはどちらに重きをおくべきか

 

さて、「シーズ」「ニーズ」のメリット・デメリット、商品についてお話ししてきましたが、ここまで読んでいただくと、「結局どちらに重きを置くべきなのか」という疑問が出てくるかと思います。

 

結論から言うと、バランスよくシーズもニーズも把握しながら商品を開発することが望ましいです。

 

 

 

シーズ志向、ニーズ志向の売上アップ戦略

 

それでは、ここからシーズ志向、ニーズ志向の売上アップの戦略をそれぞれご紹介していきます。

 

シーズ志向の戦略

 

シーズ志向の場合、ポケモンGoのように特定のファン層がいない場合は、

「なぜこの商品でなくてはいけないのか」

「この商品の価値はなにか」

「これを使うことでどのようなメリット、効果があるのか」

といったことを消費者に伝えなければなりません。

 

そのためには、信頼性の高い媒体での情報発信、特に文字ベースでの情報発信がベストです。

 

写真や動画などもいいですが、どのようなターゲットに伝えるか、という部分が明確でなければ広告をかけたとしても費用対効果をなかなか感じることは難しいでしょう。

 

もちろん、すべての人が使う対象であるなら別ですが、例えばBtoBの場合は、大規模な宣伝ではなく、商談や展示会などで配る冊子や書籍、業界に強い専門誌への寄稿、新聞で取り上げられる、セミナーの実施といった方法が最適です。

 

 

ニーズ志向の戦略

 

ニーズ志向の場合、すでにターゲットや予想売上もわかっている状態なので、広告出稿が最適です。

 

看板広告、デジタルサイネージ、WEB広告など、ターゲットの行動パターンや興味関心に合わせた戦略を練ることで、より高い効果を出すことができるでしょう。

 

ただ、競合との差別化や価格競争に陥りやすいので、そこへの対策も講じる必要があります。

 

特に、キャズムをどのように乗り越えるかはマストで考えたい部分かと思います。

 

 

 

一般消費者への対策であれば、メディアに取り上げられる回数を増やしたり、インフルエンサーマーケティングなどを実施すると効果が出やすいと言われていますが、高額なものであれば価値をしっかりと伝えていく必要があります。

 

ニーズ志向の商品であっても高額なものであれば、パンフレットをはじめ、文字媒体の情報発信を行うとベストです。

 

 

 

さいごに

 

今回はシーズ、ニーズの違いやマーケティングにおける考え方、戦略などを解説しました。

 

 

【この記事のまとめ】

  • シーズとは商品やサービスを作る側の価値や強み
  • ニーズとは顧客が求めているもの、本当に欲しいと感じているもの
  • シーズ志向、ニーズ志向どちらかに振り切らずに、バランス良く商品・サービスの開発を行う
  • シーズ志向は信頼性の高い媒体での情報発信が大事
  • ニーズ志向はターゲットに合わせた広告で売上は出せるが、競合への対策は必須

 

 

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ラーニングスが提供している企業出版は売上アップに繋げることを第一としており、サービスや商品の性質、ターゲットに合わせた書籍企画、販促計画の立案&実施が得意です。

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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