SaaSの営業が難しい理由|営業のポイントや役立つツールを紹介

 

今回はSaaSの営業のマネジメント層、経営者層に向けて、なぜSaaSの営業が難しいと言われているのか、優秀な営業マンが使っているアナログツールについてご紹介してきます!

 

【この記事でわかること】

  • SaaSの営業はなぜ難しいのか
  • 無形商材の法人営業で新規顧客へ提案する際に大事なこと
  • 優秀な営業マンが使うアナログツール4選
  • 営業マンのマネジメントで大事なこと

 

営業ツールとしてはデジタルツールに目が向きがちですが、意外とアナログなツールも効果が高いんです。

最後にマネジメントで大切なこともまとめておりますので、ぜひご覧ください!

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

SaaSとは

SaaSとは、「Software as a Service」の略語で、企業側で稼働しているソフトウェアをネットワークを経由して顧客がサービスとして利用する状況を指します。

代表的なものでいうと、SlackやChatworkなどのビジネスチャット、ZoomやSkypeなどのWeb会議、kintoneやAsanaなどのグループウェアがあります。

 

SaaSのビジネスは、企業側が提供するクラウドサービスを顧客に月額制、継続購入してもらうサブスクリプション型で、従来の買い切り型のソフトウェアと違い解約されない限り毎月一定の利益を得ることができます。

買い切り型だと常に新商品を作り続けなければなりませんが、クラウドサービスであればリリース後も半永久的にバージョンアップさせることが可能です。

 

しかし、クラウドサービスは無料プランからのアップグレードがなされたとしてもやはり1アカウントに対する単価は低くなります。

企業側も顧客に長く使ってもらうことで費用回収を見込んでいる為、顧客を提供するサービスのファンへと育てることがSaaSの営業マンには求められます

SaaSの営業フロー

これまでは1人の営業マンが顧客獲得~商談~成約までを担っていましたが、現在の営業プロセスは分業化されています

なぜかというと、SaaSはBtoBビジネスでありながら、サービス料金がライセンス数や期間に応じて変動することから、より安いサービスが出ると他製品に切り替えやすいからです。

そしてユーザー数も人気サービスであれば何百万人、何千万人となるので、担当顧客数も買い切り型のサービスと比べて多くなります。

そのため、顧客の新規開拓~商談~成約~アップセル~フォローを1人の営業マンが行うことは不可能に近いです。

分業化された営業プロセス

多くのSaaS企業は、2019年に翔泳社より出版された『THE MODEL』の営業プロセスを参考に自社の営業戦略を立てています。

『THE MODEL』では営業プロセスは以下の4つに分業されます。

 

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス
  • カスタマーサクセス

 

マーケティングはウェブサイトやセミナー、キャンペーンからリードを獲得し、メールでのフォローを行います。

インサイドセールスでは反応のある顧客に対して電話での接触や良い顧客(クオリファイ:見込み客の中でも成約角度の高い一部の顧客)を選定し、その情報をフィールドセールスへと渡し、提案や交渉を行って受注となります。

そしてカスタマーサクセスでは導入後も手厚いサポートを行い継続利用とサービスのアップセルを行います。

 

このように営業プロセスを分業することで、各担当が自身の与えられた仕事に集中できるため、効率的な営業活動ができるようになります。

また、若い社員の育成にも効果があり、1つの作業に集中し多くの経験をさせることで徐々にレベルップがなされ優秀な営業マンへと成長していきます。

これまでの日本の営業は営業マンの属人性が高く、優秀な営業マンのスキルがなかなか見えにくかったですが、分業制を行い管理体制や数値での検証が容易となることで、企業全体で一定の営業力を構築することが可能です。

 

なぜSaaSの営業は難しいのか

SaaSの営業が分業化され、フィールドセールスを行う営業マンには成約角度の高い顧客を担当するのにも関わらず、なぜSaaSの営業は難しいと言われているのでしょうか?

その理由には以下の点が考えられます。

  • 商材が無形商材であること
  • 法人営業であること

 

まず、SaaSで扱う商材は無形商材となります。

無形商材とは文字通り形のない商材のことで、システム以外にも広告やコンサルティング、保険や習い事などのサービスです。

実物があるわけではないので、顧客は費用を払ってからサービスを受けるため、成約までのハードルが高い商材となっています。

 

また、SaaSの営業先は企業が主となるため法人営業となります。

また新規顧客へのアプローチで提案や交渉が必要になってくるため、難易度が高く、ITや提供するサービスに対する専門的な知識や法人営業の経験が必要です。

顧客の購入決定までの道のりが長いと言われている理由

SaaSの営業のように、法人営業で新規顧客へ無形商材を提案を重ねて売る場合は、成約までの期間も労力も負担が大きいです。

法人営業であれば担当者と決裁者が別であることは当然で、即決されることはほぼありません。

 

サービス導入を検討する時点で、顧客に対し導入後のイメージを持たせて実感できる効果を理解してもらう必要もあります。

また、顧客の課題を解決するためのツールという側面が大きいため、課題を引き出して、それに対する解決策を提案するソリューション営業の側面が強いことも挙げられます。

 

法人営業はただサービスを売るのではなく、顧客の抱えている課題を改善することが本質です。

ただメリットを並べて買ってもらうのではなく、相手にこのサービスが本当に必要だと感じてもらい効果を実感してもらうことで利益が発生するので、そこを意識することが法人営業として成果を出すためのコツです!

無形商材の法人営業で押さえるべきポイント

ここからはSaaSの業界だけでなく、無形商材の法人営業で提案型の営業が必要な場合のポイントについてまとめていきます。

押さえるべきポイントは、この3つです。

  • 信頼関係
  • 同業他社の情報を把握
  • 決裁者とのコンタクト子の三転は

これらはSaaSに限らず、無形商材の法人営業で重視べき点となっています。

信頼関係

まず、何よりも信頼関係が重要です。

ただ人として信頼してもらうだけでなく、ビジネスマンとして認めてもらうことが重要です。

商品知識をいくら持っていても、良い提案をしたとしても不誠実であったりレスポンスが遅いと「信頼できない営業マン」であると認識されてしまいます。

同業他社の情報を把握

また、同業他社の情報も把握しておくことが重要です。

他社の情報をふまえた提案の例は、以下のようになります。

A社はコスト面ではいいですが、○○という点では弊社サービスより弱く、重要視されている△△の実現を考えると、弊社もしくはB社の製品がいいと考えます。

B社の場合はサービスが豊富ですが、御社にとって不要なものもデフォルトでついているのでコストが弊社よりも高くなってしまいます。

このように比較を提示することで、他社へ流れることを阻止できます。

決裁者とのコンタクト

そして、何よりも決裁者とのコンタクトをとることを意識することが重要です。

法人営業の場合、商談相手は担当者であることが多く、決裁者ではありません。

そのため、担当者が納得しても、決裁者(法人の場合や代表者の場合が多い)が納得しなければサービスの導入には至らないことが多々あります。

法人営業の場合は、決裁者への認知や商談の実施をどれだけ興味関心度が高いうちに行えるかがポイントとなってきます。

 

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優秀な無形商材の営業マンが使うツール4選

 

 

ここからはSaaSの営業マンに限らず、法人営業で無形商材を新規顧客に対して提案型でセールスを行っている優秀な営業マンに共通するツールをご紹介します!

 

  • 独自の営業資料
  • 自己紹介シート
  • 特徴的な自身を表すアイテム
  • 書籍

 

順に詳しく説明していきます。

独自の営業資料

自社製品の資料は会社で用意されているかと思いますが、優秀な営業マンは顧客や課題ごとに独自に営業資料を作っています

その人にとって必要な部分をよりわかりやすく見せることで、顧客の製品への理解が深まります。

また、よくある課題、問題ごとに解決の導線をまとめておくことで、自分の営業時のトーク力もアップすることができます。

1から作成するとなると労力がかかってしまいますが、テンプレートをいくつか用意し、必要項目だけを書き換えていくことで効率化の実現ができます。

また、デザインに凝ったものではなく、簡潔にシンプルな説明のほうが好まれるので、大元のテイスト(色やフォント)を同じにして、ページを追加するイメージで作成してみてください

自己紹介シート

高額商材の営業マンのほとんどが持っているのが、自己紹介シートです。

自己紹介シートの内容はこれまでの経歴や趣味、特技といった項目だけでなく、成功体験や独自の体験を写真付きでまとめます。

商談時のアイスブレイクにもなりますし、相手との共通点や興味付けも可能です。

 

なぜ自己紹介シートを作るかというと、名前と顔と社名を覚えてもらうことが重要だからです。

1つのブランディングですが、「○○といえば△△社の□□さん」と印象づけることで、差別化ができます。

 

最近はオンラインが普及しているのでページのQRコードやURLをメールの署名や電子名刺、紙の名刺、ZOOMの背景などに記載する人も多いです。

企業によっては社員が会社名を出してビジネス用のSNSアカウントを所持することを許可している場合もあり、自己紹介シートだけでなくSNSも使って顧客へ自身をアピールしています。

商談相手も事前に営業マンのことをSNSで検索する場合もあるので、FacebookやLinkdin、Wantedlyの個人ページの情報を最新にしておきましょう。

 

ただ、ビジネス用のアカウントであるので、プライベートすぎることや受け取り方によってはマイナスイメージをあたえてしまう内容、写真の掲載は十分に配慮しましょう。

特徴的な自身を表すアイテム

自己紹介シートと同様に覚えてもらうことを意識する場合、特徴的なアイテムを常に身に着ける営業マンも多いです。

同業他社と激戦となる営業マンがよく工夫をしています。

対面が多い場合は例えば常に同じ色、形のネクタイ、白やピンクなど一目でわかる色の靴下、小物を特定のブランドで統一といった形で、相手の目に留まるものに工夫を凝らします。

オンラインが多い場合はネクタイやシャツなどの身に着けるアイテムだけでなく、背景やアイコンを特徴的なものにすることが多いです。

書籍

無形商材の営業マンは、よく顧客に対して書籍を渡します

内容の傾向はいくつかあり、自社の社長が著書の書籍や自社のノウハウが詰まった書籍などを配ります。

 

書籍を出した会社というだけで信頼度は自然と高まりますし、内容に興味を持ってもらえれば商談アポの時間以外でも製品・サービスをより深く知ってもらえるので、成約アップにつながります。

最近ではリストの獲得に書籍を使う場合も多く、書籍の最後に特別ページやお問い合わせフォームのQRコードなどをつけておくことで、成約度合いの高い顧客リストの作成が可能です。

展示会や商談だけでなく、失注客や見込み客への配布を行うことで、より多くの問い合わせを得ることができます。

SaaSの営業マンの売り上げをあげるためのマネジメント方法

よくマネジメントとは管理することだと考えられがちですが、本当のマネジメントとは現場を理解することです。

営業部門の役割はただ1つ、目標とする売上を達成することです。

ただ、そのための導線をしっかりと考える必要があります。

そして営業マン全員がそれを理解し行動する必要があるのです。

マネジメントの仕事において重要なことは、客観的に商談フェーズを管理するだけでなく、営業マンそれぞれの正確やクセを理解して調整することです。

また、営業マンが現場で何に困っているか、それを解決するためのツールや施策も常に検討することが大切です。

まとめ

  • SaaSの営業が難しい理由とは、無形商材の法人営業であることや、新規顧客へ向けて1から課題発掘~課題解決の提案をする必要があること
  • SaaSの営業では、顧客に営業マン自身を覚えてもらうことや製品や自社への理解を深めてもらうことを助けるツールを活用する(自己紹介シートや書籍など)
  • SaaS営業のマネジメントでは、数値の管理だけでなく営業マンの特性を理解したサポートを行うことが大事

 

今回は、SaaSのなぜSaaSの営業が難しいと言われているのか、書籍『THE MODEL』を参考にご紹介しました。

 

参考文献:THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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