Z世代が経営層になる時代の出版活用 ― デジタルネイティブ世代にこそ「本」が効く理由とは? ―

 

これまで企業出版といえば「経営者=昭和・平成世代」が中心でした。

出版をする目的はブランディングが大半で、書店に並ぶ社長の顔写真入りの本が“名刺代わり”のように使われるケースも少なくありませんでした。

 

本を出せば社会的信頼度が増す

認知度が上がる

新しいお問い合わせにつながる

――そうしたセールストークにより、出版は広告の延長線上にあるものと見なされてきたのです。

 

しかし時代は変わりました。

AIによるコンテンツ氾濫、人的資本経営やサステナビリティ開示の義務化、そして展示会やリアルイベントの回復。

こうした大きな潮流の中で、出版は単なる広告ではなく、売上アップや事業成長を実現させる「経営の武器として再評価されています。

 

さらにこれからは、経営者の世代交代が進みます。

数年後には、デジタルネイティブである「Z世代」が経営層に台頭してくるでしょう。

SNSで育ち、透明性や共感を重視するZ世代が会社を率いる時代、出版はどのように活用されるのでしょうか。

 

今回は、Z世代が経営層になる時代の出版と書籍の活用についてまとめました。

ぜひ最後までご覧ください!

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

Z世代とはどんな世代か

 

まずは「Z世代」について整理しておきましょう。

一般的には1990年代半ばから2010年頃に生まれた世代を指し、2025年現在で20代前半〜30歳前後の層です。

すでにベンチャーやスタートアップではZ世代が経営層にいることも珍しくなく、今後中堅企業でも彼らが経営者や決裁者のポジションにつきはじめます。

 

Z世代の話をするために、簡単に彼らの特徴をご紹介します。

 

1.デジタルネイティブ

生まれた時からスマホやSNSが身近にあり、情報収集・自己発信が日常の一部となっています。

→ 情報リテラシーが高い反面、「誰が発信した情報なのか」を強く気にします。

 

2.共感と透明性を重視

広告や営業トークに敏感で、上から押し付けられる表現を嫌う傾向があります。

ストーリーや理念を語るコンテンツに共感しやすいです。

 

3.キャリア観・働き方の価値観

給与や待遇だけでなく「やりがい」「成長実感」「社会貢献」を重視しています。

→ 採用や人材定着にもストーリー性が響くため、共感を持ってもらえる内容、心に響く言葉選びが重要です。

 

4.多様性とサステナビリティへの関心

ジェンダー、環境、ウェルビーイングなど社会的テーマに敏感です。

→ 本という形でメッセージをまとめると強力なブランディングになります。

 

 

なぜZ世代経営者に出版が効くのか

 

Z世代はデジタルツールに長けています。

SNSで自己発信することに抵抗はなく、動画・記事・広告などの表現手段を自在に操ります。

 

では、なぜそんな彼らに「出版」が効くのでしょうか。

 

1.デジタル社会だからこそアナログが光る

Z世代は“デジタルの便利さ”を知り尽くしているからこそ、アナログの本に「重み」と「差別化」を感じやすいです。

SNSやWeb記事は数秒で流れていきますが、本は手元に残り続け、時間をかけて読んでもらえる資産となります。

また、無料で情報が溢れるほど手に入る時代だからこそ、お金を払って得る情報に価値を見出してもらいやすいです。

 

2.出版は「信頼の裏付け」になる

生成AIで誰もが文章を書ける時代となりました。

だからこそ、編集・校正のプロセスを経た出版社を通して流通している本」は、信頼性の証明として強力です。

Z世代は情報リテラシーが高く、普段からフェイクニュースやSNS上の虚言を見分け生活しています。

オールドメディアの信用が落ちているからこそ、“残るメディア”に価値がありますし、なおさら“裏付け”を求める傾向があるのです。

 

3.ストーリーを語れるメディア

Z世代は「共感できるストーリー」に心を動かされます。

本は企業の理念、創業ストーリー、失敗談まで丁寧に伝えられる媒体であるため、SNSやWebでは語りきれない文脈をしっかり伝えることができます

情報が溢れているからこそ、その人が語る人生、考え方、ノウハウ、実績の価値を実感してもらいやすいです。

 

 

Z世代経営層の出版活用シーン

 

では、Z世代が経営層になった時代に、出版はどのように活用されるのでしょうか。

具体的に見ていきましょう。

 

1.採用と人材定着

給与や福利厚生での差別化が難しい中、理念やビジョンへの共感で人材を惹きつけるケースが増えてきました。

終身雇用がない時代、仕事を選べる時代だからこそ、自分にとってやりがいのある、成長できる環境であるかが重要な判断軸となっています。

  • 「この会社で働きたい」と思わせる理念ブック
  • 内定者・新入社員向けに配布するストーリー集

→ 出版は“愛社精神を育むツール”として注目されます

 

2.営業・マーケティング

Z世代の経営者が意思決定する時代には、従来の営業資料より「本」のほうが効果的に差別化できます。

自社だけで発信している情報よりも、第三者が介入しチェックされている情報のほうが信頼できると考えるからです。

また、出版=コストがかかる印象が強いため、それができている会社=安定して経営ができている会社と認識してもらえます。

  • 展示会で本を手渡し → 商談につながる
  • 本を通じて「思想・実績」を理解してもらう → 成約率が上がる

 

3.ブランディング

SNSフォロワー数が信頼の基準になる一方、「書店に本がある」ことも強力なブランド要素になります。

無料でできることが山ほどあるからこそ、コストをかけることに慎重になりますし、それを実行していることが信用力にもつながります。

  • 「SNSで発信している人」ではなく「出版している経営者」

→ メディア露出や講演依頼にもつながる

 

4.投資家・金融機関との関係強化

Z世代経営者は資金調達やパートナーシップ構築にも積極的です。

本は「経営の考え方」を示す信頼の証として役立ちますし、相手と話す時間が短くても、それ以上に自分を知ってもらえる、信頼関係構築のツールとして役立ちます。

 

 

出版を検討する企業が今からできること

 

Z世代が経営層に台頭する未来を見据えて、企業が準備しておくべきことは次の3つです。

 

1.理念やストーリーを整理する

出版は理念やストーリーが軸になります。

まずは自社の歴史、想い、実績を棚卸ししておくことが重要です。

また、独自のノウハウや事例などもまとめておくと良いでしょう。

 

2.出版後の活用設計を組み込む

出版したら終わりではなく、展示会・営業資料・採用活動にどう展開するかを考えておきましょう。

Z世代は「統合的なマーケティング」に敏感なので、出版+デジタル施策の連動が必須になります。

 

書籍+LP+Facebook広告や書籍+ウェブメディアでの記事掲載+SNSでの制作に関する情報発信など、ただ本を出版するのではなく、どのようなゴールを見据えて、本を活用し他の動きと連動させるか、戦略ごと考えることが大切です。

具体的には、書籍を活用して〇件成約をとるのが理想で、そのためにメディアリレーションや広告、SNSでの告知、対談イベント、出版記念のキャンペーンなどを検討しながら、時流を読み判断することが大切です。

 

3.出版を単発ではなく「運用」として捉える

1冊で終わらせず、複数冊を計画的に出していくことで市場への浸透力が高まります。

特にZ世代は継続的な発信を重視するため、出版もシリーズ化・連続性を意識すると効果的です。

 

 

まとめ

 

今後10年で経営層の世代交代は加速し、Z世代が経営層になる時代はまもなく到来します。

すでにZ世代は起業したり、グループの子会社の経営を担っていたり、日本の古き良き企業を残そうとM&Aに動いていたりと、失われた30年で大人になったからこそ、これを止めるためにそれぞれが邁進しています。

 

出版は「アナログ」だからこそ逆に効力を発揮します

 

  • デジタルの波に埋もれず、長期的に残る資産であること
  • 編集・校正を経た“信頼の裏付け”があること
  • 共感・ストーリーを丁寧に伝えられること

 

これらの強みが、Z世代経営者の価値観にマッチするのです。

AI時代だからこそ「人の言葉が詰まった本」が光り、透明性や信頼を重視する社会だからこそ「出版による発信」が力を持ちます。

 

出版は未来への投資であり、次世代の経営層に響く“武器”となるでしょう。

 

出版に関心をお持ちの方は、ぜひ当社の資料をご覧ください。

 

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

400名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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