「仕事に使うための本を書きたい。」
そうは思っても、本を出版するためにどのような工程があるのか、何から始めればよいのかといった出版の流れがわからないとなかなか手を付けることができないと思います。
ここでは、出版までの流れを見ていきましょう。
出版までの流れ
①企画をまとめる
まずは、出版する本をどのように使っていくのか、またどのような方向性で本を書いていきたいのか、全体的なイメージを固めます。そしてその出版後の使い方に沿った企画が必要となります。
出版後の使い方をあらかじめ企画としてまとめておくことで書いている最中や作っていく中で迷うことなく進むことができるようになるのです。
企画をまとめる際には、おおまかなタイトルやサブタイトルなども決めておくと、本を書く際の手助けになります。もちろん、タイトルやサブタイトルは本を制作していく段階で変わることが大半なので、あくまで仮としておくことをおすすめします。
メインの読者ターゲット層もあらかじめ考えておきましょう。本を仕事に利用しようと考えているのであれば、メインとするターゲットに向かって共感を得られるように書き上げる必要があります。
ターゲットはメインとサブに分けて考えておくことで、いくつかの層に向けた書き方を考えられ、表現の方法も豊かになるので特定のターゲットをイメージしづらい場合は何種類かのターゲット層を想定しておくことも可能です。
また、執筆はあなたが実際に書くのか、それともライターさんに依頼するのかという選択肢があります。ライターさんに依頼する場合はイメージを一致させるために特に出版企画が大切となります。
<出版予定日もきめよう>
出版した後どのように使うのかが定まっているのであれば、いつそれが必要になるのかを逆算して計算し、その時期までに出版を完了していなければなりません。
例えば、展示会やセミナーなどが予定されているのであれば、そこに間に合うように出版日を想定しておく必要があります。
もちろん、そういった期限を設けずに企画を進行することもあります。しかし、そういった場合には本を出版すること自体が目的となってしまってその後にうまく活用できなくなってしまうことが少なくありません。
特に締め切りはないと考えている場合であっても出版予定日はあらかじめ決めたうえで取り組むことが必要になります。
②原稿を完成させよう(執筆・脱稿・編集、校正)
編集の作業は、簡単に言えば読者にとって読み易くわかりやすい形に変えていくことを言います。文章の順番を入れ替えたり、重複している内容をカットしたり、また表現を変えて統一したりという作業も編集作業の一つと言えるでしょう。
こういった作業の目的とは、書き手と読み手にあるギャップを埋めるためだと考えましょう。どうしても独りよがりな文脈になっていたり、専門用語が多く使われている場合には指摘して修正をすることで「書き手にとって書きやすい文」から、「読み手にとって分かりやすい文」にすることができます。
校正というのは、誤字や脱字の訂正です。本を仕事のために使うとなると、その文中に誤字脱字や使い方の間違った言葉が使われているのでは説得力がなくなってしまします。本はネット上での掲載とは違い、一度出版してしまうと訂正することがとても難しい媒体です。誤字脱字に限らず、納得いくまで修正を行うことで自信をもってビジネスに利用することができます。
③本の顔となる表紙デザインなどを決めよう
そしてタイトルが決まればそのタイトルを基に表紙のデザインを決めていきます。表紙のデザインは基本的にデザインを専門としている方に頼むのが一般的なので、どんなデザインにしたいのかおおまかなイメージを伝えて、図案をいくつか提示してもらって決めていきましょう。
本にとって、表紙とタイトルは非常に重要な項目です。手に取って読んでもらえるかどうかは、その本の顔ともいうべきタイトルと表紙に委ねられるためです。
こだわって決めつつも、必要な情報は盛り込んで相手が読みたいと思わせられるものを作ることが理想であり、これについてはどんなジャンルの本であっても共通の目標と言っても過言ではないでしょう。
小説には小説の、哲学書には哲学書の、ビジネス書にはビジネス書のそれぞれ相応しい顔があります。自分の納得する、その本に相応しい顔を付けてあげてください。
編集・校正を何度も何度も繰り返し行い、何度も訂正をし、タイトルを決めて表紙のデザインを完成させれば、いよいよ本の出来上がりです。
④本を出版したその後は・・・
出版した本をどのように使っていくかというのは、著者の自由です。広告に使うことも、手渡しや展示などで読者を集めることも、社内教育のために配ることもできます。
以上が、本を出版するまでの大まかな流れです。
本を出版するとことになるといきなり原稿執筆を始めてしまう人がいますが、これはお勧めできません。今回の記事で紹介したようにまずは企画をまとめることが大切です。
むしろ、企画をまとめる過程で良い本になるか、悪い本になるかはほとんど決まってしまうといってもよいでしょう。
「本は書く前が9割!」と考えて、またどんな使い方であっても読んでくれる読者にとって価値のある本を目指して本作りプロジェクトを進めていってください。
投稿者プロフィール
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出版ベンチャー企業「ラーニングス株式会社」の代表取締役。
大学卒業後は証券会社に入社し、2つの支店で法人、リテールの営業活動に尽力。
5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
これまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書は3000冊以上。
『出版を変える、出版で変える』を合言葉に、はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象とした事業を展開。
出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。
好きな本の分野は経営者の自叙伝やマーケティング、経営に関する実用書。
愛知県名古屋市出身。趣味は読書とスポーツ観戦。
近著:
「7日でマスター 株チャートがおもしろいくらいわかる本」(2017年ソーテック社)
「7日でマスター 投資信託がおもしろいくらいわかる本」(2018年ソーテック社)
「いちばんわかりやすい 60歳で2000万もらうiDeCo年金のはじめ方」(2019年ソーテック社)
「世界一やさしい 株・FX・投資信託の教科書」(2020年ソーテック社)
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