広報活動を推し進めるファクトブックの作り方

広報活動を推し進めるファクトブックの作り方

 

今回は企業や商品・サービスの広報時に必須となっている「ファクトブック」について、作り方を解説していきます。

 

  • なぜファクトブックが必要なのか
  • どのように情報を集めればいいのか
  • 作ったあとどのように活用すればいいのか

といった疑問に、企業出版専門の出版社であり、4つのウェブメディアを運営しているラーニングスがお答えします。

 

ぜひ最後までご覧ください!

 

※なお、今回のファクトブックの作り方は、投資家向けではなく、報道関係者向けの内容となっております。ご了承ください。

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

 

ファクトブック(FACTBOOK)とは

 

それでは、まずファクトブックとはどのようなものかを解説していきます。

 

ファクトブックはファクトシートとも呼ばれ、企業の事業内容や業績、沿革だけでなく、業界全体のデータを並べて自社がどのような立ち位置でビジネスをしているのかをまとめた資料のことです。

※ファクト=事実

 

 

企業の設立背景や商品・サービスが生まれたきっかけのストーリーをはじめ、今後の課題や目標についても内容がまとめられていることから、情報過多な現代において、信頼度の高い情報源として活用されます。

 

 

自社のデータだけをまとめるのではなく、業界全体のデータに触れる点が大きな特徴で、主に報道関係者や投資家向けに作られます。

ちなみに、報道関係者向けのファクトブックはストーリー要素が多く、投資家向けのファクトブックでは市場状況や財務情報の詳細データが多くなっています。

 

 

ファクトブックはなぜ必要なのか

 

事業内容や会社のストーリー、業界の動向などをわざわざ1つの資料にまとめなくても、コーポレートサイトやその都度プレスリリースを打てばいいのでは? とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

 

わざわざ各所からデータを集めて資料を作る工程自体に面倒だと感じる方もいらっしゃるでしょう。

 

ですが、ファクトブックは情報が溢れる社会だからこそ、必要なのです

 

 

先述しましたが、このファクトブックは報道関係者や投資家向けの資料です。

情報が溢れている社会で、自社の魅力に気づいてもらいたい、自社が注力していることを取り上げてほしい、自社に投資してほしいと思っても、一筋縄ではいきません。

 

よほどニッチな業界でなければ、競合他社と比べて何に優れているのかは外側からみるとわかりづらく、知名度があったりわかりやすいビジネスに注目が集まってしまいます。

 

 

そのため、自社や業界、商品・サービスに興味関心を持ってもらい、価値を見出してもらえるきっかけとなるファクトブックを作り活用することはとても大切なことなのです。

 

 

ファクトブックの活用方法

 

では、具体的に作成したファクトブックはどのような場面で活用できるのでしょうか?

この記事では報道関係者向けのファクトブックの活用をお伝えしていきます。

 

ファクトブックは、主に取材をしてもらうまでの営業活動時取材時に活用できます。

 

 

メディアには日々膨大な数の資料が届けられ、その中からどこに取材をするかを決めていきますが、その際、ただ文章だけの資料よりも、業界の動向やデータがまとまっており、その上で自社にどのような魅力があるのかがわかりやすく書いてあるほうが記者の目に留まりやすくなります。

 

 

また、ファクトブックがあることで取材~記事化までのメディア側の調査にかかる時間削減にも繋がるため、良い印象を持たれやすいです。

 

 

ラーニングスが運営しているウェブメディア「社長の履歴書」には、日々多くの企業様から取材のお問い合わせをいただいております。

 

もちろん、ファクトブックのあるなしに取材の可否は決めておりませんが、事前にご準備いただいている場合、下記のような点で大変ありがたいと感じています。

 

ここからは、「社長の履歴書」も担当している筆者自身の見解をまとめました。

わかりやすくアンケート方式でまとめていますので、ぜひ参考にしていただけますと嬉しいです。

 

Q1.取材先の企業様から頂いたファクトブックはどのような視点で見ていますか?

 

最初にご連絡をいただいた際、添付資料や会社HP、SNS、ご著書などの情報を拝見してから、取材についてのご返信をさせていただいていますが、ファクトブックがあることで「どこに魅力があるのか」「どんな情報発信がしたいのか」を明確にキャッチできるので、こちらも的確に情報収集ができます。

取材前のメールでも、当メディアでデフォルトでお伺いする質問項目以外に、ファクトブックから読み取れた内容にプラスして事前に想定質問が組めるので、双方にとってより良い記事制作に繋がると感じています。

 

Q2.取材前~取材時ではどのようにファクトブックを活用していますか?

 

取材を行う際は、企業様ごとに独自の資料を作成していますが、その際に活用させていただいております。

独自資料には企業名、代表者名、設立年月日、事業内容の他、記事内で取り上げるデータ・内容をまとめますが、これは、いただいているプレスリリースやファクトブックの資料とは別に、取材と記事制作時の羅針盤代わりとして必ず作っているものです。

 

企業様からは事前にさまざまな情報をいただきますが、1記事3000字程度の制約があるため、記事に載せる情報の優先順位を取材前にある程度まとめる必要があります。

その際、ファクトブックがあると、何を取り上げればいいのかが明確ですし、そこを際立たせるためには補足でどんなデータ・内容を入れるべきか、1人でも多くの読者に興味を持ってもらうために、どんな話の流れを作っていけばいいかを考えやすいので、大変助かっています。

 

 

なお、誤解を生まないためにお伝えしたいことが2つあります。

1つ目は、ただファクトブックに書いてある内容をそのまま質問するわけではないということです。

 

それをしてしまうと取材をしている意味はありませんので、必ずいただいている情報から新しい切り口で企業様の魅力を引き出せるよう、精進しています。

 

2つ目は、ファクトブックを用意しないといけないわけではない、ということです。

 

情報がなくてもそれを編集して発信するのが我々の仕事です。

無くても問題ありませんのでご安心ください。

 

ここでは、メディアの人間の本音として、取材先からファクトブックを頂けると嬉しい、大変助かる、という部分だけ知っていただけますと幸いです。

 

Q3.記事制作ではどのようにファクトブックを活用していますか?

 

主に原稿内の事実確認に活用しています。

 

数値や名称は取材音源や事前調査でまとめた資料でも確認しますが、やはり取材先の企業様がお持ちのファクトブックが一番正確な情報源となりますので、大変ありがたいです。

どれだけ気を付けていても、聞き間違えや言い間違いもあったりするので、正確な信頼できる情報があると安心して原稿チェックができます。

 

また、取材時には話されていなかったとしても、原稿内で補足データを入れたほうがいいと判断した際、ファクトブックから必要なデータを抜粋できるため、結果的に質の高い記事制作ができていると感じています。

 

 

もし、なかなか取材が取れないと感じていらっしゃる広報ご担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ファクトブックを作ってみてください!

 

 

ファクトブックの作り方

 

それではここからは、実際にファクトブックの作り方をご紹介していきます。

 

手順は以下の通りです。

 

  1. 同業含め、他社のファクトブックを見る
  2. どんな内容が必要かを把握する
  3. 目次を作る
  4. データを集める
  5. 文章を書く
  6. 推敲する

 

一つずつ見ていきましょう。

 

1.同業含め、他社のファクトブックを見る

 

会社案内やサービス資料は見ることがあっても、日常的にファクトブックを見る機会がある方は少ないのではないでしょうか?

まずはファクトブックとはどのようなものかを把握していきましょう。

 

ネットで「ファクトブック」「ファクトブック 企業」「ファクトブック 報道」と検索すれば、大手企業のものはすぐに見つかります。

投資家向けの資料が見つけやすいですが、報道向けの資料もありますので、まずはさまざまな企業のファクトブックを見ていきましょう。

 

その他、ライバル企業が出していないかもチェックしてくださいね!

 

2.どんな内容が必要かを把握する

 

次に、実際に自社のファクトブックを作るうえで、どのような内容が必要かを把握していきましょう。

 

ほとんどのファクトブックに必ず記載されている内容は以下の通りです。

  • 会社概要(会社名、設立年月日、売上、利益、事業内容など)
  • 発行年月日やデータ取得期間など、資料の数値の説明
  • 起業から現在までのストーリー
  • 市場状況
  • 市場における自社のポジションの説明
  • 自社商品・サービスの説明
  • 自社の売上や利益のデータ
  • ビジョン
  • 事業戦略
  • 社会課題への取り組み
  • 今後の展望

 

3.目次を作る

 

どんな内容が必要かを把握したら、実際に目次を作っていきましょう。

 

目次を作る際は、「誰に向けてどんな内容を伝えてどのような成果をあげたいか」を最初に決めますが、報道関係者に向けたファクトブックの場合、報道関係者に向けて取材をしてもらうことがゴールになります。

 

取材の切り口としてよくあるのは下記の3つです。

  • 経営者のブランディング ⇒ 代表ストーリー
  • 商品・サービスの取り上げ ⇒ 商品開発のストーリー
  • 自社の取り組み ⇒ 自社の課題解決ストーリー

 

この取り上げてもらいたい内容を中心に必要なファクトを集めていきましょう。

 

特に、独自性のあるストーリーをしっかりと立てること、市場や業界のデータを正確にまとめることはとても大切です

 

 

なお、プレスリリースはよくA4用紙1枚が良いとされていますが、ファクトブックは情報が多様な側面からまとまっていることが求められるので、ページ数が多くても問題ありません

ただ情報量が多くなる分、適宜見出しをつけたり写真や図で表したりと見やすい資料にするための工夫は必要不可欠です。

 

4.データを集める

 

目次まで立てられたら、次は必要なデータを集めていきましょう。

ちなみに、このデータ集めが一番骨が折れる作業です。

 

というのも、自社のデータだけでなく業界のデータを調べなければいけませんし、それも信頼できる情報元からでなければいけません。

社内外のデータ集めはかなり時間がかかるので、1つずつ地道に集めていきましょう。

 

5.文章を書く

 

データが集まったら、目次通りに文章を書いていきましょう。

文章を書く際は、文体を統一し、長文ばかりにならないよう注意してください。

 

また、書きながら確認して作業が止まるよりも、まずは一旦書ききってしまったほうが作業は進みやすいです。

誤字脱字や読みにくい部分などは最後の推敲で作業すればいいので、まずは書き終えることを目標にしてください

 

6.推敲する

 

ここまできたら、最後は推敲をするだけです。

集めたデータの数値が合っているか、文章が読みやすいか、内容に矛盾はないか、誤字脱字はないかなどをしっかりと確認していきましょう。

 

そして最後は必ず複数人に細かくチェックしてもらって、正確な内容の資料にしてから公開してください。

 

 

さいごに

 

今回はファクトブックとはなにか、作り方や活用方法を解説しました。

 

  • ファクトブックは企業の事業内容や業績、沿革だけでなく、業界全体のデータを並べて自社がどのような立ち位置でビジネスをしているのかをまとめた資料のこと
  • 報道関係者に向けた資料では、一番取り上げてほしい内容に沿って根拠となるデータを集めること
  • 必ずしもファクトブックの有無で判断は下されないが、あるとメディア関係者からの印象が良くなる
  • ファクトブックはデータ集めが一番大変

 

この記事が参考になりますと幸いです。

 

 

そして、メディアに取り上げてもらう際、著書の有無で大きな差があることはすでにご存知のことだと思います。

特に、テレビ番組での取り上げを狙っている場合、著書は重要な広報ツールです。

 

 

ラーニングス株式会社は、企業のための出版社としてこれまで300タイトル以上の書籍を手がけてきました。

出版をきっかけにテレビへの出演が決まった事例も多々あります。

 

今後、メディア露出へ向けて書籍を用意したい方ブランディングのために出版をしたい方は、ぜひラーニングスまでお問い合わせください。

 

【サービス資料】
売上アップのための企業出版サービス

企業出版とは?

企業出版が役立つ経営課題

出版による売上アップモデル

プロジェクトの流れや費用について

ダウンロードはこちら費用について

 

 

投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

プロフィール詳細はこちら
>知識0から本を出版する方法7Step

知識0から本を出版する方法7Step


これから本を出版したい方を対象とした資料を用意しました。

・本の出版に興味がある
・どんな手順で出版するのかを知りたい
・これまでに検討したが挫折した
・会社で検討のための資料が欲しい

上記の方を対象としております。
資料で不明点などありましたらお気軽にお問い合わせください。


CTR IMG