エンタープライズセールスとは?SMBやTHE MODEL型との違いを徹底解説!

 

 

企業年数を重ね、会社規模も大きくなってくると、新規顧客開拓の一つとして、大企業や上場企業に焦点をあてる企業もあると思います。

ただ、ツテやノウハウがないとなかなか大企業、上場企業との取引を成立させることは難しいものです。

 

そこで今回は大企業、上場企業をターゲットとする営業方法「エンタープライズセールス」について解説していきます。

 

ぜひ最後までご覧ください!

 

 

【この記事でわかること】

  • エンタープライズセールスとはなにか
  • エンタープライズセールスの方法
  • エンタープライズセールスの営業マンに必要なスキル
  • エンタープライズセールスの突破口として書籍の活用について

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

 

エンタープライズセールスとは

 

 

 

エンタープライズセールスとは、大手企業や公的機関など規模感の大きい組織をターゲットに営業を行う営業手法のことです。

 

大企業に自社製品やサービスの導入が決まると、最初は一つの部署のみの導入でも、良いものだと実感いただけたら他部署や全社での導入が実現するため、大きな契約となるチャンスがあります。

 

ただ契約をとるのではなく、例えば自社の複数の商材・サービスや、他部署・他グループ企業での導入など、一つの入口から複数の契約を見込めるので、LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)が長いという特徴もあります。

 

特に現在は、ITやソフトウェアを商品とするSaaS企業がこのエンタープライズセールスを成功させるべく、しのぎを削っています。

 

SaaS企業の場合、導入していただくアカウント数とどれだけ長く継続して使ってもらうかが売上をあげるためには必須なので、従業員が多く、なおかつグループ企業もある大企業をターゲットとするのです。

 

【エンタープライズセールスのメリット】

  1. 契約金額が大きい
  2. 複数の契約が見込める
  3. LTVが長い

 

SaaSの営業については、こちらの記事をご参照ください。

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SMBセールスとの違い

 

では、エンタープライズセールスとよく比較されるものに「SMBセールス」というものがありますが、こちらはどのような営業方法なのでしょうか?

 

エンタープライズセールスは大企業をターゲットとした営業手法というのは先述した通りです。

そしてSMBセールスとは、中小企業を対象に行う営業のことを指します。

(※SMBとはSmall and Medium Businessの略です。)

 

ちなみに、エンタープライズセールスとSMBセールスでは営業手法が全く異なります。

エンタープライズセールスでは、顧客との長期的な信頼関係の構築が重要で、顧客企業のビジョンや課題を本質から理解し、求められる複雑な要望への対応力が必要になってきます。

 

一方、SMBセールスではスピード感のある対応が重要です。

じっくりと腰を据えて関係を構築することよりも、合理的な解決策の提案や迅速な課題解決が必要になってきます。

 

エンタープライズセールスでは顧客にとって良いパートナーとなり、長期的に柔軟な支援ができる体制が求められますが、SMBセールスではとにかくスピード感を持って素早く適切に結果を出すことが重要です。

 

成約までの道のりにも大きな違いがあり、エンタープライズセールスの場合、社内の1人が「導入する」と言ったら成約となるわけではありません。

稟議や根回しなどの複雑な決済プロセスがあるため、リードタイムが速くて半年ほど、基本的に商談~成約までは1年ほど見ておかなければなりません。

場合によっては数年かかるケースもあります。

 

一方、SMBセールスの場合は会社規模も小さく、決裁者のOKがでたら即導入となるケースが多いです。

リードタイムもエンタープライズセールスに比べたら短いケースが多いところが特徴です。

 

 

THE MODEL型との違い

 

エンタープライズセールスを行う場合、THE MODEL型との違いについてはしっかりと認識しておくことをおすすめします。

 

THE MODEL型とは、もともとはセールスフォースで運用されていた営業方法で、プロセスを分業してマーケティングからインサイドセールスへ、インサイドセールスからフィールドセールスへ、フィールドセールスからカスタマーサクセスへと担当部署ごとに成果を連携させて、成約へと繋げていきます

 

近年、多くのBtoBセールスの現場では、このTHE MODEL型が取り入れられています。

 

書籍はこちら→『THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』福田 康隆 (著)

 

 

 

 

上の図をご覧ください。

これは、THE MODEL型とエンタープライズ型の違いをまとめたものです。

 

THE MODEL型がまずは自社の商品・サービスの認知を拡大させてそこから見込み客を創出し、商談へと繋げて成約をとる、大きいところから小さいところへと絞り込む形で営業を行うのに対し、エンタープライズ型はまずは顧客となりうる企業を特定し、大企業の中で自社や商品・サービスの認知を拡張させ関係を構築させていきながら、最終的に複数部署での展開を目指す営業を行います。

 

エンタープライズセールスでは、ただ1件の成約をとって終わりではなく、導入数の拡張と継続導入をゴールとしています。

 

多くの人が導入決定~導入後も関わるエンタープライズセールスでは、何よりも信頼関係の構築が大切で、企業内でどれだけ認知してもらえているか、関係性を築くことができているかが成約&継続導入のカギとなってきます。

 

まとめると、THE MODEL型は絞っていく営業で、エンタープライズ型は拡大していく営業方法なのです。

 

 

エンタープライズセールスのやり方

 

ここからは、具体的にエンタープライズセールスのやり方を解説していきます。

 

最初にお伝えしておきますが、エンタープライズセールスではとにかくどれだけ人脈を築けるか、そして忍耐力があるかが成功のカギとなります。

 

まず、日本には大企業は全体の0.3%しかないといわれており(中小企業庁「2019年版中小企業白書」)、上場企業も4,000社ほどでとにかくリードが少ない状態からスタートします。

そして、基本的にメールやテレアポなどでは接点を持つことが不可能に近いです。

マーケティングのお問い合わせや資料ダウンロードなども、担当者がそれを行わなくても日々さまざまな情報を入手することができるため、そもそもの入口が狭き門となっています。

 

営業マン自身が独自に人脈を築き、ターゲット企業内の組織図を把握して根回しすることなども必要になってきます。

そして、大企業では利用する人数だけでなく、導入に関わる人数が多いため、簡単に解約が不可能であることから、導入決定まで長い期間が必要です。

契約書や見積書なども担当が部署ごとに違ったりと、そもそもの検討に時間が必要なのです。

 

BtoB営業でも平均3~6ヶ月程度で成約が決まってきますが、エンタープライズセールスではそれ以上の時間がかかります。

 

営業担当者にとってもどかしい時間が長くなり、それがプレッシャーとなるため、忍耐力が必要になるのです。

 

では、具体的なプロセスをご紹介していきます。

手順は主に5つです。

  1. ターゲットを決める
  2. インサイドセールスの実施
  3. リファラル戦略の推進
  4. ターゲット企業内の相関図を作成する
  5. LTVを最大化する

 

一つずつ説明していきます。

 

1.ターゲットを決める

 

まずは、どの企業をターゲットにするかを決めていきましょう。

大企業の数は4,000社ほど…。

そこから自社製品、サービスを導入してくれる確立の高い企業を見つけていきます。

 

ターゲットを適切に選ぶことが成功への第一歩です。

 

ターゲットを選ぶ方法ですが、まずは大企業のリストを見ましょう。

例えば、日本経済新聞の時価総額上位ページを見てもいいですし、その他検索して調べることも可能です。

 

そして、どのような企業にアプローチするか大体のあたりをつけたら、次に1社ごとにコーポレートサイトでは組織図やビジョン、公表されている決算の報告書など、見れる情報はほぼすべて確認していきます。

もし、記事寄稿や取材を受けている情報があればそれも確認しましょう。

 

めんどくさい、そんなことをしている間にリストにあたったほうがいいと考えるかもしれませんが、それよりもしっかりと情報を取得して成約の確立の高い企業をリストアップすることのほうが大切です。

 

そして、今後の課題感と自社が提供できるソリューションがマッチしているところをターゲットとしてみてください。

 

ちなみに、SMBセールスでは数千~数万のリストを用意しますが、ここでは多くても数十社程度にまず絞り、1人につき担当案件は1~3程度に絞ると良いでしょう。

 

数を打つ戦法ではありません。

確実に狙える企業に絞り込みましょう。

 

2.インサイドセールスの実施

 

何もツテのない状態から始める場合、エンタープライズセールスにおけるインサイドセールスでは決裁者に向けて直接手紙を送る手法がオーソドックスです。

 

担当者ではなく、権限を持っている層にまずは接触し、信頼関係を築いていきます。

手紙を送る相手は、自社商品・サービスに興味関心を示してくれて、なおかつ決裁権を持つ人物です。

自社商品・サービスを実務で扱う部署を持っている人であくまでも○○責任者ではなく、役職を持っていることを確認してください。

 

また、手紙の内容は一つひとつ違う文面にしましょう。

すべて手書きで、会社の封筒ではなく高級感のある便箋や封筒を用意してください。

 

決して手紙の中に自社のチラシなどをいれてはいけません。

伝える内容も便箋1枚にまとめてください。

 

そして、肝心なのが、手紙を送った後、フォローコールをすることです。

正直、手紙はほぼほぼ読まれないという前提で行うので、電話をすることが大切です。

 

直接繋がるケースは少ないですが、3回以上トライすることで、相手と話すチャンスは各段に上がります

 

また、フォローコールを何回かしても商談のチャンスがつかめなかったからといって、そこで諦めないでください。

上述した流れを別のキーマンに対して行っていきましょう。

 

大きな企業であるほど役職ごとに見えている景色も課題感も変わってきます。

そのため、エンタープライズセールスでは企業のリストは少ないですが、その分アプローチする人物は1社につき4~5人以上となることが多いです。

 

3.リファラル戦略の推進

 

リファラル(紹介)から商談へと繋がると、最初から決裁者との商談ができるのでよりスムーズに成約までいくことが多くなります。

紹介者が自社商品・サービスの良いところを伝えてくれますし、先方にとっても信頼できる人物からの紹介だから、ということで信頼を得やすくなります。

 

ですが、そのためには情報拡散や人脈を広げたりといった活動が必要です。

もちろん、信頼していただけるように日々の行動を律する必要がありますし、そのための会食の実施や頼まれごとをこなす姿勢も大切です。

 

インサイドセールスを行いながらも、人脈を広げて信頼を勝ち取って味方を増やしていきましょう。

 

4.相関図を作成する

 

大企業は複数の部署で数千~数万人が働く場所なので、どんな部署に誰がいて、キーマンが誰かはしっかりと把握しておかなければなりません。

成約後に拡充していくことを考えると、どこの誰を説得するかを知っておくことは大切です。

 

各部署がどのような連携をとっているのかを認識することで、どのように根回しをすると良いかがわかります。

 

ただ、これはターゲット企業の誰かが自社商品・サービスの導入を進めたいと決意している状態で、ある程度の信頼関係がなければなかなか教えてもらえる情報ではありません。

そして、短期間で得られる情報でもないので、信頼関係を築き、接触回数を増やしながら少しずつ情報を入手して戦略を立てていくのが無難です。

 

5.LTVを最大化する

 

何度もお伝えしてきているように、エンタープライズセールスではどれだけ長く導入し続けてもらえるかが重要になってきます。

最初は1部署での導入でも、商品・サービスを認めてもらえれば他部署に展開できますし、グループ企業にも広げていくことができます。

そのためにも、成約して終わりではなく、柔軟に要望に応えて長いお付き合いを実現していきましょう。

 

エンタープライズセールスは、取引する企業数を増やすのではなく、アップセル、クロスセルで売上アップを実現させていくものなのです。

 

 

エンタープライズセールスの営業マンに必要なスキル

 

ここまで読んでくださった方であれば、エンタープライズセールスはSMBセールスとは全く異なるものだと理解していただいていることと思います。

 

では、エンタープライズセールスの営業マンに必要なスキルはどのようなものか、知りたくありませんか?

セールス方法が違うので、もちろん、営業マンに求められるスキルも異なります。

 

1.情報収集力

 

まず、なんといっても情報収集力が大切です。

膨大な情報の中から必要な情報を見つけることはもちろんのこと、小さな情報でも見逃さずに把握できる能力が必要になってきます。

 

当然、ターゲット企業だけでなく競合他社やターゲット企業のいる市場についても情報を持っていなければ勝ち抜くことはできません。

 

また、アプローチを続ける中でも常にアンテナを張り、他社のやっていないアプローチ方法を見出していく必要があります。

エンタープライズセールスの営業マンにとって、情報収集力は基本のスキルです。

 

2.コミュニケーション能力

 

そして次に大事なのがコミュニケーション能力です。

セールスをする相手は決裁者だけでなく、現場担当者をはじめとするさまざまな部署の人と関係を築いていく必要があります。

 

どれだけ商品やサービスが良くても、信頼関係の構築ができていなければうまくいきませんし、社内の根回しなど協力していただくことは難しくなります。

一時だけ良い顔をするのではなく、長く信頼関係を続けるための誠実さが必要になります。

 

また、ただ信頼を得るために何でも言うことを聞くのではなく、大事なところでは交渉する力も必要です。

 

複数の人、別々の考えを持つ人たちからYESをもらうこと、ターゲットだけでなく自社のメリットも確保することが重要なので、お互いにとって良い落としどころを見つけて提案しなければいけません。

長期的なお付き合いを視野に入れて動くので、自社にとって不利な契約をとってしまっては負担ばかりが増えていきます。

 

3.計画立案・遂行する能力

 

そして長期的な計画を立てて遂行する能力も大切です。

1年単位でアポ獲得から成約まで動いていくことや、複数回のプレゼン・商談があるので、綿密に計画を立てて実行する必要があります。

 

特に誰に何のYESを引き出すか、そのためにどのような話をしなければいけないか、切り出すのにベストなタイミングはいつか、そこまで何をするかなど、ゴールに向かって複雑なロードマップが出現します。

もちろん、ターゲット企業内での根回しだけでなく、自社内でもさまざまな部門と情報共有を行い、多くの人の協力を得ながら成約、他部署展開をしていくのです。

 

4.忍耐力

 

そして一番重要なのが忍耐力ではないでしょうか。

SMBと違い、すぐに結果は出ませんし、必ず結果が出るという確証もない中、立てた戦略と協力者、そして自分を信じて長期的にしぶとく動かなければなりません。

先の読めない不安やいつ成約になるのかというプレッシャーだけでなく、その後も続けて使ってもらうために、密なコミュニケーションをとり続ける必要があります。

 

諦めずに頑張ること、長期的に動き続けることができる人がエンタープライズセールスに向いている営業マンだと考えます。

 

 

大手企業のキーマンへの接触には「書籍の活用」がおすすめです!

 

今回はエンタープライズセールスについて解説を行ってきました。

そして、最後に大企業のキーマンとの接触を手助けするアイテムとして「書籍の活用」が有効だということをお伝えできればと思います。

 

たとえば、あまり実績のない中で大企業を狙うとなると、そもそもの信頼度が低いためなかなかアポへと繋げることが難しい状態が続いてしまいます。

また、関わる人へ自社を覚えてもらったり、同業他社との差別化はなかなか難しいものです。

 

そんな時に活躍するのが、あなたの会社のノウハウや社長の想いをまとめた書籍です。

 

関係者に配ることもできますし、印象にも残りやすくなります。

また、書籍は社会的信頼度の高い媒体であるので、足りない部分を補うことが可能です。

 

ラーニングス株式会社では「企業出版」といって、企業の売上アップに繋がる書籍の制作、活用支援を行っています。

 

自社内でも書籍を活用してセールスを行っていますので、

アポがとれない」「差別化が難しい」「成約まで繋がらない

といったお悩みにお役立ちできると確信しています。

 

ラーニングスの出版について、企画書の作成などのご依頼はぜひお問い合わせからご連絡ください。

 

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投稿者プロフィール

南川 佳世
ラーニングス株式会社
アドバイザー/ブックライティングサービス『ひよどり』サービス運営統括責任者

大学時代は近世文学を専攻。 日本語教師の資格を持つ。

200名以上の経営者、士業の専門家へのインタビュー経験があり、Webメディアを中心に記事を執筆。
書籍の企画~出版を行うだけでなく、出版記念のウェビナー等、イベントの企画運営も行う。

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