企業が目指すブランド像を刷新し、商品デザインや広告などを変えるリブランディング。
企業にとって非常に重要なものですが、いまひとつ意味や方法が分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブランドイメージは変えないままで、時代の流れに沿ってリブランディングを行うことは、決して簡単ではありません。
今回は、リブランディングの意味や目的、方法などを解説します。
リブランディングの意味
リブランディングとは、ブランディングし直すという意味。つまり、これまで培ってきたブランドイメージなどを活かしながら、時代の変化や新たな顧客に受け入れられるように、ブランドの定義を考え直すことです。
具体的には、商品パッケージやロゴの変更、宣伝方法の改善、時代のニーズに合わせたサービスの見直しなどが挙げられます。ブランドイメージが変わったことを一目で伝えられる方法は、パッケージやデザインの変更でしょう。
しかし、単にパッケージを変えるだけではいけません。商品の見た目の変更によって、どのような思いを伝えたいのかを重視する必要があります。
見た目が変わっただけでは、すぐに忘れられてしまいかねません。コアなファンの場合、かえって前のほうが良かったと感じて離れる可能性もあります。そうならないように、正しい方法でリブランディングを行うことが求められるのです。
リブランディングの目的
リブランディングを行う目的は、大きく5つに分けられます。
● ターゲット層を変更するため。
● 商品やサービスを改善・変更するため。
● 消費者へのアプローチ方法を変えるため。
● リポジショニングを検討するため。
● 新たな企業文化や風土を取り入れるため。
自社のサービスやノウハウ、技術などは大切な資産として残しながら、資産の鮮度を保つためにこれらを改善しなければいけません。
リブランディングのメリット
では、リブランディングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、2つのメリットについて解説します。
ブランドの新たな魅力を伝えられる
どんな企業にも、ブランドはあるでしょう。高級ブランドや有名ブランドだけがブランドではありません。ブランドとは商品やサービスの存在や価値であり、規模や知名度は企業・商品によって違いますが、消費者に伝えたい魅力はどこかにあるはずです。
リブランディングによって、今まで伝えられていなかった魅力を伝えられます。ブランドの価値を見直すことによって、自分たちが気づいていなかった自社の強みや特徴に、気がつくきっかけになる可能性もあります。
コストを抑えられる
企業イメージを変えようとして、新たなブランドを立ち上げるには、多くの費用や時間、人材が必要です。それほどのコストをかけられない企業もあるでしょう。
しかし、リブランディングでは既存のブランドのサービスや技術、ノウハウなどを引き継げるため、新たにブランドを作るよりもコストを抑えられます。これまでブランドを成長させるためにかかった資金や労力が、無駄にはならないのです。
また、これまでの顧客がいるため、ゼロの状態からファンを獲得する必要もありません。
リブランディングを実施するタイミングは?
ブランドや企業の新たな魅力を伝えるために大切なリブランディングですが、どのようタイミングで行うべきなのでしょうか。ここでは、リブランディングに適したタイミングについてお伝えします。
これまでの顧客からの反応があまりよくない
長年ブランドを育ててきたにもかかわらず、顧客からあまり良い反応を得られないときは、ブランディングが上手くいっていないことが考えられます。
購入者や利用者が減ってきたり、継続購入をしてくれる顧客が少なかったりする場合は、リブランディングを検討しましょう。
ブランド表現が古い
時代の変化によって、適切な広告デザインやパッケージデザインなどは変化します。技術の進歩によって、新たな表現方法も可能になってきます。
時代に沿わない表現をずっと使用していると、古いという印象がついてしまいます。そうならないように、ブランド表現が古いと感じる場合は、積極的にリブランディングを検討してみてください。
市場環境が変化した
最初はブランディングが上手くいったとしても、あらゆる要因によって受け入れられなくなる可能性があります。たとえば、競合他社の成長や新技術の登場、顧客の価値観の変化などが考えられるでしょう。
社会全体の価値観が変わったり、顧客が年齢を重ねたりすることで、ブランドに対する感情は変化します。
したがって、市場環境が変わったタイミングも、リブランディングを検討すべきときだと言えます。
予想していたターゲット層からの反応があまりよくない
商品やサービスを販売する際には、ターゲット層を決めることが多いでしょう。しかし、予想していたターゲット層からの反応があまり得られなかったり、反対に予想していなかったターゲット層から好反応を得られたりすることもあります。
その場合、根本的なターゲット層の絞り込みが失敗していることが考えられます。
したがって、ターゲット層を変えたり、商品・サービスの宣伝方法を改善したりすることが求められるでしょう。
3ステップのリブランディングの方法
リブランディングを行うときは、3ステップで徐々に進めていく必要があります。一気に変えようとすると、失敗する可能性があるため注意が必要です。
ここからは、リブランディングの方法を3ステップに分けて解説します。
①分析する
まずは、現状やこれまでの実績、既存の顧客などについて分析する必要があります。プロジェクトチームを作って、役割分担をしながら分析を進めましょう。
最初に、ブランドの目的や達成したい目標などを明確にすることが大切です。
現状を分析するためには、社内インタビューを行うことも効果的でしょう。
経営者やブランドの責任者、普段顧客と接している社員など、それぞれの立場の人がブランドについてどう思っているのかを尋ねてみてください。そうすることで、ブランドの強み・弱み、課題などが明確になってきます。
②戦略を立案する
ブランドが目指す目標などが定まったら、具体的な戦略を立てていきます。まずは、リブランディングによってターゲットとする顧客を具体的にイメージしましょう。
性別や年齢はもちろん、職業や趣味、好きな音楽や服装など、1人の人間を思い浮かべられるくらい具体的に想像することが必要です。
その後、その顧客が満足するにはどのような戦略を用いるべきか、検討していきます。スキルやノウハウが不足していれば、社外からアイデアを引っ張ってくることも方法の1つです。
③浸透させる
リブランディングを行ったとしても、顧客や消費者に伝わらなければ意味がありません。まずは社内や取引先といった内部の人々へ、浸透させましょう。社内イベントの実施やブランドブックの配布、社内報での通知など、方法はさまざまです。
その後、社外の人々へも広く知らせる必要があります。
テレビCMや自社サイト、イベントやリーフレットなどを活用して、新たなブランド像を浸透させていくのです。
この時に大切なのは、クリエイティブに統一感を持たせることです。商品パッケージやブランドロゴ、名刺や看板、自社サイトなどのデザイン・イメージは統一させる必要があります。
ナチュラルやクール、ポップやキュートなどのイメージがばらばらの状態だと、浸透しにくいでしょう。
リブランディングの注意点
リブランディングには注意点があります。注意点を意識しながら、少しずつ進めていきましょう。
まずはシンプルに
リブランディングを実践することは簡単ではありませんが、比較的取り入れやすいのは、シンプルにこだわることだといえます。
商品パッケージやキャッチコピーなどをシンプルにすることで「使いやすそう」「簡単そう」といったイメージを持たれやすくなります。
また、「お洒落」「洗練されている」といった好印象を持たれることも期待できるでしょう。
ターゲットは狭く深く絞る
新たな顧客を獲得しようとして、ターゲットを広げすぎると失敗する可能性があります。
欲張って多くのターゲットにアピールするのではなく、まずは特定のターゲットに受け入れてもらうことを目標にしましょう。
まとめ
リブランディングは、単にパッケージやデザインを変えるものではありません。
ブランドイメージを一新することで、新たな魅力に気がついてもらうきっかけになったり、時代のニーズに合わせて成長するきっかけになったりするものです。
顧客からの反応がいまひとつ得られない状況にあったり、表現が時代に適してないと感じたりした場合は、積極的にリブランディングを行いましょう。そうすることで、企業としても成長し、市場で生き残っていくことができるのです。
投稿者プロフィール
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大学卒業後に出版社に就職して漫画の編集に携わる。
その後、さらに別の出版社を経てラーニングス株式会社に入社。
編集業務に従事している。
社内では『むーさん』の愛称で親しまれ、お父さん的なポジションを務めている。
プライベートでは野球観戦が趣味(広島ファン)で二児の父。
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