企画 「いい企画」なんて存在しない(髙瀬敦也・著)

今回は書籍『企画 「いい企画」なんて存在しない』を出版されましたコンテンツプロデューサー髙瀬敦也氏にお話を聞いてきました。

本書にある『企画とはアイデアを実現していくプロセスであり、特別な才能が必要なわけではない』とは一体どういうことなのか、また本書を読むことでどんなメリットがあるのかについて見ていきましょう。

 

髙瀬敦也(たかせ あつや)

株式会社ジェネレートワン代表取締役
フジテレビ在職中「逃走中」「ヌメロン」「有吉の夏休み」など企画。「逃走中・戦闘中」で国際エミー賞2度ノミネート。アジアテレビジョンアワード最優秀賞受賞。ゲーム化もプロデュース。「逃走中」は累計100万本を達成。「ヌメロンアプリ」は350万ダウンロードを記録。アニメブランド「ノイタミナ」を立ち上げ、「ノイタミナ」を命名。
独立後は多分野でヒットコンテンツを企画。YouTube「お金のまなびば!」は開設半年で登録者数10万人。マンガ・絵本原作脚本、家具ブランド運営のほか、ソフトウェアプロダクション「POST URBAN」など3社を共同創業。また、多業種で、商品企画、広告戦略など行っており、Twitterでの「伯方の塩二代目声優オーディション」で広告効果10億円とも言われたバズを生み出したほか、自身プロデュースの日本酒「騨飛龍」キャンペーンは一日で10万リツイート。現在15社以上で顧問・アドバイザーを務める。
「メンバー全員がコンテンツを創って世に出しまくる」ことを応援するオンラインサロン「コンテンツファクトリー2030」主宰。著書「企画 いい企画なんて存在しない」「人がうごくコンテンツのつくり方」はベストセラー。

 

聞き手:まず初めに、株式会社ジェネレートワンとはどういった会社でしょうか?

髙瀬氏:端的に言えば企画業です。
全体を大まかに3分割すると、1つは企画制作、動画制作などです。テレビ番組やYouTubeなどのインターネット動画の企画制作をしています。

もう1つは様々な企業の企画コンサルティングです。新商品開発、新事業開発、プロモーション企画や戦略立案などです。
プロモーション企画というのは、例えば新しい商品としてお菓子を発売したれど、あまり売れ行きが良くなかったとします。そのときに予算に合わせて、セールスに繋がるような企画を考えていきます。メディアを使った動画企画やイベント企画はもちろんですが、TwitterなどSNSで完結するような企画を考えたり制作したりします。プロモーションのプロセスをリブランディングと位置付けて、並走したりもします。

最後の1つはその他の色々です。マンガや小説の原作を作ったり、最近ではいろいろな会社を立ち上げています。POSTURBANというソフトウェア開発会社を立ち上げて新しいサービスを提供したり、DIMENSIONINGという、ボディーチューニングと呼んでいますが、ジムのようなもので身体が動きやすくなるように柔軟性を高めたり、効率のいい動作環境を高めたりする会社を立ち上げたりしています。

聞き手:『企画 「いい企画」なんて存在しない』は2作目ということですが、出版する経緯はどういったものだったのでしょうか?

髙瀬氏:元々出版に関しては起業をしたときに「自分のつたないノウハウでも世の中の人に伝えてみたい」と思っていたので、ビジネス書という形なら伝わりやすいかと思いこれまで取り組んできました。

最初は出版社の社長から声をかけていただいて、コンテンツに関する本を書いてほしいと言われました。
ですが、1冊目で結構力を入れて書いていたので、2冊目を書くまでに3年ほど間が空いてしまいました。
構想は全くなかったのですが、前回の出版をしてから「コンテンツの作り方は分かったけど、企画が思いつかない」という声があったので、ニーズがあるなら書こうと思って本書を執筆しました。

聞き手:動画制作と書籍制作では何かプロセスで違いはありますか?

髙瀬氏:動画でも活字でもアウトプットすることに変わりはありませんが、動画制作のプロセスは大きく言うと2つあると思っています。
1つはもともとあるものを編集すること、もう1つは頭に描いたものを撮るスタイルです。
私もそうですし、ほとんどの動画制作者は後者だと思っています。

一方、本は書くときは、編集者とコミュニケーションをとりながら考えていきます。書くプロセスにおいて思考がまとまっていきます。書きながら言語化していくという形ですね。

聞き手:内容についてですが、企画=アイデアではないとおっしゃっていますが、どういった思いからでしょうか?

髙瀬氏:物事は頭に描いたことを実現するのが一番大変です。様々な障害が立ちはだかりますし、企画に反対する人、資金不足、予期せぬトラブルがあったりと、アイデアを思いつくよりも実現していくプロセスのほうが大変です。

別にアイデアというのは天から授かるものではないと思っています。
1つひとつ物事を決定して、可能性を狭めていく作業が企画だと思います。
決めるという意志があって、様々な障害を乗り越えていける考え方やノウハウが備わっていれば誰でもできるんです。よく特殊な才能が必要だと思われますが、本書では「企画力とはネットワークのシステムである」とお伝えし、このシステムについて分かりやすく説明しています。

聞き手:ターゲットとしてはどういった方を想定されましたか?

髙瀬氏:今回の本は年齢や職業問わず幅広く読んでいただけるよう書きました。
ビジネス書というと40代、50代の方が読まれるイメージが強いかと思いますが、前著ではコンテンツというワードが「これからインターネットでコンテンツを生み出そうとしている」20代、30代の方に想像を超えて広く支持されました。ですので、今回の「企画」は、当初から若い方からシニア層まで幅広く役立つ本にしたいと考えていました。

聞き手:この本を読まれる経営者の方にポイントなどはありますか?

髙瀬氏:企画というプロセスは経営そのものだと思います。企画という言葉を「経営」という言葉にも置き替えて読めると思うくらい親和性はあると思います。
ぜひ経営者の方々に読んで欲しい1冊です。

聞き手:出版されて周りからの反響はありましたか?

髙瀬氏:書籍の最後にメールアドレスを載せているのですが、読者から丁寧な感想をいただいたり、有名企業のクリエイターの方から連絡がきて「一緒に仕事しましょう」とお声がけいただきました。

書籍の中では背中を押すような、動きたくなるような言葉を意識的に入れていますので、そういう部分から「頑張ってみようと思えた」等、本を読んで実行したという内容の反響をいただけたのは嬉しかったです。

聞き手:次回作の構想などはおありですか?

髙瀬氏:あと3年くらい経てば、私自身の中でも色々と考えがアップデートされていると思いますし、世の中の流れも変わっていて新しいコンテンツも出てきていると思います。
なので、そのときまたコンテンツや企画をテーマに何か書けたらいいなとは思っています。

また、40歳を過ぎてサラリーマンを辞めて起業し月日が経ちましたが、未だに「なんで辞めたの?」と聞かれることが多いんです。転職や起業が一般的になってきて、そこに対しての私なりのアンサー本があってもいいかなと思っています。

聞き手:最後に、この本を読まれる方へのメッセージをお願いいたします

髙瀬氏:何か企画して、自分の責任において実行できる人、企画できる人というのが世の中には足りていないと思いますし、そう思っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
この本は「なんで企画ができない人が多いのか」という1つの答えになるものだと思います。
冒頭でも申し上げた通り、特殊技能が必要ではなく、ノウハウを知っていれば誰にでもできるのが「企画」です。

この本がきっかけになって、様々な物づくりをしたり、何か行動を起こす人が出てきて、日本の経済が潤うきっかけになれたらいいなと思っています。

 

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今、あらゆる場所で「企画できる人」が求められている
Web、SNSがインフラ化し、誰もが情報発信できる現代は、1億総クリエイター時代とも言われる。ブロガー、YouTuber、インスタグラマーなど、様々な「つくる人」から熱狂的な支持を集め、今なお売れ続けるロングセラー書『人がうごくコンテンツのつくり方』から3年。本書では「逃走中」「ヌメロン」など、さまざまなヒット企画を生み出してきた著者が、コンテンツの源ともなり、今、あらゆる企業・人が求めているもの、「企画」をテーマに書き下ろす。

「企画=アイデア」ではない。企画とは「決めること」である。
企画という言葉から「アイデア」や「発想」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。つまり、企画ができる人とは、素晴らしいアイデアを閃く一部の「特別な才能の持ち主」だと。本書ではそういった従来の企画に対するイメージや常識を覆す。企画とは、端的にいえば「決めること」であり、どんな人でもできるようになるものである。本書では、「企画とは何か」を再定義し、企画力の正体を解き明かす。また、「企画」と「コンテンツ」の違いから、いかにして企画ができる人になるか、その具体的方法までを伝授する。

■本書の構成
序章 企画とは何か
第1章 生まれる企画
第2章 人と企画
第3章 伝わる企画
第4章 進む企画
第5章 企画を受け取る
第6章 企画力の正体

アマゾンURL

https://www.amazon.co.jp/dp/4295405493/

 

投稿者プロフィール

下村(むーさん)
大学卒業後に出版社に就職して漫画の編集に携わる。
その後、さらに別の出版社を経てラーニングス株式会社に入社。
編集業務に従事している。

社内では『むーさん』の愛称で親しまれ、お父さん的なポジションを務めている。

プライベートでは野球観戦が趣味(広島ファン)で二児の父。