今回「小説信金破綻」を出版されました、株式会社アイファースト代表取締役、鍋島一博さんにお話をお伺いしました。
鍋島さんは25年間西相信用金庫では働き、様々な業務で活躍してきました。
鍋島さん自身も信用金庫での仕事は自分の天職だと思っていた矢先、突然勤めていた信用金庫が経験破綻をしてしまいました。
職を失い次に選んだ場所が東京海上火災保険でした。三か月ごとに査定が入り、成績が悪ければ即退職という厳しい状況の中で、三年間トップの業績で走り続け卒業。
その後は株式会社アイファーストを創業し、生命保険と損害保険を扱っています。今では保険業界こそ自分の天職かもしれないと目をキラキラさせて話す鍋島さん。
そんなタフな鍋島さんは今回、信用金庫が経験破綻をしてしまった裏側の真実を小説という形でまとめあげました。
今回のインタビューでは、小説を書き始めたきっかけや、小説の書き方、本を出版してみてからの周りからの反応、そしてこれから小説を書いてみたい方へのメッセージをお伺いしました。
どんな状況でも前向きに物事を進める鍋島さんのインタビューからはパワーが貰えるはずですので、最後まで必見です!
鍋島一博(なべしま かずひろ)
神奈川の湯河原町で生まれ育つ。大学法学部卒業後、西相信用金庫に就職。顧客から信頼され、成績も上向きに。営業店では預金、融資、営業を経験し、本部業務課では新商品企画開発に勤しんだ。しかし25年勤めた西相信用金庫は突然経営破綻してしまう。職を失い新天地に選んだのは東京海上火災保険。代理店研修制度の契約社員として入社し、3年間勤めトップの成績で卒業した後、株式会社アイファーストを創業した。現在の会社では生命保険と損害保険の全てを取り扱っている。地域に愛され役立つ会社を目指す。
聞き手:今回はインタビューのお時間ありがとうございます!
では早速なんですが、現在のお仕事と簡単な経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
鍋島さん:経歴としては、昭和51年から25年間西相信用金庫に勤めておりまして、最初の17年間は営業店で全ての業務を経験し、それから本部の業務推進と人事課に7年ほどおりました。
しかし平成12年に会社が経営破綻をしてしまいまして、その翌年から3年間、東京海上火災保険に営業契約社員として勤めました。
その後東京海上の代理店として、株式会社アイファーストを創業し、現在で18年目になります。
今では17名で営業しています。
聞き手:現在は17名で運営されているんですね。素晴らしいですね。
元々は信用金庫で勤めていたということで、現在の仕事はまた畑違いの業務で大変ではないですか。
鍋島さん:そうですね、信用金庫で働いている時はそれが自分の天職だと思っておりました。
ちょうど経営破綻してしまう二年目前に「信用金庫人としての生きがい論」という全国信用金庫預金達成100兆円コンクールがあり、応募しましたところ全国の6人に選ばれまして入賞しました。
「さあ!これからもっと信用金庫人としての人生を全うしよう」というところで、突然経営破綻をしてしまいました。
当時46歳で次の就職先を見つけるのが大変でしたが、実力主義の東京海上へ入社しました。
そこでは三か月ごとに査定があり、成績が悪いと即退社という厳しい世界だったのですが、そこで思わぬ成績を取り続けて、自分の天職は信用金庫ではなく、保険業界の仕事がこそが天職だったことに気が付きました。
聞き手:ははは(笑)。
それはすごいですね!
鍋島さん:東京海上に入って3年後には独立するぞと決めていました。
そして本当に3年間トップの成績を維持し、独立の夢を叶えました。
聞き手:きっと鍋島さんはやれば何でも天職なんでしょうね!
しかし東京海上はただ生き残るだけでも大変だったのではないでしょうか。
鍋島さん:そうですね、しかしもうそれしかない! という気合で頑張りました。
聞き手:確かに生半可な気持ちでは続けられないですもんね。
では出版した本の話になるのですが、今回小説という形になりましたが、ほぼ実話ということでお間違えないでしょうか。
鍋島さん:実は昨日、昔から関係のあった信用金庫の方とお会いしたのですが、その方が私の本を読んでくださっていていました。
そして私と会うなり開口一番に「あれは小説ではなく実話ですね!」と言われました。
聞き手:小説はどのようにして書かれたのでしょうか。
今まで書き留めていたりしていたのですか。
トータル20万文字ほどありますし、事実の羅列だけではなく気持ちの描写も印象的で、書き慣れているように感じました!
鍋島さん:いやいや小説は初めて書きました。
なので全く小説を書く作法も知らなかったので大変でした。
実はこの本を書く前に、全国から応募が来る湯河原町での小説コンクールがあり、その条件が作文用紙80枚でして、早速応募をしました。しかし予選にさえ引っかりませんでした。
そこで街の新聞販売所の社長さんに読んでいただいたところ、「これは面白いのでぜひ湯河原新聞で毎日掲載しましょう」とお言葉をいただき、これはチャレンジだ!と思い連載を始めました。
聞き手:そんなチャンスが舞い込んだのですね!
鍋島さん:しかし連載開始の1週間でこれではすぐに話が終わってしまうと思い、信用金庫が倒産することが決まった頃、当時、日記をつけていましたので、その日記と手元にあった信用金庫が倒産してしまった経緯についての資料をもとに、時系列順に毎日小説らしきものを書き続けました。
結局新聞での連載は2年半にもおよび、今回出版した本はその連載をもとにまとめた一冊となりました。
聞き手:なるほど! そうすると2年半かけて完成させた本ということになりますね。
正直弊社でも小説を出版するというのは初めての経験でした。
普通の実用書ですとだいたいやることは決まっているのですが、小説というジャンルはある意味正解がない世界なので、難しいです。
弊社としても経験がなかった分、小説作成のノウハウがあまりありませんでしたが、鍋島さんの完成した小説を読んでみてこんなものがあるなら、これからどんどん挑戦してみたいなとも感じました!
しかしやはり裏側を聞いてみると、2年半もの準備期間があったのですね!
鍋島さん:そうですね大変でしたが、小説を書き進めながら自分が徐々に小説家っぽくなってきたなと感じた出来事もあり、また完成した本を読んでくれた方から「ここの表現が良かった」など褒めていただくことも多々あり、やって良かったなと嬉しく思いました。
聞き手:元々小説コンクールに応募された時は、なぜ応募しようと決意したのですか。
鍋島さん:なぜ信用金庫が倒産してしまったのかを、町民の方々に事実を知って貰いたくてその発信のために挑戦しました。
聞き手:そうだったんですね!
実際に鍋島さんの挑戦が湯河原新聞の連載にまで繋がりましたし、内容もとても興味深いものだと感じます。
また、たくさんのお客様を抱えていた会社だったので、そのお客様もきっと真相を知りたかったと思うので、こうして形に残してくれる方がいて良かったと感じている方も多いかと思います!
鍋島さん:本を売りたいというよりは、真実を広めたいと思って作成したので、やったかいがありました!
聞き手:実は私も過去に小説に挑戦したことありますが、難しかったです。
書き手の方は話の全てを頭の中で完璧に想像できていますが、それをうまく表現して読み手に伝えるのは、様々な技術が必要だなと感じました。
その点、鍋島さんの小説は気持ちや情景の描写が素晴らしくて、読みながらその場の空気感を事細かに想像することができ、これぞ小説だなと勉強になりました。
鍋島さん:ははは(笑)ありがとうございます。
素人としてはうまく書けたのかなと思います。
聞き手:本当に読みごたえがあります。加筆訂正などは行ったのでしょうか。
鍋島さん:それが連載していた時はとにかく納品期日に追われていて、する間もないままとにかく駆け抜けた感じです。
聞き手:しかし今回一冊の本にまとめて、本当に良かったなと思います。
連載は連載でまた違った魅力がありますが、どうしてもどんどん流れていってしまうものなので、本に全てまとめたことでまた連載とは別の価値が生まれたと思います。
鍋島さん:これからこの本を献本していこうかと考えております。
実は連絡を取り合う仲のとある人気な講演家の方がいまして、その方に今回出版した本をお渡ししたところ、とても褒めてくださいました。
「これはとても価値のある書物だから様々な場所へ献本した方がいいよ」とお言葉をいただき、せっかくなので信用金庫関係や色んな場所に献本しようと今動いております。
聞き手:献本もまたいいですね。
本は色んな方に読まれて意味がありますし、作文コンクールに応募した時のように、まずは行動をしてみると思わない形で反応が返ってくる場合がありますからね!
鍋島さん:先日は小学校の時の担任の先生に完成した本をお送りしたのですが、お手紙をくれて「とても素晴らしい」という感想をいただき本当に嬉しかったです!
よく色んな箇所での描写を褒められますが、例えば食べ物の描写をする場合も、その小説に出てくる料理店まで実際に行き、あれはどのように作っているんですかと訊きに行ったりまでしました。
聞き手:わあ!本当ですか。
取材も行いながら書き進めたということですね!
鍋島さん:はい、そうですね。
なので小説に出てくる当事者の方々は読めば自分だとすぐ気づくと思います。
聞き手:事実をもとにした小説でしたが、その点は書きやすかったでしょうか。
鍋島さん:そうですね、元々書き続けた日記がありましたので、それをもとに、平面だった日記をどう立体的に話を作り上げていくかの工程を考えるというイメージですね。
聞き手:では最後にこれから小説を書いてみたいなと考えている方にメッセージなどあればお願い致します。
鍋島さん:そんな偉そうに言えることなんてありませんが、実際に私が本のことについて貰った1番嬉しかった言葉が「言葉を大切にしているね」ということでした。
最近ではライト小説をなども主流になってきましたが、やはりの日本語の言葉を大切して、一つ一つの言葉をしっかり選んで書いて欲しいなと思います。
聞き手:では質問は以上となります。
本日はインタビューのお時間誠にありがとうございました!
鍋島さん:こちらこそありがとうございました。
聞き手プロフィール:梶田洋平
出版ベンチャー企業「ラーニングス株式会社」の代表取締役。大学卒業後は証券会社に入社し、2つの支店で法人、リテールの営業活動に尽力。5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。これまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書は3000冊以上。『出版を変える、出版で変える』を合言葉に、はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象とした事業を展開。出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。好きな本の分野は経営者の自叙伝やマーケティング、経営に関する実用書。愛知県名古屋市出身。趣味は読書とスポーツ観戦。
投稿者プロフィール

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新卒で羽田空港で働いた後、卒業旅行で興味を持ったバンコクへ移住しホテル勤務。
2年半のバンコク生活を終えて帰国した後、Webライターとして活動中。
【一言あいさつ】
将来は自分の書いた文章で、たくさんの人をHAPPYにできる人になりたいです!!
好きなことは絵を描くこと、代々木公園をお散歩すること、散歩している犬を触ることです♡
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