昨今、企業出版に取り組む会社が増えてきています。
おそらく、そういった本を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
効果的に自社の取り組みなどを紹介している本としては以下のようなものがあります。
スターバックス成功物語(ハワード シュルツ、ドリー・ジョーンズ ヤング 日経BP社 1998年)
こちらは少し古い本ですが、小さな会社だったスタバがいかにして巨大なコーヒーショップチェーンとなっていたのかについて書かれている一冊です。もともとファンが多いスタバですが、この本を読んでファンになった人はスタバ以外のカフェに行かないのではないでしょうか?
ニトリ 成功の5原則(似鳥昭雄 朝日新聞出版 2016年)
こちらは家具店ニトリの社長である似鳥昭雄社長の本です。
似鳥社長はこの本以外にも多数本を出版しています。
ニトリの店舗にも本が置いてありました。
町工場の娘-主婦から社長になった2代目の10年戦争(諏訪 貴子 日経BP社 2014年)
2代目社長としてじり貧の町工場を引き継いだ著者が、経営再建を図るべく続けてきたチャレンジが一冊の本にまとめられています。
同業の町工場の経営者や入社希望者が読めば「この会社と取引したい」、「この会社に入社したい」と考えたくなるような読みやすい本です。
この本を出版した2年後、もう一冊本を出版されています。
どの本も難しい言葉を使っていないので読みやすく、読んでいるとグングン引き込まれて最後にはきっとその会社のファンになってしまいます。
本は古くからブランディングやマーケティングに効果を発揮し続けてきたこともあり、その力を使おうと考える企業が多いのもうなずけますね。
とはいえ、企業出版で成功するケースもあれば失敗するケースもあるのが実際のところで、これまで弊社でお手伝いしてきた経営者の方にも過去に企業出版に取り組んで失敗したという話を幾度となく聞いたことがあります。
今回は企業出版で失敗しないためにあえてよく聞く失敗ケースを紹介していく、いわば「失敗学」です。
※企業出版とは・・・ 企業がマーケティングやブランディング、採用などを目的として出版する出版方法のことを指します。 企業イメージ向上や商品、サービスをPRするための出版方法で、古くから利用されてきた手法ですが、最近また注目を集め始めています。 |
企業出版で失敗した・・・5パターンの失敗紹介
【失敗パターン1】読みたいものより書きたいことを書いてしまった
最も多い失敗がこのパターンではないでしょうか。
多くの経営者にとって、本を書くという経験は決して多くあることではありません。
そのため、せっかく本を書くのだからとあれもこれも内容を詰め込みすぎてしまうのはよくあることです。
でも、読む側からするどうでしょうか?
必ずしも書き手が書きたいことと読み手が読みたいことは一致しないものです。
1冊の本では目的を1つに絞りましょう。
そうすることによって読む側に伝わりやすくてわかりやすい本が完成します。
【失敗パターン2】書いているうちにずれていってしまった
執筆前の準備は非常に大切です
・出版する目的は?
・メインターゲットとサブターゲットは?
・章構成は?
・スケジュールは?
・出版後の使い方は?
計画段階では問題がなくても、執筆を進めるうちに少しずつ内容がずれていってしまうことはよくあることです。
著者自身で気を付けるのはもちろんですが、編集者や身内の人に時折チェックしてもらいながら執筆を進めましょう。
【失敗パターン3】出版社の選択を間違えた
出版社は3000社以上あるといわれますが、得意としている分野はそれぞれ異なります。
例えば、小説の自費出版などを得意としている出版社に依頼しても、内容をよく理解していただけず、出版代行業務のような作業しかしてくれないこともあります。
誤字脱字が多かったり、何を伝えたいのかがわからない本を出版してしまえば、マイナスプロモーションとなってしまいます。
出版社選びはビジネスパートナー選びです。
担当者と円滑にコミュニケーションが取れる出版社を選びましょう。
【失敗パターン4】作ることに費用をかけすぎた
企業出版は、小説や句集のような作品づくりとは少し違う意識で取り組む必要があります。
あくまでも企業の課題解決や進歩発展が目的のためです。
例えば、ハードカバーは必要でしょうか?
ブランディングを目的としてあえてハードカバーを作る場合や、社史として保存することを目的としているわけでなければ費用がかかるハードカバーの本よりも手軽に読みやすい本が適している可能性が高いです。
また、大手出版社に依頼すると高額となることが多いです。
読み手側は出版社名より、本の内容で選ぶことが一般的なので、大手出版社だからと高額費用をかけるべきかはよく考えてみましょう。
本づくりそれ自体に費用をかけるのではなく、販促後のプロモーションに費用をかけるのも一考ですし、場合によっては1冊当たりの出版にかかる費用を抑えて2冊目、3冊目と本を出版していくことを検討してもよいかもしれません。
【失敗パターン5】そもそもやらなかった
意外に多いのがこの「そもそもやらなかった」という失敗例です。
出版していないので失敗というわけではないかもしれませんが、出版後に話を聞くと「もっと早くやっていればよかった」という経営者が多いものです。
これは、どうしても本の出版は成功した後に書くものだからという意識があるために起きているのだと思われます。
「私はこうして成功しました」という本が多いので、まだ自分には恐れ多いのだと考えるのは確かにうなずけます。
でも、出版は成功した人のものという意識を捨て、これから成功する人を手助けするものと考えてみてください。
「私はこのように取り組んでいます」という本は、応援してくれる社員やファンを増やす結果につながるはずです。
いかがでしょうか?
今回は失敗例を紹介しましたが、著者自身は失敗と思った本であっても読者がそう思うとは限りません。
実際、「本を読んで来店しました」「社長の考え方がわかりました」という声は数多くいただくものです。
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