「セルフブランディング」という言葉をご存じでしょうか。ブランディングと聞くと、企業が行うブランディング戦略を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、個人でもブランディングはできるのです。
自分自身をブランド化することで、活動や仕事において多くのメリットがあります。
個人で何らかの活動をしている方は、積極的に実践してみてください。本記事では、セルフブランディングの概要やメリット、やり方などを解説します。
セルフブランディングとは
セルフブランディングとは、自分を商品として捉えて、自分の価値を高めるための戦略のことです。顧客に抱いてほしいイメージを作り上げることで、自分と他者を差別化したり、自らの価値をアピールしたりできます。
企業がブランディングを行うことと、意味や目的はそれほど違いません。「丁寧である」、「品質が良い」といったイメージを、自分自身に対して持ってもらうことが目的です。
パーソナルブランディングとの違い
セルフブランディングについて調べると、似たような言葉として「パーソナルブランディング」が出てくることがあります。個人をブランド化する点においては同じ意味ですが、明確な違いもあります。
セルフブランディングとは、主に組織などに所属していない個人がブランディングを行うこと。一方パーソナルブランディングは、会社などに属した個人がブランディングを行うことです。
したがって、完全に個人で活動している人や、フリーランス・個人事業主として仕事をしている人などのブランディング戦略はセルフブランディングとなります。
セルフブランディングのメリット
では、セルフブランディングをすることで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここからは、セルフブランディングのメリットを解説します。
自分を知るきっかけになる
セルフブランディングをすることで、自分が仕事をする分野を決めたり、方向性が定まったりします。むやみに全ての仕事を引き受ける必要がなくなり、仕事の質が上がることも期待できるでしょう。
もちろん、最初のうちは多くの仕事を引き受けて、経験を積むことが大切です。
しかし、ある程度のキャリアを積んだ後は、仕事を厳選することも必要になります。セルフブランディングがうまくいくと、仕事が選びやすくなるでしょう。
信頼度が上がる
個人で活動や仕事を行っている人にとって、信頼度は不可欠です。
発注相手の企業や個人に信頼してもらえなければ、仕事を任せてもらえません。しかし、個人に仕事を依頼することに不安を持つ企業もあるでしょう。
そこで、セルフブランディングとしてプロフィールや過去の実績、専門分野などを公開することで、発注相手からの信頼度アップが期待できます。
売上につながる
自分をブランド化して他の人との差別化を図ることで、信頼度がアップします。信頼度が上がると、新たな企業や個人からの仕事がもらえたり、単価アップの交渉ができるようになったりするでしょう。
また、セルフブランディングによって知名度が上がると、集客にもつながります。プロフィールを公開しているブログやSNSなどを見た人から、仕事の依頼がくる可能性もあります。
新たなビジネスのチャンスとなる
セルフブランディングをすることで、数多くの仕事を経験できます。
その結果、特定の分野に特化した個人として成長できるでしょう。ある分野の専門家になり、そのイメージが定着すれば、講演会の開催や書籍の発行といったビジネスが舞い込むことも期待できるでしょう。
それらのオファーによってさらに知名度が上がり、より多くの仕事が入ってくるという好循環が生み出されるのです。
セルフブランディングのデメリット
メリットの多いセルフブランディングですが、デメリットもあります。
たとえば、イメージが確立されることにより、かえってそのイメージに縛られてしまうと、仕事や活動が制限される可能性があるでしょう。
また、信頼を失った場合のダメージが大きいというリスクもあります。ブランド化したイメージを、崩さないように注意しましょう。
セルフブランディングのやり方
メリットを得られるようなセルフブランディングを行うには、どのように進めればいいのでしょうか。ここからは、セルフブランディングのやり方について解説します。
①自分自身を分析する
人に自分の価値や魅力を伝えるためには、まず自分で自分自身のことを深く理解する必要があります。初めに「SWOT分析」を行いましょう。SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取った分析方法です。
強みや弱みだけでなく、機会や脅威といった外的な要因を組み合わせることで、自分自身の理解が深まるでしょう。
重要な弱みや脅威がない限りは、強みや機会を重視してセルフブランディングを進めることをおすすめします。
さらに、これまでの経験や実績を分析することも大切です。
過去の成功事例と失敗事例を思い出して、時系列に並べてみてください。そうすることで、自分はどのような時に成功しやすいのか・失敗しやすいのかが見えてくるでしょう。
自分の内面や実績を分析する際には、主観的ではなく客観的に捉えることが重要です。
②市場を選定する
自分自身の分析ができたら、強みや魅力を活かせる市場を探しましょう。ライバルとなる企業や個人はどの程度いるのか、何人くらいの見込み顧客がいるのかなどを調査して、最適な市場を選んでください。
③人々に宣伝する
自分自身のアピールポイントや市場が定まれば、自分というブランドを広める努力をする必要があります。
SNS
個人でも取り入れやすい方法としては、SNSの活用が挙げられるでしょう。無料で利用できますし、誰とでもコミュニケーションが取れるという魅力があります。
活動や仕事内容によっては、メールよりもSNSを活用している企業が多い可能性があるため、SNSアカウントを持っていて損はないでしょう。
ただし、SNSでは炎上に注意しなければいけません。故意ではないとしても、フォロワーを傷つけるような内容の投稿をしないように気をつけてください。言葉遣いや失言などにも注意する必要があります。
ウェブサイト・ブログ
個人で活動や仕事を行う上で、情報を公開するウェブサイトやブログは重要です。
ウェブサイトにプロフィールやこれまでの実績、連絡先などを記載することで、企業や個人が仕事を依頼しやすくなるでしょう。
ブログでは、より個人的な情報を載せることができます。趣味や私生活などについての情報を掲載すれば、親近感を醸し出すというブランディングになるのです。
名刺
信頼度をさらに上げるためには、名刺の作成も欠かせません。
初対面の相手と会った時に役立つでしょう。個人で活動や仕事を行っている場合、基本的には自由に肩書きを決められます。
セルフブランディングの注意点
セルフブランディングには注意点があります。失敗しないように、注意点を意識しながら実践しましょう。
嘘はつかない
セルフブランディングは、自分の価値を高めることを目的とした戦略です。実際よりもよく見せるためのものではありません。
嘘をついたりしてよく見せることで、セルフブランディングに失敗するリスクがあるので注意が必要です。
時間がかかることを理解する
セルフブランディングは、すぐに大きな効果が得られるものではありません。
結果が出るまでには時間がかかるため、自分を育てるような意識で実践することをおすすめします。
まとめ
セルフブランディングは、自分の強みや価値を自分自身で理解して、顧客に持ってほしいイメージを確立することです。
個人がセルフブランディングを実践することで、信頼度や知名度が上がります。その結果、自分が得意とする仕事の依頼が舞い込んだり、他のビジネスのチェンスを掴めたりする可能性があるでしょう。
ただしデメリットもあるため、慎重に行うことをおすすめします。
すぐに、簡単に成果が出るものではないことを意識して、継続的な発信を心がけましょう。
投稿者プロフィール

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大学卒業後に出版社に就職して漫画の編集に携わる。
その後、さらに別の出版社を経てラーニングス株式会社に入社。
編集業務に従事している。
社内では『むーさん』の愛称で親しまれ、お父さん的なポジションを務めている。
プライベートでは野球観戦が趣味(広島ファン)で二児の父。
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