自費出版した本を図書館においてもらうには (1)

自費出版した本を図書館においてもらうための2つの方法

自費出版した本 図書館においてもらう

時間と費用をかけて作った自費出版の本。
出版に至るまで、数多くの困難と闘ってきたことでしょう。

いざ自費出版するとなった時、考えるのが販売ルートについてではないでしょうか。

できるだけ多くの人の目にとまってほしい、そう願う方が多いでしょう。

 

今回は

  • 自費出版の本を図書館においてもらうためにおさえておくべきポイント
  • 実際の納本方法

を解説します。

 

【監修者】
 梶田 洋平
 ラーニングス株式会社 代表取締役
大学卒業後は証券会社に入社し、5年弱勤めて退社した後、出版事業を手掛ける会社を起ち上げる。
大学時代からこれまで自身が著者で出版した本は16冊、読んできたビジネス書・実用書は3,000冊以上。はじめて本を出版する企業や個人事業主の方を対象に、出版でビジネスを加速させるお手伝いに力を入れる。

 

 

 

自費出版とは

 

「自費出版」とは、著者自身で出版費用を負担して本を出版する方法のことを指します。

出版社が出版費用を全額負担する「商業出版」では、本の売上と印税を目的としているため厳しい審査を通過しなければ出版することができません。

一方の自費出版は、売れる見込みがなくても誰でも出版でき、内容や装丁デザインなども著者が自由に決めることができます。

 

自費出版商業出版
目的個人の作品づくり本の売上と印税
メリット内容や装丁など著者が自由に決められる費用は出版社が負担する
デメリット費用は著者自身が負担する内容や装丁など著者の意向が反映されるとは限らない

 

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自費出版の販売ルートとメリット

まず、自費出版の販売ルートを知っておきましょう。

自費出版にはさまざまな販売方法があると同時に、メリットもそれぞれ異なります。
本当に図書館に納本する方法で良いのか見定めることが必要です。

せっかく多くの時間を費やして作った本ですから、納得できる方法で世に出したいところでしょう。

後悔しないためにも、改めてチェックしておくことがおすすめです。

 

販売ルート① 本屋に置いてもらう

自費出版するにあたり、最もメジャーなのが本屋に置いてもらうことです。

自費出版の本を本屋に置いてもらう方法は1つではありません。

出版社を通して本屋に流通してもらう「委託販売」や、自分で実際に本屋に営業を行う方法などがあります。

 

【メリット】

  • 多くの人の目に触れる
  • 売り上げるだけ印税が入ってくる
  • 話題になりやすい

 

【デメリット】

  • 必ずしも店頭に並ぶわけではない
  • 委託販売の場合、売上の取り分が減る

販売ルート② ネット販売(電子書籍)

技術の進歩と共に、今注目を集めているのがネット販売です。

Amazonや楽天などの大手ECサービスを介して、自費出版の本を販売できます。

なかでも、電子書籍は近年活発なツール。電子書籍としての販売は製本しなくて良いため、コスト削減や細かいデザインを考える手間も軽減することが可能です。

 

【メリット】

  • 自宅にいながら手軽に販売できる
  • SNSなどで販促活動を行いやすい(リンクを貼って拡散するなど)
  • 電子書籍派の読者に訴えかけやすい

 

【デメリット】

  • 書籍という形で残らない
  • 口コミなどマイナス評価が耳に届きやすい

 

多くの人に読んでもらうためには「電子書籍」という選択肢もあるということを、知っておきましょう。

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販売ルート③ 図書館に置いてもらう

自費出版の本を人のために役立てたいと考える方におすすめなのが、図書館に置いてもらう方法です。

図書館は勉強や探求のために訪れる、最も身近な公共機関と言えます。

何か調べ物をしたいと思った時に、無料でゆっくりと目的の本が読める場所は貴重です。

 

【メリット】

  • 資料として多くの人々に内容を提供できる
  • 利用者は無償で目にすることができるため気軽に見てもらいやすい
  • 図書館という公共施設でしっかり保管してもらえる

 

【デメリット】

  • 売上に繋がりにくい
  • 必ずしも受け入れてくれるとは限らない(一般の図書館の場合)

 

本を図書館に置いてもらうために必要なこと

 

自費出版した本を図書館に置いてもらうには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • ISBNコードがついていること
  • 日本図書コードがついていること

 

書店などで本の裏表紙を見てみると「ISBN978-4-」から始まる文字列が印刷されていますが、これが「ISBNコード」です。

ISBNコードとは、本を特定するための13ケタのコードです。
ISBNコードは本のタイトルごとに付けられているので、まったく同じISBNコードの本は存在しません。

また日本の出版業界では、ISBNコードに「図書分類記号」と「価格コード」を付け加えたものを「日本図書コード」として標準化しています。

 

ISBNコード JANコード

 

「ISBNコード」は世界に本が流通する際に、「日本図書コード」は国内で本の分類や管理をする際に使われています。

 

参考:日本図書コード管理センター「ISBNと書籍JANコードとは」

 

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本を図書館に置いてもらう方法

 

図書館に置いてもらう方法は、大きく分けて2つあります。

  • 一般の民間図書館への寄贈
  • 国会国立図書館への納本

 

以下、それぞれについて解説します。

 

一般の図書館へ寄贈する

一般の図書館に寄贈したい場合は「図書館流通センター(TRC)」に販売する方法があります。

図書館流通センターは、いわば民間の図書館の受付窓口のような機関です。民間の図書館からの注文があった時に対応できるよう、図書館流通センターは本の在庫を備えておきます。

民間からの声に応えられるよう、図書館流通センターは寄贈書物を細かく選別するのです。

したがって、一般の図書館に置いてもらうためには、図書館流通センターに在庫として持ってもらわなければなりません。

 

もし図書館流通センターが購入を認めた場合、数多くの図書館に納品するため大量購入してくれるでしょう。

購入が決まると多くの報酬を受け取れるうえ、たくさんの人の目に留まる機会も増える可能性があります。

しかし、図書館流通センターが本を購入する際に使うのは、いわば公共のお金ですから購入してもらえる可能性は決して高くないのが現実です。

一般の図書館への寄贈に関しては、ホームページや電話などで受け付けています。興味がある方は、一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

国会国立図書館に納本する

自費出版の本を確実に受け入れて欲しい方は、国会国立図書館への納本がおすすめです。

「納本制度」という法律に基づき、国会国立図書館は国内で発行されたすべての出版物の納入を義務付けられてます。

すなわち、自費出版の本もほぼ確実に納本してもらえるというわけです。

 

国会国立図書館に納本する目的とは?

国会国立図書館に納本する目的は、日本国民すべての知見活動に貢献するためと考えると良いでしょう。

自費出版の本は、自分だけが知るノウハウや知識・体験が詰まっています。自分にとっては当たり前のことでも、他人から見ると目新しく映ることもあるでしょう。

そんな自費出版の本を納本することにより、文化的資産として後世の幅広い人々に伝わることになります。

日本に生きる人々の視野や知見を養うため、国会国立図書館への納品もひとつの方法です。

 

国会国立図書館で納本可能なジャンルと部数

国会国立図書館への納本を決めたいけれど、自費出版の本が納品可能なものかどうか気になる方も多いでしょう。

国会国立図書館では原則、一部を除いて納品できない出版物はありません。ただし、ホッチキスで簡易留めされた本や、一般公開することがはばかられる要素を備えている場合は納品できません。

また、単行本だけでなく雑誌や新聞・楽譜をはじめ、CDやDVD・ブルーレイなど幅広く納品できます。

 

部数に関しては、義務付けられているのは1部です。2部納本した場合は、1部を東京本館で、2部を関西館で分けて蔵書されることとなります。

できるだけ多くの地域の人に見て欲しい方は、2部納本すると良いでしょう。

 

 

国立国会図書館への納本方法について

国立国会図書館への納品方法は、来館・送付の2種類があります。

関東圏にお住まいの方は直接来館を、遠方の方は郵送などでの送付を選ぶと良いでしょう。

 

【来館での納本方法】

自費出版の本を直接持参する場合は、「東京本館」の「西口」から入館することが必要です。

建物に入ったところにある受付で名前などを記帳し、入館のためのバッジを受け取ります。

そのあと西側の1階にある納本カウンターへと出向き、納本の手続きをする運びとなるでしょう。

 

【送付での納本方法】

送付したい場合には、事前に電話で問い合わせる必要があります。

場合によっては、必要書類を送ってもらうケースも発生するかもしれません。

実際に本を贈る時には、着払いではなく郵送・宅配便などで送付することが可能です。

 

「納入出版物代償金」がもらえるケースも

国会国立図書館に納本した場合、納品物を発行した人物に対して「納入出版物代償金」が支払われるケースがあります。

ただし、すべての発行者が得られるわけではありません。

納入出版物代償金を受け取るためには、以下の項目をクリアしている必要があります。

  • 通常の自費出版物の場合、100部刊行されていること
  • オンデマンド出版の場合、実際に15部が頒布されていること

 

これらの基準を満たしている場合、「小売価格の5割」と「郵送における最低料金に相当額」を受け取ることが可能です。

 

直接来館で納入出版物代償金を申請する場合は、「納本物」「印鑑」「代償金の振込先情報(銀行口座など)」を持参しましょう。

一方、送付で納本したい方は、納本に関する必要書類を送ってもらう必要があります。

来館方法を検討中の方も含め、事前に電話で問い合わせる方が確実です。

 

納本した自費出版物はどのように保管される?期限は?

納品した自費出版物のほとんどが、国会国立図書館東京本館の閉架式書庫で保管されます。

「閉館式書庫?」と思われる方もいるかもしれませんが、適切な温度・湿度に保たれた環境下のため資料の劣化は心配ありません。

同時に、図書館の資料として登録された後は「国立国会図書館オンライン」などでの検索が可能になります。

国の行政に対するサービスの資料として提供されたり、民間の図書館に取り寄せられたりと様々な活躍の場が与えられるでしょう。

 

また、一度納本した自費出版物は半永久的に保管されることになります。

市場に売り出す場合と違って、確実にそこに保管されているという確証が得られるのはうれしいものです。

まとめ

今回は、自費出版した本を図書館においてもらうためのノウハウや方法をお伝えしました。

もし国会国立図書館に納本すれば、国会をはじめ、行政・司法にまつわるさまざまなサービスの重要な資料として活躍する日も夢ではありません

多くの人のためになりたい、そんな思いがある方もぜひ図書館への納本を考えてみてはいかがでしょうか。

 

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学生や子育て中のママなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーが所属。

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